トライアル傘下となった西友トップ人事と「TRIAL GO」の可能性

記録的短時間大雨が各地に降った。
京都、宮城、鳥取。
お見舞い申し上げたい。
気象に関する世界の専門研究者の間で、
地球温暖化を否定する人はだれ一人いない。
それが真実なのだ。
「フェイクだ」などと言っている者は、
何一つ根拠を示すことができない。
それでも「Fake!!」と言い続ける。
今の世界ではそんなことが多過ぎる。
さて今日は、
月刊商人舎7月号の最終追い込み入稿。
1日中、必死の思いで執筆と原稿整理。
正午から記者会見。
場所は赤坂ガーデンシティ。
山本恭広編集長が取材に行ってくれた。
会場の18階ホールには、
100人を超えるメディアが集まった。
3月5日に㈱西友の完全子会社化を発表したが、
昨日の7月1日付けで買収を完了。
商人舎流通SuperNewsに2本の記事。
トライアルnews|
西友新社長に楢木野前トライアルカンパニー会長
冒頭で西友の経営体制が発表された。
記者会見には4名が出席。
左から大久保恒夫取締役副会長、永田洋幸取締役会長、
楢木野仁司社長、武田正樹経営企画本部長。
西友の大久保恒夫社長は、
取締役副会長として残った。
トライアルホールディングス永田洋幸社長が、
西友の取締役会長を兼務。
トライアルカンパニー楢木野仁司(ならきの・ひとし)会長が、
西友代表取締役社長となった。
西友の買収には約3800億円が必要だった。
トライアルホールディングスは調達のために、
三菱UFJ銀行から3674億円を借り入れた。
返済は1年後である。
トライアルホールディングス永田社長は語った。
「統合ビジョンを、
『買い物を面白く、暮らしを豊かに』と定めた。
西友との統合で、テクノロジーを生かし、
ムダ・ムリ・ムラを解消し、
顧客ニーズの深い理解、
パーソナライズされた買物体験の提供など
流通情報革命を進める」
具体的には4つの施策を進める。
⑴既存店強化
両社のプライベートブランドを相互に展開する。
西友のプライベートブランドは、
トライアル全店で扱われる。
⑵出店戦略
目玉は関東でのTRIAL GO(小型スーパーマーケット)の立ち上げ。
⑶収益性の向上
プロセスセンターとセントラルキッチンの相互活用。
⑷リテールメディア展開
「2021年3月に社長就任以来、
情報システムと人への投資を重要と考えて、
経営改革を進めてきた。
商品力と販売力の強化は順調に成果が上がり、
次のステップに向かう状況になった」
「トライアルはITに強く、先進的な企業。
商品力と販売力がさらに強化され、
価値創造ができると思う」
私は月刊商人舎2月号の座談会で語った。
「西友はどうなる?!」
「現時点の経常利益率5%という経営内容は、
大久保恒夫CEOの個人的力量に
負うところが大きいと思う。
大久保抜きの西友が5%を出せるか」
「だから大久保恒夫ごと、
傘下に入れるという案も考えられる」
トライアルの人たちが、
この発言を読んでいたかはわからないが、
大久保さんが副会長に残ったのは、
西友にとって良かったし、
トライアルにとっても幸いだったと思う。
トライアルnews|
西友との統合完了/西友PB販売と小型店の首都圏出店
「TRIAL GOは、コンビニや小型店の跡地に
数多く出店できる可能性がある」
「トライアルのグループ企業・明治屋が開発した、
弁当、惣菜、寿司などの商品で、
価値を創出する」
「福岡ではデジタルサイネージ、
顔認証、AIカメラ、
デジタルを使ったリモートによる
店舗管理などを実験しながら、
1日30人時で運営できる小型店を作り出してきた」
「新しい小型店を関東に投入することに、
統合の最大の価値がある」
「TRIAL GO」の売場面積は40~300坪、
取扱商品は3000~1万1000アイテム。
西友の店舗・製造拠点を活用して、
でき立て惣菜・生鮮などを高頻度で配送する。
これは大いに可能性がある。
しかし東京・神奈川・埼玉の都市部には、
イオンのまいばすけっとがある。
すでに1204店、年商2904億円。
絶好調だ。
イギリスにはテスコエクスプレスがある。
私はこのフォーマットを、
「エクスプレスストア」と名づけて、
2014年11月号で特集し、謎解きをした。
Express Store大研究
グローバル・リテイラーの大潮流「店舗小型化」の謎を解く
アメリカではウォルマートもターゲットも、
このフォーマットの実験をした。
イオンとトライアル。
日本にさらに新しい参入があるかもしれない。
そしてそれはコンビニに大打撃を与えるだろう。
新しい時代の創造に西友が機能すれば、
堤清二さんや上野光平さんも、
少しは喜んでくれるに違いない。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
トライアルさんは、テクノロジー企業と言ってよいと思います。
TRIAL GOも、成功がほぼ約束されているようにも思います。市場とフォーマットが合致し、且つ模倣困難性を備えていると思うからです。PDC機能を確立されているのも大きいと思います。
吉本さん、同感です。
ウォルマートの仕組みを導入しようとした西友と、
同じくウォルマートに学んだトライアルは、
相性がいいと考えられます。
そのうえトライアルはテクノロジー企業です。
ただしまだまだ売場のレベルはお世辞にも高いとは言えない。
今やウォルマートの売場は高いレベルが実現されています。
トライアルの成長の余地が残されていると考えることもできます。