13年前の清水信次・矢野博丈とイラン攻撃のトランプの言葉

facebookは面白い。
突然、過去の写真が出てきた。
清水信次さん、86歳。
矢野博丈さん、69歳。
2012年6月20日。
㈱大創産業の埼玉RDCお披露目会、
及び創業40周年記念パーティー。
お二人とも故人となられた。
いい写真です。
場所は、埼玉県久喜市の工業団地の一角。
埼玉リージョナルディストリビューションセンター。
その入り口に看板。
この年、大創産業は創業40周年を迎えた。
こうしたお披露目は40年目にして初めてだった。
会場入り口には、お祝いの花がずらりと並ぶ。
総面積1万8000坪、うち600坪が自動ライン。
RDCの特徴は3つ。
1つは、自動倉庫、自動マテハンの活用。
2つ目は、きれいなカラーリング。
グリーン、水色、オレンジ、ピンク。
カラフルで倉庫内とは思えない。
しかしそれが矢野社長のカラーであり、
ダイソーの社風をよく表している。
3つ目が、オリコンに、
スマートタグを取り付けたこと。
効率化とペーパーレス化が図られた。
13年前のことだ。
主力商品、高回転商品は、
パレットのまま置かれる。
ダイソーのオリジナルパレットには、
水色とオレンジがある。
オレンジが自動倉庫用で、
それ以外が水色。
オリコンは、グリーン。
色分けによって、
商品の流れがよくわかる。
お披露目会のはじめに、
矢野博丈社長がごあいさつ。
メーカーや問屋、銀行などの取引先が、
多数集まった。
矢野社長の挨拶は、
いつものようにダジャレから始まった。
しかし創業当時から、
この日までを振り返った。
「10万円を持って、
2トン半のロングボディトラックを駆って
大阪の鶴橋駅ガード下にある
露天商や担ぎ屋向けの小間物問屋に行った。
そこで仕入れた少し傷物の鍋を、
上代の1割で仕入れて、安く売った」
「2部屋の事務所で、
仕入れた商品を仕分けてしていた。
RDCならぬ、2LDだった」
「お客の離れるスピードは速い。
緊張して生き続けていきたい」
多くの参加者が、
矢野社長の話をじっくりと聞いた。
清水信次さんも駆けつけた。
当時、㈱ライフコーポレーション会長、
日本チェーンストア協会長、
国民生活産業・消費者団体連合会会長。
その後ろは、坂東英二さん。
元プロ野球選手。
来賓のあいさつトップは、
㈱ヤオコー会長の川野幸夫さん。
日本スーパーマーケット協会会長。
「矢野さんは世の中を見る確かな目、
人生を謙虚に生きる姿勢、
ダジャレを連発する頭の良さをもつ。
駄洒落を飛ばしながらも、
独自の経営哲学を貫いている」
来賓のあいさつの後は、
お祝いのくすだまわり。
そして場所を移して懇親会。
私はこの日のブログに書いている。
もともとは1858年のアメリカ、
フランク・ウールワースが、
ワンコインストアの業態を始めた。
バラエティストアと称された。
歴史的にみると、
百貨店、スーパーマーケットに次ぐ、
由緒ある業態である。
それを矢野博丈が、
日本で興した。
お祝いの鏡割り。
懇親会の来賓あいさつは清水さん。
「政治家も行政ももう当てにならない。
産業界、それも消費産業が力を発揮して、
この国のために働こう」
2025年の今も、
この清水さんの指摘は変わらない。
さて、米軍が22日未明、
イランの核施設を攻撃した。
フォルドゥとナタンズ、イスファハン。
ドナルド・トランプ大統領は、
いつものようにSNSで報告。
「3つの核施設への攻撃を成功裏に完了した」
イランは「重大な国際法違反だ」
国連のグテーレス事務総長も、
「国際法違反」と批判する。
しかしトランプ。
「米国、イスラエル、世界にとって、
歴史的な瞬間だ」
「イランはいま、
この戦争を終結させることに
同意しなければならない」
21日夜にはホワイトハウスで、
国民向けに演説した。
「いまこそ平和を築くべきだ。
そうしなければ今後の攻撃は、
はるかに大規模なものになるだろう」
朝日新聞「天声人語」
「トランプ大統領の言動には
驚かなくなってきたが、
先日のSNSの投稿には衝撃を受けた」
「少なくとも今のところ、
我々は彼を排除(殺害!)するつもりはない」
「kill!」を使った。
「彼」とは、イランの最高指導者ハメネイ師。
「居場所は正確に把握している」
「我々の忍耐は限界に近づいている」
コラム。
「トランプ氏の言葉で感じるのは、
立場の重さとは対照的な、
響きの『軽さ』である」
同感だ。
「同じ言葉でも、どんな場所から、
どれほどの深みから語るかで、
低俗にも高潔にも響く――」
矢野博丈の言葉は、
軽そうに聞こえて、
深みをもっていた。
いまさらながらに、
また会いたい。
〈結城義晴〉