結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年11月07日(月曜日)

トランプ・プーチン・安倍の「強権指導者」とマキアベッリの「民衆」

Everybody! Good Monday!
[2016vol45]

2016年第46週です。
11月第2週月曜日の今日は、
立冬。
冬が立つ日。
言いえて妙。

まあ、春が立つ日は立春で、
夏や秋も、立つ日を、
立夏、立秋という。

立冬は、
「初めて冬の気配が現われてくる日」

そのとおり。
もう、冬の気配がある。

来週火曜日の15日は、
七五三。

3歳は女児が髪を伸ばす、
「髪置きの儀」
5歳は初めて男児が袴をつける、
「袴着の儀」
7歳は女児が大人の装いをする、
「帯解きの儀」

それぞれに由来があるが、
子どもの祝いは、
理屈抜きで目出度い。

つまり、愛でたい。

月刊商人舎11月号の責了を終えて、
次の12月号に向かう。

今日は横浜商人舎オフィス。

毎週月曜日の朝、
短い会議を開いて、
打ち合わせ。

エスプレッソコーヒーを楽しむ。
ポルトガルのデルタコーヒー製。
まだ、日本では発売されていないが、
実に美味い。
O

昨日は佐賀県唐津市。
IMG_9888-6

高島は唐津湾に浮かぶ小島。
その宝当(ほうとう)神社には、
宝くじが当たるという謂れがある。
O

昨夜、福岡空港から帰って、
今日は横浜の朝を満喫。

明日からアメリカ出張。
アトランタ、シカゴ、サンフランシスコ、
最後にロサンゼルスを巡って、
19日に帰国予定。

その間にアメリカ合衆国の、
第45代大統領が実質的に決まる。

日経新聞のオンライン版に、
Financial Timesの翻訳記事。
主席コラムニストのギデオン・ラッチマン、
そのタイトルは、
「トランプ・プーチン・安倍…
強権指導者の危うさ」

「モスクワからマニラ、
北京からブダペスト、
アンカラからデリーに至るまで、
国家主義の『ストロングマン』が、
再び流行している」

「ストロングマン」とは、
「強権的な指導者」のこと。

そこに安倍晋三首相の名が、
連ねられている。

万が一にも米国が、
ドナルド・トランプを大統領に選んだら、
「国際的な流行を
追いかけているのであって、
先頭で引っ張っているわけではない」

「ストロングマンに魅了される流れ」は、
「独裁的な国と民主主義国の
双方に広がっている」

「モスクワ」というのはロシアの、
ウラジーミル・プーチン大統領。

コラムニストは、プーチンを分析する。
「世界の強権的指導者たちの『守護聖人』」

「マニラ」はフィリピンの、
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領。
「威張り散らすスタイルと
法を軽んじる態度は、
新しいタイプの独裁者に
典型的な特徴だ」

さらに「北京」は、
もちろん習近平中国国家主席。

「アンカラ」はトルコ大統領の、
レジェップ・タイイップ・エルドアン。

さらに「程度はましだが、
ハンガリーのオルバン・ビクトル首相」

「まだ正真正銘の民主主義体制の
枠内で活動しているものの、
その政治的アピールは、
国家主義をはっきり帯びた
毅然としたリーダーシップという
イメージを基盤としている
強権的指導者がいる」

それがインドのナレンドラ・モディ首相、
日本の安倍晋三首相。

コラムニストはトランプ候補を評する。
「プーチン、エルドアン両大統領といった
最も独裁的なストロングマンと
一番共通点が多い」

国家主義と自己憐憫、陰謀論、
そして国家再生の約束。

トランプ候補の主張――
世界は米国を笑っている、
米国内の自分の敵は
外国のロビイストとぐるになっている、
だが自分は「米国を再び偉大にする」

さらに「腐敗したエリートを統制する」

「この(概してシニカルな)約束は、
新たなストロングマンに共通する特徴だ」

こうした強権的指導者は皆、
「個人崇拝を促してきた」

さらに1930年代との類似点は、
明々白々だと指摘する。
「当時、大恐慌の経済的なショックによって
世界中で政治が急進した」

これはナチス・ドイツの台頭を、
意味している。

最後に「興味深い、逆行する流れ」

マッチョな強権的指導者の台頭は、
合意形成型の力強い女性政治家を求める。

こちらは統治スタイルがずっと控えめで、
「ストロングマン」と逆行する流れだ。
それが同時に起きている。

その最も明白な例が、
ドイツのアンゲラ・メルケル首相。
英国のテリーザ・メイ首相。

「欧米政治の女性化が、
昔を懐かしむ一部の男性有権者の間で
マッチョな指導者へ
駆り立てている可能性さえある」

多分に類型的すぎるかとも思うが、
イギリスを代表するコラムニスト。

納得もできる。

企業経営に置き換えると、
強権的指導者も、
合意形成型指導者も、
どちらもありうる。

それがマネジメントの幅の広いところ。

しかし大衆や社員・従業員からの、
賛同を得られなければ、
どちらもうまくはいかない。

ここではやっぱり、
ニコロ・マキアベッリ。
塩野七生著。
「君主(指導者)たらんとする者は、
種々の良き性質をすべて
もち合わせる必要はない。
しかし、もち合わせていると、
人々に思わせることは必要である」
〈『君主論』より〉

トランプには、これがない。
ヒラリーはそれをしようとしたが、
情報社会の現在、失敗した。

「君主にとっての最大の悪徳は、
憎しみを買うことと、
軽蔑されることである」

ヒラリーは、
憎しみがわくように演出され、
トランプは自ら、
軽蔑されるようにふるまった。

「下劣で悪辣な人物を
官職につけたくなかったら、
最高に下劣で悪辣な人物と、
高潔で評判のよい人物とを、
並べて出馬させるよう
計るべきである」

「そうすれば有権者たちは、
両者のあまりにも明らかなちがいに、
どうしたって後者を選ぶようになる」

そしてマキアベッリは、
民衆の特質を鮮明にする。
「民衆というものは、
はっきりとして形で示されると、
正当な判断を下す能力はあるが、
理論的に示されると、
誤ること多し、ということである」

この面ではトランプが、
民衆を知っている。

しかしマキアベッリは、鋭い。
「民衆は、群れをなせば、
大胆な行為に出るが、
個人となれば臆病である」

かくて、投票という行為において、
臆病な個人に選択は委ねられる。

この大統領選挙は、
マネジメントの世界にも、
実に多くの教訓をもたらしてくれる。

では、みなさん。
今週も、考えつつ、行動しよう。
Good Monday!

〈結城義晴〉


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