結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年05月06日(水曜日)

42年前に私はソ連風邪にかかった。インフルエンザだった。

42年前に、私は、
インフルエンザにかかった。
ソ連風邪と言われた。
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2年か3年に1度くらい、
風邪をひくことはあるが、
40年前のインフルエンザ以来、
重篤な感染症にはかかっていない。

「風邪は万病のもと」と言われるが、
正式には「風邪症候群」である。

上気道の急性炎症の総称。
上気道は鼻やのどのこと。

風邪のウイルスが粘膜から感染して、
炎症を起こす。

くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、
咳、たん、発熱といった症状が起こる。

その風邪ウイルスは、
200種類以上もある。

私には私流の風邪の治し方があるが、
これは何度かブログに書いた。
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一方、インフルエンザは、
風邪ウイルスとは別のものだし、
症状の重さも異なる。

つまり別の病気だ。

インフルエンザには、
まず、3類型がある。

A型インフルエンザは、
ヒト、鳥類、ウマ、ブタなどに感染し、
強烈な症状が出やすい型だ。
問題になるのはみなA型である。

B型インフルエンザは、
ヒトとアシカ亜目のみに感染し、
毎年流行している。
A型のように、大きな流行は起こさない。

そしてC型インフルエンザは、
ヒトとブタに感染し、
いったん免疫を獲得すると、
終生その免疫が持続する。

A型インフルエンザのヒトへの流行は、
6つの大きな「事件」があった。

①1900年のH3N8(旧香港風邪)、
②1918年のH1N1(スペイン風邪)、
③1957年のH2N2(アジア風邪)
④1968年のH3N2(香港風邪)、
⑤1977年のH1N1(ソ連風邪)、
⑥2009年のH1N1(豚由来新型インフルエンザ)

「風邪」と呼んだが、
「インフルエンザ」だった。
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42年前の20代中ごろ、
私はそのインフルエンザの、
「ソ連風邪」にかかった。
1977年4月に㈱商業界に入社して、
翌年のことだった。

3日から4日ほど、
38度から39度の熱が出て、
会社を休んだ。

ソ連風邪は、
1977年から1978年にかけて、
当時のソビエト連邦で流行した。
インフルエンザのエピデミックだった。

パンデミックが「世界的流行」で、
エピデミックは「局地流行」。

ソ連で局地流行したから「ソ連風邪」。

しかしもともとは、
1977年5月に中国・天津で始まった。

インフルエンザはどうやら、
中国から発する事例がほとんどだ。

その年の11月、ソ連と香港で、
インフルエンザが大流行した。

そして1978年3月までに、
北半球のほとんどの国へ伝染した。
もちろん日本も襲われた。

しかし1978年から1979年にかけて、
ワクチンが製造された。

幸いに私はまだ若かったし、
長期化もせず、重篤化もしなかった。

風邪ともインフルエンザとも違うのが、
コロナウイルスである。

コロナウイルスは、
1933年に家禽で初めて発見された。

Msdマニュアルの「医学事典」によると、
「コロナウイルスは、
感冒から致死的な肺炎に至るまでの
様々な重症度の呼吸器疾患を引き起こす、
エンベロープを有するRNAウイルス」。

エンベロープは「膜状構造」のこと。
RNAウイルスとは、
ゲノム(遺伝情報)として、
リボ核酸(RNA)をもつウイルスのこと。

リボヌクレオチドという、
核酸が生まれる前の段階の物質が、
鎖状に繋がっている。
それがリボ核酸である。

その「核酸」とは生体内に存在する、
分子が大きな有機化合物のことだ。

コロナウイルスは、
このリボ核酸を持つという特徴がある。

ウィルスとは、
極微小な感染性の構造体で、
他生物の細胞を利用して、
自己を複製させる。

ウイルス核酸そのものに、
感染性があるのだ。

多くのコロナウイルスは、
動物の呼吸器、消化管、肝臓、
および神経系の疾患を引き起こす。

ヒトに疾患を引き起こすのは7種類。

7種類のコロナウイルスのうち、
3種類が重篤な呼吸器感染症を引き起こす。

⑴SARS、サーズ。
2002年のSARS-CoV。
「重症急性呼吸器症候群」。
中国南部の広東省を起源として、
37カ国で8096人が感染、774人が死亡。

⑵MERS、マーズ。
2012年からのMERS-CoV。
「中東呼吸器症候群」。
ヒトコブラクダが感染源動物で、
ラクダとの接触などが感染リスク。
中東地域をはじめとして、
2015年に韓国・中国に拡大し、
2019年11月までに、
確定患者2494人、死者858人。

そして⑶COVID-19。
2019年からのSARS-CoV2。
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医学事典では、
「中国・武漢の生きた動物を売買する、
生鮮市場との関連が認められる」とする。

ドナルド・トランプ大統領は、
武漢のウイルス研究所から出たと主張する。

これら3種類のコロナウイルスは、
人獣共通感染の病原体で、
感染動物から始まって、
動物へ、そしてヒトへと伝播する。

一般的に、コロナウイルスは、
変異しやすいために、
ワクチンや治療薬が開発しにくい。

ゴールデンウィーク連休は、
ステイホーム週間に埋没した。
その最後の日に、
風邪とインフルエンザと、
コロナウイルスを整理してみた。

高校の授業を思い出した。
私は理科系科目は、
生物と化学で大学受験をした。
だからちょっとだけ詳しく書いた。

しかし人間は、
風邪やインフルエンザ、
そしてコロナウイルスなど、
様々な病原菌に囲まれて生きている。

生きているのは幸いなのだ。
軽症で終わるのは幸運だし、
病気にかからないのは、
極めてラッキーなことなのだ。
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ありがとう、と言いたくなる

〈結城義晴〉

2020年05月05日(火曜日)

こどもの日の「失敗図鑑」と子供たちの「過去・未来・現在」

立夏のこどもの日。

おもしろくふくらむ風や鯉幟

中日新聞巻頭コラム「中日春秋」が、
正岡子規の句を紹介した。
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そして子どもたちを励ます。

「アインシュタインは二回も落第した」
「ルーズベルトはクラスの最下位だった」

偉人や成功者の若き日の失敗、
「だめだった日」。
――そういう逸話は人を奮い立たせ、
励ますものだろう。

「チャーチルの小学校の成績は
最下位だった」

「坂本龍馬はおねしょが治らなかった」

「スティー・ジョブズは子どもの時、
好奇心から殺虫剤を瓶ごと飲んで
病院に担ぎ込まれた」

「小学生のガンジーは
同級生に話し掛けられるのが怖くて、
授業が終わると一目散に帰った」

大野正人『失敗図鑑』(いろは出版刊)から。
大野さんは横浜商科大学商学部教授。
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デール・カーネギーの、
「人を変える9原則」
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私の講義テキストから。
(1)まずほめる
(2)ポジティブに注意を与える
(3)自分の誤ちを話す
(4)命令せず、意見を求める
(5)顔を立てる
(6)わずかなことでも、ほめる
(7)期待をかける
(8)激励し自信を持たせる
(9)喜んで協力させる

この「(3)自分の誤ちを話す」が、
失敗図鑑と同じ趣意である。

さて、祝日法が示す「こどもの日」の趣旨。
「こどもの人格を重んじ、
こどもの幸福をはかるとともに、
母に感謝する」

今年の母の日は、
今度の日曜日の10日。

ステイホーム週間の最後の日。

つまり、
今日の火曜日から、
日曜日までが、
「子どもと母の日」
ということになる。

商人舎編集スタッフの鈴木綾子。
月刊商人舎5月号の編集後記に書いている。
「毎日3食ご飯を
つくらなければいけない生活が
しんどい。
当然レパートリーはネタ切れなので、
レシピアプリ様様だ。
ただ一生懸命つくっても、
子どもたちが喜ぶのは結局、
定番のカレー」

ははは。

このコロナ禍で、
全国の学校は休校が続く。
昨日の緊急事態の延長宣言で、
5月末まで休校にする都道府県が多い。

安倍晋三首相が2月27日に言い出して、
3月2日から臨時休校となったが、
もう2カ月も継続されている。
それが3カ月間となる。

鈴木綾子の家には、
中学生と高校生の男の子がいるが、
いまや二人並んでパソコンに向かって、
塾のオンライン講義で勉強している。

カレー好きの子どもたち。
「ネアカ・のびのび・へこたれず」で、
すくすくと育ってほしい。

朝日新聞「折々のことば」
第1807回。

子供たちには
過去も未来もない。
で、これは我々には
(ほとん)どないことだが、
現在を享楽する。
(ラ・ブリュイエール)

1645年生まれ、1696年没。
フランスの作家、モラリスト。
18世紀啓蒙主義の先駆者。

著書『カラクテール』から。
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鷲田さんの読書領域は驚くほど広いし、
岩波文庫はいい仕事をしてきた。

鷲田さんの抜き書き。
「成人は、未来に夢を描き、
備えもするが、
過去の行為を悔いたり、
幸福だった昔を懐かしんだりもする」

「意識はいつも
“まだないもの””もうないもの”に向かう」

「子供は”現在”、つまり、
今ここに在るものしか眼中にない」

「とすれば、
それがなくなるかもしれないという
喪失の不安こそ、
子供が子供でなくなる
最初の一歩なのか」

ブリュイエールの言に従えば、
コロナ禍は子どもを、
子どもでなくしてしまうかもしれない。

私はそれが怖いと思う。

ブリュイエールは名言を残した。
「人間には3つのことしか起きない。
それは”生まれる・生きる・死ぬ”である。
生まれたことは覚えていない。
死ぬことは怖い。
そして、生きることは忘れている」

フランス人伝統のエスプリだ。

「われわれの悩みはすべて、
ひとりでいられないことから
もたらされる」

COVID-19によって、
人類が教えられたことだ。

鯉幟身をくねらせて進まざる
〈山口誓子〉

山口誓子(せいし)は高浜虚子の弟子。
鯉のぼりの句が多い。
子どもの心を持ち続けていたに違いない。

しかしコロナによって私たちは、
身をくねらせて、
進んでいない。

〈結城義晴〉

2020年05月04日(月曜日)

「新たな日常」のLifestyle提案と民主主義の商売

Everybody! Good Monday!
[2020vol⑱]

2020年第19週。
5月第2週でゴールデンではない、
ステイホームウィーク。
そのみどりの日の祝日。

その趣旨は、
「自然にしたしむとともに
その恩恵に感謝し、
豊かな心をはぐくむ」幸いにしてCOVID-19禍では、
自然に親しむこと自体は、
許されている。

ただしフィジカルディスタンシングで、
三密とならない限りにおいて。

毎日新聞「余禄」
短歌を紹介する。
海を知らぬ少女の前に
麦藁帽のわれは
両手をひろげていたり

今日が命日の寺山修司の歌。
「夏の海のまぶしさを
少女に伝えようとする
少年の姿が目に浮かぶ」

寺山は、「青森出身で、
演劇などで幅広く才能を発揮した」
1935年(昭和10年)に生まれ、
1983年(昭和58年)に47歳で逝った。
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そうか、寺山は、
そんなに早く死んだんだったか。

ちなみに葬儀委員長は、
4つ年上の谷川俊太郎だった。

コラムニストは、
寺山の故郷・青森を思ってつぶやく。
「東北は桜前線が通り過ぎ、初夏へと移る。
季節がいつものようにめぐることの
ありがたさ。今年はなおさら感じる。
あすは立夏」

コロナとともに、
足早に冬から春が行き、
もう夏だ。

夕方、安倍晋三首相が発表した。
緊急事態宣言の延長
5月31日まで。
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13の特定警戒都道府県では、
4月の緊急事態宣言下と同様。

それ以外の34県にも基本的に、
感染拡大を抑制する行動規制。

政府は「コロナ時代の新たな日常」をつくろうと要請した。

別に国家から個人が、
ライフスタイルを規定される必要はない。
しかしそれぞれの考え方で、
「新たな日常の生活様式」を確立する。
その知恵を出すのがこれからだ。

そして小売業は、
新たなLifestyle Assortmentの、
選択肢を提供しなければならぬ。

日経新聞社説。
「コロナ禍が問うもの」

とてもいい社説なので、
出来れば新聞を読んでほしい。

「新型コロナウイルスとの戦いは、
世界の民主主義国家に課された
試練ともいえる」

この世界の試練を、
2つの視点から指摘する。

第1は政治主義と指導者の問題だ。

米欧の資本主義国首脳は、
“戦時の指導者”と称して、
異例の感染防止策を正当化する。

一方、共産党の独裁を貫く中国は、
自由や私権の侵害も辞さず、
強力で迅速な封じ込め策を断行した。

「こうした権威主義国家が
コロナ禍への対応で
優位に立つような印象を持たれがちだ」

しかし英国のエコノミスト誌が、
1960年以降に流行した感染症を検証した。

非民主主義国家の死亡率は、
民主主義国家よりも高かった。

「厳しい情報・言論統制が
正確な状況の把握を妨げた」

権威主義国家の中でも、
ロシアやイランは、
事態の収拾に手間取る。

米欧資本主義国にも、
初動の遅れや危機管理の甘さがあった。

自由で開かれた民主主義国家の強みを
過小評価すべきではない。

問題はその強みが揺らいでいる点だ。

世界を覆うナショナリズム、
大衆迎合主義。

「コロナ禍で加速し、
強権的で排斥的な政治への
傾斜を強める指導者が目立つ」

ハンガリーのオルバン首相は、
非常事態宣言の権限拡大を、
無期限に延長できるようにした。

フィリピンのドゥテルテ大統領は、
外出制限を破って抗議集会に参加する
国民の反撃を受けた時には、
軍や警察に射殺してもいいと命じた。

そして米国のトランプ大統領は、
自国第一の姿勢を強め、
移民受け入れやWHOへの資金拠出を停止。
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国際非営利法制センターの調査。
世界で82カ国が非常事態を宣言した。
29カ国が表現の自由を制限する。
111カ国が集会を規制する。

「この非常時に個人の行動や権利を
一時的に制限するのはやむを得ないが、
統制の行き過ぎや常態化まで
容認することはできない」

国連のグテレス事務総長は憂えた。
「経済、社会、そして、
人間の危機である」
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第2は、国民自体の問題だ。

「民主主義国家を根底から支える国民自体が
利己的で排他的なムードに傾き、
危機の渦中に悪質な犯罪や陰湿ないじめ、
有害なデマの拡散が頻発している」

たとえば、米欧の白人は、
アジア人を差別する。
インドのヒンズー至上主義者は
イスラム教徒を非難する。

「国家の権限を拡大する際には、
その範囲や期限、科学的な根拠、
法的な裏付けなどを
十分に説明すべきだ」

「国民も権力の乱用をいつも以上に
厳しく監視する必要がある」

昨日のこのブログでも書いたが、
「国家緊急権」の憲法問題でもある。

「国民の多くが
寛容や自制の精神を失ったままでは、
健全な国家の復元や
国際協調の立て直しも
おぼつかない」

「その責任を一人ひとりが
自覚することも重要だ」

結びはアレクシ・ド・トクヴィル
19世紀のフランスの政治思想家。
その著『アメリカの民主政治』は、
古典となった名作。
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「境遇の平等が、
国民を隷属に導くか自由に導くか、
文明に導くか野蛮に導くか、
繁栄に導くか困窮に導くか、
それは彼ら次第である」

「大衆の力こそが、
民主主義の未来を左右する」

大衆と直結する商業やサービス業、
そのチェーンストア。

その公正で公平な社会的活動は、
民主主義の未来を左右する。

では、みなさん、今週も、
商売と仕事を通じて国民を、
自由に、文明に、繁栄に、
導こう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年05月03日(日曜日)

憲法記念日の第二章「戦争放棄」と第九章「改正」の迅速化・可視化

ああさうか今日は憲法記念の日
〈定梶じょう「あを」より〉

憲法記念日の日曜日。
2020年は73回目。
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日本国憲法は、
昭和22年に施行された。
1947年5月3日。

昨年5月1日に即位した今上天皇。
国民に向けた最初の「お言葉」は、
「日本国憲法および
皇室典範特例法の定めるところにより、
ここに皇位を継承しました」

あれから1年。

日本中、いや世界中が、
COVID-19一色。

コッペパン憲法記念日の朝食
〈杉本薬王子「風土」より〉

中学のころだったと思う。
日本国憲法の前文を、
社会科の授業で、
暗記させられた。

――日本国民は、
正当に選挙された国会における
代表者を通じて行動し、
われらとわれらの子孫のために、
諸国民との協和による成果と、
わが国全土にわたつて
自由のもたらす恵沢を確保し、
政府の行為によつて
再び戦争の惨禍が起ることの
ないやうにすることを決意し、
ここに主権が
国民に存することを宣言し、
この憲法を確定する――。

日本国憲法は、
「自由の恩恵」と、
「国民主権」を宣言し、
「政府の行為」によって、
「戦争の惨禍」が起こらぬことを、
決意する。

――そもそも国政は、
国民の厳粛な信託によるものであつて、
その権威は国民に由来し、
その権力は国民の代表者がこれを行使し、
その福利は国民がこれを享受する――。

国政は国民の厳粛な信託による。
国民の、
国民による、
国民のための、
国政。

リンカーンの宣言と同趣。
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――これは人類普遍の原理であり、
この憲法はかかる原理に基くものである。
われらは、これに反する一切の
憲法、法令及び詔勅を排除する――。

憲法の前文唱ふ懐手
〈伊藤白潮「鴫」より〉

日本国憲法は、
この有名な「前文」のあとに、
11の章と103の条で構成されている。

章立ては以下のようになっている。
第一章 天皇
第二章 戦争の放棄
第三章 国民の権利及び義務
第四章 国会
第五章 内閣
第六章 司法
第七章 財政
第八章 地方自治
第九章 改正
第十章 最高法規
第十一章 補足

憲法第一章は「天皇」。

そして憲法第二章は、
「戦争放棄」である。

過去も現在も、
改憲の焦点はここにある。

そして第二章には、
第9条しかない。

第9条は、
「戦争放棄、軍備及び交戦権の否認」

「1 日本国民は、
正義と秩序を基調とする
国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、
武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、
永久にこれを放棄する」

現日本国憲法において、
我々は、
戦争と武力を、
永久に放棄するのだ。

「2 前項の目的を達するため、
陸海空軍その他の戦力は、
これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない」

しかし自衛隊の実情は、
陸海空軍そのものであって、
これは否定できない。

第三章は、
「国民の権利及び義務」。
第10条から第40条まで、
憲法全103条の内の38.8%を占める。
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この中で、国民の「義務」は3つある。
第26条の「教育を受けさせる義務」
第27条の「勤労の義務」
第30条の「納税の義務」

新型コロナウイルス感染による緊急事態で、
教育と勤労は大きく制限を受けている。

「自由」に関しては8つの条で決められている。

第12条「自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止」
第18条「奴隷的拘束及び苦役からの自由」
第19条「思想及び良心の自由」
第20条「信教の自由」
第21条「集会・結社・表現の自由、通信の秘密」
第22条「住居・移転及び職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由」
そして第23条「学問の自由」

コロナ禍でも幸いなことに、
「自由」は侵害されていないはずだが、
「自粛警察」などという卑劣な輩も出てきた。
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以下、第四章「国会」から、
第五章「内閣」、
第六章「司法」、
第七章「財政」、
第八章「地方自治」まで、
国の機能が示される。

そして日本国憲法第九章が、
「改正」である。
その中の第96条は「憲法改正の手続」

「1 この憲法の改正は、
各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、
国会が、これを発議し、国民に提案して
その承認を経なければならない。
この承認には、特別の国民投票
又は国会の定める選挙の際
行はれる投票において、
その過半数の賛成を必要とする」

憲法改正の条件は、
国会議員の3分の2、
国民の過半数。

しかし国民の場合、
投票の際に「棄権」があるから、
実際は過半数以下でも可能である。

第二章「戦争放棄」=「第9条」と、
第九章「改正」。

私はコロナは矛盾を可視化させると思う。
コロナは時間を早めると考えている。

第二章と第九章の論議も、
COVID-19禍によって、
早まるに違いないし、
その矛盾は明らかになるだろう。

今後、憲法における「国家緊急権」の論議も、
早まるだろうし、明らかになるだろう。
むしろ改憲論議の突破口は、
ここにあるかもしれない。

日本国憲法には、
国家緊急権に関する規定はない、
とする見方が多数的だからである。

「緊急権」とは、
緊急事態に憲法秩序を「一時停止」し、
一部の機関に大幅な権限を与えたり、
人権保護規定を停止したりするなど、
「非常措置」をとることで、
「秩序回復」を図る権限だ。

焼酎や憲法論議きりもなし
〈臼杵游児「春燈」より〉

憲法の話とくとく冷奴
〈中山皓雪「鴫」より〉

憲法と食べ物。
ステイホームだからか、
妙に、よく、合う。

〈結城義晴〉

2020年05月02日(土曜日)

「タイムマシンに乗ろう!」と「推奨してございません」

ゴールデンウィークにしても、
ステイホーム週間にしても、
中日の5月2日。

私は車で横浜商人舎オフィスに出社。

月刊商人舎5月号の最終責了日。
原稿を書きまくって、
そのあとでゲラを読みまくった。

そして深夜に車で帰宅した。
働いてます。

それにしても、
自画自賛で恐縮だけれど、
良い雑誌が出来上がった。
通巻85号。

ご協力くださった皆さん、
ありがとうございました。

特に特にデザインの七海真理さん。
本当にありがとう。

素晴らしいデザインでした。

夕食はセブン-イレブンの中華丼。
店内はフィジカルディスタンシング。
よし、よし。
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近くの相鉄本社わきのオブジェ。IMG_636690

さて、今月の商人舎標語。
それは月刊商人舎の[Message of March]
「タイムマシンに乗ろう!」
――新型コロナウイルス感染拡大で、
緊急事態宣言発令中の今、
タイムマシンに乗ろう。

訳が分からないかもしれないけれど、
それは商人舎5月号が発刊されたときに、
明らかになる。

乞う! ご期待。

それはそうと、
アメリカ国防総省が、
UFOの映像を公開した。

中日新聞巻頭コラムも取り上げた。

米国防総省は、
「”現象の正体は分からない”と、
まじめに論じている」

私もYouTubeで見た。
UFO
海軍機から撮影された映像。
UFOと目される謎の物体は、
高速で飛んでいる。

軍人らしき声が聞こえる。
「回転してる!」
「なんてこった!」

河野太郎防衛大臣(57歳)。
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例によって無表情で語った。
「万が一遭遇したときの手順を
しっかり定めたいと思います」

自衛隊機が、
未知との遭遇をした場合のことだ。

コラムはジョークだと見ている。

NHKもこのニュースを報じた。
“UFO映像” 米国防総省が公開
“物体が何かは不明”

コロナウイルスと、
タイムマシンとUFO。

何が出てきても驚かない心境だ。

産経新聞巻頭コラム、
「産経抄」
私は基本的に、
この新聞の考え方は受け入れない。
しかし今日のコラムは面白い。

平成19年9月、突然、
安倍晋三首相が第1次政権を放り出した。
持病の潰瘍性大腸炎が悪化したからだ。

「安倍首相は、
その2年余り後に認可された
新薬アサコールが画期的に効き、
病は寛解(消失)状態となって
復活を果たす」

そのアサコール。
海外では15年以上前から使われていた。

コラムは厚生労働省を糾弾する。

今国会での安倍首相の答弁。
「”(新型インフルエンザ薬として)
日本で承認されているのだから”と
私も言ったが、法令上できない」

COVID-19治療薬候補のアビガン。
このブログでも3月28日に取り上げた。
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「アベガン」と名前は似ているが、
それが特例承認できない。

コラム。
「一方で政府は、
世界数十カ国へのアビガン供与を決め
感謝されているのに」

そして問題の本質を見抜く。
「ウイルス禍は
融通の利かない立て付けの悪い法令と、
縦割り行政の弊害を可視化した」

COVID-19は、
「すでにある矛盾」を可視化させる。

「ウイルス殺菌効果が高いとされ、
人体に無害な次亜塩素酸水に対し、
厚生労働省の担当局長は
国会でそっけない答弁をした」

「推奨してございません」

官僚のこの「ございません」の発言。
「由らしむべし・知らしむべからず」
本当に胸糞悪くなる。

コラムニスト。
この次亜塩素酸水に関しても、
「新型コロナの消毒用に
中国、韓国、台湾などに輸出され、
感染封じ込めに多大な貢献をしてきた」

厚労省は効果を認めない。

けれど全国の自治体や民間では、
既に感染予防対策として採用されている。

「4月30日の自民党会議では、
世耕弘成参院幹事長が
手元に携帯用加湿器を置き、
次亜塩素酸水を噴霧していた」

国会内の参院幹事長室や
国対委員長室でも、
噴霧されている。

世耕弘成参院幹事長(57歳)。
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「いろんなデータを見ても明らかに
有効だとのエビデンス(証拠)はある」

今回のコロナ禍。

私は初めから、
「人災」の警告をしてきた。

厚生労働省の官僚の壁が、
日本のコロナ禍を長引かせている。
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「推奨してございません」に、
勝てない安倍晋三首相(65歳)の顔色が、
どんどん悪くなっている。

〈結城義晴〉

2020年05月01日(金曜日)

“no one will be left behind”の「世のため、人のため。」

今日から5月。
令和になって丸1年。

朝日新聞一面「折々のことば」
第1803回。

no one will be left behind.
「誰ひとり取り残さない」
(国連が謳う理念)

「誰も置き去りにしない」とも訳される。

2015年、国連で全会一致で採択されたSDGs。
SDGsは「持続可能な開発目標」
0001
その「2030アジェンダ」の理念が、
この一文。

no one will be left behind.

編著者の鷲田清一さん。
「コロナ禍による医療崩壊や
経済活動の休止による生活危機の中で、
普遍的人権、なかでも、
苦難を強いられている人びとの権利を
断固守るというこの言葉が
厳しい試練に晒(さら)されている」
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つまり鷲田さんは、
苦難を強いられた人々を、
守り切ることが難しい局面にあると言う。

no one will be left behind.
これは民主主義の本質を意味する。

だとすれば、
このコロナ禍の今、
民主主義を堅守することこそが、
試練に遭っている。

鷲田さんはそう考えている。
同感だ。

鷲田清一さんは、
1949年、京都市生まれの団塊の世代。
専攻は臨床哲学・倫理学。
専門は現象学・身体論で、
「身体(からだ)」は、
「像(イメージ)」でしかないと説く。

大阪大学総長、名誉教授、
京都市立芸術大学理事長・学長、
同名誉教授。

日本の緊急事態宣言は、
どうやら5月いっぱい、
続けられそうだ。

阪神淡路大震災や東日本大震災とも、
石油ショックやリーマンショックとも、
全く異なる体験がまた1カ月間続く。

それもグローバルレベルで。
日本は周回遅れの最後尾あたり。

人の命とははかないものでもあって、
まったく納得がいかないけれど、
それがこの世から失われる以外のことは、
もしかしたら得難い時間なのかもしれない。

つまり、
“no one will be left behind”
とはいかない。

それでも、
いや、それだからこそ、
現在の自分たちには未知の体験で、
その時間を無駄にしてはならない。

そう考えて1カ月を過ごすことにしよう。
W

2020年の商人舎標語。
世のため、人のため。

ひとつひろえば、
ひとつだけ街が美しくなる。

1本植えれば、
1本だけ地球がよくなる。

ひとつ売れば、
ひとつだけ喜びが生まれる。

ひとつつくれば、
ひとつだけ価値が生じる。

ひとつ運べば、
ひとつだけ経済が回る。

世のため、
人のため。

客のため、
店のため。

街のため、
国のため。

母のため、
父のため。

子のため、
孫のため。

妻のため、
夫のため。

愛する人のため、
未来の人のため。
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2020年代の初頭、
令和2年のはじまりに。

ひとつひろえば、
ひとつだけ街が美しくなる。

1本植えれば、
1本だけ地球がよくなる。

ひとつ売れば、
ひとつだけ喜びが生まれる。

世のため、
人のため。

客のため、
店のため。

己のため。

〈結城義晴〉

2020年04月30日(木曜日)

2020年4月最後の日の韓国・台湾・日本の感染者数と死者数

チャプリンの言葉と伝えられる。
「笑いのない日は、
無駄な一日だ」
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18世紀フランスのモラリスト、
シャンフォール。
「すべての日々の中で
もっとも無駄な日とは、
笑わなかった一日である」
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中日新聞巻頭コラム「中日春秋」

あなたは今日、
笑ったか、笑えたか。

今日を無駄な日としなかったとしても、
日本の緊急事態宣言は延長される。
全国一律になるかどうか。

延長幅は5月末までか、
5月7日から1カ月後までか。

そうなると「緊急事態」ではなくなる。

「ロックダウン」は「都市封鎖」だから、
「長引くロックダウン」もありうるが、
「緊急事態」は、
それが長引いて恒常化されたら、
「緊急事態」ではなくなる。

緊急事態宣言の発令は、
4月7日に東京都をはじめとした7都府県、
4月16日に対象は全国に拡大。

そして4月25日から5月6日までが、
ステイホーム週間となった。
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それから6日間が経過して、
今日で2020年の4月が終わる。

どんな状況になろうとも、
無駄な日にしたくはない。

韓国では、
コロナ新規感染者発生が沈静化、
国民の生活は日常を取り戻しつつある。

韓国政府最新発表では、
今日4月30日0時現在で、
累積感染者数1万0765名、
そのうち9059名が隔離解除された。
死亡者数は247名。

昨日の29日0時から24時間経過して、
新規感染者数4名、
新規隔離解除者137名。

凄い成果をあげた。

パンデミックと言われる前の時点では、
中国⇒韓国⇒イラン⇒イタリアの流れだった。
韓国は感染者数で中国に次ぐ2番目だった。

しかしその後、
ウイルスの検査を徹底した。
「ドライブスルー方式」、
「ウオーキングスルー方式」。

病院内に設置した検査用ブースも用いた。
これは患者と医療者の相互感染を防ぐ。
韓国独自の対処法は奏功した。

ワシントンポスト紙は、
「一つの手本になった」と評価した。

韓国は2015年5月から、
国内でMERS感染が起こった。
「中東呼吸器症候群」である。
そして12月23日、
WHO基準に基づいて、
終息宣言が出された。

総感染者数186名、
総死亡者数38名だったが、
この経験が今回、生きた。

台湾は、
感染者数429名、
回復者数322名で、
死亡者数6名。

こちらは世界の最優等生だ。

台湾のコロナ対策成功の要因は、
「迅速性」と「徹底」。

中国・武漢市の感染がWHOに報告されたのが、
昨年大晦日の12月31日。
台湾政府は、
年明けの1月5日には専門家会議開催、
20日には指揮センターを設置。
21日に台湾内に初の感染者が出ると、
翌22日に蔡英文総統が、
国家安全会議で全力での防疫を指示した。
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中国で今年、
春節の連休がスタートしたのが、
1月24日だがそれを、
完全シャットアウトした。

韓国や台湾はきっと、
笑いのない日も、
無駄な一日も、
なくなっているのだろう。

対する日本は、
感染者数1万4305名、
回復者数3466名、
死亡者数455名。

国会中継など見ていると、
与野党含めて、
こんなレベルの話をしていていいのか、
とつくづく思う。

そのうえ問題なのは、
まだまだ先が見えない点だ。

しかし私たちは、
希望をもって、
冷静に恐れつつ、
日々を過ごしたい。

さて昨日の日経新聞の記事。
「スーパー前週比12%増加」

フリーWi-Fiの利用分析調査。
Wi-Fiを提供する施設に立ち入ると、
スマートフォンやパソコン端末に、
自動的に接続されることがある。

これによって、
人々の移動の状況がわかる。

㈱ジオロケーションテクノロジー。
フリーWi-Fiを使ったネットアクセス数を、
主な設置業態ごとに全国的に分析した。

比較したのは、
4月第3週の土日〈18日・19日〉と、
第4週の土日〈25日・26日〉。
全体のWi-Fi利用件数は2%増。

「スーパー」は12%、
ホームセンターは9%、
ドラッグストアは7%増えた。

ここでいう「スーパー」は、
総合スーパーとスーパーマーケット。
業態の概念が薄い。

鉄道は2%増、バスは5%増。
公共交通機関の利用も増加している。

反対に休業要請のあった業態は、
ファストフードが20%減、
ホテル・旅館は8%減。

中期の動向分析のために、
感染拡大前の1月18日・19日を100として、
増減率を算出すると、
スーパーは4月第3週が116、
第4週が130と増え続けた。

各社の売上げ増と妥当な比例を見せる。

コンビニエンスストアは、
4月第3週が66、
第4週は69。

想像以上の苦戦だ。

一方、ホテル・旅館は第4週で25、
百貨店は第4週が15まで落ち込んだ。

こういったインターネット調査も、
ID-POSデータなどと掛け合わせたり、
クロスさせたりして、
顧客の動向がわかってくる。

顧客の動静を把握することと、
国民の動向を承知することとは、
もちろんつながっていて、
これはコロナ対策などに影響を与える。

日本は残念ながら、
その面では遅れているかもしれない。

遅れているといっても、
全国民が遅れているのではない。

政治家や官僚のトップ、
産業や経営の幹部など、
様々な局面のリーダーが、
リテラシー不足だと思う。

もちろん私自身も例外ではない。

以って自戒とし、
無駄な一日をつくらないよう、
学び続けながら生きよう。

〈結城義晴〉

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