今日は東海道新幹線で京都へ。
マツモトの取材と講演。
京都府亀岡に本部を置くマツモト。
業容は25店舗・売上高575億円。
売上げの7割は京都市内の店舗が、
ドミナントを築いて稼ぐ
木曜の今日はセール日。
午後2時に店に到着したら、
次々に顧客がやってくる。
社内研修の「北水会」の実施日で、
マツモト幹部が勢ぞろいしている。
「北水会」はもともと、
オール日本スーパーマーケット協会の中の、
特別に濃いメンバー企業の勉強会だった。
当時の関西スーパーマーケットの、
北野祐次社長と水谷久三専務を中心に、
メンバー企業の店舗を視察して、
侃侃諤諤(かんかんがくがく)、意見を交換した。
北野さんは会長になり、
水谷さんも最高顧問になった。
そしてお二人とも亡くなられた。
それでも北水会は続けられた。
残念ながら新型コロナウイルス感染拡大で、
この北水会は中断した。
そこでマツモトでは、
この活動を自社内で行うことにした。
今年は第5回「社内北水会」となった。
その北水会の対象となった店を私も訪れた。
売場にはマツモトらしさがあふれている。
それからブランド化した、
「まごころ牛」
実によく売れている。
さば寿司と巻き寿司。
マツモト名物のセットアイテム。
買って食べた。
肉厚の鯖がのったさば寿司も、
かんぴょうと玉子が入った巻き寿司も、
優しい味で美味かった。
天ぷらコーナー。
カボチャのてんぷらのこの厚み。
おやつとして食べられることもあって、
よく売れている。
マツモトがどんどん進化している。
それを見てうれしかった。
案内してくれた幹部の皆さんと写真。
グリーンのジャンパーがマツモトの幹部の皆さん。
右から松本隆文会長、松本健司社長。
私の左隣は村田五条店店長、堀内智之部長。
加茂晶一店舗運営部ブロックマネジャー。
堀内さんは第一商品部で青果と海産を担当。
そしてレンゴーの皆さん。
右から山本麻依子さんと勝村佳代さん、
そして縄田幸男さん。
レンゴーは段ボール什器を、
マツモトの店頭で実験している。
今日はその取材だが、
デザインマーケティングセンターから
三人が同行してくれている。
京都産生乳100%の京都農協牛乳。
マツモトでは大人気。
地元の商品開発が進んでいる。
レジ前島陳列の米売場は京都産米がメイン。
京都丹波産こしひかり。
ご案内くださった辻店長初め、
西小路御池店の皆さんと写真。
右から二人目は小谷真也さん。
営業企画部長で今回の取材のアテンドをしてくれた。
皆さん、ありがとうございました。
京都市から亀岡市のマツモト本部へ。
今年初めに改装を終えた。
故松本定市前会長の部屋を応接間にした。
窓から眼下に亀岡市内が見える。
マツモト社内北水会のメンバーとして、
経営トップから部長、マネジャークラスの人たちが、
全員参集。
事前に私の新著『チェーンストア』が、
全員に配られていた。
商人舎ミドルマネジメント研修会や、
US研修会ベーシック編などに、
マツモトからは幹部やミドルマネジメントが、
多く参加している。
理解度テストなどのS級獲得者の比率は、
極めて高いレベルだ。
だから私は講義がしやすい。
伝えたい内容はすでに勉強済みだ。
つまりマツモトは「学習する組織」なのだ。
そうすると講義や講演は、
理解度が飛躍的に高まる。
とくに2.0の「業態チェーンストア」時代に、
関西スーパーが果たした役割は極めて大きい。
マツモトは北水会などを含めて、
徹底的に関西スーパーに学んだ。
そして業態の確立を実現させた。
そのうえでフォーマットの時代となった。
チェーンストア3.0である。
このフォーマットは、
業態としての関西スーパー方式に、
マツモトらしさのポジショニングを加えることで、
完成に近づく。
3.0は関西スーパー方式の徹底と、
マツモトらしさの貫徹によって成し遂げられる。
もっともっとマツモトらしさを極めてほしい。
アウトスタンディングな、
模倣困難なマツモトらしさ、
京都らしさ。
それがマツモトのポジショニングとなる。
最後は祈り。
変えられるものは変える勇気を、
変えられないものは受け入れる心の静かさを、
それらを見分ける英知をお与えください。
講演が終わると、
ふたたび京都市内へ。
河畔にある「天ぷら松」。
松本会長の大学の先輩が創業した店。
ここで松本会長、松本社長、
そして松本幸男専務との会食。
亀谷しづえ商人舎ゼネラルマネジャーも。
車で送ってくれた八田茂徳さん。
店舗運営部チーフマネジャー。
この嵐山に住んでいるそうで、
観光名所ではゆっくりと走ってくれた。
「天ぷら松」の料理は言葉に表せないくらい、
素晴らしかった。
まさにアウトスタンディングだった。
卓越した料理だった。
先付けの青豆とキャビアのおかゆには、
いきなりびっくりさせられた。
先付けでおかゆさん、
しかも、超美味。
次々に趣向を凝らした料理が出てきた。
そのままいただくのかと思いきや、
丁寧に身をほぐしてくれて、
カニの甲羅に蟹肉と湯葉を詰めてあげた天ぷらに、
ほぐした身をこんもりとのせて、
絶品の蟹みそソースをかける。
京都は筍の産地だ。
朝獲れの新鮮な筍は、
糠を入れずにお湯だけで炊き上げる。
それで十分らしい。
まず茹でただけの筍の本体。
これが素朴で筍本来の味で、
素晴らしかった。
新鮮な筍はトウモロコシの香りがする。
大ぶりの伊勢エビは、
しっかり掴んでおかないと、
飛び出すほど新鮮だ。
食べ終わると絵柄が現われる。
この店は器に凝っている。
古い器、著名な作家の器を、
惜しげもなく使って、
おいしい料理を提供してくれる。
熱々の器にホタルイカを入れ、
茶碗蒸しのスープを注いで、
ふうふう言いながらいただく。
最後にフキノトウやエビ、
新タマネギの天ぷら。
天ぷら屋の絶品の天ぷらが、
最後の詰めの料理だ。
最後の最後に締めのうどん。
デザートはわらび餅とアイスクリーム。
写真を撮り忘れたメニューもあった。
おいしいおいしいと言いながら、完食した。
地元のお酒と素晴らしい創作料理に、
大きな感動を覚えた。
今夜の食事は一生忘れない。
食事の後は、夜桜見物。
円山公園にある祇園枝垂れ桜。
正式名称は「一重白彼岸枝垂桜」
枝垂れ桜は二代目。
初代は昭和22年に枯れた。
樹齢220年だった。
その初代の種子から育てられたのがこの桜。
樹齢約80年の大木に成長した。
枝垂れ桜の周りを一周する。
若芽の木々とのグラデーションもいい。
ここでも外国人の姿。
日本の桜を愛でている。
うれしいことだ。
長いながい一日だった。
アウトスタンディングな店、
アウトスタンディングな学習する組織。
そして卓越した料理と桜。
自分たちらしさを発揮する仕事こそ、
お客様と地域に貢献するために、
もっとも必要なことなのだ。
〈結城義晴〉