結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年10月10日(木曜日)

セブン&アイ決算説明会の「自主MDは間違い」か?

「ハギビス」と名づけられた台風19号。
いよいよ上陸が決定的となってきた。

ワールドカップラグビー2019。
12日開催予定の2ゲームの中止が決まった。

豊田市のニュージーランド対イタリア、
横浜市のイングランド対フランス。

惜しいなあ。

ラグビーワールドカップは、中止したら再戦はしない。

とくに英仏対決は見たかったなあ。

私たちも、
土曜日曜に計画していたゴルフ合宿を、
残念ながら中止とした。

今日は朝から東京・池尻。

遊歩道の先に東名高速と国道246号線が見える。
有名なニー・ヨン・ロク。IMG_10499

東邦大学付属大橋病院。IMG_10469

大改装移転して、
素晴らしい現代病院に変身。

今日は半年に一度の眼の検査。
私の右目は、
白内障、網膜剥離、緑内障と、
眼病の百貨店状態。

それでも右目から、
わずかでも視力と光が得られるならば、
最悪を覚悟して、最善を尽くす。
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一度、横浜商人舎オフィスに戻って、
再び、渋谷へ。
IMG_10509

渋谷ファーストタワー。
ベルサール渋谷ファースト。IMG_10519

セブン&アイHD決算説明会。IMG_10529

スライドを映しながら、
井阪隆一社長が延々と説明してくれる。IMG_10539

井阪さん、手元の資料を見続ける。DSCN77179

全体の数字を解説し、
そごう西武、イトーヨーカ堂、
日米のセブン-イレブン。
事細かに説明してくれる。DSCN76959

誰かに任せてもいいのだろうが、
それが自分の役目だと言わんばかり。DSCN76669

セブン-イレブンの説明のときには、
前を向いて自信をもって話す。DSCN76589

井阪さんの専門分野だからだ。DSCN77639

説明が終わると質疑応答。DSCN79199

左から井阪隆一社長、
後藤克弘セブン&アイホールディングス副社長、
伊藤順朗同常務執行役員、
永松文彦セブン-イレブン・ジャパン社長。DSCN79219

これにもほとんど井阪さん一人で答えた。DSCN79349

コンビニエンスストア問題に関しては、
永松さんが簡単に回答した。DSCN79519

井阪さんとともに、
3カ月3割減俸となった後藤さん。
セブン・ペイの問題を理由に、
デジタル戦略推進本部長の役職も解かれ、
記者会見では終始、無言。DSCN79009
㈱セブン・ペイ小林強社長は退任。

「一番の問題は、
グループ全体のセキュリティー意識の欠如」
井阪さんは何度も答えた。

しかし私なら、そうは言わない。

自分の問題意識の欠如、と言う。

詳細は商人舎流通スーパーニュース。
セブン&アイnews|
第2Q 3兆3132億円減収も増益、海外コンビニ牽引

さらに月刊商人舎11月号で、
結城義晴の分析。
セブン&アイはどこに向かったらいいか。

記者会見が終わると、
例によって囲み取材。

井阪さんと永松さんに、
輪ができた。DSCN79609

テレビカメラも囲みの外側から映す。DSCN79619

私は田中陽さんと懇談。
日本経済新聞社編集委員。DSCN79689
日経新聞の「流通の権威」。

みなさん、田中さんの署名記事は、
見逃さないでください。

ときどき私もこのブログで、
その記事を解説させていただく。

さて、セブン&アイホールディングスは、
どこに行けばいいのだろう。

今回は利益は最高益だったものの、
3000人のリストラと組織構造改革ばかり。

その先に何が見えているか。

それにしても井阪さんの発言の中の、
「自主MDが間違っていた」。

この考え方は間違っている。
そのやり方が間違っていただけで、
自主MDを止めてはいけない。

将来を見失うことにならねばいいが。

〈結城義晴〉

2019年10月09日(水曜日)

吉野彰ノーベル賞とライフ&イオンの中間決算記者会見

超大型猛烈台風19号が上陸しそうだ。
しかし、秋の空と秋の雲は、
美しい。
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その台風来襲の前に、
うれしいニュース。

2019年ノーベル化学賞。
旭化成㈱の吉野彰名誉フェローらが受賞。
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1970年に京都大学工学部石油化学科卒業、
72年に同大学院工学研究科修士課程修了。
すぐに旭化成に入社して研究畑へ。
80年代にはリチウムイオン2次電池の、
応用研究を開始。

充電することによって、
繰り返して使うことが出来る電池だ。

さらに電気自動車(EV)への転換のなかで、
リチウムイオン2次電池は、
車の電動化に欠かせないエネルギー源だ。

吉野さんは、
技術イノベーション力のために、
基礎研究と応用研究の両輪を、
バランスよく充実させよと説いている。

日経新聞のインタビューに答える。
「基礎研究は10個に1個当たればいい。
無駄なことをいっぱいしないと
新しいことは生まれてこない。
自分の好奇心に基づき、
何に使えるかは別にして、
新しい現象を一生懸命
見つけることが必要です」

一方の応用研究。
「もう1つは逆で、
本当に役に立つ研究」

川上川下論も展開する。

「電池そのものは
川下じゃなくて川中にあたる。
電池業界だけじゃなくて、
世界全体の産業変化として、
川中がなくなってきた」

「川下と川上がダイレクトにつながるのが
成功パターンになっている。

「川中に相当する部分の元気が
なくなってくるのはしょうがない。
自分が川中に来たなと思ったら、
川上に行くか、
徹底的に川下に行く必要がある」

「川下はGAFAの世界だから、
手ごわいとは思うが、
ちゃんとやっていかないといけない」

電池の父は、
世界の産業の趨勢を見ている。

旭化成は電池メーカーではない。
「私が電池メーカーの研究者だったら、
リチウムイオン電池を開発しなかった。
理由は開発の過程の中で
随所に材料そのものを
自分で見つけていく必要があったから」

この視点は我々にも必須だ。

今日は中間決算の記者会見。
毎年、この時期は海外に行っているから、
出ることができない。

今年は楽しみにしている。

まず、東京・日比谷の東京商工会議所。
㈱ライフコーポレーション。IMG_102999

真ん中は岩崎高治社長と清水信次会長。
右が河合信之取締役、左が宮田孝一部長。DSCN73959

河合さんが決算内容を丁寧に説明して、
岩崎さんが質疑応答にてきぱきと答える。DSCN74239

93歳の清水会長。
質問には答えないが、
場の空気を感じて、
マスコミからの会社への評価を測り取る。DSCN74269

岩﨑さんはどんな質問も、
きちんと聞いて、きちんと答えてくれる。
それが実にいい。
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決算内容は、
商人舎流通スーパーニュース。
ライフNews|
営業収益3534億円1.5%増・経常利益20%増

この厳しい上半期に増収増益。
満足のいく半年だった。

この内容は月刊商人舎11月号で紹介。

その後、日本橋へ。
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テレビなどによく出てくるが、
これが「お江戸日本橋」
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日本橋三越本店。
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そして大和屋。
鰹節の老舗銘店。
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超一等地のシックな店構え。
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店主が迎えてくれた。
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社長の外山順一郎さん。
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立教大学大学院修了の修士。
結城義晴ゼミ3期生で、
「経験価値マーケティング」の修士論文、
秀逸だった。
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私は東京日本橋タワーへ。
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こちらはイオン㈱記者会見。DSCN74589

執行役の三宅香さんが、
決算概要をキリリと説明。
環境・社会貢献・PR・IR担当。DSCN74619

その内容は、
イオンnews|
第2Q 営業収益4兆2902億円、9期連続過去最高

最前列にはイオンの社長・副社長がずらり。
右から岡田元也社長グループCEO
岡崎双一副社長GMS事業担当兼国際事業担当
吉田 昭夫副社長ディベロッパー事業担当兼デジタル事業担当
そして藤田元宏副社長SM事業担当

スーパーマーケット事業に関しては、
藤田さんが理路整然と説明。
それは月刊商人舎11月号に、
結城義晴の解説付きで掲載。
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吉田さんの事業は今回も、
イオン全体をけん引した。
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記者からの質問には、
岡﨑さんと岡田さんが答えた。

とくに岡田さんが雄弁だった。
いつものように下を向きながら、
シャイなところをうかがわせたが、
中身は大胆不敵。
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イオンの大変革を促す発言だった。
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西郷隆盛は、
大きく叩けば大きく響き
小さく叩けば小さく響く

しかし今日の岡田元也は、
小さく叩いた鐘でも、
大きく響かせた。

岡田さんの強い反骨精神が、
表に現れてきて、
私は実に愉快だった。
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一言でいえば、
これまでの発想を全面転換せよ。

旭化成が専門外の仕事をした。
リチウムイオン電池開発で、
ノーベル賞を獲得した。

岡田さんはイオン全体に、
そんなことを要請し、宣言した。

この発言も、
月刊商人舎11月号に掲載。
懇切丁寧な結城義晴解説付き。

楽しみにしてください。

しかし岩崎高治、岡田元也。
今日は贅沢で愉快な記者会見ばかりだった。

この時期に海外に出るのは、
今後、控えたほうがいいと思った。

〈結城義晴〉

2019年10月08日(火曜日)

金田正一400勝298敗4490奪三振の「勝者にはなにもやるな」

金田正一が逝った。
日本野球の投手として、
間違いなく史上最高の人。
享年86。
〈BBM LEGEND SERIES3 金田正一〉
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金田の前に金田無く、
金田の後に金田無し。

前人未到の通算400勝、
14年連続20勝以上、
そして通算4490奪三振。

名球会というプロ野球のレジェンドは、
200勝を記録して入会できる。
金田はその2倍の勝利をした。

金田は万年最下位の国鉄スワローズで、
これら数々の最高記録を残した。
今の東京ヤクルトスワローズ。

あの江川卓は通算135勝、
桑田真澄も173勝。
どちらも最強の巨人軍に属して、
そのうえでの記録だ。

金田の凄さがわかる。

今、大谷翔平が登場して、
金田以来の逸材かもしれないが、
金田の貪欲さは持ち合わせていない。

作家で元東京都知事の石原慎太郎。
金田よりも一つ年上で親しい間柄だった。
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日刊スポーツに寄稿している。

金田は国鉄スワローズで大活躍した。
しかし国鉄の解体とともに、
スワローズを去る。
そして1965年、
読売ジャイアンツに移籍。

石原は大反対した。

「なんで今更、一番強いチームに
行かなきゃいけないんだ。
負け続ける国鉄スワローズを
君一人が支えている、
そこに金田正一の男があるんじゃないか」

ヘミングウェイの有名な言葉。
「勝者には何もやるな」

「この言葉こそ君にふさわしい。
それほどの大投手なんだ」

「当時の周囲は、
ジャイアンツファンばかりで、
野球中継が始まると、
みんな仕事どころじゃない。
そこに立ちふさがっていたのが、
孤軍奮闘する金田正一だった」

「鳴り物入りで巨人入りした
黄金ルーキー長嶋を迎え撃った
4打席連続三振」

「周りのジャイアンツファンたちが
“これでいいんだ”と言うんだ。
“これで、長嶋は一流の選手になる”と。
その言葉に、金田正一という男が
いかなる存在であったかが分かる」

「実際、長嶋はその翌年の開幕戦で
金田からホームランを打ち返す」

ドラマチックな話だ。

ジャイアンツに移籍してから5年、
1969年(昭和44年)。
巨人軍は川上哲治監督時代。

リーグ5連覇を決めた翌日、
金田はユニホームを脱いだ。

その直後に、
野球通の詩人サトウハチローが、
金田に詩を贈った。
「つくりあげた大記録
大声でほめたたえても
なおほめたりない大記録」

桑田真澄が不振に陥ったときに嘆いた。
「こんな苦しい野球人生は初めて」

金田正一が一喝。

「俺は400勝しているが、300敗している。
おまえの負けなんてたかが知れている」

それが桑田投手を立ち直らせた。

正しくは298敗。
これが金田の金字塔だ。

将棋の加藤一二三。
元名人、ヒフミン。
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将棋史上唯一無二の記録を持つ。
それが1100敗。

通算成績は1324勝1180敗。

あの大山康晴15世名人は、
1433勝781敗だったから、
加藤一二三の負け数はすごい。

金田はその後、
ロッテオリオンズの監督となった。

私は一度、父と川崎スタジアムに、
応援観戦に行ったことがある。

強い者を倒そうと、
立ち向かう側に身を置いた。
それが金田正一の本質だった。

だからジャイアンツにいた5年間。
金田にはちょっと精彩がなかった。
私はそう感じた。

石原慎太郎と同じ思いだ。

全盛期の心境を書き残している。
「ワシの上にはもう誰もおらんのや…
充実した感慨……
限りない淋しさも感じましたよ」

しかし中日新聞「中日春秋」
「だれも達したことのないような境地に
達したプロ野球史上最高の左腕がいて、
巨人には若きONがいて。
二度と訪れない輝かしい時代を残した」

同感しつつ、ご冥福を祈りたい。

朝日新聞「折々のことば」
昨日の第1603回。

Were all the year
One constant sunshine,
We should have no flowers.
(宮城県のコンビニエンスストアで)

編著者の鷲田清一さん。
コンビニのトイレに入ると、壁に、
100円ショップで売っている、
英文のステッカーが貼ってあった。

「年中、快晴の日ばかりだと
花は咲かない」

調べると17世紀英国の詩人の詩の一節。
ヘンリー・ヴォーンの「Affliction(苦悩)」

鷲田さん。
「湿りや陰りは、
多すぎても少なすぎても
人生をだめにする。
用足しついでにしばし、
こうしたふり返りへと誘う個室、
なかなかに素敵だ」
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良い店だ。

プロ野球界も、
巨人ばかりでは花は咲かない。

日陰のスワローズで輝いた金田正一。

そういえば、
金田監督時代のロッテオリオンズは、
ジプシー球団と呼ばれて、
仙台宮城球場を本拠地にしていた。

東京・大阪ばかりが野球じゃない。

ロッテはいま千葉マリーンズ。
仙台には楽天イーグルスがある。

金田正一や長嶋茂雄・王貞治はいないが、
日本のプロ野球は、結構、
いい方向に来ているのかもしれない。

ローカルやリージョナルが輝き、
機能するところは、
日米欧の流通業と同じだ。

そして「勝者にはなにもやるな」
勝者は負け数も圧倒的に多い。

イオンやセブン&アイ、
そしてファーストリテイリングには、
この言葉が贈られる。

それも金田が残した前例だ。
金田の功績の一つだろう。

合掌。

〈結城義晴〉

2019年10月07日(月曜日)

知的にコントロールされた戦いは「芸術」である!

Everybody! Good Monday!
[2019vol40]

2019年第41週、10月第2週。
もう秋真っ只中のはずだが、
まだまだ暑い日もあって、
地球温暖化の進捗を実感させられる。

だが、世界の両雄となった米中が、
この件に関して無神経であるから、
時代は20世紀に戻りつつある。

なんということだ。

月刊商人舎Webコンテンツ。
月曜朝一の2週間販促企画。

消費税が10%となった後の、
大手2社の消費喚起販促を取り上げる。

まずイオン。
グループを挙げたプロモーション展開。

ion
10月は「トップバリュ誕生50周年記念」
⑴50%増量セール
⑵ポイント還元プロモーション

⑵はイオンカード、電子マネー「WAON」、
共通ポイント「WAON POINT」が対象。

イオン九州は「本気の値下げ」。

5倍ポイントセールは当たり前。
10倍、20倍のボーナスポイントなど、
ポイント還元合戦はし烈だ。

予想通り。

しかし背に腹は代えられない。

そして西友。
新価格プログラム「超超得」を実施する。

これまでは「超得」「今トク」。
ウォルマートのロールバックと同じ。

その対象アイテムの中から、
さらに値引きして販売する。

「飲料・加工品など」と「生鮮」。
それぞれ数アイテムを選んで、
毎週3日間限定で展開。

飲料・加工品は週末の土・日・月、
生鮮食品は週中の火・水・木。

すでに8月から、
3つの新価格プログラムを展開中。
「超得」「今トク」「プライスロック」。
それに「超超得」が加わる。

セブン&アイはこれに加わらないが、
ドン・キホーテ&ユニーは、
「驚安」作戦だから、
大手流通業は消費増税に対して、
こぞって価格政策を採用することになる。

何しろこの消費増税前までは、
エブリデー高価格だったコンビニが、
国民の「血税」を活用して、
2%ディスカウントする。

だから大手は、
顧客の価格コンシャスに、
スケールで対抗する。

利益にはしばらく目をつむって、
「背に腹は代えられない」。

一方、キャッシュレス化
着実に進んでいる。

もちろん資本金5000万円以下の小売業。
従来、キャッシュレス決済の割合が、
3割強だった店は、
5割にまで上がっている。

1割から2割くらいは、
キャッシュレス化比率が高まる。

しかしだからといって、
売上高が上がるわけでもないし、
客数が増えるわけでもない。

顧客の心理は、
「ポイント還元、プレミアム商品券、
使わないという選択肢はないやろう」

佐藤健と鶴瓶が出演するCM。
ドリームジャンボ宝くじ。
「買わないという選択肢はないやろう」
200

さて「Harvard Business Review」、
最新号が届いた。
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一本特集は、
「従業員エンゲージメント」

巻頭の記事はこれ。
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ビジネスに「知性」を与えてくれる。
月刊商人舎もそれを志向する。

さて、今週末も、
台風19号が日本列島に近づく。

それでもスポーツ界に、
停滞はない。

ラグビーワールドカップは、
週末13日のスコットランド戦に向けて、
最高潮を迎える。

一方、カタールのドーハでは、
陸上世界選手権。
男子400mリレー決勝で、
日本チームは37秒43のアジア新記録。
2大会連続の銅メダル。

多田修平⇒白石黄良々⇒桐生祥秀、
そしてアンカーはサニブラウン・ハキーム。
〈日本陸上競技連盟公式サイトより〉
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2016年リオ五輪のアジア記録を、
0秒17短縮。

凄い記録だ。

女子ゴルフは畑岡奈紗が、
日本女子オープンで3度目の優勝。
この4年間は、
優勝⇒優勝⇒準優勝⇒優勝。
これも凄い。

そしてプロ野球クライマックスシリーズ。
セントラルリーグでは、
ペナントレース3位の阪神タイガースが、
2位だったDeNA横浜ベイスターズを、
雨中の闘いで破った。

最後は藤川球児が2回を抑えて勝利。
〈阪神タイガース公式サイトより〉
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パシフィックリーグも、
ソフトバンクスホークスが、
楽天ゴールデンイーグルスを撃破して、
最終ステージに進出。

ほぼ日の糸井重里。
「今日のダーリン」。
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「”敵を憎むというかたち”以外に、
戦いはあるはずだ」

同感。

「ラグビーには、
それが見えるのが気持ちがいい」
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「もしかしたら、
やせがまんをしているのかもしれないが、
それならそれでいいではないかと思う」

「”どういうやせがまんをするか”こそが、
その世界の文化なのだと、ぼくは思う」

そして糸井重里の秀逸コピー。
「”知的にコントロールされた戦い”は、
芸術である」

消費増税後の様々な政策に必要なのも、
「知的にコントロールされた戦い」である。
「芸術」と呼ばれるほどの商戦である。

“敵を憎むというかたち”以外の戦いである。

では、みなさん、今週も、
知的にコントロールされた商売を。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2019年10月06日(日曜日)

今月の商人舎標語「ビッグデータマーケティングしよう!」

商人舎今月の標語。
この公式ホームページの右段に、
「今月の標語」として掲載している。
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「過去の標語を見る」をクリックする。
すると新しいものから順に、
20の標語が現れる。

ずっとクリックしていくと、
一番最初は2008年6月の標語。

「節約、倹約。もったいない」

商人舎を2008年2月1日に発足させて、
このホームページをベースキャンプとした。

そして5カ月後から、
「商人舎今月の標語」を始めた。

今もこの標語の大切さは、
変わらない。

「節約、倹約。もったいない」は、
SDGs(持続可能な開発目標)の、
17の目標につながる。
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「商人舎今月の標語」は数えてみると、
137編ある。

2013年5月に、
月刊商人舎を発刊して、
その巻頭に「Message」を書き始めた。
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その後は、
雑誌のMessageのタイトルを、
今月の標語にしている。

こちらは77編となっているが、
一番最初の[2013Message of May]は、
「商売は科学だ」

リテールをサイエンスせよ。
いや、商売は勘と経験だ。
あなたは、どっち派?

現代の消費社会と情報社会を鑑みれば、
明らかに、サイエンス派が有利に見える。
しかし――。

多くの小売り現場では、
まだまだ「勘と経験」や、
変な「人間力」が幅を利かせている。

この時、最も人間臭いゲームの
「第2回将棋電王戦」において、
コンピュータソフトが
天才プロ棋士たちをなぎ倒してしまった。

そして人間の天才たちは述懐した。
「コンピュータを使ってでも
もっと強くなりたい」

だとすると商売も、
「強くなる」ために、
徹底的に科学しなければいけない。

心底、お客のためにと
思い詰めるならば、
サイエンスしなければならない。

そして
「商売は科学だ」と
胸を張らなければならない。

この境地に至って初めて、
「勘と経験」も
最高のレベルで活かされるのである――。

今でも商売の科学性は増すばかり。
この大潮流は変わらない。

そして[2019Message of October]
10月の商人舎標語。
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ビッグデータマーケティングしよう!

Marketをingする。
市場を現在進行形で、
揺さぶる、動かす。
それがMarketingだ。

マーケットをリサーチし、
マーケットをセグメントし、
ターゲティングし、
ポジショニングする。

製品のプロダクト、
価格のプライス、
流通のプレース、
販売促進のプロモーション。

カスタマーソリューション、
カスタマーコスト、
コンビニエンス、
コミュニケーション。

4つのP、
4つのC。
それぞれ相対的に呼応する。
それがマーケティングミックスされる。

生産・製品主導のマーケティング1.0、
顧客中心のマーケティング2.0、
人間と価値中心のマーケティング3.0。
そしてデジタル世界のマーケティング4.0。

売り手良し、
買い手良し、
世間良し。
三方良し。

モノやサービスがひとつ売れる。
ひとりのお客に売れる。
その一行の記録がデータである。
一行が無限に近づいてビッグデータとなる。

そして膨大になればなるほど、
ビッグデータはまた、
新しいマーケティングと結びつく。
新しい顧客満足と新しい顧客創造を繰り返す。

ビッグデータマーケティングは、
もっとも大事なノンカスタマーを明らかにする。
外の情報を組織内に教えてくれる。
そしてひるがえってひとりのお客を喜ばせる。

ビッグデータのマーケティングは、
ひとりのお客を裸にするものではない。
ひとりのお客に、
ひとりの自分を見つけ出させ、
ひとりのお客を「お薦めする人」に
変えていくのである。

〈結城義晴〉

2019年10月05日(土曜日)

ワールドカップラグビー「サモア対ジャパン」の地球の一廻り

第9回ワールドカップラグビー。
4つのグルーピング。
そのプールA。

日本、アイルランド、
スコットランド、サモア、
そしてロシア。

日本はロシアに勝ち、
アイルランドに奇跡を起こし、
第3戦はサモア。
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マッチ前のデレゲーション。
リーチマイケルを先頭に、
肩に手をかけて行進。
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これ、日本らしくて、
とてもいい。

君が代斉唱。
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サモアのWar Cry。
「闘いの雄叫び」
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キックオフ直前の「儀式」。

もっとも著名なのが、
オールブラックスの「ハカ」。
もちろんニュージーランド代表。

世界ランキング第1位のチームのハカは、
強いチームだからこそ、
なんというか威厳があって、
効力もある。

大相撲の横綱の土俵入りと同じだ。

100年以上も前に、
オールブラックスが始めた。

先住民族マオリは、
自らを鼓舞するために、
戦いの前に踊った。

それが取り入れられた。

現在は、冠婚葬祭で行われる。
学校の式典でも披露される。

War Cryをするのはほかに3カ国。
トンガ代表は「シピタウ」。
フィジー代表は「シビ」。

そしてサモア代表は、
「シバタウ」。
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ラグビーとサッカーの違いは、
この精神性や様式美にある。

竹中郁(たけなか いく)
1904年4月1日に生まれ、
1982年3月7日に没した。

明治生まれの詩人。

北原白秋に師事し、
モダニズムポエムを書く。

1932年刊行の詩集『象牙海岸』に、
シネポエム「ラグビイ」がある。

「ラグビイ」

1 寄せてくる波と泡とその美しい反射と
2 帽子の海
3 Kick off! 開始だ 靴の裏には鋲がある
4 水と空気とに溶けてゆくボールよ 楕円形よ 石鹸の悲しみよ
5 《あっ どこへ行きやがつた》
6 脚 ストッキングにつつまれた脚が工場を夢みてゐる

神戸製鋼の工場だろうか。
青年たちがラグビーの試合をしている。

詩人はそれを描く。

8 俯向いてゐる青年 考へてゐる青年 額に汗を浮かべてゐる青年 叫んでいる青年 青年 青年 青年はあらゆる情熱の雨の中にゐる 喜ぶ青年 日の当たつてゐる青年
9 美しい青年の歯

青年たちの観察と描写。
そして工場と労働者。

10 心臓が動力する 心臓の午後三時 心臓は工場につらなつてゐる 飛んでゐるピストン
11 昇る圧力計
12 疲労する労働者 鼻孔運動

ラグビイの花はタックルだ。

13 タックル 横から大きな手だ 五本の指の間から、苔のやうな人間風景
14 人間を人間にまで呼び戻すのは旗なのです 旗の振幅 《忘れてゐた世界が再び眼前に現れる》 三角なりの旗 悪の旗

15 工場の気笛 白い蒸気 白い蒸気の噴出、花となる
16 見えぬ脚に踏みつけられて、起きつづける草の感情 中に起きられない草 風、日に遠い風のふく地面

17 ドリブル六秒 ころがるボール 雨となるベルトの廻転
汗をふいて溜息する青年 歪んでゐる青年 《ボールは海が見たいのです》
18 伸び上る青年 松の尖つた枝々

密集のスクラムからトライへ。

19 密集! 機械の胎内 がつちりと喰ひ合つてゆく歯車
20 ぐつたりとする青年 機械の中へ食はれてゆく青年 深い深い睡眠に落ちこむやうに

21 何を蹴つてゐのだろう 
22 胴から下ばかりの青年 
23 《ああ僕は自分の首を蹴つてゐる》
24 Try!

番号が付けられたシネポエム。
30まで続いて、雨が降って終わる。

ワールドカップラグビーも、
この工場での闘いと変わらない。

Kick off。

タックル。

密集、スクラム。

Try!

俯向いてゐる青年
考へてゐる青年
額に汗を浮かべてゐる青年
叫んでいる青年
青年
青年
青年はあらゆる情熱の雨の中にゐる
喜ぶ青年
日の当たつてゐる青年

日本対サモア戦は、
38対19。

ペナルティキックでリードし、
トライを決めて勝ち越した。

そのトライも、
フォワードからバックスへつないでの、
見事なランニングトライ。

ドライビングモールトライ。

フォワードの突撃トライ。

ラストプレーでは、
粘りに粘ってスクラムからのトライ。
4トライのボーナスポイント獲得。
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堂々の、日本らしい勝利だった。

お見事!!

あとはスコットランド戦。

最後に再び竹中郁。
詩集『そのほか』から「足どり」。

足どり

見知らぬ人の
会釈をうけて
こちらも丁寧に
会釈をかえした

二人のあいだを
ここちよい風がふいた

二人は正反対の方向へ
あるいていった

地球を一廻りして
また出会うつもりの足どりだった

サモアのラガーとジャパンのラガー。
地球を一廻りして、
また出会おう。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2019年10月04日(金曜日)

9月調査の消費者心理低下と安倍首相所信表明の「あとすさり」

横浜商人舎オフィス。
そばを流れる新田間川。IMG_09749

南の空には雲。
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港のほうを振り向く。
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ランドマークタワー。
IMG_09779

やけに近く見える。
IMG_09809

遊歩道には緑。
IMG_09819
気分のいい一日。

しかし今日が、
月刊商人舎10月号責了日。
頑張ります。

さて、9月の消費動向調査。
消費者動向調査
一昨日、内閣府が発表。
消費者態度指数は35.6。
前月から1.5ポイントのダウン。
消費者マインドの度合いを示すが、
12カ月連続の悪化。

比較可能な2013年4月以降、
最低の水準。

言わずと知れた消費増税で、
消費者心理は冷え込んでいる。

調査方法が異なるが、
東日本大震災後の2011年6月以来の低さ。

この消費者動向は4項目で測る。
①暮らし向き
②収入の増え方
③雇用環境
④耐久消費財の買い時判断
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いずれも前月より低下。

安倍晋三内閣は、
キャッシュレス決済ポイント還元や、
プレミアム付き商品券の発行など、
数々の施策を打ち出した。

それでも消費者心理は、
ひどく冷え込んだ。

今日から第200回臨時国会。
内閣総理大臣の所信表明演説
20分の演説の全文を読んでみたし、
テレビでちょっと演説を聞いたが、
私には響くところは少なかった。
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第1に「一億総活躍社会」をアピールし、
第2に「地方創生」や成長戦略を主張し、
第3に外交と安全保障を語った。
「自由貿易の旗手」だとか、
「地球儀を俯瞰する外交」だとか、
ちょっと目新しい言葉遣いをしたが、
中身はない。

最後は「道しるべは憲法です」
「令和の時代に、日本が
どのような国を目指すのか。
その理想を議論すべき場こそ、
憲法調査会ではないでしょうか」

この「憲法調査会」は言い間違い。
「憲法審査会」でなければいけない。

あとで野党幹部から、
盛んに皮肉られた。

しかし一昨日の、
消費者心理の冷え込み調査発表は、
今日の所信表明演説全体を、
皮肉に覆いつくしていた。

残念!!!!

朝日新聞「折々のことば」
第1600回。
あさってから
手紙がくるよ

あしたのことが
書いてある


あしたってつまり
きのうのこと

あしたのわたしは
ごきげんですか

(多田智満子さんの詩「夏の手紙」)
〈『封を切ると』から〉
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「あさって」からの手紙に続いて、
「おととい」からも手紙が来る。

その手紙に書いてあるのは、
きのうのわたしは
ごきげんですか

安倍首相にも、
おとといの消費動向調査から、
消費マインド低下の手紙が来る。

ごきげんなはずはない。

わたしをあしたに
渡しかね

すすむつもりで
あとすさり

ああ、ぴたり。

すすむつもりで
あとすさり

仕方ない。
それが今の日本だ。

商業が消費者マインドを高めよう。

それでも必要なのは、
いつもの私の言葉。

小さな喜び
ささやかな幸せ
明日への希望

〈結城義晴〉

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