日本チェーンストア協会「流通未来大学校」で今日と明日を語る
今日は立秋。
二十四節気の「秋が立つ日」。
しかし、猛暑。
東京・溜池山王へ。
赤坂インターシティAIR。
セミナーや会議の場を提供する。
日本チェーンストア協会主催。
「流通未来大学校」
清水信次会長時代の2013年4月に、
清水さんの発案で創設された。
業種・業態を超えて、
次代のリーダー育成を目標にする。
第1期、第2期は2年間で、
20講座のカリキュラムを受講した。
今期は第3期。
今年から1期1年で、
カリキュラムも変わった。
これまでは協会加盟の経営者の皆さんが、
それぞれに講義をしてくれた。
今期から毎回、外部講師が講義し、
そのあと、グループ討論をして、
その結果を総括し、発表する。
私は今年からその講師。
午後2時から始まって、
参加者はワークショップ形式で席に着く。
イオンリテールとイトーヨーカ堂、
平和堂、ヤオコー、ヨークベニマルから、
ライフコーポレーションまで。
そしてメーカーや卸売業の中堅の精鋭。
40名が受講。
冒頭のご挨拶は、
専務理事の井上淳さん。
井上さんは、
流通未来大学校の意義と趣旨を語った。
それから結城義晴の講義。
テーマは、
「流通革命と超チェーンストア」
少し難しいテーマだったかもしれない。
しかし流通未来大学校は、
チェーンストアの未来を学ぶ。
そのためには、
「賢者は歴史に学ぶ」でなければいけない。
私は日本のチェーンストアの歴史の中で、
最もインパクトの強かったものは、
「流通革命論」だったと考えている。
流通革命論から、
日本チェーンストアは生まれた。
だからその本質を学ぶと同時に、
その呪縛を絶たねばならないと考えた。
それがこの講義となった。
流通革命論の分析からMarketing3.0へ。
そして「流通3.0」へ。
最後は「チェーンストア3.0」へ。
それぞれの3.0は、
ヘーゲルの弁証法で説明できる。
テーゼ、アンチテーゼ、
それからジンテーゼ。
商業に関しては、
中世型商業が近代化を果たして、
チェーンストアが生まれた。
しかしそれが一つの踊り場を迎えて、
「現代化」の局面が見えてきた。
その流通商業の現代化とは何か。
そのヒントを与えて、
ディスカッションしてもらうことにした。
最後のメッセージは、
月刊商人舎2015年12月号から。
自ら軛を断て。
あなたは縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、古い理論に。
牛が曳かれてゆく。
首の上に木製の棒がつけられている。
軛(くびき)である。
牛は何も言わない。
ただひたすら下を向いて、
のろのろと歩いてゆく。
強制されているからか。
それが自分の役目だとでも
観念しているからか。
それとも何も考えていないからか。
商人はもともと自由である。
一人の顧客と対面するとき、
一人の商人は奔放である。
ところがその自由な商人のなかに、
いつのころからか
軛につながれる者が出てきた。
社畜と堕す者が生まれた。
ひたすら命令に従う者、
顧客や市場よりも体制に迎合する者、
権力や理論に従属する者。
強制されているからか。
それが自分の役目だとでも
観念しているからか。
それとも何も考えていないからか。
令和元年となった今、
そんな軛を、自ら断ちたい。
正々堂々、顧客や市場と向き合いたい。
組織人でありつつ、
独立自営商人の気概をもちたい。
自分で考えぬく脱グライダー商人でありたい。
あなたは今も縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、古い理論に。
講義のあとは質疑応答。
次々に質問が出て、それに答えた。
「アウフヘーベン」に興味が向けられたし、
流通3.0の「現場での展開力」に、
関心が集まった。
「複雑さを複雑なままに仕事する」
受講生たちは、
現代社会で仕事する際の、
一番の問題点に悩んでいるようだ。
質疑応答が終わると、
グループごとにディスカッション。
そしてその発表。
発表を聞いた後で、
私の講評と総括講義。
一番最後は、ドラッカー。
「明日のために今日を決めよ」
未来を築くために
初めになすべきことは、
明日何をなすべきかを
決めることではなく、
明日をつくるために今日、
何をなすべきかを
決めることである。
拍手をいただいて、講義終了。
ご清聴を感謝したい。
そのあと全員と名刺交換。
私の米国研修を受けた人が何人もいたし、
商人舎ミドルマネジメント研修会で、
3日間私の講義を聞いた人もいた。
最後の最後はいつものように、
井上専務理事と固い握手。
充実と満足の講義だった。
もう一度言おう。
あなたは今も
縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、
古い理論に。
〈結城義晴〉