結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年07月14日(土曜日)

手塚幸男先生を悼みつつベスト買収ヤマダの山田昇「寡占・三占論」

六代目桂文枝を襲名する桂三枝。
朝日新聞『ひと』欄に登場。
68歳。

襲名披露の日は、7月16日。

「無難に行ったら、自分じゃない。
しんどい道を選ぶからこそ、
結果を出せる

同感。

ただし、「無難」はだめだが、
「無茶はアカン、無理はエエけど」。
西端春枝先生。

昨日夕方は、
高知から帰って、
その足で、東京・小田急線、千歳船橋へ。

手塚幸男先生の通夜。
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大正15年生まれ、享年85。
ブルーチップ総合研究所所長として活躍され、
マーケティングやプロモーション戦略を専門とされた。
『商業界』『販売革新』『食品商業』などの常連執筆者でもあり、
私はずっと原稿をご執筆いただく立場だった。

『客づくりのための販促技術(実務教育出版)
『促企画データ&アイデア365日』(経林書房)などの著書が、
残されている。

私は大正15年生まれの人たちと縁が深い。
まず両親がともに大正15年生まれ。
大学のゼミの教授・壽里茂先生、
チェーンストア経営の恩師・渥美俊一先生、
そして手塚先生。

渥美先生は2年前に亡くなられ、
今また、手塚先生ご逝去。

商人舎最高顧問の杉山昭次郎先生は、
一つ年下の昭和2年。

だから杉山先生のお名前は、
「昭」の「次郎」。

大正15年12月に天皇崩御。
そして昭和元年が始まった。
だから大正15年と昭和元年は合わせて1年。
その次が昭和2年となる。

その渥美先生の教え。
「結婚式は出なくともよいが、
葬式には何をおいても顔を出
せ」

私は、それを守り続けている。

㈱商業界の編集長時代から、
取締役、専務、代表取締役社長のときまで、
もちろん㈱商人舎になってからも。

ほんとうに皮肉なことに、
この教えをくださった渥美先生ご逝去の報を聞いたときは、
成田空港で、これから出発という、その直前だった。
だから、ほんとうに心外だったが、
渥美先生の通夜と告別式には出席できなかった。

手塚先生は数年前に肺癌に侵され、
何度かの手術。
それから肝臓に転移して、
この癌とも闘われた。

亡くなられる日も、
直前にお赤飯をぺろりと平らげて、
お元気なところを見せられた。

そのあと、容体が急変。
しかし、安らかなご臨終だった。

奥様の手塚玲子さんと、
息子さんの手塚幸忠さん。
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幸忠さんとは、
手塚先生の原稿のことなど話した。
「読めない字だったでしょ?
締め切りにはギリギリだったでしょ?」

そんなことはありません。
物書きはみんな、同じです。
より良いものを書きたいと思うから、
ひらめいたら字は乱れるし、
締め切りギリギリまで粘る。

全て、より良いものを書き上げようと考えるから。

でも、そこに人の心の温かさがあった。

いま、ほとんどの原稿は、
ワープロ文字。

「汚い、読めない、解らない」はない。
しかし「温かみ」は欠けた。

私はまだ、半分ずつにしている。

短い原稿はワープロ。
長い原稿は手書き。

もちろん手書き原稿は商人舎のスタッフが、
ワープロに打ち直して、依頼主に送る。

手塚先生の原稿は、
ほんとうに温かかった。

ご冥福、お祈ります。
合掌。

さてニュースを二つ。
一つは、ひどい話題。
「酒販中央会、民事再生法を申請」
時事通信が昨夜21時に配信。
全国小売酒販組合中央会(東京・恵比寿)は、
全国の酒店経営者の年金共済事業を手掛けていたが、
それが東京地裁に民事再生法の適用を申請。

負債総額は約150億円。
加入者は約1万5000人。
もちろんすべて小売酒販業。
つまりは酒屋さん。

掛け金返還は困難となる。

2002年12月~2003年4月に、
年金資産の大半、約145億円を外国債券に投資。
それが回収不能となった。

もう一つのニュースは、
ヤマダ電機・山田昇社長のコメント。
ベスト電器買収後の記者会見。

「ハウスメーカーの買収や環境ビジネスの強化は
専門店という領域の中で事業を発展させていくため。
市場を独り占めするつもりはない」

「ナショナルチェーンは3社や4社あったほうがいいが、
今のチェーンの数は多い。
適正になる過程においてはこういうことはある」

現在は昨日のブログの第8位ベスト電器に次いで、
ゲオホールディングスとノジマを入れれば10社となる。

それが寡占へと進む。
山田さんはそう語る。

その後、
「三占」の状態が続き、
やがて「複占」にいたる。
これは私の観察と仮説。

4社ならば、
マーケット・リーダー、
マーケット・チャレンジャー、
マーケット・フォロワー、
そしてマーケット・ニッチャー。

ニッチャーは「でんかのヤマグチ」などのように、
ローカルチェーンとして、それぞれの「強み」を活かしていく。

ナショナルチェーンは「規模の論理」とならざるを得ない。
そうしなければメーカーと組み事ができない。

だから山田さんは続ける。
「専門店として規模を大きくする必要があった。
家電量販店のメリットだけでなく、
家電メーカーともども利益を創出しないといけない。

そこに業界の発展がある」

規模を追いつつ、サービスを強化する。
サービスとは問題解決業のこと。
「今後はサービスの向上を図る。
お客の中でわかりやすい差別化が価格になってしまっているが、
ソリューションビジネスをやっていくことで対処していきたい」

最後はここに収れんする。
「一定の量を売らなければメーカーもわれわれももうからない。
カテゴリー商品ごとにシェアにこだわる」

カテゴリーごとに「クリティカルマスを突破」する。

家電チェーンだけでなく、
カメラチェーンも、パソコン販売チェーンも、
同じ土俵に入ってきた。

その中でカテゴリーごとのシェアが最重視される。
これはウォルマートの基本的な考え方と一致する。

さてさて、毎日のように、
YCATからリムジンバスで成田へ。
20120714152437.jpg

私は今、成田空港。
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1週間、ダラス・サンフランシスコを訪問。

今回は、平和堂の食品部隊を引き連れての視察。
結団式を終えた後、全員で記念撮影。
20120714165945.jpg

ヤマダ電機・山田昇の考え方が、
もう当たり前になっている競争社会へ、
元気に出発。

明日のブログは『ジジの気分』グだが、
その後は恒例のアメリカ最新報告の予定。

乞う、ご期待。

<結城義晴>


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