「現状を否定せよ!」
この言葉は、8月に限ったものではない。
なぜなら故渥美俊一先生の哲学を集約したものだからだ。
日本商業にチェーンストア理論とチェーンストアシステムを持ち込み、
チェーンストア産業づくりをした渥美先生には、
商業界の故倉本長治先生のような数々の標語はない。
言葉よりも、体系が残されている。
しかしその体系の根本にある渥美俊一の言葉を、あえて選ぶ。
すると確実に、有力な言葉のひとつが、これであると、私は思う。
企業は、企業人は、常に、現状に甘んじてはいけない。
そのためには、現状を否定するくらいでなければならない。
いつも危機感を持つ。
そして常に現時点に立ち止まることを拒否する。
立ち止まることは、すなわち、
下りのエレベーターにのっていることと同じ。
だから「現状を否定せよ!」
渥美俊一は、自らにそう言い聞かせつつ、84年の人生を疾駆した。
今月は、その渥美先生の遺志を継ぐ意味を込めて、私たちは、自らの現状を否定したい。
それがイノベーションの原動力でもあるからだ。
<結城義晴>