結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年04月14日(水曜日)

鳩山由紀夫首相とカスミ石原俊明社長と「美味安心中目黒店」の真摯さ

鳩山由紀夫首相。
なんだか危うくなってきた。

核安全保障サミットでのバラク・オバマ大統領との会談。
マスコミが散々叩いている。

テレビ朝日の三反園訓コメンテーターは、
鳩山首相に「正直さ」を求める発言をしている。
「もっと正直であればいいんです」

しかし、私は、それでは足りないと思う。
「真摯さ」こそ必須の条件だ。
ピーター・ドラッカー教授のいう「integrity」。

ドラッカー先生は書いている。
「始めから、身に着けていなければならない資質が、
ひとつだけある。才能ではない。真摯さである」  

昨日の日経新聞「投資・財務欄」のコラム「一目均衡」。  
「別れの春と日本企業の未来」のタイトルで、
企業統合や資本提携の破談、頓挫、見送りの事例を取り上げている。

キリンとサントリーの両ホールディングス、
高島屋とエイチ・ツー・オーリテイリング、
さらに日本航空の貨物部門と日本貨物航空、
三菱自動車とプジョーシトロエングループ。

コラムニストの西條郁夫編集委員の言いたいことが、
最後に出ている。
「再編統合はサイクリカルな景気変動に対応するための手段ではない。
企業の長期的な競争優位をどう築くかという戦略的な課題である」   

そして結論付ける。
「必要な統合に果敢に取り組む企業とそうでない企業は、
10年後には大きな差が生じるだろう」

しかし私は、この見解は、
経営が分かっていない人のものだと思う。
「投資・財務欄」に載っていることも加味すれば、
統合が進む方が国際競争力がついて、
株価も上昇するという考え方もあるかもしれない。

しかし、企業の経営において、
必須なのは「integrity」である。  

互いに真摯さが足りない場合は、
統合を辞めることも必要だし、
組織風土や事業領域の特性が、
そのメリットを相殺させる場合には、
破談も頓挫も見送りも、
真摯な経営判断となる。

さて、今日の日経MJのインタビュー「消費見所カン所」。
㈱カスミの新社長・石原俊明さんが、切れのいいコメント。

「1円でも安く、1円でもお得に」の姿勢が、
「お客さんから共感を得た」

そのために「無駄の削減」に真摯に取り組んだ。
「経費のあかすり」と呼ぶ。
社長のほか、販売、開発などの各部部長が、
「週3回集まる会議」  
店側から無駄と考えられる作業を指摘してもらい、
「その場で廃止を即決する」。  

結果として、「店頭販促(POP)の枚数や本部への作業報告」など、
多岐にわたる見直しが提案され、決定され、実行された。

「経費のあかすり」  

その一方で、顧客への提案も、多数にわたってなされる。

人間も毎日毎日、垢がでる。
だから「あかすり」は必須。

それを会社で、トップ自らが参加して、
1週間に3日、実行している。

「掛け声だけ」で、全部「現場任せ」「現場丸投げ」とは、大違い。

これも経営に対する「真摯さ」のたまものだ。

integrityが、
従業員の信頼を勝ち取り、
顧客からの支持を獲得し、
業績・実績をつくる。  

さて今日は、昨日の続き。
いちやまマートの「美味安心」中目黒店のフォトレポート。

10坪ほどの小さな路面店。

全品、いちやまマートのプライベートブランド。
美味しさと健康・安心・安全。
そのうえで、リーズナブル価格。

アメリカでいえば「トレーダー・ジョーズ」を目指す。

入口を入ると、中央に平オープン冷蔵ケースとテレビ画面。

ここではいちやまマートのコマーシャルを流していた。

冷蔵ケースには、各種たれ類。
無添加・無着色料、そのうえで化学調味料を使わない。

大変な苦労でつくりだした商品群。

店舗奥通路沿い。

小さな店でも、コの字型に通路が切ってある。
右手が、調味料売り場。

最上段に、美味安心の第一号商品の「味噌」。

美味しい味噌をつくろうとして、
懇意のメーカーと検討したら、高価な商品だった。
そこでピロータイプをカップタイプに変え、
容量を500グラムにして、
なおかつ500円を切る498円のアイテムにした。

醤油は「国産丸大豆」。

胡麻ドレッシング、マヨネーズなど調味料も、
美味しさ、健康・安心・安全。

化学調味料無添加のだし。

「幻の銘茶」とある初摘み芽茶。

そして低農薬のコシヒカリ。

ショーカードには「田んぼでフナを飼っています」とある。

コーヒーにも、生産者の写真入りで、
商品紹介のショーカードがつけられている。

鰹節・削り節の売り場。

この開発に当たっては、面白いエピソードがある。
削り節サンプルは3種類提出された。
50円刻みの値段で、A、B、C。
三科雅嗣社長は「味の責任者」だから、
当然、試食してみた。
すると断然、Aが美味。
そこで、Aを採用したのだが、
三科さんは指摘した。
「だしを採って料理をするお客様は、
美味しいものを求めている。
簡単料理のお客様は、はじめから化学調味料を使う。
だから美味安心は、いちばん美味しいものを選ぶ」

こうして生まれた売れ筋の「美舞削り」

店舗右手は菓子売り場。

かりんとうの試食が展開されていた。

そのショーカード。

一番の売れ筋は「野菜かりんとう」130グラム230円。

乳製品では、チーズに力を入れている。

もちぶたのシュウマイも売れ筋。

買って帰って、すぐに食べてみたが、美味。

味付けいなりも売れ筋。

5分でできる調理レシピのショーカードが付けられている。

最後に、「国産きなこ大豆」。

店舗スタッフの田向里美さんが、
特にお薦めしてくれた。

当然、購入。

美味安心中目黒店。
いい店だった。

店づくりも商品づくりも、
経営も政治も、
integrityが必須。

これが変わらぬ結論。

<結城義晴>  


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