結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年07月10日(木曜日)

商人舎7月号特集「居抜き」の是非の「トルストイ派と寺山修司派」

月刊商人舎、本日発刊!
2025-07商人舎

[特集]
「居抜き」の是非
店舗開発の標準化パラドックス

[Cover Message]
チェーンストア業界に「居抜き出店」が目立つ。ニッポン小売業番付第4位㈱パンパシフィック・インターナショナル・ホールディングス(PPIH)のドン・キホーテ、西友を買収して1兆3000億円規模の番付第7位に躍進する㈱トライアル・ホールディングス、ロピアを核に急速成長を続ける㈱OICグループ。
しかし話題の「居抜き店舗」が急増する現象は、撤退店舗の激増を前提としている。競争の激化、マーケットの縮小、さまざまなコストの高騰、人員の不足。それらの結果、起こるのが「閉店」と「撤退」、「居抜き」の急増。通常のスーパーマーケットやチェーンストアは指をくわえて、この「居抜き」の行進を見ていていいのか。
教科書通りの標準化思想は本来、多店化のスピードを上げるための方策でもあるが、皮肉なことにそれにこだわると物件が見つからず、結果としてチェーン化の速度は鈍る。これこそ現代チェーンストアのパラドックスである。さて、どう考え、どう決断するか。今、「居抜き」の是非を問う。
202507_hyoushi2

目次。
2025商人舎7月号目次
いつものように特集のまえがき。
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特選のケーススタディが3本。

ドン・キホーテの居抜き出店作戦
PPIHの融通無碍な物件開発とマーケット開拓とは?
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ロピア花巻店の広域化作戦
イトーヨーカドー撤退店舗をどう変え、どう活かしたか?
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イオンスタイル竹の塚
ヤマダデンキとのコラボで旧イトーヨーカドーを凌駕する
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「店を再び元気にする」基本メソッド
居抜き物件の活かし方「チェックリスト」(新谷千里)
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今月号は巻頭にパネルディスカッション。
日本スーパーマーケット協会。
「食品流通の新しいカタチ」
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会長の岩崎高治ライフコーポレーション社長、
副会長の川野澄人ヤオコー社長、
服部哲也サミット社長。
それから原和彦アクシアルリテイリング社長、
大髙耕一路ヨークベニマル社長。

豪華なパネラーの発言は、
一言も見落とせない。syouninnsya7gatugou paneru

実にいい内容だった。

それから[新店の注目点]
サミットストアららテラス北綾瀬店
ブランディングと全従業員でサミットらしさをつくりあげる
202507_summit_kitaayase

巻末に、
52週MD[2025年 下期編]
月別コンセプトと重点販促テーマを提案する
202507_eigyo-kikaku

7月号も全力で執筆し、編集しました。

そして[Message of July]
パラドックスから抜け出せ。

景気が悪くなると、皆が倹約する。
しかしその結果として需要が減る。
そしてさらに景気が悪化する。
「倹約のパラドックス」である。

落書き禁止の壁に、
「落書きするべからず」と書く。
それは許されるのか。
「落書きのパラドックス」と呼ぶ。

正しそうに見える前提。
妥当と思われる推論。
それなのに受け入れがたい結論。
それがパラドックスである。

標準化された店舗は、
出店スピードが早い。
しかし標準に適した物件は出にくい。
だから店舗開発は遅くなる。

パラドックスに陥らないためには、
正しそうに見える前提や、
妥当と思われる推論を、
疑ってみる必要がある。

正しいと言われてきた理論、
わかりやすそうな理屈を、
頭から信用してはいけない。
自分で考えなければならない。

今がよければいい。
リスクを背負わない。
目先の利益を追いかける。
それがパラドックスに陥る原因となる。

革新的技術によって先行した企業は、
その技術にこだわって革新性を喪失し、
新たな革新を果たした新興企業に打倒される。
「イノベーションのジレンマ」。

正しいと言われてきた理論、
妥当と思われている推論。
いつもそれらを疑ってかかれ。
そしてパラドックスの隘路から抜け出せ。
〈結城義晴〉
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最後に朝日新聞「折々のことば」
今日は第3440回。
編著は哲学者の鷲田清一さん。

幸福な家庭はすべてよく
(にか)よったものであるが、
不幸な家庭はみな
それぞれに不幸である。
〈トルストイ〉

ロシアの文豪の『アンナ・カレーニナ』の書き出し。
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幸福については定義をしないまま、
味なことを言う人が多い。

歌人・演劇家の寺山修司の『幸福論』。
「不幸はいつも同じ顔をしているが、
幸福の顔は、それぞれ違っている」
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真逆。

鷲田さん。
「幸福を一つの達成と考えるか、
目的とは無関係な悦(よろこ)びと捉えるかの違いか」

「居抜き」の是非も、
この二人の幸福のとらえ方と同じ。

あなたはトルストイ派か、
寺山修司派か。

〈結城義晴〉


1 件のコメント

  • 万人が幸せになりたいと思っていますが、自分にとっての本当の幸せが何なのかがわからずにいる、或いは自分にとっての幸せが何なのかを勘違いしていることが多いようにと思います。
    幸福を一つの達成と考えるのではなく、目的とは無関係な悦(よろこ)びと捉えた方が、勘違いしてしまうことは少ないように感じます。幸せは、後から発見されるもののように思います。

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