結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年03月19日(土曜日)

「富士そば」丹道夫の「人を信じる」とショーンKの「禁断の詐称」

春分の日の三連休初日。DSCN9646-6

空も雲も、春です。DSCN9649-6

日が長くなって、
夕やけも美しい。DSCN9657-6

福岡と名古屋で桜の開花。DSCN9656-6

まだ明るいのに、上弦の月。DSCN9644-6

これも美しくて、心が安らぐ。DSCN9652-6

朝日新聞『週末別冊be』
「フロントランナー」の欄に、
富士そばの創業者登場。
丹道夫さん。

1日5万~6万食の売上げ。
首都圏に111店の直営店。
すべて24時間営業。

チェーン店は「名代 富士そば」
社名はダイタンホールディングス㈱。
7社の子会社が連なる。
年商83億円。

丹さんの経営。
一に立地、二に立地、
三四がなくて五に立地。

「商売の成否は立地。
どこに店を開くかで90%決まる」

「通りに面した1階で、人通りが多く、
2間(約3.6m)以上の間口がある物件」

「朝夕の5分間に100人以上が通るところ。
しかも黒っぽい服を着ている人が大切」

つまりダークスーツのサラリーマンがターゲット。

「いい物件をいかにすばやく得るか、
スピード感が大切」

「立ち食いそば屋は不動産業なのです」

それでいて、
「不動産業者から『成長が見込まれる』と、
薦められた場所には手をつけない」

「甘い言葉にはだまされません」

かけそば、もりそば、1杯300円。
「1杯300円という単価が、
立ち食いそば屋の基本です」

1935年、名古屋市生まれ。
父親を亡くし、母親の故郷愛媛県西条市に転居。
1951年、高校を中退。
上京と帰郷を繰り返しつつ、
八百屋や燃料配達など仕事を転々。
後に別の高校を卒業。

1960年、東京栄養食糧専門学校卒業。

61年、4度目の上京で、
埼玉県川口市に弁当店を開業。
65年、友人と東京で不動産会社を興す。
このころは面白いように儲かった。

66年、立ち食いそば店を渋谷に開業。
やがて店名「富士そば」に変更。

72年、B型肝炎発症。
不動産会社を退社し、
ダイタンフード㈱を設立。
店を24時間営業にした。

80年代に10店を超え、
社長1人では管理しきれなくなった。
そこで「現場は社員に任せよう」
88年にグループ会社に分社化。
社員に大幅な権限委譲をする。

同時に、店はほとんどを椅子席にした。
竹や石を配した和風の内装。
床には大理石を敷いた。
「女性客や家族連れを意識し、
明るくおしゃれにしました」

これはポジショニングの確立。

すると「収容人員は減りましたが、
売り上げは伸びた。
1日7万円だったのが
10万円台になった店もあります」

社是が面白い。
「雨降りには社長は傘になれ」

「普段は社員に任せていますが、
何かあったときには真っ先に飛んで
社員が困らないようにしなければなりません」

全店舗を年に4回のペースで回る。
社員とのコミュニケーションが目的。
しかし「接客の仕方や店の汚れを
チェックするようなことはしません。
京都の和菓子を持って
『頑張ってね』と声を掛けるだけです」

「店で働く従業員の採用も店長に一任です。
店長が気に入れば
前歴、学歴、年齢にかかわらず
採用しています」

「前歴、学歴、年齢にかかわらず」が、
本当に大事だ。

「でも各店舗から入金された売上げを管理し、
社員への給与や、業者への材料費の支払い、
金融機関への借入金の支払いなど
『出金の蛇口』だけは、
社長が自ら、開け閉めしています」

最後に、丹さんの「商いのコツ」
「『儲』という字は『信じる者』と読めます。
しかも『信』のニンベンは『人』という意味があります」
故倉本長治も同じように説明した。

「もうけるとは人を信じることなのです」

プロの作詞家で、ペンネームは「丹まさと」
五木ひろしや天童よしみにも詞を提供。

その作詞家の丹さんだからこそ、
言葉に意味を持たせる。

丹道夫さんと対照的なのが、
ショーンK。

日経新聞の『春秋』は昨日、
毎日新聞の『余禄』は今日、
取り上げた。

発信源はまたまた、
水曜日発売『週刊文春』のスクープ。

「ショーンKの名で
テレビ番組のコメンテーターをつとめていた人物の
経歴詐称疑惑」

「端正なマスクで人気の経営コンサルタントは、
米ハーバード大の経営学修士という
学歴を売り物にラジオやテレビで
企業家や企業経営について語っていた」

「その学歴も経歴もでたらめだったとわかり、
4月から予定していた番組の司会などを
降りることになった」

『春秋』のまとめ。
「クラウドやソリューションなどのカタカナを操り、
低音の美声でま くし立てられたら、
つい耳も傾く。感心もする。
こちらに知らないという不安や引け目が
あるからかもしれない」

そう、「知らないという不安や引け目」が、
原因となることが多いのだ。

『余禄』の総括。
「変えられぬ過去と、
才能と努力で変えられる未来、
そのはざまで禁断の過去の
塗り替えに手を染めたのならば
嘆息するしかない」

「儲けるとは人を信じること」
そして「才能と努力で未来を変えること」

もちろん、ショーンKのごとき人間、
絶対に儲け続けることはできない。

〈結城義晴〉


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