結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年03月26日(土曜日)

北海道新幹線開通の「勝機」と星野リゾート「脱コモディティ」

北海道新幹線、開業。
東京に向かって新函館北斗駅を出発する「はやぶさ10号」(26日午前6時35分)=代表撮影
新聞各紙が使った、
このアングルの写真が一番。

新青森から新函館北斗。
その間、149km。

東京から新函館北斗までは、
824kmで4時間2分。

高校2年の修学旅行は北海道だった。
当時は東北本線で青森まで行き、
青函連絡船に乗って、津軽海峡を渡った。
洋上3時間50分。

それが東京から一気通貫で、
4時間になった。

さらに札幌までの211kmは、
2030年度末の開通。

それでも多分、
新千歳までの空の旅の方が、
圧倒的に便利で短時間。

朝日新聞『天声人語』は心配する。
「一番列車こそ25秒で売り切れたが、
この先は空席も目立つ。
飛行機との競争も多難らしい。
赤字がかさんで『冬景色』に沈まぬよう、
お願いしたい」

この「冬景色」は、
石川さゆりの歌からとった。

読売新聞のYOMIURI ONLINEの記事。
「北海道新幹線に勝機はあるか?」
昨年12月25日の投稿。
鉄道ライター佐藤正樹さんが、
問題の的を射た見方を披歴。

「首都圏や東北地方の各県から
函館市や北斗市を含む道南地方への
年間輸送量は1069万2000人」

内訳は、鉄道430万3000人、
航空556万3000人。

首都圏~道央間は、航空のシェアが96%。
対して首都圏~道南間で、
「鉄道はイーブンに近い勝負を している」

さらに青森~道南間は、
鉄道利用者が235万8000人。

この区間のフェリー利用は82万6000人、
航空はわずか4000人。
鉄道のシェアは74%。

青森と道南が近づいた。
それが実体か。

ところが、この青函間は、
現在の特急「スーパー白鳥」や「白鳥」では、
乗り換えなしで行けるのに、
新幹線開業で新青森と新函館北斗で、
2回の乗り換えを余儀なくされる。
しかも特急料金は現在の2倍以上。

アークスグループで言えば、
ユニバースやジョイスと東南ラルズは近くなったが、
アークスとはまだまだ遠い。

そんな感じ。

佐藤ライターは考える。
「開業時の速度水準のまま
少しでも新幹線のシェアを伸ばす」には、
「長万部までの先行開業を提言したい」

長万部までの開通が早まれば、
「北海道有数の観光地であり、
先進国首脳会議まで開かれた
洞爺湖温泉やニセコ周辺が一気に近くなる」

「観光立国日本」
このテーマ資源を最大化するために、
知恵を集めたいし、
耳を傾けたい。

観光と商業は密接につながっている。
サービス業と小売業。

その観光の代表発言者は、
星野リゾート代表の星野佳路さん。
「リゾート再生請負人」

今もそうかどうかは知らないが、
かつては伊丹十三監督『スーパーの女』を、
研修に取り入れてくれていて、
小売業にも造詣が深い。

その星野さんの「経営者ブログ」
こちらは日経オンライン。

3月10日の投稿だが、
これが素晴らしい。
私は保存版に入れている。

「星野リゾートにはなぜ、
次々『事件』が起こるのか」

「将棋や囲碁には定石があり、
スポーツには型があります」

この「型」は『もしドラ』第2弾『もしイノ』の、
重要なテーマの一つでもある。

『もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」
を読んだら』

星野さんは、
「評価の定まった経営学の教科書や論文が
同じ役割を果たすと考えています」

そのうえで、
「ビジネスの世界で現在、
定石が求められる最大の課題は何でしょうか」

「私はコモディティ化だと思います」
これ、結城義晴の認識と完全一致。

「コモディティ化とは、
類似した商品やサービスが
大量に最適生産され
効率的に消費者に
届けられるようになった結果、
どの企業も競争優位にならない
状態を指します」

「本来差異化すべき点で区別できなくなるため、
企業は価格競争に陥るしかなくなります」

そこで、星野さんは、
コモディティ化を避ける手立てを提案する。

星野さんの定石は、
マイケル・ポーターの、
「独自の姿への3ステップ」
①生産性のフロンティアラインを達成する。

②トレードオフを伴う独自の活動を選択する。

③活動間にフィット感を生み出す。

詳細は、星野さんのブログを読んでください。

①の「生産性のフロンティア」は、
コモディティ化を脱する必要条件だが、
十分条件ではない。
ここがポイント。

②の「トレードオフ」とは、
「一方を追求すれば
他方を犠牲にせざるをえない関係」
あちらを立てればこちらが立たずのこと。

ポーターは言う。
「トレードオフを迫らない活動は
まねされやすく、
業績は単にコスト削減によってのみ決定される」

③の「フィット感」について、ポーターは、
「全部まねをするか、それとも全然まねないか。
どちらかの選択を競合に迫る」
半分真似るだとか、8割真似るだとか。
全く分かっていない。

最後にケン・ブランチャードの理論。
商人舎ミドルマネジメント研修会では、
ブランチャードの「チームマネジメント」を、
活用するよう提案する。

彼は「ピラミッドを逆さまにする」と指摘する。

星野さんが導入するのは、
「言いたいことを、言いたいときに、
言いたい人に言えるフラットな組織文化」

しかし「社員のモチベーションが高まる一方、
人間関係がフラットになる分、
社内に波風が立ちやすくなります」

そして星野リゾートに次々に事件が起こる。

「事件が起きるのはスタッフが
自分で考えるからなのです」

「星野リゾートでは、
事件が起こることをよしとしています」

「それが今や、星野リゾートが
コモディティ化を脱する強みの
一つになっているのです」

すばらしい。

最後に今日の私のイベント。
夜、「竹の子」の年度納めの会に参加。
横浜市港北区のジュニアソフトボールチーム。

現監督の加山慎一郎さんと固い握手。IMG_7959-6

竹の子は横浜でも、
「いいチーム」として名高い。

20年前に私はこのチームの監督を、
8年ほどやっていた。

私の人生における自慢の一つだが、
その時代に、横浜市で優勝して、
ナンバー1監督になったことがある。

その私の方針は今でも、
受け継がれていて、
それがうれしかった。

「人をつくる」チーム。

後藤新平の言葉。
「金をつくるは下なり、
仕事をつくるは中なり。
人をつくるは上なり」

それを貫いて、
竹の子は横浜有数の「いいチーム」

最後に残った監督、コーチ、
父母会の面々と写真。IMG_7962-6
みんないい顔をしています。

もっともっと、
いいチームをつくろう。

「チームが育っていくときには、
メンバーそれぞれの力だけでなく、
メンバーの間の『関係』までも育っていく」

写真のメンバーの関係が育ったから、
いいチームになった。

それこそ、正しい。

〈結城義晴〉


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