結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年10月30日(土曜日)

「一回」にすべてを掛ける覚悟とサービスの「即時性=消滅性」

今月も亀ヶ谷純子さんから、
達筆の手紙が届いた。
㈱カメガヤ名誉会長。IMG_7925 (002)1

偶然だが、
「ほぼ日」の糸井重里さんが、
毎日書いている「今日のダーリン」
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「書」に対して思いを述べる。

――長い巻紙に、
それぞれの書家の筆を動かした跡が、
何百年も前のものでも、
ずっと残っている。
いいとか美しいとかについては
わからないなりに、
俗人のぼくみたいなものが、
つい感じたのは、
「これ、途中で失敗できないんだ…」
ということだった――

その通りだと思う。

――一文字ずつ、一行ずつ、
書いていって、
どこかで書き損じがあったら
どうなるのだろう。
そんなことを何百年後のぼくが
心配してもしょうがないが、
だれよりも、書いていた人が、
それをやり通したからこそ、
いまもその書が残っている
ということなのだ――。

――「この一回」に
すべてを懸ける覚悟がなければ、
きっとどこかに失敗の
入り込むスキができてしまうだろう――。

そこで現在の自分たちを思い出す。

――いまの時代を生きているぼくらは、
大量に生産されるもの、
いくらでも複製できるものに
すっかり慣れきっている。

失敗をすることは、
その「豊富さ」を前提に許されている。
紙ならいくらでもある、
失敗したらやり直せる――。

すべてが大量生産・大量流通・大量消費。

――一回しかない試合を見逃しても、
録画で見られる。
写真だって、デジタルならば、
何枚撮ってもかまわない。
地図や道順を憶えなくてもナビがある。

そういうすべてが、
そうなったらいいだろうな
という夢が実現した
結果であるとも言える――。

結果として。

――その夢に近づいたことで、
「一回」しかないということへの
畏怖や緊張や集中は、
薄れていったし失なわれてきた――。

――しかし、「一回」「ひとつ」が
なくなったわけでないのだ。
人間の可能性を減らさないためには、
「一回への挑戦」に
あえて取り組むことが、
求められていくような気がする――。

同感だ。

そこで私は「サービス」の定義を思い浮かべる。

フィリップ・コトラーは、
サービスの特徴を4つ挙げる。
(1)無形性
(2)非分離性
(3)変動性
(4)即時性⇒消滅性

この4番目の「即時性=消滅性」は、
生産と消費が同時に行われることを意味する。

店がサービスを提供する瞬間に、
顧客はそれを受け止めて、消費する。

一回にすべてを掛ける覚悟の、
「書」と同じだ。

糸井。
――「一回」や「ひとつ」は、
それだけで価値そのものなのだ――。

ありがとうございます。

この亀ヶ谷純子さんの手紙では、
月刊商人舎10月号の感想が書かれ、
決意が表明されている。

10月号の特別企画は、
’21秋のイオンリテールとイトーヨーカ堂
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ケーススタディは、
イオンスタイル横浜瀬谷と、
イトーヨーカドー八柱店。

イオンは、
私鉄駅直結のコンパクト型フード&ドラッグ。
イトーヨーカ堂は、
40年目の大改装で「iDrugCosme」を開業。

どちらもフード&ドラッグである。

イオンリテールの時系列決算。
1002-1
2001年2月期と、
10年後の2011年2月期。
そして直近の5年間。

同じくイトーヨーカ堂の時系列決算。
1004

どちらも、
小売業界の主役とは言い難い実績だ。
そこで今回、同時に取り組んだのが、
フード&ドラッグである。

特別企画の[あとがき」に私は書いた。
「いずれも”薬食同源”のコンセプトで、
それが現在のコロナ禍中において、
最強の小売業なのである」

「地震が来ようが、
台風に襲われようが、
コロナウイルスに席巻されようが、
不況が訪れようが、
この”薬食同源”のストアコンセプトは
揺るがない」

「だからイオンスタイル横浜瀬谷も
イトーヨーカドー八柱店も失敗の確率が低い」

フィットケアデポを展開する亀ヶ谷さん、
この「薬食同源」のマーケットに、
イオンとセブンが力を入れる現状を、
競争の激化だと読み取った。

私の結語。
「かつて栄華を誇った総合スーパー業態は
高度経済成長時代の小売業の象徴だった」

「対して、成熟時代から低成長時代に入った
現在の日本を象徴するのは、
フード&ドラッグの
コンビネーションストアである」

「そして、
既存のスーパーマーケット専業企業群が
決定的に後れを取っているのも、
フード&ドラッグである」

「20年前に”わき役”に回ったと評した
イオンリテールとイトーヨーカ堂は、
密かに”主役”への復活を狙っている」

さて、土曜日の今日も、
午後からオフィスに出て、
次の商人舎11月号の原稿書きと入稿。

考えてみると私たちの仕事は、
すべてが「即時性」と「消滅性」をもつ。

いま、ここで書いた原稿の表現は、
1分後に書いたら同じものとはならない。

だからこの一瞬に全力を込める。

「この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯」
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倉本長治も「書」の心を語っている。

〈結城義晴〉

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