結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年08月13日(土曜日)

「みんなちがってみんないい」と「一億総活躍」の違和感

8月13日、土曜日。
盆の入り。

迎え火の提灯。
DSCN8107-6
これ、リモコンで操作する電化製品。

来週の火曜日が、
盆の明け。

今朝は新横浜から新幹線。
岡山に着くと、
紫色の車体の新幹線。
IMG_9036-6

昨年11月7日に登場した「500 TYPE EVA」車両。
山陽新幹線全線開業40周年と、
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』20周年を記念。
「新幹線 : エヴァンゲリオン プロジェクト」の車両。

この車両は、
山陽新幹線こだま730・741号を改造。
監修は庵野秀明氏、
メカニックデザイナーは山下いくと氏。
「エヴァ初号機」をイメージした外観。

庵野氏はもちろん、
『新世紀エヴァンゲリオン』作者で、
第18回日本SF大賞受賞。

車内も1号車が「展示・体験ルーム」、
2号車が「特別内装車」
IMG_9034-6
帰省客などが写真を撮っていた。

そして35度を超える岡山の空。
DSCN8105-6

今日からのお盆、
そして期間中の15日(日曜)は、
終戦の日。

命のこと、
生きること、
死ぬこと。
いろいろと考える。

毎日新聞巻頭コラム『余禄』
最近は、なかなか、いいものがある。

「亀は万年と昔の人がいうけど、ありゃウソだね。
この前買った亀がゆうべ死んじゃったよ」
「いや、きのうが万年目だったんだろ」

江戸小咄。

実際にはカメは、
脊椎動物で最長寿のランクに属する。

ゾウガメの飼育記録がある。
その期間は1766年からの152年間で、
死亡時の推定年齢は180歳。

コラムは長寿の動物をもうひとつあげる。
鶴は千年のツルではない。

北極海などにすむニシオンデンザメ。
英語でグリーンランドシャーク。

最高は400歳近い。
脊椎動物で最長寿。
成体になるまでに150年ほどかかる。

泳ぎは時速1キロで、
「世界で最ものろい魚」

1年間の成長も1センチに満たない。

コラムニスト。
「スローライフこそが長寿の秘訣か」

最後は長田弘の詩「人生の短さとゆたかさ」から。

「ゆっくりと生きなくてはいけない。
空が言った。
木が言った。
風も言った。」

コラムニストのオチ。
「もちろんカメも、
サメもそう言っている」

お盆にはそんな考察もする。

しかし盆商戦は書き入れ時だ。
商人はゆっくりと生き、
それでも忙しい。

日経新聞『記者手帳』
タイトルは「心に刻む一節」

夏休み中の安倍晋三首相、
地元の山口県長門市を訪れた。

金子みすゞは長門出身の童謡詩人。
そのブロンズ像を見学して挨拶。
「私も長門出身の首相として
日本を輝く国にしていくよう頑張りたい」

昨年12月に完成したブロンズ像の台座に、
みすゞの「わたしと小鳥と鈴と」の一節が、
首相の揮毫で刻まれている。

「みんなちがってみんないい」

第1次安倍政権のころから、
国会答弁や演説で引用してきた。
首相のお気に入りの一節だ。

「私と小鳥と鈴と」

私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。

私が体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。

「一億総活躍社会の基本は、
それぞれが個性を生かすことが
できる社会をつくること」
アベノミクスの目玉政策を、
この一節に絡めてみせた。

私も金子みすゞは、
大好きだが、
「みんなちがって、みんないい」と
「一億総活躍」とは、
つながりにくい。

たとえつながったとしても、
言葉のニュアンスとして、
おおいに違和感がある。

「一億総」から、
浮かぶのは、
「一億総竹槍」
「一億総玉砕」
「一億総特攻」

そして「総活躍」にも、
国民全員が無理やり活躍させられるような、
妙なニュアンスが混じっている。

「みんなちがって、みんないい」

みすゞが「みんな」を二度、
繰り返して使ったのは、
「ちがう」ことと、
「いい」ことが、
「みんな」でありながら、
ひとつひとつ、異なる尊厳を有しているからだ。

朝日新聞『折々のことば』
ワーク・ライフ・バランス
(現代の標語)

編著者の鷲田清一さんが、
今日はずっと語る。

「これがもし、
仕事という公的活動と
家族との私的生活とを
うまく両立せよという意味なら、
言われたくない」

「一企業の利益のためになすワークも
また私的であり、
結局この標語は
私的なものに専念せよと
人に告げるだけだから」

納得。

「逆に、一市民としての
活動に従事するかぎり
個人のライフも公的である。
そういう公的活動に個人として
もっと時間を割こうという意味なら、
聞ける」

賛成だが、それも、
「みんなちがって、みんないい」のはず。

長田弘の「ゆっくりといきる」
みすゞの「みんなちがって、みんないい」
鷲田流「ワーク・ライフ・バランス」

これらと「一億総活躍」の「働き方改革」は、
ずいぶんと感じが違う。

その差異は、
安倍晋三が詩的でない、
というだけではない。

命にたいして、
生きること、死ぬことに、対して。

安倍がどう考えているかが、
実は国民に、
わからないところにある。

終戦の日の前の、
盆の入りだからこそ、思う。

〈結城義晴〉


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