結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年02月28日(水曜日)

ツルハ・ウエルシア経営統合記者会見の「名と実」

株価は今、過去最高の水準にある。

2月22日、日経平均で3万9098円68銭。
1989年12月29日の3万8915円87銭を、
約34年2カ月ぶりに更新した。

しかし実体経済と金融経済は、
大きく乖離している。

イオン㈱の株価は今日、
3531円で終わった。
1年前よりも1000円上がった。

一方、セブン&アイ・ホールディングスは、
2100円となっている。

夕方の6時から、
突然の記者会見。

札幌と東京で同時に行われ、
私はオンラインで参加した。
IMG_29294

出席者は左から、
吉田昭夫イオン社長、
鶴羽順ツルハホールディングス㈱社長、
松本忠久ウエルシアホールディングス㈱社長。

商人舎流通SuperNews。

ウエルシア&ツルハnews|
資本業務提携締結・経営統合の協議開始

三者は経営統合の協議を開始した。

このブログでも、
このM&Aの話は書いている。

それが実現する。

遅くとも2027年12月31日までに統合する。

日本最大のドラッグストア連合体、
アジアNo.1のグローバル企業へ。

吉田イオン社長。
「ドラッグストアは、
成熟期、低成長期に入っています」

一方で、健康需要のサービスは、
「成長が見込まれる」

経営統合によって、
スケールメリットが生まれる。
「商品開発や物流面など、
規模の効果が実現できるものは、
早期に出していきたい」

ウエルシアHDの2023年2月期は、
売上高1兆1443億万円、
前年同期比11.5%増。

経常利益521億円(11.0%増)。
2589店舗。

ツルハHDの2023年5月期は、
売上高9701億円(前年同期比5.9%増)、
経常利益457億円(14.1%増)。

店舗数は2763店。

単純合算すると2兆1144億円、
経常利益978億円。
店舗数5352店。

圧倒的なトップチェーンで、
日本のドラッグストア市場8兆3449億円の、
4分の1を占める。

段取りは第1にイオンが、
ツルハHDの普通株式を追加取得し、
ツルハHDを持分法適用関連会社とする。

第2にツルハHDとウエルシアHDは、
株式交換によって経営統合を行い、
ツルハHDが親会社、
ウエルシアHDが完全子会社とする。

ウエルシアHDは上場廃止となる見込みだ。

第3に 経営統合完了後、イオンは、
ツルハHD株式の過半数以上51%未満を取得して、
ツルハHDを連結子会社とする。

資本業務提携契約の締結以降、
遅くとも2027年12月31日までに、
最終合意に係る契約を締結する。IMG_29444

鶴羽順社長は堂々としていた。
「5年後をめどに3兆円にする目標です。
ドラッグストアでアジア首位となる、
世界企業を目指します」

ウエルシアHDの松本忠久社長は、
「ドラッグストアはこれから成熟期に入り、
少子高齢化が進む日本では、
寡占化するだろう」

私は日本国内で寡占から鼎占、
そして複占に進むと言い続けている。

アメリカのウォルグリーンとCVSヘルスのように。
Walgreens_facade1
cvshealth-facade (2)

ツルハHDはイオンと、
資本業務提携を結んでいる。
岡田元也イオン会長が、
2021年7月まで社外取締役を務めていた。

それでも一部PBの供給程度の関係だった。

2023年度が終わる直前の2月28日に、
この記者会見が開かれた。

来年度に一気に統合に向けた交渉が進むのだろう。

世界のドラッグストアで見ると、
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスと、
CVSヘルスのCVSファーマシーが、
ダントツの1位2位だ。

そのあとの3位にASワトソングループが入り、
4位はアメリカのライトエイドだ。

しかし米国は複占状態で、
ライトエイドはもう見込みはない。

だから新生ツルハHDはすぐにでも、
世界4位に入ることができる。

そしてアジアでワトソンと競う。

そんな構図が見えている。

鶴羽樹ツルハHD会長が納得したのだろう。

イオンは今回も、
名をとらず実をとった。

ウエルシアの人々は、
そのことを了解した。

かれらも実を取った。

ツルハは当面、名を残しつつ、
3兆円のスケールのアジア1位2位、
世界第4位を目指す。

日本国内に追随する者が出てくるだろう。
ドラッグストアチェーンの再編は、
巨大化に向かって進む。

機械でつくられる商品の小売業だからである。

岡田元也イオン会長。
「生き残って、
消費者に必要なビジネスであり続ける。
そのためには一定の規模が必要です」

生き残るためには、
日本という範囲の経済の中で、
マーケットリーダーであることが条件だ。

それはそのまま、
アジアという範囲の経済圏での存在感となる。

セブン-イレブン、ユニクロに続いて、
世界チェーンが登場する勢いだ。

亡くなった宗像守は、
どう思うだろう。

そんなことを考えた。

〈結城義晴〉


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