結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2008年10月21日(火曜日)

長期景気後退のカスミ社長小濵裕正さんの「蛻変の哲学」

「景気後退」
昨20日、政府は、10月の月例経済報告で発表した。

輸出、生産、雇用、個人消費、業況判断、倒産。
この6項目で下方修正。

国内総生産(GDP)の半分以上を占める個人消費も、
12カ月ぶりに下方修正された。

「いまさら」という感じが強いが、
やっと政府が景気後退を認めた。

景気には山と谷がある。
その山から谷への、下り坂のカーブが、
日本経済において鮮明になったということ。

そして問題は、これがいつまで続くかという点。

景気後退局面での最長は、36カ月。3年。
これは1979年の第二次オイルショックの後。

次が32カ月。
これは1990年のバブル崩壊後の長期不況。

今回は、この二つの景気後退局面と比べてどのくらいなのか。

世界の情勢をみると、それ以上か。
日本の状況を考えると、同等か、それ以下か。

いずれにしても、2010年まで続くと考えておいた方が、
安全だろう。

2010年。ずっと言っている。
これが節目。

そこまで、潜水泳法。
そこまで「節約、倹約。もったいない」が基調。
ときどき「失敗を恐れない」。

そして「原理・原則、全うせよ」
「だからを廃し、にもかかわらずを貫け」
商人舎標語が生きてくる。

さて、昨日は、つくばエクスプレスで茨城県つくばへ。
カスミ本社。

小濵裕正社長インタビュー。

商人舎と商人ねっとのコラボレーション事業、
「CDオーディオ・セミナー」の収録、第4回。

小濵さんとは8月のはじめにお会いした。
2Shot3
カスミのつくばセンター。

ほんとうにいい気分だった。

今回は、真剣勝負のインタビュー

素晴らしい内容だった。
心から感謝したい。

インタビューは社長室の隣の応接室で。
カス1

小濵さんの経験、実績、見識。
現在の日本の商業界で、群を抜いている。

小濱社長

ご自分のキャリアから、カスミの改革。
ダイエー時代のエピソード。
そして日本のスーパーマーケット、
アメリカのスーパーマーケット。

日本のチェーンスストア。

話題は、多岐に及んだ。
小濵さんはすべてに、明快な解答をもっていらっしゃる。
小濱社長3

カスミは、現在、3つのフォーマットを持つ。
①フード・スクウェア30店
②フード・マーケット88店
③フード・オフ・ストッカー16店

このうち、従来型のフード・マーケットは、少しずつ減っていく。
そして二つのフォーマットを北関東で展開することとなる。

この考え方は、コーネル大学の
「マルチ・フォーマット戦略」である。

とにかく、私と考え方が一致することばかり。
うれしくなった。

ダイエーで育ち、
さまざまな新規業務や新規事業を推進し、
労働組合の専従を経験し、
マルエツの立て直しをし、
そしてカスミを再建した。

その間、チェーンストア理論を学び、
その是非を検証し、
現在に至る。

良いインタビューだった。
私は、心の底から満足した。
結城

最後に写真。
小濱社長2

インタビューには収録されなかったが、
小濵さんの座右の銘。
「蛻変」
座右
蝉のように、あるいは蛇のように、
脱皮し、変態してゆかねばならない。

企業も人間も。

私も、まったく同感。

私は、商業界で30年、商業の近代化を追及した。
いま、蛻変の如く商人舎で「現代化」を目指す。

「近代化」と「現代化」は蛻変の如く異なる。

それが分かった。

小濵さんに、心から感謝したい。

最後にカスミ秘書室広報担当の小倉美也子さんとツーショット。
小倉さんにも感謝。

いい一日だった。

今日も、仕事した、という実感をもった。

<結城義晴>

小倉さんと

2008年10月20日(月曜日)

「にもかかわらずの論理」の“What a wonderful world”と収穫祭ハロウィンのお勧め

Everybody! Good Monday!

2008年10月20日、月曜日。

ルイ・アームストロングの
“Wtat a wonderful world”から、
始めてみましょう。

What a wonderful world [Photo by K.Mondo]

I see trees of green, red roses too,
I see bloom for me and you,
And I think to myself, what a wonderful world.

緑の木々が見える、真っ赤なバラも。
僕と君のために咲いている。
僕は思う、なんて素敵な世界なんだろう。

I see skies of blue and clouds of white,
The bright blessed day and the dark sacred night,
And I think to myself, what a wonderful world.

青い空が見える、白い雲も。
満たされた太陽の輝き、聖らかな夜の深さ。
僕は思う、なんて素敵な世界なんだろう。

The colors of the rainbow, so pretty in the sky,
And also on the faces of people going by.
I see friends shaking hands, saying how do you do,
I know they’re really saying I love you.

七色の虹が、美しく空に掛かる。
行き交う人々の笑顔にも。
「こんにちは!」挨拶をかわし握手する友たち。
心から親しさを表わして。

I hear babies cry, I watch them grow,
They’ll learn much more than I’ll ever know,
And I think to myself, what a wonderful world,
Yes I think to myself, what a wonderful world.

赤ん坊の声が聞こえる、その未来が見える。
きっと僕が知らないことを、たくさん学ぶんだろう。
僕は思う、なんて素晴らしい世界なんだろう。
そう僕は心から思う、なんて素晴らしい世界なんだろう。

ひょんなことから、サッチモの歌の、
歌詞を翻訳しながら、歌声を聴いていたら、
それが耳から離れなくなって、
Good Mondayへの登場と相成りました。

いま、世界は「大恐慌」などと騒がれつつも、
「なんて素晴らしい世界なんだろう」
未来に希望を持ち続ける人々によって、
維持、推進されています。

知識商人は、あくまでも、その推進の主役でなければならない。
私は、そう思うのです。

実体経済に、貨幣経済の破綻の矛先が向かいつつあります。
実体経済の大きな担い手のひとつが、
商業とホスピタリティビジネス。

だから私たちは、「Yes, What a wonderful world」と
口ずさみながら、明るく、前向きに、
やや楽天的に、生きなければならないのです。

さて、10月も終盤に入ってきました。

もう、12月年末商戦への対策も決まってくるころでしょう。

欧米では、10月末のハロウィンに全力を投入しながら、
11月終盤のサンクスギビングデー、
そして12月最後のクリスマスへと、
三大イベントが続く。

まさに「ホップ・ステップ・ジャンプ」。
キリスト教の社会的習慣とプロモーションとが、
密接に絡んで実体経済を喚起する。

今年も、貨幣経済危機真っただ中のアメリカでは、
収穫祭のハロウィンを、実体経済の象徴のように、
皆で、祝った。

ウォルマートのハロウィン
この不況の中で気を吐くウォルマートは、
その先頭を切ってハロウィンを盛り上げた。

日本でも、昨年は、徐々に
ハロウィンのイベントが盛り上がってきた。

昨年のこのブログでは、
10月31日の「サーティーワンアイスクリーム」のハロウィン記事が、
一番のアクセス数を稼いだ。

そこに私は書いた。

「ハロウィンは、もともとはガリア人(ケルト人)の収穫祭。
ガリアは、ユリウス・カエサルの「ガリア戦記」で有名だが、
ローマから見たフランス地方をガリアといった。

それがカエサルによってローマ属国になり、ローマ化し、
そのローマが今度は、キリスト教国になって、
このガリア人の収穫祭もキリスト教の祭りのひとつとなり、
ヨーロッパに広がり、アメリカに広まった。日本でも」

いかがだろう。

来週に向けたハロウィンの提案。
それも大がかりなプロモーション。

「秋の収穫祭」それがハロウィン。

先週末にご提案願った林廣美先生の「新米のちらし寿司」
これも考えてみると「秋のお米の収穫祭」の引き出物だ。

最も重要なことは、
「ホップ・ステップ・ジャンプ」の、
三段階で年末商戦を迎えること。

日本の年末は年始に続く。
クリスマスだけで終わりはしない。
欧米より、この面では有利。

その「ホップ・ステップ・ジャンプ」の計画をつくること。

ハロウィン収穫祭は、その「ホップ」になる。

不況だ。
金融危機だ。
競合が激しい。

そこで「だから」と思うか、
「にもかかわらず」と考えるか。

“Yes, what a wonderful world”は、
これは間違いなく、
「にもかかわらずの論理」なのです。

さあ、今週も。
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

[追伸]
今週金曜日24日朝10時から。東京・お台場ファッションタウン。
「不況でも惣菜は売れる!」セミナー開催。
ご参加ください。
「不況にもかかわらず」元気をお分けいたします。

2008年10月19日(日曜日)

ジジとニューヨーク[日曜版]

ジジ1
ユウキヨシハルさん、
帰ってきました。

ボク、安心しました。

ニューヨークでの、さいごのコーギ。
講義

ノブ・ミゾグチさんと、
かたい握手で、おわかれ。
溝口さん

たくさんシゴトしてきた。
jiji2

コロンバス・サークル。
コロンバスサークル

ホール・フーズというお店。
ホールフーズ

ブルックリンのバットマン。
バットマン

キンユウ危機でも、
街は、元気だった。
町並み

お父さんも、ゲンキをなくさなかった。
ゲンキをもらってきた。
jiji3

ヒコーキから、夕日を見た。
デトロイト1

デトロイトの街。
デトロイト2

いろんなところに、いってきた。
そして、ボクのところに、
もどってきました。
jiji4

おかえりなさい。
すこし、やすんでください。

ボクも一緒に、やすみます。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2008年10月18日(土曜日)

ニッチのインディペンデント・スーパーマーケット「マーケットバスケット」はおかず屋に徹する

「景気が悪くなっているのに、物価が上がる」
これをスタグフレーションというが、
私は「高速道路渋滞のような現象」と表現している。

その高速道路の渋滞、
貨幣経済と実体経済のねじれによって生まれていた。

貨幣経済の驚くべき膨張と実体経済の縮小。
しかし貨幣経済が、株価の暴落で急落。

だから、世界の原油高、穀物相場高は、是正されはじめた。

これも驚くべき早さ。

先進国の共同歩調が奏功したこともある。

原油は、ニューヨーク先物市場で1バレル70ドル。
3カ月で半値となった。
小麦や大豆も小康状態から、下落状態へ。

しかし、高速道路の渋滞は、蛇腹のように歪だ。

先の方は、空いているのに、ここは渋滞。
つまりタイムラグがある。

それが現状。

世界相場は下がっているのに、
国内では値上げの商談が行われたりしている。
そしてたとえ下がっても、高止まり。
私の、最初からの指摘。

それでも、世界的危機に対しては、予想より早い処置。
人間は、学習する。

アメリカの消費社会を見ていても、
大衆の辛抱強さ・根強さを感じずにはいられない。

もうひとつの話題。
日本経済新聞が「優良企業ランキング」を発表。
30回目になる。

総合1位は任天堂。
2年連続。

総合2位は、3年連続でファナック。

商業分野では、55位のローソンが最高位
58位の島忠が2位
77位のイオンが第3位。

このランキング、来年は、順位が大きく動く。

安定性の高い会社が評価される。
それは、株式時価総額などの要素ではなく、
「信用」という長期評価に、
少しだけでもシフトした結果になってもらいたいものだ。

さて、アメリカ小売業レポートの連載。

マンハッタンの対岸ニュージャージー。
その「ニコラス・マーケット」から車で15分ほどの高級住宅地。
「マーケット・バスケット」。
1960年に始まったオーナーシップ経営のスーパーマーケット。
1店舗のインディペンデント。

これも「ニッチ」を形成している。

私自身の経験では、30年前に、
同じ「マーケット・バスケット」の名前で、
カリフォルニアに100店規模のスーパーマーケットが展開されていた。

クローガーの傘下にあって、
クローガーは、この時代から「マルチ・バナー戦略」を採っていた。

西海岸では見られないクローガーのグループ企業の店。
当時、私は敬意の念をもって、訪れたことを記憶している。

ニュージャージーの「マーケット・バスケット」は、
クローガーとは全く関係ない。

しかし「マーケット・バスケット」というネーミングは、
「ケット」というところが韻を踏んでいて、響きが良い。

「手軽な買い物ができる食品市場」
そんなニュアンスが、ある。
MBファサード

その通りの店で、入口をはいると、
顧客と店員とが、声を掛け合っている。
そして試食、試食、試食。
私たちも「サンプル・ライフ」に次ぐ「サンプル・ライフ」。
中央
店舗入り口が、サービス・デリの売り場。
中央の平台で、パンとディップが派手に関連販売されている。

周りをぐるりと対面ケースのデリ売り場が囲んでいるl。
デリ

デリから、対面の精肉コーナーへ、。
肉

さらにシーフード売り場へ続く。
水槽があって、カニなど遊んでいる。
魚
インディペンデントのおかず屋。

もちろんニュージャージーのメニューや味をしっかり出した洋風惣菜。
デリ

ずっと対面ケースが続く。
de

チーズの売り場は、アイテム豊富。
これはインディペンデント・スーパーマーケットにとって、
欠かせない商品構成のひとつ。
チーズ」

そして、チーズのあとは、デザート・ケーキ。
こちらも対面売り場。
ケーキ

「ニコラス・マーケット」は比較的オーソドックスなレイアウト。
それに対して、マーケット・バスケットは、
市場のごときにぎわいで特徴を出す。

サービスデリ、パン、肉、魚、チーズ、乳製品。
最後に、青果部門がやってくる。
青果
最後に位置づけられているが、
鮮度もよく、品揃えも豊か。

このリンゴのバスケット陳列。
ボリューム感もあって、楽しい売り場。
リンゴ

イモ玉類も、バスケット陳列。
imo

「マーケット・バスケット」の店名の通り、
バスケットを多用して、強烈な親近感を与える。
だから、この店が好きだという日本人は多い。
葉物

青果のあとに、グロサリーやキャンデー売り場が現れる。
キャンfデー

そして大事なこと。
レジチェッカーは、若くて美しいお嬢さんばかり。
これも心地よい。
reji

そういえば試食コーナーのお嬢さんも、
若くて美しかった。
サンプルライフ
これも、マーケット・バスケットの武器である。

マーケット・バスケットを、その収益性などの尺度で、
俎上に上げる必要はない。

「ニッチ」とはこういう店をも包含する価値観だ。

私は「幸せ基準」と呼ぶ。

「この店では社会貢献度が小さい」
そういう人がいるかもしれない。
産業づくりにはならない、と。

しかし、鳥の目で見ると、
このマーケット・バスケットも、
アメリカのスーパーマーケット産業の一翼を担っている。

ただし、ニコラスとマーケット・バスケットは違う。

片方は、店を回るとフルコース・ディナーを思わせる。
一方は、楽しいおかず屋が存在している。

そのどちらをも選べるし、
私は「ニコラス派」、私は「マーケット・バスケット派」と、
顧客が二分されている。

両者の違いが鮮明であることに、
「ニッチ」スーパーマーケットとしての存在の意味がある。

<結城義晴>

 

2008年10月17日(金曜日)

「週末のこの一品」と米国「ニコラス」グランドオープン・レポート

週末は、盛りだくさん。

①世界経済の話。
②「林廣美のこの一品」
③アメリカ報告「ニコラス・グランドオープン」

株式市場、大混乱。
週明け、暴落から反発したものの、
三度、四度、反落。
日本の基準は、日経新聞の平均株価で表現される。
アメリカは、ダウ・ジョーンズ社。
だから日本は「日経平均」
アメリカは「ダウ平均」

その日経平均、昨日は1089円も下がった。
11%強のダウンで、過去二番目。
平均株価が8458円。

為替市場でも、ドルが下がって、円が上がった。
1ドル99円台前半。

一連の株安によって、
アメリカ・ヨーロッパ・日本で、
時価会計を一部凍結する動きが出始めた。

企業の会計原則を、一時的に、
株式の時価で評価するやり方から、
簿価で評価するやり方へ戻す。

世界の貨幣経済の最大の要素は、株式時価総額で、
それが1年前には40兆ドルあった。
それがこのところの株価暴落で半減した。

これを時価総額で評価していたら、
多くの企業の「企業価値」が半減してしまう。
だから時価評価の会計制度を、一時的に凍結しようというのだ。

すなわち、
「企業価値」の評価が変わりつつある。

株価評価という物差しの転換。

何に?

それは、今のところない。

私は、企業の「信用」が、
何らかのメジャーになるのがよいと思っている。

それは、株価ではなくなりつつある。

マネーではなく、「信用」。

それが今日のニュースの最大のポイント。

さて、今日の第二弾。
「林廣美の金曜日のこの一品」
週末に、この一品をお客様に売り込んでほしい。
その、商品は?

「新米ちらし寿司」

おばあちゃんがつくるようなちらし寿司。
各地域の土産土法のちらし寿司。
「土産土法」(どさんどほう」とは、
その土地でつくったものをその土地の調理法で食べること。

しかも、今の時期は新米を使う。
「新米」のシールを必ず貼ること。

なお、来週、金曜日の24日。
林先生、岩田弘三さん、そして私の、
「3人のビッグセミナー」開催
岩田さんは、ご存知、ロックフィールド社長。
いま、惣菜・中食の世界で最も自信を持って経営している人。
ウェグマンズのカテゴリー・マーチャント吉野邦夫さんをして、
「あのまま持って帰っても、売れる商品ばかり」と言わしめた。
そのロックフィールドの岩田さんの経営、商品、時代の見方。
それらが、全部、分かる。
是非、ご参加を。

さて、今日は、盛りだくさん。
何度も言う

第三弾は、アメリカ・スーパーマーケットのカメラ・レポート。
大好評。

あまり知られていない企業。
たった2店舗の「ニコラス マーケット」。
ニュージャージーで1943年に、食品店としてスタート。
現在、「フード・タウン」というバナーで、
800坪のスーパーマーケットを展開。
インディペンデントながら、素晴らしい店づくり。

ニュージャージーで1943年に、食品店としてスタート。現在、「フード・タウン」というバナーで、800坪のスーパーマーケットを展開。インディペンデントながら、素晴らしい店づくり。

私たちが訪れた10月11日は、
リニューアル・グランドオープンの日だった。
ニコラスチラシ1
ニコラスチラシ2

ニュージャージーの高級住宅地の木陰の中に、
瀟洒な建物が登場する。
ニコラス1
ネイバーフッド・ショッピングセンター。

入り口で、縫いぐるみのライオンが出迎えてくれた。
ニコラス2
楽しいスーパーマーケット。

ロバート・グリーンウェイ店長がインタビューに応じてくれた。

「リニューアルオープンで、店は新しくなった。
最新のマーチャンダイジングを展開している。
プロデュースの部門、サービス・デリの部門が鍵を握る」

現在、120名の店員。
皆、家族的な雰囲気で、
インディペンデントにしか出来ないサービスを提供している。

「Niche(ニッチ)」という言葉は、
その人、その会社の「最適の位置付け」を意味する。

「隙間」という意味だけではない。
アメリカで生き残って、再投資できる独立系の店は、
必ず、ニッチのポジションを獲得している。
それは、自らの「ロイヤル・カスタマー」を確保しているから、
可能となる。

店舗入り口では、美しい花が顧客を迎えてくれる。

右手壁面の最初の売場は、バナナとパイナップル。
大きなカットで「試食」を提供。

瑞々しい葉物の売場が続く。

左手壁面はカットフルーツから始まる。

左手は、見事なりんごの売場。
アメリカでは、20SKU以上のりんごがなければ、
強い青果部門とはいえない。

青果売場から、鮮魚部門に続く。
今回、強化した売場。

そして奥の壁面は、ミート、乳製品。

牛肉は、「プライム」の最上級グレードを品揃えしている。

フレッシュ・ソーセージも、このニコラス独特の味。

店舗左側に、チーズの売場。
これもインディペンデントのスーパーマーケットには、
欠かせない売場。

モッツァレラチーズの試食実演コーナー。
これがおいしいし、惜しげもなく試食させてくれる。
顧客はまさに「サンプル・ライフ」。

チーズに続いて、ゲーム・ミートの対面売場。

そして寿司は欠かせない。
ただし、これは問屋の商品。

本格的なデリカテッセン。
対面売場で、顧客の要望どおりの量を包んでくれる。

レジ前には、美しいボリューム陳列のグロサリー。

店舗左手がベーカリー。
このベーカリーも商品とイメージが一致している。
コーネル大学では「ノン・ファンクショナル」という。

最後にデザート・ケーキ売場。
アメリカのスーパーマーケットは食事の順番に、
部門が並んでいる。
部門を回ると、フルコースのディナーが楽しめる。

レジは、フレンドリー。
グランドオープンだからといってぎすぎすしたとこは全くない。

「ニッチ」こそ、生きる道。
そのニッチであることに、誇りを持つ。
それがアメリカのインディペンデントの生き方なのだ。

週末の長編、ご愛読、感謝。

<結城義晴>

2008年10月16日(木曜日)

またまた株価反落、9000円を切るときに思う『岡田屋の家訓』⇒「上げに儲けるな、下げに儲けよ」

日経平均株価は、今日、午前中に、
またまた急落。
980円下げて、9000円を切った。

株式をもっている人は、
居ても立っても居られないだろうし、
仕事に手がつかないかもしれない。

イオンの家訓に、
「上げに儲けるな、下げに儲けよ」
というのがある。

イオンの前身・岡田屋の大正時代の大暴落の時のこと。
生糸、綿糸などの暴落が始まった。
呉服屋の岡田屋は、五世惣右衛門の指示のもと、
すべての商品を現金化した。
五世惣右衛門は、現イオン岡田卓也名誉会長の祖父、
岡田元也社長の曾祖父に当たる。

惣右衛門は言った。
「今年入った丁稚小僧にも、
好きな値段をつけて売らせろ」

丁稚小僧とは12歳から14歳くらいの子供。
商品価値がわかるはずもない。
その丁稚にまで、好き勝手に安い値段をつけさせて、
大売り出しを行った。

在庫を二束三文で売り切ろうと試みたのである。

あまりの安さに、景気が悪いにもかかわらず、よく売れ、
二束三文の商品は、現金となった。

ここで、「にもかかわらずの論理」が登場する。

できた現金をもって、産地に走った。
買っては売り、買っては売りを繰り返し、
岡田屋はこの大暴落に大儲けをしたという。

関東の産地では、現金を見せて、
「商品を買う」と言ったら、
「商品だけでなく、機械まで一緒に買ってくれ」と言われたほど。

『岡田卓也の十章』((株)商業界刊)に、ある。
『岡田卓也の十章』
「金融や相場の大暴落に当たっては、商品をいち早く現金化することが、最も大切である」

この儲けを基にして、
大正15年、岡田屋は資本金25万円の株式会社に改組する。
それが岡田屋の近代経営のスタートとなった。

2008年の今、株式の大暴落と乱高下。
最も確かなものに変えるのが、得策。

しかし、実はそれよりも大切なものがある。
岡田卓也さんは、述懐する。
「信用」である。

事業を展開し、商売を営む者が、
相場や株に手出しすることは、
自ら戒めねばならないが、
この乱高下の時にこそ、
「上げに儲けるな、下げに儲けよ」の岡田屋の家訓は輝く。

私は、言い続ける。
「楽して儲けるな!」

そして、今月の商人舎標語。
「だから」を廃し、
「にもかかわらず」を貫け。

<結城義晴>

2008年10月15日(水曜日)

A&P最新フォーマット「Fresh」――斬新さの半面の「形つくって魂入れず」

今回は、珍しく、
時差ボケというか、
疲労蓄積というか。
それとも安堵感というか、
満足感というか。

貨幣経済危機の米国の緊張感というか。

そんなものが私の頭と体に溜まっています。

ノーベル経済学賞のポール・グルーグマン博士は、
米国の住宅バブル崩壊と金融危機を予言し警告を発していました。

そして「国家の破綻は回避できるが、不況は長期化する」と、予告。

フリードリヒ・フォン・ハイエク博士、
ミルトン・フリードマン博士から始まった「小さな政府」路線に、
ひずみが出ていることを指摘。

世界経済の論議も、新しい局面を迎えます。

グルーグマン教授の言葉のように、
「米国の国家的危機は回避」されそうなものの、
「長期化する不況」は避けることができません。

だからこそ「節約、倹約。もったいない」
そして「楽して儲けるな!」なのです。

さて、アメリカ報告の続き。
今日は、The Great Atlantic & Pacific Tea Companyの最新店。
「大西洋と太平洋を結ぶお茶の会社」という大仰な名前。
そんな名前を持つスーパーマーケットチェーン。通称A&P。
その最新店のカメラレポート。

いい店です。
ところが、問題あり。

A&Pは1970年代まで、米国最大のスーパーマーケットでした。
当時の第2位がセーフウェイ、第3位クローガー。
ちなみに米国チェーンストアランキングは、
以下のようになっていました。
1 シアーズ・ローバック
2 A&P
3 セーフウェイ
4 JCペニー
5 クローガー
6 モンゴメリーウォード

いわゆるGMSが3社、スーパーマーケットが3社
A&Pはシアーズに続いて第2位。
このころは2000店を超える巨大チェーンストアだった。

しかし1980年になると、A&Pは第7位で、
スーパーマーケット順位はセーフウェイに抜かれて第2位。
1990年は第9位で、スーパーマーケット第4位。
2000年はベスト20のランク外。
そして、2008年は、第54位。
第52位ホールフーズと第53位トレーダージョーの次。
感慨深いものがある。

なぜか。

一言でいえば、
イノベーションが、
企業の中から消え失せてしまったからです。

それを招いたのは、官僚化した組織。
「変わりたくない」という幹部・社員の気分が、会社に蔓延した。

現在は、
A&P 102店
Waldbaum’s 63店
A&P Liquor 26店
Super Fresh 76店
The Food Emporium 32店
Food Basics USA 9店
Pathmark 139店
合計447店のチェーン。
それぞれの店舗の形態を「フォーマット」という。
名前を「バナー」という。

今回訪れたのは、「A&Pフレッシュ」という最新フォーマット。
ところは秋真っただ中のニュージャージー。
ファサード

店舗入り口は、青果で華やかに。
seika

野菜果物は、店の顔。
店内は、まったく新しいパターン。
青果  

天井のデザインが、斬新なイメージをつくり出す。
青果3

店舗中央にデリの売り場が、円形に設けられている。
tyuuou

店舗右側のコーナーがベーカリー。
このあたり、焼きたてのパンの香りがかすかに漂う。
a&p6

奥壁面は、シーフードからミートへ。
従来の「コの字」型のレイアウトが、基本になっているが、
「コの字」にカーブが付けられた最新タイプ。
a&p8
コストがかかりすぎるとか、回遊しにくいとかの理由もあるだろう。
しかし、斬新な空間を、顧客が求めていることも確か。

そのあたりの折り合いを、どこに求めるか。

ウェグマンズやホールフーズが好例だ。

中央のデリのコーナー。
a&p7

回り込んで、オリーブの対面売り場。
a&p15

さらに回り込んで中央のデリ売り場。
a&p14
店舗中央をぐるりと回ると、
惣菜とサービスデリが買い回れるように設計されている。

そして、コスメティック・ファーマシーの売り場。
このコーナーは、サークル型につくられていて、
カラーコントロールも行き届いて、快適。
a&p11

日用雑貨売り場も美しい。
a&p13
しかし、私はデザイナー優先の売り場に見えた。
えてしてこういう店は、オペレーションに支障をきたしやすいもの。
表面はきれいだが、品揃えや鮮度が堅持されなければ意味がない。

最後にレジのコーナー。

しかし、10月11日土曜日の午後。
ドライグロサリーのゴンドラには、あちこちに、穴があいていた。
a&p12

店舗のリモデルをしている。
そのためのレイアウト変更。
a&p9

形だけ斬新でも、
買いやすい売り場づくりになっていなければ、
顧客は買わない。
だから売り場変更しなければならなくなる。
a&p10

A&Pには「フード・エンポリアム」というアップスケールタイプがある。
これも、ウェグマンズやホールフーズには遠く及ばない。

この「フレッシュ」という新フォーマットは、
セーフウェイの「ニューライフスタイル・タイプ」をモデルにしているが、
形つくって、魂入れず。

A&Pの苦悩は続く。
リモデルが成功することを祈るばかりだ。

「自ら、変われ!」私は、言い続けている。

しかし、形が変わっても、
お客様に受け入れてもらえなければ、
意味がない。

どう、変わるのか。
それが問題。

まずは、人間のビヘイビアが変わらねば。

<結城義晴>

 

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