結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年07月14日(火曜日)

5月家計調査の記録的変化と商人舎ロピア研修会の英知

日本におけるCOVID-19感染拡大の経緯。

1月16日、国内で初めて、
神奈川県在住の30代の男性から、
新型コロナウイルスが検出された。
中国の湖北省武漢市に滞在し、
日本に帰国した男性だった。

2月にはダイヤモンド・プリンセス号内で、
集団感染が発生した。
乗員乗客3711人で712人の感染者が出た。

3月2日には小中高校などが臨時休校。
3月27日には1日123人と3桁の感染者数。

そして4月7日に、
7都府県に緊急事態宣言発出、
4月11日には1日最大感染者数720人と、
感染のピークを迎えた。

その結果、4月16日には、
全国に緊急事態宣言が拡大され、
不要不急の外出自粛要請。

5月に入っても緊急事態宣言は継続され、
5月14日、39県が緊急事態宣言解除。

そして5月25日全国で解除。

その5月の消費統計が公開された。

[商人舎流通SuperNews]
5月家計調査統計|
支出は記録的な16.2%減/一律給付金で実収入9.8%増bb971fa8d4f55afd93fabbdd935157b1

総務省統計局発表の「家計調査報告」。
5月の消費支出は25万2017円。
前年同月比で16.2%の減少。
これは比較可能な2001年以降で、
最大の落ち込みだ。

また1世帯当たり実収入は、
50万2403円で前年同月比9.8%増。

現金10万円の一律給付が始まったためだ。

5月の家計調査に見る限り、
消費者の多くは給付金の10万円を、
溜め込んだことになる。

消費者心理からすると、
当然の行動だが、
価格コンシャスは、
コロナでまた高まった。

これはずっと継続されていく。
一大潮流である。

さて今日は横浜商人舎オフィスから、
歩いて5分の会議室を借りて、
商人舎主催のロピア研修会。

冒頭に高木秀雄さんの講演。
㈱ロピアの創業者で名誉会長。DSCN97050

めったに表に出ない人だが、
社員のためにと、
とっておきの特別講演となった。

自分の生い立ちから創業の経緯、
スーパーマーケットへの転換や、
週単位のマネジメント、
安売りに関する哲学、
利益に対するストイックさなど、
ロピアの神髄となる考え方を、
淡々と語った。
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「売上高38億円のときに、
名刺に1000億円に挑戦と書いた」
それがロピアの原動力となった。

いい講演だった。

そのあと、結城義晴の講義。
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ロピアのビジョンやロマンを、
私なりの解釈で語った。
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商人の本籍地と現住所、
脱グライダー商人。

私の考える知識商人のあり方は、
ロピアの幹部や社員のマインドにつながっていく。DSCN97330

倉本長治の「商売十訓」、
ピーター・ドラッカーのIntegrity。

それらを実現する、
エクセレントな企業になってほしいし、
それは可能である。
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私の次は巨匠・鈴木哲男先生。
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52週MDに絞り込んで、
2時間半の講義。

わかりやすく、丁寧で、
実によかった。
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52週MDは誤解されている。
年間52回、
販促企画をつくり売場変更をする、
という勘違いだ。

この勘違いを正すために、
52週MDの基礎編と要約編に分類して、
その基本を徹底的に講義してくれた。
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内田貴之さん(右)と一緒に、
3人で写真。
内田さんはロピア取締役管理本部長。
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最後に結城義晴の講義。
鈴木先生の52週MDに関する、
私なりの解釈を講義した後で、
スーパーマーケットの歴史的本質と、
現代化の条件を整理した。
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最後は、
リッツカールトンのクレドや、
ウォルマート「サムの10ルール」。
そして顧客満足と従業員満足。
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久しぶりの講義だったが、
存分に語り切って、
私なりに大いに満足した。

最後に30分の理解度テスト。DSCN97770
その日のうちにテストすることによって、
講義を聴講する姿勢が変わってくる。

これが高木勇輔社長の要望だ。
DSCN97790
商人舎主催のロピア研修会。
開場のときに全員の検温をして、
フィジカルディスタンシングを堅持し、
換気を徹底して、三密を避ける。
初日が無事に終わって、ひと安心。

「ウェビナー」など、
オンライン講演会が開催されているが、
やはりリアル講義は、
伝えたいことがよく伝わるし、
各自の反応がわかる。

コミュニケーションは、
やはりダイレクトに限る。

もちろん、
オンラインのミーティングや講義も、
きわめて便利だし、有益だ。
コストや時間は節約できる。
よいところはたくさんある。

変わるものは変える。
変わらないものは受け入れる。
それを見分ける英知をもちたい。

〈結城義晴〉

2020年07月13日(月曜日)

経済活動を優先するよりも「命を守る。」を貫徹すべし

Everybody! Good Monday!
[2020vol㉘]

2020年第29週。
7月第3週。

今週から少し忙しくなる。

今朝は月曜恒例の商人舎ZOOM会議。
私は自宅から参加。IMG_75960

商人舎はリモートワークをしているので、
みんな自宅から参加して、互いに、
今週の業務、今月の仕事をチェックする。IMG_75940

その後、横浜商人舎オフィスに出社。

そして午後3時から、
オンライン会議。
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ナレッジ・マーチャントワークス㈱。
英語でKnowledge Merchants Works Inc.
略してKMW。
「知識商人」という言葉を社名にしている。

代表取締役社長の染谷剛史さんと、
ユニットマネジャーの柳沼克彰さん。IMG_76010
充実したミーティングで、
中身の濃い議論をして、
私も満足。

こういった仕事が多くなる。

さて、月刊商人舎7月号。
特集は、
今、いちばん大切なこと
H

5月号特集は、
コロナは時間を早める
K

ご覧のように、
表紙イラストは同じシリーズ。IMG_76090
つまり5月号と7月号は、
呼応している。

5月号で問題提起し、
7月号で一定の問題解決をする。
「今、いちばん大切なこと」
――命を守る。

[Message of July]
今、いちばん大切なこと。

命を守ること。
今、死なないこと。
今、死なせないこと。

ウイルスに侵されないこと。
自分が患わないこと。
人にうつさないこと。

感染した人をいたわること。
医療する人を敬うこと。
看護する人をねぎらうこと。

今、いちばん大切なこと。

人々のために仕事すること。
社会にお役立ちすること。
天職を全うすること。

エッセンシャルワークすること。
店を開けること。
繰り返しに耐えること。

今、いちばん大切なこと。

偽らないこと。
傷つけないこと。
差別しないこと。

ささやかな幸せをつくること。
小さな喜びを分かち合うこと。
明日への希望をもつこと。

今、いちばん大切なこと。

自分を鍛えること。
己を投げ打つこと。
自ら変わること。

真実を求めること。
ひたすら真摯であること。
それに誇りをもつこと。

今、いちばん大切なこと。

命を育てること。
そのために死なないこと。
死なせないこと。
202007_message

さて、アメリカのCOVID-19感染拡大。
日経新聞夕刊の一面トップ記事。
シリコンバレーの佐藤浩実記者の報告。

昨日の7月12日の新規感染者数は、
1日だけで、なんと約6万1300人。

3日連続で6万人超。

今、米国で最も感染拡大が激しいのが、
フロリダ州。1日1万5000人を超えた。

4月中旬はニューヨーク州が一番多くて、
1日1万1571人がピークだった。
7月上旬はカリフォルニア州になって、
1万1694人。

今それを、フロリダ州が上回っている。

このフロリダ州のデサンティス知事は、
トランプ米大統領に近いとされ、
コロナ禍でも経済活動の再開を優先した。

ピーター・ドラッカーの考え方。
「単独の経済問題など存在しない」

経済問題とは、
社会という大きな問題の
一側面に過ぎない。

だから経済活動を、
命に優先することは、
あってはならない。

ダメな大統領とダメな知事。
コロナは急拡大する。

記事の結論。
「米国で新型コロナの感染が
収束する兆しは見えていない」

しかしニューヨーク州では、
ウェグマンズが、
カリフォルニア州では、
ラルフやボンズ、セーフウェイが、
フロリダ州ではパブリックスが、
ライフラインとして奮闘している。

全米ではウォルマートやクローガーが、
コストコやトレーダー・ジョーが、
そしてホールフーズが、
感染リスクが高まる中で店を開けている。

一方、日本の今日13日は、
261人の新規感染者。

東京都119人、埼玉県26人、大阪府18人、
神奈川県、千葉県で17人ずつ。

アメリカと比べると、
ほんとうに救われている気がする。

しかし、今日はまた、
北海道で1人が死亡。

これまでの国内感染者総数は2万2965人、
亡くなった人は997人。

ご冥福を祈りたい。

これらの人々の命は、
守れなかったのか。

ジョンズ・ホプキンス大学の調査。
日本時間13日午前10時時点で、
世界の累計の感染者数は1286万人。
死者数は56万8000人を超えた。

これらの命も守れなかったのか。

「今、いちばん大切なこと」
――命を守る。

そのための、
エッセンシャルワークを完遂する。

ライフラインは通常のときも、
震災のときも、コロナ禍でも、
変わらずに機能し続けねばならない。
そのための気構え、心構えを、
いつも持っていなければならない。

週の初めだからこそ、
強くそのことを思う。

では、みなさん、
今週も、命を守る。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年07月12日(日曜日)

[Sunday Go! Go! Pose]山手教会でポーズ!!

COVID-19感染拡大。

[商人舎流通SuperNews]
百貨店で感染判明続出。

三越伊勢丹news|
伊勢丹新宿店本館1・2階の勤務者1名が感染

そごう・西武news|
そごう千葉店取引先社員・そごう川口店社員が感染

H2Onews|
阪急うめだ本店の食品製造担当従業員が感染

東急百貨店news|
たまプラーザ店従業員がコロナ感染

総合スーパーでも。
イトーヨーカ堂news|

上板橋店・大森店のテナント従業員が感染

そしてコンビニでも。
セブン-イレブンnews|

加盟店「AIMりそな大阪本社ビル」従業員感染

東京都は今日の日曜日に、
新規感染者206人。
これで4日連続で200人超。

それに伴って小売業店舗でも、
感染者は増えた。

一方、二番目は大阪府の32人、
埼玉県と千葉県が31人ずつ。

わが横浜市は12人。IMG_75480
隣の川崎市は10人。
茅ヶ崎市の1人を加えて、
神奈川県は23人。

神奈川県の一昨日と昨日は、
連続して30人を超えたが、
今日は3日ぶりに、
ちょっとだけ減った。

東京の4日連続200人超えと比べると、
まだまだかわいいものか。

横浜みなとみらいの帆船日本丸。IMG_75460

極端気象とコロナパンデミック。
偶然の一致ではないし、
まったく無関係なわけではない。

この異常気象は確かに、
地球温暖化の影響だろうし、
環境破壊の反動である。

そしてCOVID-19感染拡大も、
根本的には同じところから発している。

もし、神が存在するとしたら、
人間の傲慢さ、不遜さを、
懲らしめようとしているのではないか。

そんなふうに思えてくる。

横浜元町。
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坂を上ると、
港の見える丘公園から、
外人墓地へ続く。
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そのまま山手本通りを行くと、
すぐに左手に横浜双葉学園。
名門女子中学高校。
IMG_755101872年、マザー・マチルドらが、
初めての来日修道女として横浜に上陸。
1900年、横浜紅蘭女学校が開校し、
それが現在の横浜双葉へと引き継がれた。

さらに進むとフェリス女学院。
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こちらは1870年(明治3年)、
アメリカ人のメアリー・キダー宣教師が、
ジェームズ・ヘボン博士の診療所で、
授業を始めた。

それがフェリスの発祥となった。
この山手に校舎が建てられたのは、
1875年(明治8年)。

そしてこの山手本通りを、
車で10分ほど行くと、
横浜競馬場跡の根岸森林公園があり、
その公園を海側に下ると、
わが母校がある。
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聖光学院中学高等学校。
1958年、創校。
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校舎も校庭も大改装されて、
私が通っていたころの面影はない。
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私は8期生として6年間、
中高一貫教育を受けた。

「紳士たれ」がモットー。

今はレンガ造りの校舎となった。
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校内には教会がある。
その尖塔もシンプルで美しい。
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この聖光学院とフェリス女学院の間に、
有名な山手カトリック教会がある。
IMG_75580

1862年(文久2年)に、
横浜港に面した山下町に、
横浜天主堂が建設された。

横浜開港後に初めて、
建立されたキリスト教会堂。

やがて丘の上の山手が、
外国人住宅地として発展すると、
1906年(明治39年)、天主堂は山手44番に、
ゴシック様式煉瓦造りの教会堂を建設。

その教会堂も関東大震災で倒壊し、
現在の建物は1933年(昭和8年)に再建された。IMG_75550

畏れ多いこととは知りつつ、
山手教会の門の前で、
Go! Go! ポーズ。
IMG_75610
高校のころには、
たまにここまで足を伸ばした。

そのころ、教会の前にはたいてい、
イーゼルを立てて絵を描く人がいた。

懐かしさもあって、
ポーズも許してもらった。
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しかし背筋が伸びて、
美しいポーズ。
IMG_75680

私たち人間は謙虚になります。
自然破壊も環境破壊も、
これ以上、続けないよう努力します。IMG_75730

そう、祈りつつ、
尖塔に向かって、
Go! Go! ポーズ。
IMG_75760
今日の[Go! Go! Fashion Item]
ポロシャツはマンシングウェア、
パンツもマンシングウェア。
靴はEccoのゴルフシューズ。

祈りが届きますように。

〈結城義晴〉

2020年07月11日(土曜日)

「命を守る。」を宣言して日経社説「ファミマ」記事を叱る

「今、いちばん大切なこと」
――命を守る。

月刊商人舎7月号の、
特集タイトルとMessage。
202007_coverpage
命を守る。

今、いちばん大切なこと。

命を守ること。
今、死なないこと。
今、死なせないこと。

ウイルスに侵されないこと。
自分が患わないこと。
人にうつさないこと。

感染した人をいたわること。
医療する人を敬うこと。
看護する人をねぎらうこと。

今、いちばん大切なこと。

人々のために仕事すること。
社会にお役立ちすること。
天職を全うすること。

エッセンシャルワークすること。
店を開けること。
繰り返しに耐えること。

今、いちばん大切なこと。

偽らないこと。
傷つけないこと。
差別しないこと。

ささやかな幸せをつくること。
小さな喜びを分かち合うこと。
明日への希望をもつこと。

今、いちばん大切なこと。

自分を鍛えること。
己を投げ打つこと。
自ら変わること。

真実を求めること。
ひたすら真摯であること。
それに誇りをもつこと。

今、いちばん大切なこと。

命を育てること。
そのために死なないこと。
死なせないこと。
202007_message

東京のCOVID-19新規感染者。
今日も200人を超えて、
206人。

3日連続の200人超で、
これまでになかったことだ。

それなのに7月23日から、
政府は「Go To キャンペーン」を始める。

大丈夫か?

今月号で鈴木國朗さんと対談した。
202007_taidan_01
       ×
202007_taidan_07
そのタイトルは、
「慣れ」が一番怖い!!

政府も行政も、地方自治体も、
産業も業界も、会社も店も、
コロナ禍に慣れてしまって、
「命を守る。」を忘れる。

それが一番怖い。

以って自戒とすべし。

さて日経新聞の社説。
タイトルは、
「デジタル化時代のコンビニに」

「コンビニエンスストアの経営が
転換点を迎えている」

このことに関しては、同感だ。

伊藤忠商事㈱が㈱ファミリーマートを
完全子会社化する。

[商人舎流通SuperNews]でも、
もちろん報道した。
ファミマnews|
親会社伊藤忠商事がTOB実施/上場廃止し完全子会社へ

この7月9日のこのブログでも書いた。

日経社説は理由を挙げる。
「店舗に依存した既存の成長戦略が
行き詰まったからだ」

この分析と表現は引っかかる。

小売業であるファミリーマートは、
フランチャイズチェーンでもある。

ならば現場である店舗の成長戦略は、
どんなときにも忘れてはならない。
行き詰ってはいけない。

コンビニの転換点の一つは、
現場の店舗戦略において、
激しい白兵戦が始まることである。

ファミリーマート全店は、
牙をむいてセブン‐イレブンに、
襲いかからねばならない。

コンビニの総店舗数は5万店を超え、
市場規模も11兆円を超えた。

その中でファミリーマートは、
エーエム・ピーエム・ジャパンを買収し、
サークルKサンクスを傘下に入れ、
M&Aによって成長した。

この戦略は間違っていない。

アメリカでも、
ウォルマートは独自店舗開発戦略だ。
対するクローガーはM&Aを特徴とする。

この違いが、
マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャーとの、
存在意義となっている。

日経社説。
「ところが19年から、
コンビニを取り巻く環境は変わる。
既存店売上高の低迷など、
店舗を増やす経営は厳しくなっていた」

「決定打になったのは
新型コロナウイルスの感染拡大だ。
特に都心部のオフィス街に強い
ファミリーマートへの影響は大きく、
4月以降、既存店売上高は落ち込んだ」

これもおかしい。
都心部のオフィス街で、
いい立地の店はセブン-イレブンだ。

社説は指摘する。
「首位のセブン-イレブンとの差は開くばかり」

しかしこれも違う。

2017年の「コンビニチキンレース」でも、
「ファミチキ」は大健闘して、
従来の「何でもセブンが一番」を覆した。
20200601_famichiki_CP

最近の「お母さん食堂」も、
特徴を出していると思う。
2006_okasan-sale_cp_main

つまり、セブンをキャッチアップし始めた。

そのうえ敵は、
「セブン・ペイ」の不正アクセス問題で、
大チョンボした。
sevenpay_20190717_01

社説。
「ファミリーマートは
親会社の伊藤忠と一体となり、
新たな成長戦略を模索することにした」

この表現もおかしい。

これは伊藤忠マターであって、
ファミリーマート側の問題ではない、
と私は思う。

JA全農との提携もきっかけのひとつだ。
だとすると商品問題も、
この子会社化の狙いとなる。

日経社説。
「具体策はこれからだが、
国内はデジタル戦略が柱になりそうだ。
伊藤忠グループの持つ経営資源を生かし、
業務の効率化やデータ活用に取り組むという」

もちろんこれもある。

「店舗だけに依存しない成長モデルが急務だ」
細かいことだけれど、表現がおかしい。
あるべき表現は、
「成長モデル〈の開発〉が急務だ」

そして社説の結論。
「ファミマと伊藤忠は
ピンチをチャンスに変え、
新しいデジタル融合のコンビニを
つくってほしい」

この表現、陳腐すぎないか?

「ピンチをチャンスに変える」
常套句中の常套句で、つまらん。

しかもファミリーマートはずっと、
セブン‐イレブンにかなわなかった。
その状況は「ピンチ」ではない。

表現もおかしいし、
批評もトンチンカン。

日経の社説、これでいいのか。
流通問題を取り上げてくれるのは有難いが、
もっと頑張ってほしい。

「慣れ」が一番怖い!!

〈結城義晴〉

2020年07月10日(金曜日)

商人舎7月号特集「今、いちばん大切なこと」――命を守る。

月刊商人舎7月号、
本日発刊!!
202007_coverpage

[特集]
今、いちばん大切なこと
コロナ禍中の[商売の思考法・実践法]
K

[Cover Message]
中国・武漢で発生して、地球を巡るCOVID-19パンデミック。もう、かれこれ半年を経過して、WHOはこれから最悪の事態が起こると警告を発する。アメリカやヨーロッパはロックダウンの戒厳令を発令し、それを経済のために解除した。日本国は緊急事態宣言を発し、それを解除し、東京都はその後、東京アラートで自粛を要請し、それを解除した。
それぞれに国民や都民を揺らした。すべて経済のためだ。しかしその「経済」はあの世界恐慌以来という落ち込みを見せる。日本経済は太平洋戦争敗戦以来の危機を迎えている。
労苦辛酸に見舞われる商人に向けて、故倉本長治商業界主幹は言った。「艱難が人を磨くように、不況は商人を鍛える」。同じように考えれば、「艱難が人を磨くように、コロナ禍は商人を鍛える」。
その鍛えられる商人の、この一瞬の「今、いちばん大切なこと」は何か。何をおいても、これは死守する。わが社、わが店は、これを貫徹する。私は、これだけは貫く。それは何か。
私たちは「今、いちばん大切なこと」を鮮明にしたうえで、喜んでコロナ禍に鍛えられようではないか。
商人は経済のために鍛えられるのではない。自らを磨き、社会に貢献するために、進んで鍛えられるのだ。その「いちばん大切なこと」を考察しよう。

その考察の内容は[目次]。
202007_contents
[Case Study]は、
サミットストア東中野店。
3月8日にコロナ感染者が判明した。
業界ではいちばん早かった。
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しかし、そこからサミットでは、
トップから、幹部、店長、副店長、
そして店舗現場従業員まで全員が、
この問題に取り組んだ。
202007_summit_photo_01

今回、その経緯の一部始終を取材し、
私は感動した。
202007_summit_photo_24

それがこの特集のタイトルとなった。
「今、いちばん大切なこと」

㈱True Dataは、
4月・5月・6月のBigDataを提供して、
緊急事態宣言とその後の消費変化を、
見事に分析した。

さらに巨匠・鈴木哲男先生は、
コロナ禍中の新店舗巡りをして、
いちばん大切な店づくり・売場づくりを、
解明してくれた。

そして鈴木國朗×結城義晴対談。
コロナの中の商売のあり方を論議した。

私は[特集のまえがき]で、
「コロナは商人を鍛える」と説いた。

今月号も、ご愛読をお願いしたい。

しかし、それにしても、
東京都の新規感染者数。
今日7月10日は、
243人。
昨日の9日が224人で、
連続200人を超えて、
いずれも過去最多。

NHKの東京感染者数を見ると、
確実に第2波と推測できる。
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埼玉県で44人、神奈川県で32人、
今日の全国合計は430人。

この1日の感染者数が400人を超えるのは、
4月24日以来のこととなる。

NHKの都道府県別の感染者累計順位調査。
カッコ内は今日の新規感染者。
⑴東京都7515人(243)
⑵大阪府1967人(22)
⑶神奈川県1683人(32)

⑷埼玉県1393人(44)
⑸北海道1289人(6)
⑹千葉県1068人(12)
この6都道府県が1000人を超えている。

以下、
⑺福岡県908人(6)
⑻兵庫県726人(4)
⑼愛知県532人(0)
⑽京都府430人(10)

⑪石川県300人(0)
⑫富山県230人(0)
⑬茨城県196人(7)
⑭広島県175人(4)
⑮岐阜県162人(0)
⑯群馬県155人(0)
⑰沖縄県 ※146人(1)
⑱鹿児島県132人(8)
⑲福井県122人(0)
⑳奈良県107人(5)
㉑滋賀県は104人(0)
㉒宮城県は100人(0)

宮城県までが100人以上。

少ないのは、
岩手県0人
鳥取県4人(0)
徳島県10人(1)

イタリア人作家のパオロ・ジョルダーノ。
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「感染者の数、
発生地からの距離、
マスクの販売枚数、
株価暴落で失う金額、
検査結果が出るまでの日数と、
数えてばかり」

そう、このところ私たちは、
数えてばかり。

国内で感染が確認された累計人数は、
空港の検疫などを含めて2万1198人、
クルーズ船の乗客・乗員合わせて、
2万1910人。

この中で重要なのは亡くなった人。
995人。

心からご冥福を祈りたい。

最後に[Message of July]
202007_message
命を守る。

今、いちばん大切なこと。

命を守ること。
今、死なないこと。
今、死なせないこと。

ウイルスに侵されないこと。
自分が患わないこと。
人にうつさないこと。

感染した人をいたわること。
医療する人を敬うこと。
看護する人をねぎらうこと。

今、いちばん大切なこと。

人々のために仕事すること。
社会にお役立ちすること。
天職を全うすること。

エッセンシャルワークすること。
店を開けること。
繰り返しに耐えること。

今、いちばん大切なこと。

偽らないこと。
傷つけないこと。
差別しないこと。

ささやかな幸せをつくること。
小さな喜びを分かち合うこと。
明日への希望をもつこと。

今、いちばん大切なこと。

自分を鍛えること。
己を投げ打つこと。
自ら変わること。

真実を求めること。
ひたすら真摯であること。
それに誇りをもつこと。

今、いちばん大切なこと。

命を育てること。
そのために死なないこと。
死なせないこと。

〈結城義晴〉

2020年07月09日(木曜日)

ブルックス・ブラザーズ破綻と伊藤忠のファミマ完全子会社化

東京都の新型コロナ新規感染者が、
なんと今日1日で224名、過去最高。
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大阪府も30人。
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7月上旬の今、4月上旬と同じか
それを超える感染拡大が起こりつつある。

感染が起こる環境は、
やはり三密。
密接、密集、密閉。

マスクの装着と手洗いは徹底しよう。

徹底とは、
詳細に・厳密に・継続すること。
こまかく、
きびしく、
しつこく。

さて、
ブルックス・ブラザーズ。
昨日の8日に連邦破産法11条適用申請。
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ああ。

コロナは時間を早める。
H

実にいいブランドだが、
売れるのはアウトレットモールの店と、
オフプライスストアの売場ばかり。
つまり正価で売れなくなっていた。

ブランドを毀損することなく、
立て直しが求められていた。

それがかなわない。
コロナによって、
破綻が早められた。

ニーマン・マーカス、
JCペニー、
そしてブルックス。

いずれも老舗の100年企業。
強固なブランドであるがために、
「ゆでガエル」状態となった。

そしてゆでられる時間が短くなった。

今朝の日経新聞一面トップ記事。
「伊藤忠/ファミマを完全子会社に」

伊藤忠商事㈱が、
㈱ファミリーマートを、
とうとう完全子会社にする。

5800億円を投資して、
株式公開買い付け(TOB)を実施する。

TOB価格は1株2300円。
ファミリーマートはTOB終了後、
上場廃止。

この後は日経の記事だが、
伊藤忠は4.9%分の株式を、
約570億円で譲渡する。
今回の投資の1割である。

相手は全国農業協同組合連合会(JA全農)、
そしてその金融機関の農林中央金庫。

そのあとで、
JAグループと提携して、
大きな商流と物流をつくる。

今日の[商人舎流通SuperNews]
ファミマnews|
第1Q営業収益16%減・事業利益54%減の減収減益

第1四半期の連結決算が発表された。

営業収益は1117億6300万円で、
前年同期比15.9%減。
事業利益は89億8300万円で同54.0%減。
税引前四半期利益は46億8600万円で66.9%減。

減収減益。

それでも国内店舗数は1万6613店、
海外事業店舗は8032店。
世界の総店舗数は2万4645店。

通期の見込みは、
営業収益4600億円(11.0%減)、
事業利益570億円(11.7%減)。
しかし税引前利益940億円(103.4%増)、
当期利益600億円(37.8%増)。

記者会見した澤田貴司社長。
澤田ファミマ
「商品構成などが巣ごもり需要に
対応しきれていなかった」

ん~。

それもあるが、
私は業態自体の問題だと思う。

ファミリーマートは、
もともと西友がセブン-イレブンより、
一歩早くスタートさせた。

国産コンビニエンスストアだ。

1998年から伊藤忠の持ち分法適用会社に、
2018年には子会社になった。

それを今回完全子会社とする。

この間、ファミリーマートは、
エーエム・ピーエム・ジャパンや、
サークルKサンクスを傘下に入れて、
業界第2位に躍進した。

その巨大なコンビニを、
完全子会社にして。
JAグループとも連携させる。

㈱ローソンは2017年に、
すでに三菱商事㈱の子会社となって、
残るは㈱セブン-イレブン・ジャパンのみ。

コロナは資本の巨大化を早める。
企業間のM&Aを早める。

コロナは経営破綻を早める。
H

その波が一挙に押し寄せる。

しかしコンビニエンスストア業態に、
大きな節目がやって来ている。

間違いない。

コロナが時間を早めて、
それを教えてくれる。

〈結城義晴〉

2020年07月08日(水曜日)

Harvard Businessに「勝った~!!」と喜びつつ文明を考える 

Harvard Business Review。
日本版は、
「Diamondハーバード・ビジネス・レビュー」

その最新8月号が届いた。
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第1特集は「気候変動」
第2特集は「不安とともに生きる」

勝った~!!

しかし水前寺清子は歌う。
詞は星野哲郎。

勝った負けたと
騒ぐじゃないぜ♪

あとの態度が
大事だよ♪

Harvard Business Reviewが、
いつ新型コロナウイルスの特集をするか、
いつ気候問題を取り上げるか。

私にとっては、
密かな関心事だった。

Harvard Business Reviewは、
今年に入ってから7月号まで、
特集としては一切、
それらに触れなかった。

そっけないくらいだった。

一方、わが月刊商人舎は、
今年1月号特集で、
[極端気象]
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5月号で、
コロナは時間を早める。

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そして6月号で、
コロナ禍決算
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さらに7月号で(?)
明後日発表するが、
三連弾で畳みかける。

極端気象も、
コロナパンデミックも、
21世紀の大命題だからである。

いくら考察しても、
充分ということはない。

しかもCOVID-19感染拡大の渦中に、
そのことを探求することに意味がある。

まあ、Harvard Business Reviewとは、
近年、特集テーマが重なることが多い。

昨年2月号は、
商人舎が「幸せの時間管理」、
Harvard Business9月号が、
「時間と幸福のマネジメント」。
昨年8月7日のブログに書いた。
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問題意識が似ているというのは、
まんざらでもない。

だが、いつもわが方が早い。
もちろんパクリではない。

そのHarvard Businessの主張は、
「気候変動をイノベーションの機会に変える」

そして、
「CFOこそ気候変動問題を解決する切り札である」

CFOはChief Financial Officer。
つまり最高財務責任者。

私はCEOが直接担当し、
マネジメントボード全員が、
そして社員・従業員全員が、
私生活も含めて取り組む問題だと思うが、
どうだろうか。

ほぼ日刊イトイ新聞。
巻頭言は「今日のダーリン」
糸井重里さんのエッセイ。
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「季節を味わう
というのは、
季節の変化が、
暮らしも変えてくれるから
昔から、人は
それがうれしかったのだろうな」

「日本にいると、
季節によって食べるものも変わるし、
家のなかでの暑さ寒さへの対応も変わる。
こたつを出したり、
布団の厚さを変えたりもする」

日本には見事に四季がある。

「季節によって、
いろいろ変わる環境に、
いちいち反応したり
対処したりするというのは、
合理的な考え方からしたら、
コストが高すぎることだ」

その通り。

「環境も一定で、
室内の空調も一定だったら、
着ている服だって、
いつも同じようでいい。
冬もの夏もの、
春もの秋もの、
衣替えもめんどくさい」

「変化があるというのは、
高くつくものなのだ」

だからHarvard Businessでは、
CFOが切り札となる。

「しかも、風物詩とか
言ってられないこともたくさんある」

「冬は寒波も襲いかかるし、
豪雪だってある。
春には花粉が飛ぶし、
黄砂も飛んでくる。
そして、梅雨がくれば湿っぽいし、
活動もしにくい。
夏は猛暑、酷暑で
人死にさえも出る。
涼しくなったころには
台風がやってくる」

「さらに四季にも関係なく、
この島国は地震大国だ。
大きな津波の被害も
経験させられている」

「悲観的な人には、
この島国に住むのは勧められない」

私たちはそれでも、
この四季列島が大好きだ。
ちょっとマゾッホ的かもしれないが。

「これほどまでに
住みにくい環境条件が揃っているのに、
どうして、ぼくらは、
ここに暮らしているのだろうか。
そして、これまでも
この環境のなかで生きてきたのか、
それなりの文化や文明を
育ててこられたのか」

最後は笑い。
「外から見たら、
“あいつら、どんだけがまん強いの?”と
呆れられてしまうような
ことなのかもしれないね(笑)」

「文明とは、
人類の危機に対する
回答である」

あのアーノルド・J・トインビー。
名著『試練に立つ文明』から。
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中日新聞「春秋」が取り上げた。

高校のときに読書感想文を書かされた。

普段はあまり、
勉強ができる方ではなかった級友が、
素晴らしい分析を書いて、
驚かされたのを覚えている。

そのトインビー。
「文明というものは……
間断なく襲いきたる挑戦に
対応することに成功することによって
誕生し、成長するもの」

私たちの文明は、
そうしてできあがった。

それをパオロ・ジョルダーノは指摘する。
「コロナは今、
僕らの文明を
レントゲンにかけている」
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今こそ私たちの文明の真実を、
私たち自身の態度で証明するときだ。
CFOが切り札などではない。

最後に朝日新聞「折々のことば」
今日は第1869回。
子曰、徳不孤、必有鄰
(孔子『論語』より)
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「子の曰(のたま)わく、
徳は孤ならず。
必らず鄰(となり)あり」

この言葉から「有隣堂」の書店名ができた。
中学のころも高校のころも、
伊勢佐木町の本店にはお世話になった。

この孔子の言葉に対する金谷治さんの訳注。
「誠実な生き方というのは、
他人の思惑など顧みることなく、
ひたすら孤独のうちで磨かれるもの。
だがそれがかならずや
他人のこころに響く」

「同時代のなかで孤立していても、
密(ひそ)かにその生き方に支えられた人、
救われた人がいるからだ。
そういう人の結びつきは
かんたんには崩れない」

この言葉の強さは、
「人」に限らない。

国にも、会社にも、
同じことが言える。

そして私たちの文明にも。

〈結城義晴〉

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