結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年09月08日(火曜日)

コンビニ本部「独禁法違反」の恐れとサミット「7連休取りやすく」

ブログのタイトルは、
[毎日更新宣言]

毎日毎日、書いている。
そこで絶対にしないこと。

嘘は書かない。

ただそれだけ。

しかし、よく考えて書く。
考えずに書くのは避ける。

日経新聞の今日の「社説」
コンビニエンスストアを取り上げた。
「コンビニは
自主的な経営改善に
取り組め」

「公正取引委員会は
コンビニエンスストア本部が
加盟店に24時間営業などを強制すれば
独占禁止法違反になりうる
との見解を示した」
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コンビニ本部の独禁法違反。
由々しき問題だ。

その公取委は事前に調査をした。
本部8社と加盟店約1万2000店。

66.8%の加盟店が回答した。
「時短営業に切り替えたい」
「一度実験してみたい」

「本部が時短交渉を拒絶している」
この回答は8.7%あった。

24時間営業の強制のほか、
「近隣に出店しない」という約束を
一方的に破るなど複数の案件で、
「優越的地位の乱用」の恐れがあると。
公取委は指摘した。

「そのうえで各社に、
自主点検と改善内容の報告を要請した」

調査は加盟店の経営状況も明らかにした。
「人手不足によりオーナーは
1週間に平均で6.3日勤務と休みは少ないが
直近の年収は5年前に比べ
190万円余り減っている」

コンビニの、
とくに経営委託店のオーナーは、
「現代版小作小売商」
という表現が許されるほどだ。

経営委託店は本部が土地・建物を用意し、
オーナーは雇われ経営者となるケースだ。
本部に収めるロイヤルティもひどく高い。
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社説子。
「こうした消極的な情報を、
本部はほとんど
開示してきてこなかった」(原文ママ)。

珍しい表現ミスだ。

「コンビニは規制緩和で
酒類や医薬品の販売がしやすくなったほか
銀行業への参入や公共料金の支払いなど、
社会インフラとしての価値が年々高まった」

その分、店舗の業務負担も増えた。

市場ニーズも強まり
近年まで出店競争を繰り広げた」(ママ)。

ここでも表現がおかしい。

「このため人手不足に陥っても、
自ら路線を修正することはなかった」

――出店競争を繰り広げた。
このため人手不足に陥っても、
自ら路線を修正しなかった。

論理的につながらないというか、
論理の飛躍があるし、
それを丁寧に説明していない。

社説の書き手として、
残念ながら文章力に問題がある。
それがあちこちに出てくる。

「利便性がコンビニの生命線。
市場の低迷する中(ママ)
大幅な販売減につながりかねない
24時間営業の見直しは
簡単ではないからだ」

「実際に24時間営業問題は
セブンイレブンの一部オーナーからの
反発がきっかけだ

直すならば、
「反発がきっかけとなって始まった」かな。

「それでも働き方改革を背景に
労働条件の改善を進めることは急務だ」

誰の労働条件なのか?
オーナーか店員か、
その両方か。

本来は「働き方改革を背景」にしてはいけない。
「労働条件の改善」は永遠のテーマだ。

「最大の経営課題として
率先して取り組まない限り、
コンビニの未来は明るくない」

「公取委は今回の調査を踏まえ
ガイドラインを策定する。
本部が自主的な対策を怠った以上、
一定レベルの介入は仕方がない」

ここからが社説子の主張。
「”優越的な地位の乱用”を金科玉条として
出店戦略や契約内容にまで
国が介在すべきではない」

市場原理を崩してはならない。
同感だ。

「拡大解釈で公取委の介入が過剰になれば、
産業の発展を損なう恐れもある。
あくまで健全な競争を促すのが
公取委の役割である」

日本のコンビニはこれまで、
日本の小売業を代表する業態だった。
ただしフランチャイズ方式を採用して、
それが収益性の源泉とも、なっていた。

「現代版小作小売商」だった。
それが「独立自営商人」に、
変わらねばいけない。

現代のコンビニ本部は、
この「独立自営商人」を支援する機能を、
万全の態勢で果たさねばならない。

一方、日経の企業欄。
「サミット/7連休取りやすく」

この記事はいい。

スーパーマーケットで7連休は、
なかなか取れない。

サミット㈱は4月1日から、
服部哲也新社長・竹野浩樹会長体制。
ますますよくなっている。
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全119店を12のブロックに分けて、
運営・管理している。

新たな仕組みを、
このブロック単位で実施する。

「複数の正社員によるシフトを作り、
勤務を融通し合う」

連休の取得期間を設けて、希望を募る。
そして最大で7連休を取れるようにした。
これまでは最長が6連休だった。

今夏から導入。

サミットの店舗段階の標準は、
1部門ごとに2人の正社員態勢である。

そこで同じ店舗の同じ部門内で、
働き方を調整して6連休まで取得した。

これもサミットの店舗の標準化や、
レイバースケジューリングシステムが、
完ぺきに近い形まで進んでいるから、
できることだ。

パートタイマーの業務遂行能力も高い。
だから6連休も可能である。

ただしそれでも、
連続して休む期間が長くなれば、
もう1人の正社員が単独で働く状態も続く。

これを気にする社員も多いから、
自ら6連休ではなく、
分割して休暇をとるケースが多かった。

今回、それを、
ブロック内でシフトを組む方式にした。
そうすれば出勤する社員の負担は、
互いに分散される。

心理的負担感が減って、
連休が取得しやすくなる。

この制度は今夏以降も続けられる。
目標は1年間で7連休を3回取得する体制。

パートタイマーなどにも適用される。
いわゆる多能化を進めて、
複数の業務を担当できる人材を増やす。
そしてパートタイマーも、
希望者は7連休を取れるようにする。

コンビニにも、
このサミットのような方向性は必須だ。

オーナーや店長が独立自営商人として、
自らの判断で連続7連休がとれる。
そんな体制づくりである。

身を切る決意と努力がなければ、
できないことはわかっている。

しかし業界最高峰のセブン-イレブンは、
業界最先端のサミットと競争している。

〈結城義晴〉

2020年09月07日(月曜日)

台風10号が去って「良い店を開けよう・良い売場に立とう」

Everybody! Good Monday!
[2020vol㊱]

2020年第37週。
今日は9月第2週だが、
超大型と言われた台風10号に、
九州をはじめ四国・中国が打撃を受けた。

セブン‐イレブンは九州7県と四国4県、
そして岡山・広島・山口県の約半分の店が休業。
3937店舗のうち2020店。

ファミリーマートは九州7県と沖縄県で休業。
1800店舗のうちの1000店。

ローソンは九州7県と山口県・愛媛県、
1691店舗のうち1181店が休業。

九州と西日本の皆さん、
心からお見舞いします。

先週金曜日9月4日の商人舎流通SuperNews。
セブン-イレブンnews|
台風10号接近で約1000店舗を計画休業

いち早く休業計画を発表した。

かつてはこんなことはなかった。
「開いててよかった」
セブン-イレブンは365日24時間。
店を開けていることを至上命題にしていた。

どこかの地方の店が休業しても、
それを派手に告知することはなかった。

ローソンもファミリーマートも、
サークルKサンクスも、
右へ倣えだった。

しかし地域や顧客や店に、
計画休業を発表する。

それはいいことだと思う。

安全第一。
計画休業を発表すれば、
休業前の売上げも上がる。

そして安全が担保され、
安心も生まれる。

この記事の最後に、
【結城義晴の述懐】を書いた。
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「店を開けよう、売場に立とう。
元気を出そう、元気を売ろう。

私はずっと、そう、呼びかけてきた。
しかしこれほどの極端気象だ。

計画休業は、妥当な判断だろう。

しかし台風が去って、
リスクがなくなった後の店舗再開は、
一斉に、どこよりも早く、
やり遂げてほしい。
もちろん、売場には、
必需の商品を満載させて。

その時こそ、再び。

店を開けよう、売場に立とう。
元気を出そう、元気を売ろう」

東京大学大気海洋研究所、
木本昌秀教授の警告。 202001_kimoto3
[極端気象]
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新型コロナウイルス感染拡大の前に、
木本教授から渾身の提言をいただいた。

9月、10月は台風シーズンだ。
202001_kimotoslide1気象予想がずいぶん正確になった。
「計画休業」はコンビニに限らない。
他の業態も含めて大いに検討すべきだ。

売上げは減らない。
ロイヤルカスタマーの多い店は。

しかしそれでも、
休業の直前直後は重要だ。

大阪の㈱万代は、
毎年2月末日に、
全店で棚卸休業をする。
その前日と3月1日の創業祭は、
年末の大みそかのような繁盛ぶりだ。

かといってどんどん休めとは言わない。
店を開けよう、
売場に立とう。

これは小売業、サービス業の使命だ。

しかし今回の台風10号。
記録的な大型台風といわれたが、
思ったよりも被害は少なかった。

鹿児島県阿久根市で、
70歳の女性が亡くなった。
ご冥福を祈りたい。

4人の方々の安否が不明で、
84人の人たちが怪我をした。

台風列島で地震列島の日本。
最悪を覚悟して、最善を尽くす。
これが私たちの生活訓だ。

もちろん小売業もサービス業も、
最悪を覚悟して、最善を尽くす。

さて今日は、朝から、
商人舎ZOOM会議。

まだテレワークを続けている。

みんなの元気そうな顔を見ると、
ほんとうに安心する。

今週の私は、
原稿書きに徹する。

自民党総裁選挙は、
明日の8日火曜日に告示され、
14日の月曜日に投開票。

一方、野党の合流新党は、
一足先に今日、代表選挙の告示をした。

立候補したのは、
立憲民主党の枝野幸男代表と、
国民民主党の泉健太政調会長。

戦術の一つは、
「機先を制する」

中国の『史記』にある。
「先んずれば人を制す、
後るれば則ち
人の制する所と為る」

史記は紀元前91年に、
司馬遷によって書かれた。
すごいことだ。
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英語にも同じような意味の言葉がある。
First come, first served.
(最初に来た者が最初にサービスされる)

しかし今回の野党新党は、
機先を制するでもないし、
先んずれば人を制すでもない。

先んじても、
機先を制しても、
First comeでも、
人々の心をとらえねば、
意味はない。

店を開けようも、
良い商品、良い売場をつくって、
良い店を開けよう。

売場に立とうも、
良い店員や良い店長、よい商人が、
良い売場に立とう。

では、みなさん、今週も、
店を開けよう、売場に立とう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年09月06日(日曜日)

「アラン定義集」の勇気と「Message」の勇気ある決断

寝っ転がって、
うーんと伸びをしたら、
右足のふくらはぎが、
(つ)った。
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机の上のパソコンに向かって、
画面の文字を追いかけつつ、
キーボードに打ち込む仕事。

それを1週間も続けると、
体中の筋肉が硬直してくる。

そして、こむら返り。

そんな時には、
芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)
ツムラ68。
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宣伝ではありません。
「個人の感想」ですが、
攣ったときには愛用しています。

ありがとう。

月刊誌の執筆と入稿、そして責了。
1977年の4月から始めて、
今でも続ける、
私の生涯の仕事の一つとなった。

しかし途中、10年ほど中断した。

㈱商業界の経営に専念したとき、
立教大学大学院の特任教授だったとき。

もちろんこのときにも原稿は書き続けたし、
この期間に次々に単行本を出した。

振り返ってみると、
雑誌と単行本を同時につくるのは、
極めて困難な仕事かもしれない。
いや、特別の努力を必要とする仕事だ。

商業界刊『Message』は、
代表取締役社長となって、
月刊誌の仕事から離れたとき、
食品商業や販売革新の巻頭言をまとめた。
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商業界の社内の人間が、
商業界から単行本を発刊するのは、
これも今から振り返ると、
ある種のタブーだったのかもしれない。

倉本長治初代主幹、
倉本初夫二代目主幹。
私は三人目だった。

サブタイトルは、
「店に元気を、仕事に勇気を」

アランの「定義集」にある。
index
「勇気」
「恐怖を克服した徳」

「恐怖は戦慄、不器用さ、弱さ、逃亡、
およびそれらすべてに対する恐れである。
勇気はこれらの自己放棄に対して、
真っ向から、はじめから対立している」

アランはフランスの哲学者で、
エミール=オーギュスト・シャルティエ。
1868年生まれ、1951年没。

「アラン」はいわばペンネームで、
とくに『幸福論』が著名だ。

そのアランの「勇気」の定義は続く。
「しかしながら、勇気が、
最大の危険に突き進むものだというのは、
正しくない。
そんなことをしたら、
無謀というものだろう」

「(勇気と類似の)怒気(どき)は、
そのとき勇気の手段である」

若いころ私は、
編集後記に書いたことがる。
「怒(いか)りのエネルギーは、
コンプレックスのエネルギーより、
数段健全なのだ」

私はコンプレックスの強い男の、
ある行為に対して、
心底、怒っていた。
だから、書いた。

この怒りのエネルギーが、
「怒気」である。

アラン。
「それに対して、
勇気は慎重さと手を組んで、
怒りなしで見事にやっていく」

若いころの私の「怒りのエネルギー」は、
勇気の手段だったが、
勇気の本質ではなかった。

アラン。
「行動は、
たとえ軽率なものであっても、
恐怖そのものに対して、
しばしば、必要である」

行動することで、
恐怖が去ることがある。

「これらの場合において、
これこそ勇気だとわかるのは、
怒りのない落ち着いた時である」

怒りのない落ち着いた時の、
恐怖を克服した行動。
それが勇気である。

「Message」から、
「勇気ある決断」

私たちは
いつも
勇気を
もたねばならない。

弱い人も、
強い人も。
小さな人も、
大きな人も。

力ある人も
知恵ある人も。
地位ある人も、
将来ある人も。

最後の最後には
勇気ある
決断を
しなければならない。

恐れてはいけない。
くじけてはいけない。
悔やんでもいけない。
逃げては、もちろんいけない。

日々の
小さな意思決定にも
勇気が
潜んでいなければならない。

人生一度の
大きな勝負どころには
勇気が
あふれていなければならない。

四面楚歌の
窮地には
勇気でしか
立ち向かえない。

勇気とは
未知なる世界に一歩、
目隠しで踏み込む
心のあり方だ。

雪印も日本ハムも、
ダイエーも西友も、
イトーヨーカ堂もイオンも、
そしてユニクロも。

人びとが
すべて
勇気ある決断を
しつづけなければいけない。

〈結城義晴〉

(注)この文章を書いたころ、
雪印乳業の集団食中毒事件があった。
日本ハムの国産牛肉偽装事件もあった。

2020年09月05日(土曜日)

9月の商人舎標語「人間のニーズを創ろう!」と米国国歌「星条旗」

今日も一日、横浜商人舎オフィス。
月刊商人舎9月号最後の入稿と責了。IMG_85360
いつも最後の最後は、
結城義晴の原稿となる。

すみません。

みなさん、ありがとう。
とくにデザインの七海真理さん。
それから編集スタッフの鈴木綾子さん、
校正の磯村ゆきさん、
ゼネラルマネジャーの亀谷しづえさん。

心から感謝します。

いい雑誌が出来上がりました。

今日の結城義晴は抜け殻。
もう、「ありがとう」しか言えません。

この9月号は毎年、アメリカ特集。
COVID-19感染によって、
今のところあちらには行けないけれど、
それでも学ぶことは山ほどある。

その[Message of September]
そしてこれは9月の商人舎標語。

人間のニーズを創ろう!

自由の大地、
勇者たちの祖国。
アメリカ合衆国。

かの地では大統領選挙、
こちらでは総裁選挙。
リーダーが変わる。

そこにコロナウイルス。
無心に人類を攻める。
変異しつつ迫ってくる。

どうなるかわからない。
いつになるかもわからない。
なぜなのかもわからない。

社会も国家も、
産業も商売も、
企業も店も。

変わることだけは確かだ。
その変わり方が早まることも明らかだ。
変わらない者が滅びることも。

「マーケティングにとって、
最も重要なのは、
人間のニーズである」(フィリップ・コトラー)

だから人間のニーズを観察しよう。
人間のニーズを知覚しよう。
人間のニーズを考察しよう。

すでに起こった未来のなかに、
人間のニーズを見い出そう。
そして人間のニーズを創り出そう。
〈結城義晴〉
Message
このメッセージの冒頭の※のところは、
「自由の大地 勇者たちの祖国」

これは英語では、
“the land of the free and the home of the brave”
アメリカ合衆国国歌の最後の一節。

その国歌のタイトルは「星条旗」。
英語では”Star Spangled Banner”。

アメリカ人は例外なく、
心から自分の国の歌を愛している。
そしてこれも例外なく、
心から誇らしげに斉唱する。

ちょっとうらやましいほどだ。

1991年1月27日。
フロリダ州のタンパ・スタジアム。
第25回スーパーボウル開会式で、
ホイットニー・ヒューストンが熱唱。
“Star Spangled Banner”
hoittoihyu-suton
史上最高の国歌独唱。
巷ではそう評されるが、
実際に私もそう思う。

YouTubeで見ることも聴くこともできる。
ぜひ試してもらいたい。

ジミー・ヘンドリックスの「星条旗」は、
1968年8月の、
ウッドストック・フェスティバル。
最後の3日目のトリで演じられた。
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こちらも熱のこもったジミヘンが聴ける。

翻って日本の国歌「君が代」。
私たちは少し屈折している。

いまでも小学校や中学校、高校の式典で、
国歌斉唱を拒む教師がいたりする。

今でも覚えているが、
小学校の最終学年の音楽のテストで、
教科書から自分の好きな曲を選んで、
リコーダーで演奏するという課題が出た。

私は教科書の一番最後に載っていた曲を、
しっかり練習して、結構上手にやった。
他意は全くなかった。
素朴で、素直な気持ちだった。

レドレミソミレ~
ミソラソラ レシラソ
ミソラ~ レドレ ~
ミソラソ ミソレ
ラドレ ドレラソ ラソミレ~

その調べが流れているとき、
教室はシーンとしていた。

担任の太田清美先生(男性)は、
変な顔をして気まずそうに聴いていた。

日本では忌野清志郎が、
「君が代」をアレンジして熱唱し、
演奏した。
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多分、ジミヘンを模倣したのだろうが、
あれは痛快だった。

ホイットニーやジミヘン、
キヨシローと同じような、
そんな熱を込めて、
月刊商人舎9月号では主張する。

「人間のニーズを創ろう!」

〈結城義晴〉

2020年09月04日(金曜日)

朝日新聞「月刊コンビニ」紹介とセブン-イレブン1000店計画休業

梅澤聡さんからメールが来た。

㈱商業界の元取締役、
元「月刊コンビニ」編集長。

つまり私の後輩。
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今年2月、単行本を上梓した。
イースト新書コンビニチェーン進化史』
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現在、『月刊コンビニ』などの編集委員。

メールの内容。
「月刊コンビニが一昨日の朝日新聞夕刊で
紹介されました」
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宮田珠己の「気になる雑誌を読んでみた」

梅澤さん。
「業界専門誌を、
このように評価してもらえるのは、
意外であり、望外の喜びです。
創刊発行人の結城さんと
共有させていただきます」

私もうれしいです。
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エッセイストの宮田珠己さん。
よく読み込んで、感想を書いてくれた。

「こんな時代にあっても、
悲観的な記事がないことにほっとする」

素晴らしい。

「本部と加盟店との間の軋轢について
触れてあるのも良心的だ」

「自分には直接関係のない
業界の雑誌だったが、
みんなで頑張ろうという
気持ちになった」

ありがとう。

朝日新聞のこの記事の紹介欄には、
「コンビニ」は1985年創刊と書いてある。

しかしそれは㈱商業界食品商業誌から、
年に1回、別冊号として発行していた、
「コンビニエンスストアのすべて」のことだ。

「コンビニ」というタイトルは、
1998年8月に食品商業臨時増刊号として、
「季刊コンビニ」を創刊したときのもの。

悩みに悩んで、
一番シンプルなタイトルにした。
当時、私は食品商業編集長で、
取締役編集統括でもあった。

これが実質的な創刊である。
しかしこの時から数えても、
22年が経過する。

その2年後に「隔月刊コンビニ」にし、
さらに2002年8月、月刊化した。
私は専務取締役に就任して、
発行人となった。

かなり慎重な足取りだったが、
結果として商業界6番目のメディアとなった。

しかし2015年、
㈱アール・アイ・シーに売却された。
その社長の毛利英昭さんが、
オーナー兼編集長。

このときすでに商業界経営は、
苦しくなっていた。

そして今年4月、自己破産した。

会社は潰れても、
雑誌は残る。

それが「月刊コンビニ」だ。

小売業で言えば、
会社は潰れても、
店は残る。

だから編集長や店長は、
一国一城の主の志で、
雑誌や店を死守しほしい。
部員や店員を守ってほしい。

守るためには、
メディアを通じて、店舗を通じて、
社会貢献し続けることだ。
顧客満足を拡大し続けることだ。

さて、商人舎流通SuperNews。
セブン-イレブンnews|
台風10号接近で約1000店舗を計画休業

セブン‐イレブン・ジャパンが、
台風10号接近の予報を受けて、
九州エリア7県の約1000店舗において、
計画休業を予定している。

それをいち早く発表した。

もちろん顧客や従業員の安全を最優先するため。

店舗の営業継続が困難な場合や、
避難勧告・避難指示等があった場合には、
店舗営業の中止については、
9月5日(土)以降順次、
オーナーが判断する。

OFCが逐一、アドバイスする。
OFCはスーパーバイザーのことで、
オペレーションフィールドカウンセラー。

それぞれの件ごとの店舗数は、
福岡県1020店、佐賀県187店、
長崎県202店、熊本県357店、
大分県180店、宮崎県196店、
そして鹿児島県201店の計2343店舗。

その4割相当が休業対象になっている。

コンビニは地域のインフラだ。
大型台風や地震などの災害時には、
街の灯台になるし、
インフラの役を果たす。

だからぎりぎりまで、
店を開ける。

しかし自らの安全を優先する。

新型コロナウイルスに関して、
二律背反の問題がある。
感染拡大防止と経済活動。

台風のときのコンビニの計画休業も、
同じような二律背反の問題となる。

信用調査の「帝国データバンク」の発表。
COVID-19の影響で、
倒産した企業、
あるいは法的整理の準備に入った企業は、
今日午後4時までに489社。
来週には500社を超える。

業種別に見ると、
飲食店が69社、
ホテル・旅館が53社、
アパレル小売店が33社など。

「店は客のためにある」と言い続けても、
潰れる企業は潰れる。

なぜか。

イノベーションがないからだ。
変わることができないからだ。
二律背反の問題を解決できないからだ。

残酷なようだが、
コロナは淘汰も早める。

〈結城義晴〉

2020年09月03日(木曜日)

「アベノミクス」も「経営戦略」も継承するか? 修正するか?

ちょっと涼しくなってきた。
とはいえまだまだ蒸し暑い。
強力な台風10号が、
南から日本列島に向かっている。

今日は一日、横浜商人舎オフィス。
来客もなくて、原稿執筆。

編集スタッフの鈴木綾子さんが、
米国の資料を翻訳してくれて、
それをもとにアンカーとして、
加筆しつつ、原稿として仕上げる。

出来上がった原稿は、
1万2353字。
400字詰め原稿用紙にして30枚。

村上春樹さんは毎日、
10枚書いたら止める。

小説ならば、
しかも売れっ子作家ならば、
それでいいかもしれないが、
専門経営誌の締め切り間際は、
そうはいかない。

書き終わったら、
ちょっと校正などする。

そういった業務のとき、
アロハシャツは最適だ。
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さて、安倍首相退陣表明のあと、
新聞各紙が「アベノミクス」の総括を始めた。

そのなかで日経の社説。

経済専門紙ではあるけれど、
社会面も文化面もとてもよくなった。

日本の新聞全体を見渡したとき、
まあ中道といったポジションだろうか。

昨年の2月だからもう1年半が過ぎたが、
田村正紀先生と対談した。
神戸大学名誉教授。
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そのときの田村先生の発言。
「ヨーロッパの経営者セミナーでも
アリストテレスの『ニコマコス倫理学』を
必読書として読ませる」

アリストテレスは、
プラトンの弟子。
プラトンはソクラテスの弟子。
そしてアリストテレスの弟子は、
アレクサンドロス。

「彼のキーコンセプトは中道です」

「倫理教育と言うと日本人は
嫌がるかもしれないけれど、
ものの判断基準です」

「人を動かすための最後の判断基準は
どこに置くべきか」

「日本も、そのあたりの教育をどうするか。
情報ばかり取っていればいいと思ったら、
グローバル社会で負けますよ」

日経はその意味で今、
「中道」のメディアだと思う。

さて今日の日経の社説。
安倍晋三首相の経済政策、
「アベノミクス」を問題にする。
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自民党総裁選挙の前に、
われわれも認識しておかねばならないこと。
候補者の議論を聞きたいこと。

アベノミクスを継承するのか、
アベノミクスを修正するのか。

会社の戦略を確定するときにも、
店や部門の政策を決めるときにも、
明確にしておかねばならない。

継承するのか、
修正するのか。

2012年末に政権に返り咲いた安倍首相は、
アベノミクスを始動させた。

その3本の矢は、
⑴金融緩和
⑵財政出動
⑶成長戦略

「長引くデフレから脱却し、
日本経済を確実に再生に導くには、
避けて通れないポリシーミックスだった」

「これが円安・株高を演出し、
家計や企業の心理を好転させた」

ここは評価できる。

「12年末に始まった景気の拡大局面は
71カ月に及び、戦後2番目の長さを記録」

しかし、
「13~19年度の年度平均の成長率は
実質0.9%、名目1.6%にすぎない」

2018年の1時間当たりの労働生産性は、
OECD加盟36カ国の21位で、
2013年とほぼ同じ。

そこで検証。
「アベノミクスのカギを握るのは、
民需を喚起する成長戦略のはずだった」

「にもかかわらず、
技術革新などを促す
十分な施策を講じられず、
潜在成長率の底上げにつながらない
痛み止めの金融・財政政策に
頼りすぎた点に問題がある」

それでも為し遂げたこと。
「環太平洋経済連携協定(TPP)や、
EUとの経済連携協定(EPA)を発効させた」

「法人税率の引き下げも評価できる」

しかしマイナスだったこと。
第1に、
「規制改革への取り組みは甘かった」

「医療や教育などの分野で
多くの岩盤規制を温存した」

第2に、
「働き方改革」や「一億総活躍」は、
「問題意識は正しくても、
本丸に切り込めないのでは
意味がなかろう」

第3に、
「企業統治の改革も道半ばに終わった」

「株主と経営陣との対話を促し、
社外取締役の起用を増やす制度を
整備した効果もあって、
上場企業の自己資本利益率(ROE)は
一時10%を超えた」

「それでも100兆円規模の現預金を
抱え込む状況に変わりはない」

第4に、
「官民のデジタル化を推進する努力が
決定的に足りなかった」

結論。
「第1と第2の矢から第3の矢へと、
平時にうまくバトンを託せなかった」

ここに「失敗の根幹」がある。

「中道」の新聞が、
アベノミクスの失敗の根幹を指摘する。

「安倍首相の成長戦略は、
官製のスローガンや
数値目標を前面に押し出し、
その方向に家計や企業を誘導する
パターナリスティックな体質があった」

パターナリズムは、
「家父長制、父権主義、家族主義」など。

実はこれが、
「やってる感」だ。

「それよりも規制緩和などで
民間の創意工夫を引き出す環境づくりに
徹した方がよかった」

「やらせる感」が、
必要だった。

「第1と第2の矢に依存したツケは
あまりにも大きい。
国と地方の長期債務残高は、
GDPの2倍に当たる1100兆円まで膨らんだ」

「日銀が大量に国債を購入し、
政府の財政赤字を実質的に
穴埋めするような状態が続く」

黒田東彦総裁の日銀も、
「異例の金融緩和の出口を探るのは難しい」

消費税率の2度の引き上げ。
しかし「日本経済はコロナ下の4~6月期に、
戦後最大のマイナス成長に沈んだ」

「”強い経済”への取り組みは、
もはや振り出しに戻った」

当面は、
「コロナ危機への対応が最優先でも、
その先に問われるのは
やはり第3の矢だろう」

まあ、常識的な見方だ。
つまり、これが「中道」か。

最後の提言。
「次期首相も
肝に銘じてもらわねばならない」

正解はもちろん、
「修正する」である。

〈結城義晴〉

2020年09月02日(水曜日)

誕生日の「紀文年末商戦スピーチ」と菅義偉の「立候補スピーチ」

9月2日は私の68回目の誕生日。
深夜からFacebookに、
次々にお祝いの言葉。

ありがとうございます。
心から感謝します。

1952年生まれなので、
数え年ならば来年の正月には、
なんと古希を迎える。

新型コロナウイルスの感染が広がって、
緊急事態宣言のころから、
髭を生やし始めた。
DSCN95240
何とか展望が拓けたら剃ろうと思って、
願をかけるつもりだったが、
その展望はまだ見えない。

むさくるしいかもしれないけれど、
もう少しお付き合いください。

今日は午後から東京・浜松町。
自宅から新子安まで車で行って、
比較的空いている京浜東北線で、
ゆっくりと30分弱。

㈱紀文食品本社へ。
すぐに堤裕社長が出てきてくださって、
記念写真。
IMG_85120
ありがとうございます。

堤さんは慶應義塾大学の村田ゼミOB。
名門の経済学部出身だが、
故村田昭治先生は、
商学部以外にも門戸を開いて、
著名なゼミを運営した。
もちろんゼミ生は厳しく、
マーケティングの基礎を訓練された。
355378
実は私も㈱商業界に入社して、
販売革新編集部で「村田番」となった。
村田先生専門の担当編集者だ。

その意味で堤さんとは、
同志ということになる。

今日はビデオ撮り。
DSCN95120

ライトの前でピンマイクをつけてもらう。DSCN95130

さあ、いよいよ、始まります。
DSCN95180

毎年、9月の第1週に、
「紀文正月フォーラム」が開かれる。
食品小売業のトップや幹部が、
全国から参集。
紀文からは、
マーケティングリサーチに基づいて、
今年末年始商戦の提案がなされる。

私はもう10年以上も、
そのカリキュラムや提案の相談に乗り、
総括講義の講師も担当している。

しかし今年はコロナ禍で、
正月フォーラムの開催を中止した。

良い判断だったと思う。

開催できない代わりに、
ビデオでメッセージを撮って、
各地の商談会で流す。
DSCN95190
紀文からの提案は、
堀内慎也さんが担当。
事業企画室正月ユニット部長。

そして私が、
「コロナ禍と年末年始商戦」を語る。

10分ほどのスピーチだが、
これがなかなか大変だ。
IMG_85080

最近は少しずつ、
こういった仕事が増えた。IMG_85090

カンペなど読まず、
気合を入れて、
エイヤッと語った。

紀文食品の商談会に足を運んで、
堀内さんと私のビデオを見てください。

撮影が終わって、
スタッフの皆さんと写真。
私の右隣が林直人さん。
営業本部営業企画部部長。
IMG_85160
ありがとうございました。

帰りにまた林さんと、
本社受付のところで写真。
「紀文」と印字されたさつま揚げの写真が、
本当に美味しそうだった。IMG_85200
ありがとうございました。

それから横浜商人舎オフィスに戻って、
月刊商人舎9月号の原稿執筆。

今年の誕生日も、
子どものころの夏休みの宿題と、
まったく同じ状況になってしまった。

それでも誕生日を祝うよりも、
原稿を書いたり仕事をしたりするのが、
私の人生だ。

そう思っている。

さて、台風情報。
台風9号が上陸した。
一昨日、那覇市の南南西にあったが、
北北西に進んで九州北部を襲った。

しかしそれ以上に強力な10号が、
今週日曜日から来週月曜にかけて、
沖縄・奄美から九州に接近するらしい。
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この10号は様々なデータが、
異常に発達することを示している。
発生時の気圧は1000ヘクトパスカル、
今日2日の15時は990ヘクトパスカル、
明日3日は965ヘクトパスカルの予想だ。

気象庁は警戒する。
「特別警報級の勢力になる」

令和元年房総半島台風に匹敵するとか。
昨年のあの台風15号。

9月1日が例年「二百十日」で、
台風がやって来る確率が高い。
立春を起算日として210日目。

それが近年の[極端気象]で、
最大限に増幅される。
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ゆめゆめ油断は禁物だ。

そして今週末にかけて、
自民党の総裁選挙。
エスカレートして、
再来週月曜日に14日投開票。

今日の夕方、菅義偉官房長官が、
総裁への立候補を表明したからだ。
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現在の自民党には7つの派閥がある。
そのうちの5派閥がすでに、
菅支持を表明している。

先に立候補した2人は、
刺身のツマ状態である。

しかし選挙に勝つか負けるかは別にして、
真摯でわかりやすい議論を展開して、
国民の政治への知見を広め、
安心させてほしいものだ。

ピーター・ドラッカーは、
意思決定に関して重要な指摘をする。
「マネジメントの意思決定は
全会一致でなされるようなものではない。
意見の対立を見ない時には、
決定を行ってはいけない」

全派閥一致だったら、
決定してはいけない。

ケン・ブランチャードも指導する。
「チームの中に、
コンフリクトをつくれ」
Conflictは「対立」である。

菅官房長官に対して、
石破茂元幹事長も岸田文雄政調会長も、
Conflictの機能を果たしてほしい。

しかし今日の菅義偉の立候補スピーチ。
応援している人には申し訳ないが、
ちょっとがっかりした。
カンペの棒読みは、
説得力を生み出さない。

しっかりした実務派ではあるだろうが、
内閣総理大臣のタイプかどうか、
その説得力のパワーをもつのかどうか、
一国の首長の器かどうか。

まあ、私の誕生日の日の表明でもある。

日本国首相に就任した後の、
仕事ぶりを拝見しながら、
その技量を推し量るとしよう。

一応は、
来年9月までの臨時総理であるとして。

みなさん、誕生祝いのメッセージの数々、
胸に響きました。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

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