パブリックス&ホールフーズ、料理教室のモノとコト
反トランプ抗議デモ。
広がっている。
全米25都市。
数万人が参加。
暴徒化した若者の数十人が、
逮捕されている。
ドナルド・トランプも、
幼児的な闘いで勝ったが、
それに投票した者たち、
反対する者たち、
みな、幼い。
今日は金曜日だが、
土曜・日曜にかけて、
この抗議活動は広がりつつ、
過激になっていく。
さて、昨日の11月10日。
月刊商人舎11月号発刊。
特集は、
働き方改革×人材マネジメント
戦略的HRMしか
小売りサービス業を救うものはない!!
[cover message]
「売上高は売場面積に比例する」
――故渥美俊一の名言。
チェーンストアは次なる店をつくり続け、
新店を出し続けることでのみ、
成長を果たすことができる。
しかしいまや、新店オープンにこぎつけても、
リニューアルで店舗拡張しても、
人手が足りない。集まらない。
だから2016年秋の現在、
「売上高は人材に比例する」と
言い換えられなければならない。
おりしも政府与党は
「新三本の矢」を打ち出し、
「働き方改革」をその柱とする。
ただし安倍晋三首相の視野の中に
小売りサービス業があるとは思えない。
10月1日実施の「新社会保険制度」は
明白にパートタイマーには
働きにくいシステムだからである。
ならば、自分たちで改革を進めるしかない。
人手不足を解消し、
他産業よりもより良い人材を獲得する。
一朝一夕には実現しないだろう難題に
立ち向かわねばならない。
「働き方改革」を成し遂げ、
人材マネジメントを確立する。
つまり戦略的に
ヒューマンリソースマネジメントを
志向することである。
いまやこれしか、
小売りサービス業を救うものはない‼
ご愛読、お願いします。
さて、ジョージア州アトランタ。
三日目。
11月8日に到着してすぐに、
ウォルマートスーパーセンターを、
基本通りに勉強した。
そのライバルが、
スーパーターゲット。
この店を見なければ、
ポジショニング戦略は説明できない。
入り口を入ると、
ホリデー・シーズンをフィーチャー。
つまり11月最終木曜日の、
サンクスギビングデーと、
その1カ月後のクリスマスを、
まとめてプロモーションする企画。
総合スーパーにとって、
クリスマスギフトは巨大な商戦。
それを「早仕掛け」する。
スーパーマーケットは、
どの会社もサンクスギビング。
この視野の長さに、
業態特性が表れている。
しかし、青果部門は弱い。
クレンリネスは素晴らしいけれど。
グロサリーは、
ウォルマートほど安くはないが、
品揃えはそこそこにいい。
ウォルマートと対極的な店づくり。
もちろんアパレルは、
洗練されていて、しかも安い。
ターゲットとウォルマート。
その差異性にこそ、
両者の価値がある。
続いて、
パブリックス。
この店には料理教室がある。
Publix Apron’s
Cooking school。
キッチンが2カ所あって、
イスとテーブル。
シェフのデモンストレーションを、
テレビで見て勉強できる。
調理台だけでなく、
冷蔵庫から収納棚、
キッチン用品など、
完全装備。
クッキングスクールに関して、
インタビュー。
グッド・クェッションの連発。
それにジェリーさんが、
実に丁寧に答えてくれた。
ほぼ毎日、クッキングスクールが、
開催される。
1人料金45ドル(4500円)と高い。
しかし、料理を4品教授されて、
ビールやワインがついて、
そのうえ食事もできる。
アトランタには1カ所だが、
フロリダには8カ所もある。
毎日のメニューは、
ヘッドクォーターで決める。
つまり極めて重要な戦略なのだ。
万代の阿部秀行社長、
下岡太市副社長と写真。
万代も料理教室を始めたばかり。
きわめて重要な質疑が交わされた。
ジェリーさんを囲んで、
全員写真。
パブリックスの店も素晴らしい。
Apron’sのネーミングをつけて、
簡便料理を提案するコーナーがある。
セルフデリも充実してきた。
まだまだウェグマンズや、
ホールフーズの域には達していないが。
インストアベーカリーは、
パブリックスの核部門。
鮮魚も素晴らしい。
ゴンドラエンドは、
関連販売を強化。
生鮮の青果を関連づける。
カスタマーサービスも、
もちろん怠りない。
いい勉強ができた。
そのあと最新のホールフーズ。
この店は面目躍如。
ホールフーズらしい青果部門。
パブリックスよりも、
バルク売り場は圧倒的に充実。
シーフードからミートへの、
売り場づくりは洗練そのもの。
そして赤を基調にした、
モダンなリカーショップ。
店舗左翼がセルフデリとサービスデリ。
そして中2階にワインバー。
さらにこちらも、
料理教室。
パブリックスと競っている。
サービスデリのセクションはもう、
完全な外食産業だ。
The Mainと名づけられた、
ビールバーとコーヒーバー。
右手がデリ。
チェックスタンドの上部は、
木造りのデザイン。
試食のコーナーに、
メンバーが集まっている。
最近業績が思わしくない、
ホールフーズだが、
この新店はいい。
ほっとした。
さて、視察勉強はここまで。
せっかくアトランタに来たのだから、
ストーン・マウンテンへ。
ケーブルカーに乗り込んで、
3分、登る。
巨大な石の山。
南北戦争の南軍の将軍たちが、
彫りこまれている。
この石の山の頂上へ。
サンディさんが説明してくれた。
頂上を歩く。
徒歩で降りると40分ほど。
そして全員写真。
下山してからも、
彫刻を背景に全員写真。
満足。
さらにマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の記念館へ。
その墓石。
敬虔な気持ちになった。
アトランタは素晴らしい。
最後はアトランタの老舗和食、
NAKATOでディナー。
充実感が伝わってくる。
トランプ抗議デモは続くが、
小売業・サービス業は、
淡々と仕事する。
この対比的な姿が、
私にはうれしい。
それにしても、
モノを売るだけだった小売業が、
コトを教えて、モノを売る。
有形財と無形財。
この両極の間に、
驚くほど広大なマーケットの、
沃野が広がっている。
(つづきます)
〈結城義晴〉