結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年02月05日(水曜日)

日経新聞社説の「流通業多角化のワナ」と宮城県気仙沼訪問記

お別れの会のお報せをふたつ。

ひとつは、
故倉本初夫商業界主幹偲ぶ会。
今週金曜日の7日、午後2時から3時まで。
アパホテル東京ベイ幕張。
私も参加する。

もうひとつは、
故堤清二さんのお別れの会。
2月26日午後1時から、
東京・帝国ホテルで行われる。

堤さんはもちろん、セゾングループ創業者。

私は商業経営問題研究会の座長を務めている。
そのメンバーには西武百貨店や西友出身者が多い。

みんな、参加すると思う。
私も献花に行くつもり。

さて、日経新聞の社説。
「流通業界で進む多角化戦略に潜むワナ」。

日経の社説は最近、
小売流通業に物申すことが多い。

これはとてもいい。

日本の経済の中で、
リテールが重い役割を持ってきたことを、
日本経済新聞が認めたことになる。

今回の話題は、
異なる業態企業を買収している
大手小売業に対する警告。

エイチ・ツー・オーリテイリングは、
大衆的総合スーパーのイズミヤを子会社化。

セブン&アイ・ホールディングスも、
相次ぐ買収。
通信販売のニッセンホールディングス、
高級衣料店バーニーズジャパン、
雑貨店フランフランのバルス。

イオンもピーコックストアを傘下に入れた。

日経は主張する。
「多様化した消費者を相手にする流通業では、
企業規模を拡大し、メニューを増やしても、
ただちに相乗効果が表れるわけではない」

故田島義博先生は晩年、
小売業の規模のデメリットを指摘した。
元学習院大学院長で流通の専門化。

その通り。

日経も言う。
「業態が異なれば、
客層や価格帯も変わってくる」。

だから「多角化戦略のワナ」には、
気をつけろ。
そう、主張する。

「流通業界では、バブル期に
ダイエーやセゾングループが
多角化を目指して買収を重ねたが、
明確な相乗効果を出せなかった」

それは事実だが、
時代も変わっている。

「文化の異なる企業やブランドをうまく生かすには、
もう一段の工夫やアイデアが必要になる」

私は考える。
必須の条件は、
工夫やアイデアではない。
マネジメントや企業文化の一体化だ。

それが可能ならば、
多様性を体内化することにも、
意義が生まれる。

だからH2Oのイズミヤ子会社化に対して、
私の評価は高くはない。

もう済んでしまったことで、
両者がこれから統合の努力をするのだから、
水を差すつもりは全然ないが。

セブン&アイの買収は、
オムニチャネル構築の一環

現在の同社の利益を考えると、
ある意味で意欲的だと思う。

同社の抜群の求心力を前提とすれば、
これもあり。

これからは、
買収された側の経営者たちに、
「基本の徹底と変化への対応」が、
突きつけられる。

多角化に関しては、
かつてのロジックだけでは、
判断できないと思う。

多角化、多業態化、
そしてマルチ・フォーマット化。

十把一絡げでは、
片付けられない問題となってきた。

さらに罠を恐れていては、
次の時代を切り拓くこともできない。

面白い時代であることは、
間違いないし、
それを解き明かすことに、
大いに意義が出てくる時代である。

さて私の行動記録は、
昨日に遡る。

現在は、仙台から石巻に移動。
そして蛇田地区に宿泊。

しかし昨日は朝、
大船渡から陸前高田に移動し、
さらに昼過ぎに気仙沼へ。

気仙沼は3.11の震災で
市街地が大きなダメージを受けた。

気仙沼を本拠においていた片浜屋も、
社屋を津波で流された。

片浜屋はスーパーマーケット3店を経営する。
オール日本スーパーマーケット協会会員。

港近くの本社社屋を津波にさらわれて、
平成23年11月、東新城地区に新本部を建てた。
その仮設状態の新本部事務所を訪問。
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社長の小野寺洋さん。
突然の訪問にもかかわらず、
歓迎してくれてありがたい。
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小野寺さんも元気な様子で、
被災当時のことから現在までを、
率直に語ってくれた。

若い経営者が、
「明日への希望」をもって、
ビジョンを語る姿は美しい。

そしてもう一人、
㈱熊谷電気社長の熊谷光良さん。
商業界気仙沼同友会の重鎮。
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私も社長時代はもちろん、
ずっと親しくさせていただいたし、
たいへんお世話になった

震災後も、奥様の聖子さんと二人で、
気仙沼の復興に尽力されている。
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安波山山頂から、
気仙沼港周辺、
そして完全に波にさらわれた熊谷さんの会社と自宅跡。

現在の仮設本社から、
最後にご自宅まで、
ご案内いただき、
さらにずっと話を聞き続けた。
そしご自宅の敷地の一角にある地蔵堂。
20140205191532.jpg

その中に安置されているのは
みちびき地蔵菩薩像。
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俳優の滝田栄さんが、
なんと4カ月で彫った作品。
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3.11で亡くなった方々の霊を供養し、
残された人たちのよりよい未来を、
祈念した像。
この地蔵堂建立に、
熊谷さんは奔走し、完成。
20140205192020.jpg
ここでさまざまなイベントが開かれているそうで、
急きょ、ステージも作られた。

このお堂を守る托鉢僧に、
般若心経をあげてもらった。
20140205191937.jpg
大船渡、陸前高田、気仙沼と移動し、
多くの被災地を見てきた。

私自身は無宗教者だが、
般若心経は心に沁みとおった。

熊谷さんご夫妻に心から感謝したい。
(旅はつづきます)

〈結城義晴〉


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