結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年08月18日(日曜日)

渋野日向子と甲子園準々決勝の「敗戦と失敗」と「泣いた赤おに」

8月第3日曜日。

日本列島は酷暑の真っ只中だけれど、
まるで今日はスポーツの日のごとし。

プロゴルフに高校野球、
プロ野球、プロサッカー。

来年の今頃は東京オリンピックと、
東京パラリンピックのはざま。
Web
オリンピックは、
7月22日(水曜)から8月9日(日曜)。
パラリンピックは、
8月25日(火曜)から9月6日(日曜)。

そこで第102回全国高校野球選手権は、
8月10日(月曜)に開幕して、
予定通りに日程が進めば、
8月25日(火曜)に閉幕する。

2020年はスポーツの世界も、
超過密日程だ。

今年の第3日曜日の今日は、
女子プロゴルフのNEC軽井沢72決勝。

全英女子オープンを制覇した渋野日向子。

残念ながら最終日の最後の18番ホールで、
3パットのボギーを叩いた。
渋野①

返しのパットが、
わずかに外れて、
3位タイに終わった。  44

コメントは、
「最後の最後に、
台無しにしてしまった。
今までの優勝パット以上に、
一番緊張しました」
32丁目渋野①

いつもいつも優勝を望まれるが、
ゴルフはそんなに単純なものではない。
それでも最後の瞬間まで、
ファンの期待を担って、
全力のプレーだった。

一方、夏の甲子園はベスト4が決まった。
兵庫県の明石商業高校、
岐阜県の中京学院大学中京高校。
石川県の星稜高校。
そして大阪府の履正社高校。

残ったのは関西が2校、中部地方が2校。

そして1日休んで明後日20日の準決勝は、
第1試合が大阪対兵庫、
第2試合が岐阜対石川。

皮肉な組み合わせとなったが、
決勝は関西対中部となる。

今日の日曜日は、
お盆連休最後の日。

私は自宅で暑さを避けて、
原稿書き。

しかしテレビでちらほらと、
スポーツ観戦している間に、
時間は過ぎていった。

朝日新聞「折々のことば」第1554回。
浜田廣介の童話『泣いた赤おに』から。61ZV10KPGXL._SX400_BO1,204,203,200_

「赤鬼は、
村人たちと仲よくなりたくて
家に招くが、
村人は警戒心を解かない」

友だちの青鬼は人里でわざと大暴れし、
赤鬼にきつく諫(いさ)められることで、
赤鬼が人々に受け入れられるよう図る。

そしてこうつぶやく。
「なにか  一つの 
目ぼしい ことを 
やりとげるには、
きっと どこかで 
いたい おもいか、
そんを しなくちゃ 
ならないさ。」

「そして赤鬼の友だと悟られないよう、
姿を消す」

「友を思いやるが故に
彼との関係を絶つというところが
悲しい」

スポーツも、
プロゴルフや甲子園のレベルとなると、
「どこかで痛い思いか、
損をしなくちゃならない」

その繰り返しが、
「一つの目ぼしいこと」を、
成し遂げさせてくれる。

渋野日向子もいい負けだった。
そして今日敗戦した、
甲子園の東北2校、関東2校も、
それぞれの痛い思いは、
未来につながっている。

とくに仙台育英高校の惨敗は、
ひどく痛い思いだったに違いないが、
それこそ目ぼしいことにつながる。

谷川俊太郎さん。
「力いっぱい戦うことが、
誰ひとり傷つけない、
誰ひとり不幸にしない、
束の間のユートピア」

「そのことの中に、
私たちが失ってはならない
或るはりつめたものがある」

「ほぼ日刊イトイ新聞」
糸井重里の「今日のダーリン」
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「よく、”失敗”が大切だと、
言われるのだけれど、
どうしてそれが大切なのか、
じぶんに説明できたことがあったろうか」

「人には言える、平気で言えるし、
信じつつ言える」

わかる。

しかし、
「じぶんの失敗については、
納得しないままに”失敗も経験だから”と、
慰めるように、あるいは、
半ばあきらめたように、
思いこむことが多いような気がする」

糸井さんは正直だ。
私も同じ気持ちだ。

「ずいぶんと大人になってから、
“失敗”が大切な宝であることが、
わかるようになる」

糸井さんによるいちばん簡単な説明。
「失敗は、
やろうと思って
できないから」

「やろうと思ってする”失敗”、
というものはない。
やろうと思って、うまく
“失敗”ができたとしたら、
それは、ただの”計画の成功”だ」

「だれも”失敗”なんかしたくないし、
どうやって”失敗”しないか
さんざん考えているのに、
してしまうのが”失敗”だ」

敗戦も同じだ。

「つまり、”失敗”というやつは
うまくいくための
“計画の網の目”をかいくぐって、
やっと出現してくれる
“貴石(奇跡)”なのである」

敗戦も貴石であり、奇跡である。

「”失敗”と出合って、
そこで終わりにならなければ、
(できたら元気に)生き続けてさえいたら、
“あの失敗があったおかげ”に、
気づくことになるだろう」

糸井さんの結論。
「あらゆる周到な計画も、
いかにもでっかい夢も、
“失敗”という宝に出合えぬままでは、
ありふれた”ただの成功”にしか
届かないだろう」

そして今日の糸井重里は、
妙に高揚して締めくくる。
「”失敗”という”貴石(奇跡)”は、
運命と呼ばれる”つながり”のなかにあって、
ひときわ輝く宝石である」

「ほしいと思っても与えられぬ宝の石だ」

「こんなものさえなかったらと
忌避されていたのに、
それがあったからこそ、
すべてがつながってくれる」

最後の言葉。
「”失敗”のある人生にこそ、
感謝と歓喜を」

私たちがプロスポーツに感動するのは、
その「失敗のある人生」を垣間見るからだ。

そして自分の「失敗」や自分の「敗戦」にも、
感謝と歓喜がある。

つくづくとそれを思う。

〈結城義晴〉


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