結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年04月16日(土曜日)

震災後の「フェーズ2」の政策転換と元気が出る投資家ジム・ロジャーズの日本復興論

日本チェーンストア協会会長に、
清水信次さんが就任する。

5月の通常総会で正式承認される。

清水さんはご存知、㈱ライフコーポレーション会長。
日本スーパーマーケット協会名誉会長、
社団法人新日本スーパーマーケット協会でも名誉会長。

スーパーマーケット業界の重鎮・長老が、
チェーンストア協会の現役の会長となる。

先の参議院選に立候補し、
おしくも落選はしたが、
流通業界きっての政治・行政通。

東日本大震災後のこの時期、
もういちど、清水さんの力を、
借りようということだ。

私もよく覚えているが、
清水さんは1986年から1988年までの2年間、
チェーンストア協会会長を務め、
当時の「売上げ税導入反対」の先陣を切って、
結局、中曽根康弘内閣の新税導入を阻止した。
その後、中曽根さんと清水さんは、
盟友として現在に至る。

こういう成熟した大人の人間関係、
いいですね。

それから23年ぶりの会長就任だが、
小売流通業の社会的地位を正当なものにすることに、
「無茶をせず無理をする」で、
ご活躍願いたい。

その上場小売業の2月期決算発表が相次いでいる。
昨日の日経新聞が、
68社の業績見通しを集計した。

今期の総集計の予想は、
売上高が前期比マイナス2%、
営業利益はプラス1%。

全国展開企業が多いため、
多くの企業が今回の震災の地区に店舗を出していて、
そのための特別損失を計上する予定。
従って2割分が最終減益となる。

セブン&アイ・ホールディングスが、
年商5兆1450億円(前期比0.5%増〉で、
営業利益2489億円(前期比1.9%増)の予定。

イオンは、年商5兆1000億円(前期比0.1%増)で、
営業利益1750億円(1.5%増)。

両者ともに、トントンの予算。

セブン村田紀敏社長は、
「景気は緩やかに回復しており、足もとの消費は悪くない」と発言。
イオン岡田元也社長も、
「下期には本格的な復興景気が出てくる」と明るい見通しを語る。

ローソンは本部年商4610億円で営業利益575億円。
年商は前年比プラス4.5%、営業利益はプラス3.5%。

ファミリーマートは年商3189億円、営業利益385億円。
同じく年商はマイナス0.3%であるものの
営業利益は0.7%プラス。

ローソン新浪剛史社長は、
「コンビニとスーパーマーケットの価格差が縮まる」と予測。
ファミリーマート上田準二社長は、
「高付加価値商品で客単価は上げられる」と方針を披露。

この記事のあとで、
編集委員の田中陽さんが、
震災以後、消費者行動が大きく変化していることを指摘。

「生活防衛という部分を残しつつ、
家庭や個人は消費を仕分けし始めた」

私はコモディティとノンコモディティの購買比率が、
変わってくると考えている。

被災後の「救助・救済・復旧」段階は、
生命保持のためのコモディティの消費が圧倒的に多い。

それが「復興段階」に入ってくると、
ノンコモディティ消費がどんどん広がってくる。

ただしこの1年の下期においても、
コモディティ需要は、
決して減らないということだ。

家庭においても、
店舗においても、
物流拠点においても、
コモディティ商品群が、
少しずつ備蓄される。

まさにディマンド&サプライチェーンの中で、
在庫の意識が変わる。

その意味で、POSデータそのものも、
POSデータの読み方も、
ひとつのクッションが必要になる。

そしてコモディティグッズの欠品は、
絶対に許されない。
それが顧客の安心を担保し、
顧客からの信頼を築く。

今日の日経新聞コラム『大機小機』。
コラムニスト隅田川氏が「フェーズ2への道」を書いている。

「フェーズ1」が救助・救済・復旧段階。
「フェーズ2」は復興・振興段階。

フェ-ズ1では、経済活動は大きくダウン。
フェーズ2では、逆に成長率が高まる。

フェーズ1では、
「惜しむことなく必要なコストがかけられる」。

他の政策目標とのトレードオフを気にかけることがない。
何より人命救助と被災者の生活支援。

フェーズ2は、
「トレードオフが存在する領域に入っていく」。

「政策目標の優先順位をつける必要があり、
整合性と経済合理性を備えた政策が求められる」

これは企業の政策そのもの。

さて、朝日新聞のオピニオン欄で元気の出るインタビュー。
投資家のジム・ロジャーズさん。
あのジョージ・ソロス氏と共同で、
「クォンタム・ファンド」を創設した人物。
最初に語る。
「日本は本当に大好きな国で、
心から悲しく思っています」

日本が再び成長軌道に乗るために最も必要なこと。
「まずは子どもを増やすこと」
大賛成。
「いくらお金がかかっても、
誰も使わない橋や道路に使うより、
子どもを産んでもらうことにもっと使うべきです」

これも大賛成。

だから政府の「子ども手当」などでは全然足りない。

そのための提案。
「私だったら、移民政策を促進します」
これにも私はずっと賛成してきた。

「移民は歴史を見ても、
勇敢で野心を持ち、賢い人々です。
移民は子どもをつくります」

産業について。
「日本が今後も国内で製造業に頼り続けるのは難しいでしょう。
企業は海外に出ていけばそれでいいかもしれませんが、
職を失う日本人にとっては大きな問題です」

「そのために歴史上の国々は、
産業の中心を製造業から
サービス業や金融業に移してきました」

日本に望むこと。
「なるべく早く、変化を決断することです。
今回の大災害が日本の転換点となり、
人々の考え方を変えるきっかけになるのではないか」

私も、そう思う。

私たち自身の考え方を変えるきっかけ。
「自ら変わる」ことの転換点。

ことは「変化の決断」にかかっている。
私たち自身の。

今週もこのブログ[毎日更新宣言]に来てくださって、
ありがとうございました。
みなさん、良い週末を。

そして被災地のみなさんが、
やすらかに眠ることができますように。

<結城義晴>

[追伸]
「東北関東大津波大震災」現地レポートは来週に続きます。


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.