結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年10月08日(土曜日)

[帰国後の米国報告]その3・テスコのフレッシュ&イージー北カリフォルニア第1号店のイノベーション

秋空が、いい。

日経新聞夕刊に、
囲碁女流棋士の小林千寿(ちず)さんが書いたエッセイ。
「秋空に想う」

「秋の空が青く高くなってきた。
私は空に浮かぶ雲を見るのが
子供の頃から好きだった」

「小さいとき、年子の弟3人と、
雲を見ながら口々に『あれが犬で、あっちがキリン』
『アッ!犬が伸びて蛇になっちゃった!』などと
騒いでいたのを覚えている」

この弟たちのひとりが、
小林覚(さとる)9段。
10歳までの子供が、
「形」に関する感性を持っている。

千寿さんは、この子供の感性を評価する。

「澄んだ青空と白い雲を見ながら
心を子供の頃のように遊ばせるのは心地良い。
秋空は『空想の時間』に我を忘れさせてくれる」

秋空が、いい。

今日は、朝から池袋の立教大学キャンパス。
天気がいいこともその理由だろうが、
キャンパスには生き生きした感じの学生が多い。

結城ゼミの、それぞれの発表をしてもらって、
演習指導したあと、
午後、成田日航ホテルへ。

あの秋空に飛び立って、
明日はヨーロッパの空へ。
飛んでいる間も私にとっては、
「空想の時間」。

それがうれしい。

さて、10月1日の大阪版の夕刊を送っていただいた。
大阪朝日新聞と産経新聞。

朝日は一面トップに「就職遠きにありて」のタイトル。
20111008001217.jpg

産経は社会面に「関西から東北復興誓い」の見出し。
20111008192419.jpg
この日朝から、スーパーマーケットの㈱万代が、
106人の学生採用者の内定式を行った。

その中に震災地の宮城、福島の7人が含まれていた。

「雇用の場こそが生活の基盤になる。
大きくなくても企業ならではの採用をしよう」

万代の加藤徹社長の考え。

特別採用枠を設け、動き出したのが5月。
役員らが仙台に出向き、7月に選考会を開いた。
そして男女7人を内定。

石巻専修大学の学生・佐藤元基さん。
「被災しながらも屋外に陳列棚を並べて商品を売るスーパーに感銘を受け、
『人の生活に必要不可欠な販売の仕事に携わりたい』」
佐藤さんはメーカーから小売業に志望を変えて、万代に決めた。

被災地の学生の言葉は、頼もしい。
企業にとっても辛抱強くて力強い戦力になるに違いない。

さて、とびとびになって恐縮だが、
『帰国後の米国報告』その3は、
フレッシュ&イージー・ネイバーフッド・マーケット。
テスコがアメリカで展開する小型スーパーマーケット。
20111007230000.jpg

この店は北カリフォルニア第1号店。
店舗面積は1万平方フィート(約280坪)。
20111007225134.jpg
アメリカでは、まだまだ400店に向けて、
出店攻勢を続けている。
そして少しずつイノベーションの効果が、
表れ始めている。

一方、日本からの撤退が発表されたのは、
夏の終わりの8月31日。

テスコはイギリス第1位の小売業で、
日本とアメリカ以外では、無類の強さを発揮。

『FORTUNE』のグローバル500では、
世界第1位の小売企業で、アメリカ第1位は、ウォルマート。
総合スーパー(ハイパーマーケット業態)のスーパーセンターを主力とする。

第2位は、フランス第1位のカルフール。
こちらもハイパーマーケットを中核とする。

小売業世界第3位は、アメリカのドラッグストアのCVSケアマーク。
その次の4番目に、テスコが入ってくる。

そのテスコは、スーパーマーケット企業で、
この面で、ウォルマート、カルフールとは異なる経営戦略を採用。

14の国・地域で、2665店舗を展開。

日本への進出は、2003年7月。
食品の卸売業と小売業を兼業していたシートゥーネットワーク㈱を、
買収しての参入。

アメリカでは、2007年11月、
直営で、しかも小型店で進出。

テスコの小型店に火をつけられて、
アメリカでは、「小型店開発ブーム」が巻き起こった。

セーフウェイは「ザ・マーケット」を開発、
ウォルマートは「マーケット・サイド」のバナーを創作。
ウォルマートはさらに、今年、
「ウォルマート・エクスプレス」を本拠地アーカンソーに出店。

だからこそアメリカのフレッシュ&イージーの動向には、
目が離せない。

しかし現状は、いまだ164店舗。
黒字化もしていない。

それでも現地企業のCEOは、
「400店を突破すれば、
損益分岐点をクリアできる」
と意気軒昂。

だからこそ、この北カリフォルニアのサンフランシスコ郊外に、
新たな商勢圏を求めて、進出した。

視察の前にインタビュー。
20111007225144.jpg

ストア・マネジャーのマット君が、
元気に答えてくれた。
20111007225153.jpg

入り口を入るとすぐに、かご盛りのバゲット。
フレッシュ&イージーも陳列が洗練されてきた。
20111007225742.jpg

反時計回り・左回りの客動線で、初めに青果売場。
入ってすぐにプロモーション平台でかぼちゃを販売。
20111007225754.jpg

常温野菜はクレートをそのまま多段で並べて売る。
20111007225206.jpg
これがテスコの特徴。
バナナ売場は狭い店ながら広いスペース。
よく売れているのがわかる。
1ポンド23セント。
20111007225657.jpg

ロメインレタス、キャロット、パプリカなどのサラダ野菜は、
パック詰め。
20111007225730.jpg

カット野菜やサラダ野菜はカップ入りや袋入り。
青果はどんどん加工食品化している。
20111007225712.jpg
それがオペレーションコストを引き下げる。
この考え方は、トレーダージョーと全く同じ。

もちろんアルディも同様。

アメリカでは小型スーパーマーケットの成功をもたらすのは、
リミテッド・アソートメント(限定品揃え)&ローコスト経営。

青果売場の奥壁面は、
フレッシュ&イージー・キッチンと名付けられた
コンビニエンス・フードとデリ売場。
20111007225218.jpg

スープ、ピザ、パスタ、サラダなどが並ぶ。
20111007225615.jpg

エスニックフーズの焼きそば。
20111007225639.jpg

デリ部門に続くのが、デアリー売場。
ミルクなどの乳製品が冷蔵ケースで販売されている。
20111007225234.jpg

コンビニエンス商品の売場には、
「new」の青いスポッターがつけられて、
積極的に新製品が投入される。
この面ではまさに「試行錯誤」。
20111007225246.jpg
しかしそれがテスコの意気込みをよく表している。

機内食のようなキット。
電子レンジで温めるだけで食べられる。
20111007225626.jpg

「new」を集めたコーナーだが、
ハイ・フラクトーズ・シロップやトランスファット、
さらにどぎつい着色料を使わないスナックを、
開発していることを明言している。
20111007225410.jpg

レジ前には、そういった開発商品の「特売」コーナーがある。
20111007225807.jpg
安全・健康で、なおかつ安い。
まさに「オクシモロン」のコンセプト。
だから試行錯誤。
すぐにはうまくいくはずはない。
だから模倣がかなわない。

それがアメリカ・テスコの狙い。

精肉部門も、
この地域初お目見えの店舗にしては、
本当によく売れている。
20111007225819.jpg

真ん中の段は、寿司。
最下段はキット商品。
20111007225832.jpg
安全・健康・廉価の上に、
「簡便」まで欲張る。

卵も、安全・健康・廉価。
だからよく売れている。
20111007225847.jpg

冷凍素材売場はセミ多段。
ポテト、ベジタブルなどなど。
上段は日用雑貨。
20111007225419.jpg

この店は焼き立てパンを、
1日に3回店頭に並べる。
20111007225354.jpg

それも売り物。
20111007225345.jpg

主通路の真ん中には、
エブリデーロープライスのトルティーヤ、98セント也。
20111007225438.jpg

ワイン&リカーのアイル。

右手ワイン売場は、
上から二段目の10%割引の赤いスポッターと、
最上段、下から2段の青い「new」のスポッターが並ぶ。
新製品をどんどん投入しつつ、
旧製品は売り切っていく。
つまり回転率を高めつつ、
その中からこの地域での売れ筋を探る方策。
20111007225600.jpg
左の冷蔵ケースでは、
ビールなどを冷やして売る。

小型店テスコの面目躍如の売り方。スナックなどは、ラック陳列。
こちらもプライベートブランドばかり。
健康的で安い。
20111007225547.jpg

調味料のPB、値付けがうまい。
20111007225508.jpg

価格ラインは、1ドル99、2ドル29、
3ドル99、4ドル29。
面白い値付け。
20111007225451.jpg
1ドル99と2ドル29の30セント違いと、
3ドル99と4ドル29の30セント違い。

分かりやすくて、
比較しやすいプライス設定。

20111007225519.jpg

売場の中にマネジメント・デスク。
折り畳み式。
20111007225533.jpg

チェックスタンドはすべてセルフレジ。
20111007225901.jpg

しかしレジのうしろには必ず2人のオペレーターがついていて、
迷ったり、困ったりしている顧客には、すぐにケアする。
20111007225933.jpg

出口の特売スペース。
ここにずっとコカコーラやネスレなどナショナルブランドが並んでいた。
しかしいま、フレッシュ&イージーのPB(左)と、
ハロウィン・ポップ・ソーダのプロモーション・アイテムが大量陳列。
20111007225946.jpg
テスコのフォーマットが定着してきた証拠。

ストアロイヤルティが確立されていないときには、
ナショナルブランドでストアロイヤルティの代役をさせる。

しかしすこしずつ店の信用ができてきたら、
プライベートブランドで、サービスする。
20111007225428.jpg

いかがだろう。

日本から撤退した改革のなかったテスコ。
フレッシュ&イージーのイノベーション。

アメリカのテスコは本気だ。

では皆さん、良い三連休を。
「体育の日」まで、秋空を楽しみたい。

<結城義晴>

2011年10月07日(金曜日)

セブン&アイ鈴木敏文会長の「消費は底堅い」とキャッシュバックセールを「きっぱりやめた」発言

いい気候が続きます。
日本に生まれ育ってよかった。

つくづくと思います。

月曜日にアメリカから帰ってきて、
毎日、横浜の商人舎オフィスで仕事し、
来客を迎える。

そして夕方、出かける。
そんな日々が、4日ほど。

明日は、池袋の立教大学で結城ゼミ。
そのあと、成田に泊まり込んで、
明後日の日曜朝早く、
ドイツ・フランクフルトへ旅立ちます。

だからこそいっそう、
この日本の秋を楽しみたい。
秋の空気をいっぱいに吸い込んでおきたい。

そんな気分です。

日経新聞朝刊に、
鈴木敏文さんご登場。
㈱セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO。
鈴木さんのぶれないものの見方、経営の姿勢、
いつもいつも勉強になる。

イオンがマルナカの買収をしたことに関して。
「相乗効果があり、お互いに気があえば実行する。
ただ自分たちで伸ばすのが基本で、
無理に買収して規模を拡大する考えはない」

「膨張と拡大は異なる」
学習院大学院長だった故田島義博先生の言葉を思い出す。

鈴木さんが言う「無理にして規模を拡大する」ことを、
「膨張」といい、
「「相乗効果があり、お互いに気があえば実行する」ことを、
「拡大」という。

基本は「自分たちで伸ばすこと」

これはアメリカでも定石。

その鈴木さん、
ちょっと優しくなった気もする。
この記事の最初の発言。
「消費は底堅い」
心強い。
「9月以降もこの状況は続きそうだ」

結果として、
「通期の営業利益は上振れして、
過去最高益の更新も視野に入った。
努力して最高益を達成したい」

景気のいい話。

セブン&アイが好調なら、
他社が不調の言い訳はできない。

そのセブン&アイ・グループ内で好調なのは、
コンビニのセブン-イレブン。

とりわけ、プライベートブランド『セブンプレミアム』がいい。
「5月末から約1000品目を刷新した」
セブン-イレブンの9月の実績。
「たばこを除く商品販売は4.5%増で、
食品やPB商品が伸びた」

イトーヨーカ堂の改善も進む。
その最大の要因は、過去の成功体験を捨てたこと。
「昨年12月以降、キャッシュバックセールを
きっぱりやめたのが大きい」

「きっぱりやめた」の発言がいい。

現金返還のセールでイトーヨーカ堂は、
年間数十億円を使っていた。

それを止めた。

鈴木さんご自身が発想し、成功した企画。
なかなかやめられなかった。

それを「きっぱりやめた」

いま、「きっぱりやめる」ことは、
どんな企業にとっても必要だろう。

ウォルマートは、
プロジェクト・インパクトを、
「きっぱりやめた」。

しかし「プロジェクト・インパクト」にも、
大きな意味があった。

だからそれを止めた後の売り場は、
元に戻ったわけではない。
一段と進化を果たしたと考えるべきだろう。

イトーヨーカ堂のキャッシュバックセールも、同様だ。

「きっぱりとやめた」
良い響きがする。

昨日は夕方から、
東京・池袋のサンシャイン60。
西友の本部もこの高層ビルに入っていた。

その59階の展望レストラン「天空の庭 星のなる木」。
20111007152118.jpg
気持ちよく出迎えてくれたのは、
巣鴨信用金庫の面々。

田中実さんの出版記念パーティ。
20111007152143.jpg
『実践ホスピタリティ入門』(金融財政事情研究会刊)

おめでとうございます。

入り口でも、ウェルカムボードが迎えてくれた。
20111007152133.jpg

田中実さんの実質的な2冊目の本の出版を祝う人々が、
100人ほども集まった。
20111007152157.jpg

田中さんは元巣鴨信用金庫常務理事。
同金庫は金融機関として、
サービスを超えたホスピタリティを提供し続ける。
そのプロセスで重要な役割を果たした、いわば立役者。
20111007152207.JPG
現在はCS・ホスピタリティ実践研究所代表。
㈱国際ホスピタリティ研究センター研究ディレクター。
そしてコーネル大学RMPジャパン講師。
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の私の講座でも、
毎年、ゲスト講師をお願いしている。

いつもいつも、ホスピタリティの本質を、
丁寧に、実例豊富に語ってくださる。

全員で乾杯。
20111007152217.jpg

乾杯と同時に、窓の覆いが取り払われると、
59階から見下ろす東京の夜景が現れた。
20111007152227.jpg

参加者全員を田中さんご自身が紹介し、
ゲームなどで楽しみつつ、
人的ネットワークのコミュニケーションを深めた。

私の隣の席は、
法政大学経営学部市場経営学科教授の木村純子さん。
20111007152238.jpg
並んでゲームに参加。

田中さんらしいbook party。
ホスピタリティにあふれていた。

最後に全員で記念写真。
20111007152252.jpg

この後、田中さんからのご指名で、
私が締めご挨拶と手締めの音頭。
一本締めで決まった。

おめでとう、
ありがとう。
20111008184325.jpg

田中さんのご活躍を祈念したい。

<結城義晴>

2011年10月06日(木曜日)

[帰国後の米国報告]その2・スプラウツ・ファーマーズマーケット「ベジタリアン&シンパのための大型八百屋」の新フォーマット

昨日10月5日、
このホームページのページビュー数は、
過去最高でした。

1日9272の金字塔。

ありがとうございました。

次の目標は10000。
1万です。

さて、昨日、スティーブン・ポール・ジョブズ逝去。
1955年2月24日生まれ、2011年10月5日没、
享年56。

米国アップル社会長。
ビジネス用パーソナルコンピュータで、
世界最初の成功を収めた。

米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、
ジョブズと同じ1955年の10月28日生まれ。

はじめて会った30年前から、
同志であり、好敵手であり、友人であった。

インターナショナル・ビジネスマシン社、
すなわちIBMが牛耳っていた情報の世界を、
ふたりは完全に塗り替えた。

『狂おしいほどに誇らしい』
ゲイツはジョブズに、
この言葉を贈った。

”The Gates Notes”
ビル・ゲイツが書いているブログ。
そのOctober 05, 2011には、以下の文章がある。

I’m truly saddened to learn of Steve Jobs’ death.
スティーブ・ジョブズの逝去を知って、
私は本当に悲しんだ。

Steve and I first met nearly 30 years ago,
and have been colleagues, competitors and friends
over the course of more than half our lives.
最初に彼と会った30年前から、
私たちは自分の人生の半分以上を、
同志として、好敵手として、友人として生きてきた。

For those of us lucky enough to get to work with him,
it’s been an insanely great honor.
幸運にも彼とともに仕事をしてきた私たちにとって、
それは『狂おしいほどに誇らしい』ことだった。

I will miss Steve immensely.
非常にさみしい。

こんなライバル、
うらやましいかぎり。

スティーブン・ジョブズ氏のご冥福を祈りたい。

さて、日本では、
政治資金規正法違反罪に問われた小沢一郎被告の初回公判。
無罪を主張し、「この裁判は打ち切るべきだ」と罪状認否。

意外にスピーディに審議が進む予定だが、
それでも来年3月ごろには結論が出る。

一方、ポール・クルーグマン博士が来日している。
現在、プリンストン大学教授で、
2008年ノーベル経済学賞受賞。
日本経済新聞記者に語った。
「今後、世界は、
50%以上の確率で景気後退に陥るだろう」

最大のリスク要因は「欧州の金融不安連鎖」。
そのうえで、米国の方は、
「オバマ政権が財政政策に動きにくい」と悲観的な見方。
「米欧の景気は後退しそうだが、
新興国は減速してもなお成長し続けるので、
世界全体で見れば緩やかな後退にとどまる」

「緩やかな後退」
これが世界の趨勢という意見。

クルーグマン教授は、米国の「日本化」も指摘した。
「金融危機のただなかにあった1998年の日本のようなもの」

さらに今現在の日本については、
「デフレから脱却できずにいることから、
実質金利が高くなっている」

実質金利とは、
「名目金利から物価変動率を引いた」金利。

「米国がゼロ金利政策をとるようになったなかで、
実質金利の高い円に上昇圧力がかかりやすくなっている」

緩やかな後退の中で、
円高もとどまらない。

これがポール・クルーグマンの見解。
この見方をベースにして、
「最悪を覚悟して、
最善を尽くす」

その具体的な方法は、
今月の商人舎標語。
「着眼大局 着手小局」

つまり、
①小さく始める
②ゆっくりと進める
③常に改善する

この姿勢。

さて、[帰国後の米国報告]第2弾。
スプラウツ・ファーマーズ・マーケット。
Sprouts Farmers Market
20111005175857.jpg

本社所在地はアリゾナ州フェニックス。
CEOはショーン・ボニー(Shon Boney)
ホームページもある。

http://sprouts.com

21世紀に入って、2002年創業。
これもコーネル大学ビル・ドレイク教授が言うセオリー。
「インディペンデント企業の優位性」を地で行く会社。

要は家族経営・オーナーシップ企業

店舗数は61店舗(2011年6月現在)。
アリゾナ州 15店舗
カリフォルニア州 22店舗
コロラド州 9店舗
テキサス州 15店舗

経営理念は、
“アメリカ人の健康と長生き、そして節約のお手伝いをします”
店頭にはミッション・ステートメントが掲げられている。
20111005180052.jpg
核となる価値提供は五つ。
①顧客価値
これが基本。

②ユニークネス
そのための先進的な創造性とイノベーション。

③integrity(真摯さ)
ドラッカー先生の最も重要視すること。

④loyalty
家族に、友人に、仲間に、顧客に。

⑤FUN
仕事と喜びを同時に実現する。

店舗に入ってみよう。
まず、1000坪ほどの広くて高くて簡素な建物。
20111005180742.jpg

正面奥に、青果部門の売り場がデンとしつらえらえている。
これがこの「ファーマーズマーケット」フォーマットの特徴。
20111005180316.jpg

ど真ん中は、このカラコンのきいた前進立体陳列。
20111005180300.jpg

壁面の葉物を中核として、売場の前には、
腰高の平台がズラリと並ぶ。
20111005180614.jpg

果物、根菜など、丸モノ関係が、
1コ売りで美しく陳列されている。
20111005180650.jpg

果物のカラーリングはみごと。
20111005180702.jpg
大ぶりのキャベツなどは、
一段低い平台。
20111005180726.jpg

平台のアイランドには、
秤がセットされて、
顧客は自分で重量を測ることができる。
20111005180630.jpg

トウモロコシの特売には顧客が殺到している。
自分で皮をむいて持ち帰る。
20111005180901.jpg
この店舗中央のプロデュース売り場が、
ファーマーズ・マーケットの最大の特徴。

さて、入り口を入ったところには、
右手にハロウィンのプレゼンテーション。
20111005180759.jpg

野菜・果物が核となる店だけに、
ハロウィンのカボチャのアピールは、
店の生命線。
20111005180819.jpg

入り口を入ったすぐ右手は、
ドライフルーツが並んでいるが、
壁面には「フレッシュ・フラワー」のパネル。
ここには生花が並んでいたが、
売れないのでドライものの売り場に変えたものとみられる。
20111005190842.jpg

ハロウィンの出迎えプレゼンテーシュオンの奥には、
ベーカリー。
インストアの焼き立てパンが並ぶ。
20111005183424.jpg

パンから対面のデリカテッセン売場へと続く。
20111005181738.jpg

対面惣菜デリ売場の前には、
平オープンケースのデリ売場。
20111005181422.jpg

アメリカ人の生活の中で、
意外にもデリは幅広い。
もちろん日本ほどではないが。
20111005181815.jpg
対面の惣菜売り場を「サービスデリ」と称し、
セルフサービスのデリ売場と区別して管理する。
人件費が大きく違うからだ。

デリ部門に続いて、店舗右翼は「ミート&シーフード」部門。
20111005181238.jpg

こちらも対面の精肉・鮮魚部門とセルフの売場は、
完全に分かれている。
20111005181035.jpg
この店全体が健康志向で貫徹されているから、
魚は充実しているし、精肉もオーガニック素材が揃う。

その前に、パスタのエンド。
パスタは健康食品。
20111005181357.jpg
「健康を安く」がこの店のコンセプト。

パスタの島陳列の店舗中央側に、
ワインの島陳列売り場。
20111005181931.jpg

デリ、肉、パスタ、ワインと、
コーナーの連続性がある。
これも店舗右翼。
20111005181840.jpg

店舗中央のレジの真後ろ、
そして青果部門の手前が広大なバルク売り場。

そしてバルク売り場にコーヒー・コーナーがある。
題して「グルメ・コーヒー」。
20111005181756.jpg

バルク方式は、顧客が好きな量を自分で選ぶことができる。
これは一人ひとりのカスタマーにとって究極の節約となる。
20111005182204.jpg
コーヒー売り場のエンドには、
必ず、無料の試飲コーナーが設けられている。
これは必須。

トレーダージョーでもホールフーズでも、
コーヒーの無料試飲は必須。
覚えておいてほしい。

店舗中央レジ寄りのスペースは、
穀類売場といってよいバルクコーナー。
20111005181910.jpg

20111005181952.jpg

この店は3分の1ずつに分割することができる。
中央の3分の1は、青果と穀類。
すなわち植物関連。
20111005182038.jpg

20111005182059.jpg
ここが店の中心。

アメリカのスーパーマーケットは、
バルク販売を積極的に展開する。
それは顧客に安さを提供するためだ。
20111005182124.jpg
これでもかとバルク販売。
顧客の間にもルールがあって、
異質物を混入させる不届き者はいない。
そんな顧客はこの店にやってこないし、
そんな顧客をむしろ排除しているのが、
ファーマーズマーケットということになる。

バルク・アイランドには、
四隅に樽などが配置されている。
20111005182244.jpg
バルク売場の隣が、
ドライグロサリーの島陳列。
20111005182322.jpg

そして店舗左翼手前は、
これも広大なバイタミン・ショップ。
20111005182302.jpg
写真にはないが、この右手は、
店の奥正面に向かって、
冷凍食品や加工食品、卵の売り場となる。

そして店舗左手に対面のコンサルティングサービスコーナーと、
書籍コーナー。ここには健康関連書籍がしっかり品揃えされている。
20111005182417.jpg

レジはさりげないホスピタリティにあふれている。
20111005182438.jpg

いかがだろうか。
スプラウツ。
ファーマーズマーケットのフォーマット。
スーパーマーケットの業態に違いない。
食生活を中心にした内食材料提供業だ。

しかし従来のスーパーマーケットのセオリーを、
完全に無視している。

この店のフォーマットを、私は、位置付ける。
「大型八百屋+自然と健康コンセプト+便利なもの」

スーパーマーケット業態が多様化し、
営業形態が分化し、その一つが、
ファーマーズマーケットのフォーマットとなった。

ファーマーズマーケットというだけあって、
できるだけ地元農家から仕入れをする。
つまりは「地産地消」。

そして当然ながら、
オーガニック食品やビタミン剤・サプリメントなどの品揃えは、
他の追随を許さない。

これを超えるのは2社だけ。
ホールフーズとトレーダージョー。

いまや健康、安全のジャンルは、
この3者といってもよいくらい。

そして私はこの店を別名で呼ぶ。
「ベジタリアン・スーパーマーケット」

アメリカ人には菜食主義者が多い。
いわゆる「ベジタリアン」。

ホールフーズやトレーダージョーは、
ベジタリアンの店というほどまでに特化はしていない。

もっと大衆的だ。
だから大人気の店となる。

しかし大人気ではなくとも。
ベジタリアンとそのシンパ向けに特化すると、
存在の意義が出てくる。
それがファーマーズマーケットである。

だから野菜・穀類売場が、
店の中央にデント構える。

両サイドは、青果・穀類主義者にとって、
サブカテゴリーでよい。

それが肉であり、魚であり、デリであり、冷食である。

いかがだろうか。

このスプラウツ、今年後半に、
ヘンリーズ・ファーマーズマーケットと合併した

そして95店舗のチェーンストアとなった。
もう100店舗は間近。

ファーマーズマーケットのフォーマットの完成も、
間近となった感がある。

私は「業態」の概念だけでは、
どうも説明できない段階に来ていると考えている。
それを説明するに都合の良いのが、
ファーマーズマーケットだ。

ホールフーズ300店、
トレーダージョー350店、
そしてスプラウツ・ファーマーズマーケット100店

健康、安全、安心をコンセプトにしたフォーマットのイノベーションこそ、
アメリカの現段階とみることができる。
(ブログアップ時間はギリギリだけれど、まだまだ明日に続きます)

<結城義晴>

2011年10月05日(水曜日)

イオンによる中四国のマルナカ/山陽マルナカ買収劇の意味

「イオン、マルナカを買収」
今日の午後からインターネットで流れた衝撃のニュース。
日経新聞は夕刊一面トップで扱った。
20111005203507.jpg
始まりは昨2010年8月11日の日経のスクープ。
このブログでは翌12日に取り上げた。

「イオンとマルナカ、包括的業務提携」

イオンは2010年度決算では、
セブン&アイ・ホールディングスに次ぐ日本第2位の小売業。

イオンは食品スーパーマーケット業態の、
ナショナルチェーン展開に力を入れていて、
北海道から九州までに子会社のマックスバリュ各社を配し、
カスミ、ベルク、いなげや、マルエツ、光洋などに資本参加。

2010年度の売上高と店舗数は、
マックスバリュ西日本 2444億円・161店
マックスバリュ東海     1564億円・90店
マックスバリュ九州     1189億円・111店
マックスバリュ中部     1184億円・88店
マックスバリュ東北      908億円・89店
マックスバリュ北海道    775億円・74店

持ち分法適用会社は、
マルエツ    3322億円・255店
カスミ        2186億円・139店
ベルク        1116億円・66店

資本提携企業は、
いなげや    2199億円・125店

そこにマルナカと山陽マルナカが加わる。
中四国最大のスーパーマーケット企業グル-プ。

香川に本拠を置く四国のマルナカと、
岡山に本部を持つ中国地方の山陽マルナカ。
両者で瀬戸内リージョナルチェーンを構築。

マルナカ       2068億円・139店
山陽マルナカ    1241億円・72店

これらをトータルすると、
イオン・グループのスーパーマーケット群は、
売上高が合計2兆0196億円、
総店舗数1409店となる。

しかしアメリカを見ると2010年度で、
クローガーの売上高821億8900万ドル、
1ドル100円換算で8兆2189億円。
総店舗数は3605。
宝石店チェーンの売上げも含んでいるが、
ほぼスーパーマーケットといってよい。

一方、セーフウェイは、売上高410億5000万ドル。
4兆1050億円、期末店舗数1694。

為替換算で1ドル76円とみると、
クローガーが6兆2463億円、
セーフウェイは3兆1198億円。

購買力平価で1ドル120円とみると、
クローガーは9兆8628億円、
セーフウェイは4兆9260億円。

人口はアメリカが3億人を超え、
日本が1億2700万人だから、
イオンも頑張っていることになるが、
1店当たり売上高で比較すると、
小型店が多いのが日本の特徴となるか。

買収の目途は11月。
多くの人が関心を持つ買収額は、
「400億円強」という報道が日経、
ロイターは「400億~500億円」と伝える。

さらにマルナカ・グループの約500億円の負債も、
イオンが肩代わりする。

マルナカ社長は、中山芳彦さん、
山陽マルナカ社長は、
その長男でマルナカ専務の明憲さん。

マルナカ・グループはいわばオーナーシップ経営で、
創業家などがほぼ全株式を所有する。

イオンは自己資金でその全株式を買い取って、
100%子会社とするが、
現経営陣は残って、
店名も「マルナカ」を変えない方針のようだ。

イオンは四国と岡山近辺の、
比較的弱い地域の店舗網を密にすることができる。
現在、四中国地方のイオングループは、
店舗数が360強に増加し、出店数トップ、
売上高も三番手からトップに躍進する。

そのことでさらに、
バイイング力がアップし、
商品調達力の強化を図ることもできる。

さらに11月に買収が完了すると、
2011年2月期連結売上高で、
セブン&アイ・ホールディングスを抜いて、
日本小売業トップになる見通し。

きわめてドライな言い方だが、イオンにとって、
「年商3300億円、210店舗の買い物」は、
ひどく安い。

イオンの大型M&Aは、
ダイエーと資本・業務提携した2007年以来。

負債を含む買収総額は、
ダイヤモンドシティの1663億円に次ぐ。

日経の記事は背景もよく抑えている。
マルナカが首都圏の「マルエツの約2%の株式を保有」。
そして「マルエツの筆頭株主は約32%を持つイオン」。
この買収によって、
イオンによる「マルエツの持ち株比率は、
間接的に3分の1を超える」。

「イオンは首都圏のカスミ、いなげや、ベルクにも出資しており、
今後、資本面を含めた関係強化に動くとの見方も出ている」

さらに、「山陽マルナカは今年6月、
独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で、
約2億円の課徴金納付と排除措置を命じられた」

イオンは人材を配置して、
コンプライアンスの徹底を図る。

今年、マルナカは創業50周年を迎える。

経営に関しては、
長男で専務の中山明憲さんへの「社長交代」が表明されている。

イオンの100%子会社になったとしても、明憲さんは、
現㈱マックスバリュ中部会長の中西進さん(元フレックス社長)らと、
同じようなルートを歩むに違いない。

もちろん本人次第。
一番プレッシャーを感じているに違いない。
頑張ってほしいものだ。
マルナカという会社にとっても、
世代交代が促進され、
私は「是」とみる。

私は1年前のブログで書いている。
「この包括的業務提携の意義は大きい」
それが一段と大きくなった。

「第一に、食品スーパーマーケットの業務提携であること。
イオンはスーパーマーケットに最大の力を入れている。
だから全国の食品スーパーマーケットに大きなインパクトを与える」
9月22日のブログで、セブン&アイによる近商ストアへの3割出資を報じた。
全国的には、こういった事例が促進されるだろう。
すこしずつ、アメリカの例に倣うことになりそうだ。

もちろんインディペンデント・スーパーマーケットには、
サバイバルの道が狭くなったわけではない。
大いに開けている。

コーネル大学ビル・ドレイク教授の言うがごとし。
「インディペンデントの優位性」
パブリックスもHEBも、
ウェグマンズもナゲット・マーケットも、
インディペンデントで十二分の仕事をしている。

トレーダージョーは、
ドイツ系資本のアルブレヒト・ファミリー傘下で、
感動的な店舗運営を続けている。

「第二は、中四国エリアの『クリティカル・マス』突破を狙っていること」
これは明らかだし、イオン自身のサバイバル戦略のひとつでもある。

この1年の間に、私は、
マルナカの店を何度か視察したが、
イオンのプライベートブランドが、
ほとんど並んでいないことが気になった。

業務提携とは異なる動きがあるのかと思った。

1年前のブログの終わりの方に書いている。
「マルナカよ、お前もか!」ではない。
「これも一局」である。

だから私の見解は変わらない。
「少なくともアメリカのクローガー方式を採用すべきだ。
間違ってもアルバートソン型に至ってはいけない」

当面は「マルナカ」の店名で、
明憲さんが社長の役目を果たすという方針だから、
これはクローガー方式を表明している。

その後は、しかし、
現マルナカはマックスバリュ四国となり、
現山陽マルナカはマックスバリュ西日本となる可能性もある。

「それもまた、一局」だとは、思う。

<結城義晴>

[追伸]
『帰国後のアメリカ報告』は本日、休載します。
明日に続きます。

2011年10月04日(火曜日)

[帰国してからの米国報告]その1・ホールフーズ「小さな、継続的イノベーション」の悲観と楽観

「悲観の中で生まれ、
懐疑の中で育ち、
楽観の中で成熟する」

米国の「相場の格言」。

しかし、こんな意見もある。
「世界景気には緩やかな不況か、
厳しい不況しか残されていない」

ニューヨーク大学ルービニ教授。

一方、米資産運用会社ピムコのビル・グロス最高投資責任者。
「世界の政策当局者がもし構造問題の解決に注力できれば、
不況を何とか回避し、
ニューノーマルにおける成長が可能になるかもしれない」
<日経新聞「ウォール街ラウンドアップ」から>

帰国して、1日。
旅の疲れをとりつつ、
執筆、テキストづくり。

次と、次の次が、控えている。

悲観論と楽観論。
その間の懐疑論。

どうも現時点では、
悲観論一色のようだ。

穏やかな不況か、
厳しい不況か。

「最悪を覚悟して、
最善を尽くす」

しかし、日本には、いいニュースもある。

新車販売に回復の兆し。
東日本大震災の影響に限らず、
1年間、落ち込んでいた。

9月の軽自動車を含む国内販売台数。
前年同月比2.1%減の46万2192台。
13カ月連続マイナス。

だが、下げ幅が少なくなったし、
46万台も売れている。

8月は前年同月比でマイナス22.4%。
大幅に縮小。

普通車はプラス1.77%で、
これが31万3790台。

こちらは13カ月ぶりの増加。

トヨタ自動車が0.7%増、
マツダが8.4%。

全滅ではなく、どこかが良い。

「どこかで春が」なんて童謡もあるくらいで、
どこかが良くなれば、風は吹く。

ヨットなど、
まったく風がないなぎの状態でも、
操作次第で前に進む。

風があれば御の字。

穏やかな不況か、厳しい不況か、とはいっても、
特に小売りサービス業は、
操作次第。

アメリカの絶好調組の実態を写真で紹介しよう。
今日はホールフーズ・マーケット。
20111004200413.jpg
言わずと知れたオーガニック・スーパーマーケット世界第一。

2010年度の売上高90億0600万ドル。
いつものように1ドル100円換算すると、
9006億円にもなる。
売上高の伸び率は12.1%。
既存店の伸び率も7.1%。

純利益は2億4600万ドル、246億円。
この伸び率は67.3%とV字改革。
リーマンショックから完全に立ち直った。

期末店舗数も299まで伸びた。

渥美俊一先生の口癖。
「200店つくらなけりゃ、
チェーンストアじゃない」

ホールフーズはもう300店に手が届く。

店頭はハロウィン一色。
20111004200424.jpg

その徹底ぶりがすごい。
20111004200435.jpg

入り口を入ったところに、each(1コ)99セントのリンゴ。20111004200449.jpg

この店は青果部門だけ、
ワンウェイ方式で誘導するが、
左手はジュースやカットフルーツ。
20111004200755.jpg

平台で奥に誘導する。
20111004200808.jpg

入り口右手には、花売り場。
20111004202719.jpg
これはアメリカのスーパーマーケットの定石。
日本でも本格的にイノベーションを図るべき。

中央平台手前に並ぶのは、
オーガニック・マンゴー。
20111004202742.jpg

右手壁面は多段ケースで、
ピーマンやパプリカがカラーコントロールのお手本のよう。
上段はペッパー。
20111004202754.jpg

「アンディ・スコア」の啓もうにも力が入る。
20111004202810.jpg

右手のコンセプト・ボード。
オーガニックとは何か、
ローカルとは何か、
アンディ・スコアとは何か。
20111004202848.jpg
ホールフーズのパネルには、
深い深い意味がある。
思いつきの内容ではない。

「地産地消」のLocal(ローカル)のパネル。
ホールフーズはファミリー・ファームをサポートする。
20111004202837.jpg

左翼壁面はホールフーズ自慢のオーガニック野菜売場。
20111004203231.jpg

平台の前面はアーティチョーク。
20111004203247.jpg

平台にはアスパラガスとトウモロコシ。
20111004203304.jpg

左が赤いトマト、中央が緑と黄色のレモン、
右が深緑のアボカド。
これをカラーコントロールという。
20111004203316.jpg

ホールフーズのバナナ売り場。
左から黄色、青と、食べごろが違う。
それをお知らせしている。
20111004203336.jpg

バナナが「フェアトレード」であることを訴えている。
20111004203348.jpg

「Quality & Convenience」と訴求されたカット野菜のコーナー。
20111004203424.jpg

左上からオレンジジュース、
左下は卵、
真ん中からサラダ葉物。
20111004203451.jpg

そして朝食の提案。
20111004203504.jpg

フレッシュ・ディップとカットフルーツ。
20111004203527.jpg

真ん中は「オーガニック・ココナツ・ウォーター」。
20111004203542.jpg

バケツに盛られた根菜類の島陳列が青果部門の最後にくる。
20111004203644.jpg

この一角が新設された「ドライフルーツ・デポ」。
20111004203558.jpg

「100%オーガニック・ビーガン・フード」と看板がある。
「べーガン」とは純粋ベジタリアンのこと。
20111004203622.jpg

ドライフルーツが大量に保管された、まさに「デポ」。
20111004203727.jpg

上段はパックに入ったドライフルーツ。
最下段はバルク販売。
20111004203741.jpg

対面方式の鮮魚売り場。
これほどの品ぞろえも鮮度も、
他社にはない。
「シーフード・マーケット」と名付けられている。
20111004203800.jpg

切り身はトレー陳列。
20111004203837.jpg

フレッシュ・フィッシュは敷き詰められた氷の上に並べられている。
20111004203820.jpg
真ん中の青い帯には、
「MSC」など環境・安全の説明。

対面売り場の鮮魚とシーフード・スープバー。
20111004203930.jpg

青果部門と鮮魚部門の間に、
北米伊藤園の「ティーズティ」のペットボトルのアイランド。
20111004203914.jpg

シーフード・マーケットの前には、
イートインの店内レストラン。
20111004203948.jpg

ぐるりと囲むように、
テーブル席が設けられている。
この時、テーブルと椅子の位置が、
通行する顧客の目線よりはるかに高い。
それが大原則。
20111004204009.jpg

Dairyは乳製品の売り場。
20111004222724.jpg
大量のプライベートブランドが並ぶ。

ケージ・フリーなどが主体となった卵売り場。
20111004222740.jpg

そして店舗中央壁面の精肉対面売り場。
20111004222756.jpg

最近の工夫、
ガラスのRケースにペインティングしてアピール。
「Local Beef」
20111004222812.jpg

飛び切りの豚肉、鶏肉売り場も商品は縦陳列。
20111004222830.jpg

質問すれば必ず丁寧に答えてくれる。
試食を頼めば、快く提供してくれる。
20111004223215.jpg

これもガラス・ペインティングされた自家製ソーセージ。
20111004223228.jpg

対面に多段ケースのロテサリーチキン。
20111004223243.jpg

生パスタ・ショップ。
20111004223322.jpg

これだけ集めると他の追随を許さない。
20111004223334.jpg

ワインショップにつながる。
20111004223419.jpg

精肉とチーズ、デリとにまたがっているワインショップ。
20111004223432.jpg

ワインショップを抜けると店舗右翼のサービスデリのコーナーへ。
20111004223358.jpg

真っ先に目に飛び込んでくるのが、
円形の寿司コーナー。
20111004223712.jpg

チーズ売り場も広大で幅広い品揃え。
20111004223738.jpg

「The ABC’s」と名付けられたショップ。
20111004223753.jpg

その真ん中の売り場。
20111004223931.jpg

量販するチーズは2種類。
20111004223945.JPG

サンドイッチ用のハム売り場。
20111004224000.jpg

大皿盛りのデリ。
オーガニック素材で調理されている。
20111004224012.jpg

ビストロメニュー。
20111004224043.jpg

注文に応じてサンドイッチをつくってくれる。
20111004224029.jpg

続いてピザの対面売り場。
20111004224339.jpg

最後はナチョス(Nachos)の対面コーナー。
これにも人が集まっている。
20111004224601.jpg

サービスデリの中央にはバーが並ぶ。
20111004224353.jpg

サラダバー。
もちろんオーガニック野菜を使っている。
20111004224403.jpg

温野菜のバー。
こちらもオーガニック主体。
20111004224426.jpg

メニューはこんな感じでカラフル。
20111004224657.jpg

デリとスープバー。
20111004224709.jpg
ホールフーズの青果売り場を見て、
「ロスはどのくらいあるのか」との質問が多い。
大半はデリとして商品化するから、
ロスはほんのわずかとなる。

入り口近くにケーキ売り場。
20111004224727.jpg

そして当然ながらバゲット。
20111004224739.jpg

インストアベーカリー。
20111004224801.jpg

クッキー売り場。
20111004224750.jpg

中通路を戻ると、ゴンドラエンドは高い。
20111004224835.jpg

人がついてジュース販売。
20111004224919.jpg

ワインショップのエンド。
20111004224929.jpg
チーズが関連販売されている。
スキンケアも健康志向。
20111004224940.jpg

そしてリーチインケースの冷凍食品。
20111004224951.jpg

リーチインケースの通路には、
1品大量の島陳列。
リーマンショック以降、
スーパーマーケットの原則回帰。
20111004225003.jpg

大量陳列のエンド群。
20111004225017.jpg

エンドはペットフード。
20111004225027.jpg

これも伊藤園の「ティーズティ」のエンド。
伊藤園の売り込みはすごい。
20111004225038.jpg

青果部門の裏側に戻って、
バルク売り場。
20111004225049.jpg

レジはいつも混んでいるが、
顧客を待たせない。
20111004225122.jpg

右翼入り口付近が人の出入りが激しい。
20111004225132.jpg

店舗入り口横に料理教室。
20111004225101.jpg

キッチンがあり、調理道具とテーブルが並んでいる。
20111004225110.jpg

ホールフーズはこの2年ほどで、
すっかり元気を取り戻した。

悲観論から楽観論へ。
そのイノベーションの推移を私は見てきた。

それは小さな継続的な改善の繰り返しと積み重ねだった。
20111004225141.jpg

小さな変化を見逃してはいけない。
小さな改革を見過ごしてはならない。

自分のイノベーションへの挑戦を考えれば、
それはすぐにわかる。

小さなことの継続、積み重ね。

それが悲観を楽観に変えてくれる。
(明日につづきます)

<結城義晴>

2011年10月03日(月曜日)

アメリカ小売業の小さな持続的イノベーションを学習し、実感し、その実行を決意しつつ、帰国しました。ありがとう。

Everybody! Good Monday!
[vol40]

2011年第40週。
10月第2週の始まり。

帰国しました。
関西国際空港に。
20111003213644.jpg
サンフランシスコから10時間58分のフライト。

私はむしろこのフライト時間を、
楽しむようにしています。

だからこれ自体は辛くもないし、
疲れもしない。

それでも積み重なった旅の疲れをとって、
また明日から、元気いっぱい、頑張ります。

さて今週は、
来週月曜日の「体育の日」を控えた週。

1年で一番さわやかな季節。
食欲は旺盛になる。
体は動く。
気持ちも充実。

だから目いっぱい、
発散したいのが顧客の気分。

それに応えるのが、
小売業、サービス業の役目。

目いっぱいの商売に徹したい。

週末の三連休を目指して、
来週月曜日までを一区切りにして、
全開の元気で顧客を迎えたい。

私の今週は、
溜まりきった執筆、テキストづくりをこなしつつ、
来客を迎える日々。

今週末の日曜日から、
今度はドイツ・フランスへの出張。

苦しくも、辛くもありません。
楽しいことばかり。
嬉しいことばかり。

楽しく生きる、嬉しく暮らす。
もちろん辛いこと、苦しいことにも、
そうした気構えで立ち向かう。

それでいて、謙虚に、謙虚に。

integrity[真摯さ]には、
必ず謙虚さがなければならない。
自ら傲慢さを退けなければいけない。

それにしても、今回も、
アメリカ小売業のイノベーションを、
堪能した。

ウォルマートのあくなきイノベーションへのチャレンジ。
20111002200646.jpg

ウォルマートのライバルターゲットは、
イタリアのブランド「ミッソーニ」導入のイノベーション。
20111003210049.jpg
評判は芳しくないけれど。

コストコの精肉「プライム」グレード採用のイノベーション。
20111003210209.jpg
この1年くらいでずいぶんと定着してきた。

テスコ・フレッシュ&イージーは、
北カリフォルニアに進出しつつ進化を遂げている。
20111003211804.jpg

クローガーもセーフウェイも。
20111003210239.jpg

HEBのダラス出店には、
「自らの強み」が強調されていて、
感動した。
20111003211644.jpg

ホールフーズは一段と、
「ローカル」(地産地消)を強調し始めた。
20111003211731.jpg

トレーダージョー
は、
マネジメント・イノベーションに挑戦している。
20111001224737.jpg

スプラウツは「ファーマーズ・マーケット」のフォーマットを、
連続的な小さなイノベーションによって、完成の領域に引き上げつつある。
20111003211716.jpg

リミテッド・アソートメント「ボックスストア」のアルディも。
20111003211654.jpg

「スーパーウェアハウスストア」のウィンコ・フーズも。
20111003211742.jpg
ウォルマートをしのぐディスカウントに磨きをかける。

規模は小さいが、
不可能を可能にするナゲット・マーケットにも、
20111003211751.jpg
ローカルチェーンの「ニューフォーマット」マーケット・ストリートにも、
20111003212847.jpg
日々、小さな、継続的イノベーションがある。

日々の小さなイノベーションは、
「鳥の目・魚の目」と「虫の目」が揃わないと、
見えない。

しかし小さなイノベーションが続けられると、
それは大きなイノベーションとなる。

大きなイノベーションだけに目を向けようとしていると、
小さなイノベーションは見えない。

ピーター・ドラッカー先生の言葉。
「イノベータ―はリスク志向ではない。
イノベータ―は機会志向である」

ショッピングセンターはますます、
ライフスタイルセンター化している。
20111002200800.jpg
これはアメリカ流通産業で今、
見逃せない、大きなイノベーションだ。

イノベーションがあるから、
店が輝いている。

それが喪失すると、
店から輝きが失せる。

今回の平和堂研修会第2班。
セミナーでは、しっかりと学んだ。
20111003213530.jpg

司会は、副団長の販売促進部部長・杉崎邦彦さん。
20111003213501.JPG

集中して聴講するメンバー。
20111003213510.jpg

難しいことをやさしく、
優しいことを面白く、
面白いことをより深く。
20111003213521.jpg

結城理論を完全マスターしてくれた。
20111003213540.jpg

そしてバスでの遠距離走行。
20111003211824.JPG
バスの中でも、休まない、
結城義晴と五十嵐ゆう子のセミナー。

研修が終わったら、楽しんだ。
20111003211626.jpg
ステーキレストラン「Trail Dust」。

テキサスのカウボーイ・レストランだから、
ネクタイを締めてやってくる北部エリートたちの、
そのネクタイを切り取ってかざる。
20111003213405.jpg

飛び切りのポーターハウスステーキを楽しむ。
20111003213434.jpg

店内にある滑り台を、
大の大人が楽しむ。
20111003213444.jpg

そして誕生日、おめでとう。
岡晃敏さん。
20111003213415.jpg

川那辺潔さん。
20111003213423.jpg

最後の最後に、サンフランシスコ空港で、
総括と行動提起。
20111003213602.jpg

団長の常務取締役・平松正嗣さんが、
的確に、丁寧に、
イノベーションの継続を訴えた。
20111003213611.jpg

そして団長、副団長と最後の写真。
20111003213620.jpg

サンフランシスコ空港には、
現地在住の浅野秀二先生が、
見送りに来てくださった。
20111003213553.jpg

11時間のフライトのあと、
関空から、さらに羽田への空中移動。
20111003213651.jpg
大阪の街は日本の大都市だった。

クレイトン・クリステンセンが訴えるイノベーション。
破壊的イノベーションと持続的イノベーション。

破壊的イノベーションが、
ひっきりなしに起こることは絶対にない。

大抵は小さな持続的イノベーションだ。

持続的イノベーションが、
地道に地道に、コツコツと実行されると、
それが大きなイノベーションにつながる。

人間も組織も会社も、
段階的に成長する。

この持続的で小さな改革を軽んじる者は、
イノベーションの本質を理解してはいない。

今回の渡米は、
とりわけて私たちに、
このことを教えてくれた。

アメリカの小売業とわが同志たちに、
心から感謝したい。

それを日本の皆さんに伝えつつ、
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

[追伸]
今週いっぱい、アメリカ報告を続ける予定です。
ご期待ください。

2011年10月02日(日曜日)

ジジとライフスタイルセンター[2011日曜版vol40]

おとうさんですか?
20111002195937.jpg
でかけてますよ。

どこへって?20111002200219.jpg

ボクには、
よくわかりませんが、
いつものところでしょう?
20111002200236.jpg

ヒコーキにのって。
20111002200321.jpg

空のむこう。
20111002200348.jpg

もちろん、
こんなところには、
いません。
20111002200412.jpg

やっぱり、
空のむこうのほう。
20111002200458.jpg

そぅです。
20111002200531.jpg

アメリカ。
20111002200546.jpg

アメリカはいま、
ハロウィン一色。
20111002201032.jpg

おとうさんは、
シゴトです。
20111002200602.jpg

だからボクは、
さびしくなんか
ありません。
20111002200730.jpg

おとうさんは、
みんなといっしょです。
20111002200646.jpg

そして、ライフスタイルセンターにいった。
20111002200800.jpg

あたらしいタイプのショッピングセンター。
20111002200713.jpg

モノを売ったり、
サービスを売ったりではなくて、
憩いを提供するところ。
20111002200838.jpg

だから、チョーコクがあったりします。
20111002200930.jpg

おおきなおおきなゲイジツ。
20111002200943.jpg

こんなのも。
20111002200822.jpg

ニッポンにも、いつか、
できるんでしょう。
ライフスタイルセンター。
20111002201007.jpg

おとうさんは、
講義をしたり。
20111002201047.jpg

インタービューをしたり。
20111002201102.jpg

もうすぐ、
かえってきてくれるはずです。
20111002201127.jpg

ボクはいつも、
まつばかり。

それでいいんですが。

< 『ジジの気分』(未刊)より>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2025年6月
« 5月  
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.