天気図を見ると、
梅雨前線が姿を消した。
そして猛暑が到来した。
今年は空梅雨になるのか。
毎日新聞「余録」が石塚友二の一句を紹介。
百姓に泣けとばかりに梅雨旱(ひでり)
新米の収穫に影響が出なければいいが。
徳川家霊廟の有章院霊廟二天門。
国の重要文化財に指定されている。
そして東京プリンスホテル。
東京タワーがホテルの建物の真後ろに、
ニョキっと出ている。
今日は、
協同組合ジェプラ通常総会。
私はその記念講演をする。
昨日は軽井沢で、
今日は東京で、
連続講演。
何と、どちらも聴講してくれた人がいた。
ジェプラの前身は「日本パッケージ研究協会」。
1981年(昭和56年)6月の設立。
Japan Package Research Association。
頭文字をとって「JPRA」と名づけられた。
1987年(昭和62年)1月、
協同組合ジェプラとなって、
初代理事長に大木賢次氏が就任。
メンバーは全国のパッケージディーラー。
現在13企業・グループ従業員数約650名。
はじめに川和利行理事長のあいさつ。
㈱川和社長。
実にしっかりした挨拶だった。
タイトルのスライドには、
月刊商人舎6月号の表紙のイラストを使った。
’25ニッポン小売業番付
2019年にこの会で講演した。
そのあとにCOVID-19パンデミックが起こった。
だから冒頭の講義は、
「コロナが時間を早めた」
それから松尾芭蕉の言葉。
弟子の向井去来が『去来抄』に記した。
「蕉門に千歳不易の句、
一時流行の句と云ふ有り。
芭蕉一門に千年も変らない句と、
一時に流行する句とがある。
「是を二つに分て教へ給へる、
其元は一つ也。」
師匠はこれを二つに分けて教えてくださった。
しかしその根本は一つである。
「不易を知らざれば基たちがたく
流行を知らざれば風新たならず」
変わらない不易を知らなければ、
基本が成り立たない。
変わる流行を知らなければ、
新しい風流は生まれない。
そしてその根本は一つである。
コロナ禍以降、社会は大きく変わった。
商売の世界では競争が変わった。
コロナ前に見えていたことが、
あっという間に現実となった。
そして商品が変わった。
コモディティ化現象はさらに進んだ。
原材料の高騰、円安と価格改定、
そのうえ、トランプ関税。
さらにイスラエルのイラン攻撃で、
原油価格もどこまで高騰するのか。
世界は不安に陥っている。
だから消費は徹底して節約志向だ。
それでも顧客は必ず喜びを求める。
幸せを追求する。
だからノンコモディティ商品領域でも、
反動のように新しい潮流が登場する。
トレイも包装資材も、
その両方を求めねばならない。
「トヨタ生産方式」の生みの親・大野耐一さん。
方程式を示した。
現在の能力=仕事+ムダ
どんなにスキルがアップしても、
能力にはかならずムダが潜んでいる。
だから「なぜ」を5回、問い直せ。
そしてムダを徹底的に排除せよ。
コモディティ対策はこれしかない。
執拗にムダを除去する。
その一方でノンコモディティを追究する。
だからトレードオフと決別して、
トレードオンへ。
「トレードオン」とは「両立性」である。
一見両立しそうもない二律背反を超え、
新たな価値を生み出すことで、
社会価値と経済価値を両立させる。
コロナ禍でわれわれは、
トレードオンを実践した。
[感染拡大防止]×[経済の活性化]
それが当たり前となった。
結語はマイケル・オークショット。
「変化のときに選びうるのは、
確実な損失か、不確実な利益かの
いずれかである」
ご清聴を感謝したい。
取引先のメーカーの皆さんも参加した。
この会は実に密な懇親をする。
それが特徴だ。
私は理事長の川和さんと、
アメリカの流通について語り合った。
川和さんは大学時代から、
卸売業のゼミに入って研究した。
米国卸のフレミングの話で盛り上がった。
実に勉強熱心な経営者であり、
業界のリーダーだ。
まだ57歳。
全力で応援しよう。
山梨の㈱オオキのお二人。
大木勝志会長と大木賢太郎社長。
大木会長には商業界時代から、
ずっとお世話になっている。
健太郎さんの顔つきが変わってきた。
楽しみだ。
そしてコンサルタントの城取博幸さん。
城取フードサービス研究所所長。
食品商業編集長の時代に、
毎月の原稿を執筆していただいた。
それ以来の長い付き合いだ。
私より二つ下で古希を過ぎたそうだ。
ほんとうに久々にお会いしてうれしかった。
私の講演も聞いてくれた。
中締めはジェプラ副理事長の土田博美さん。
㈱かねひろ代表取締役。
この協同組合を温かく見守りつつ、
支えてくれる人だ。
2日連続の講演だったが、
私は充実していた。
心から感謝したい。
不易と流行のトレードオン、
その元は一つである。
〈結城義晴〉