結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年05月10日(木曜日)

商人舎5月号「レジレス化の夢・現実」とダラス研修2日目の10店舗

月刊商人舎5月号、本日発刊!!
特集タイトルは、
「レジレス化」の夢と現実
Check-Out Serviceの本質を見いだせ!!
201805_coverpage
“amazon go”の登場に端を発した、
世界の小売業のレジレス化の波。

その影響とその後の現象を、
つぶさに表現しました。
商人舎magazineの目次をご覧ください。

年間購読のお申込みは、
こちら ⇒ https://magazine.shoninsha.co.jp/intro/

月刊商人舎5月号の[Message of May]
削ること・省くことの勇気をもて!

セルフサービスは、
ベターサービスである。
無駄な接客や人的な説明がないことが、
むしろ、より良いサービスとなる。

1916年のアメリカ。
セルフサービス方式は、
クラレンス・サンダースによって誕生した。
「ピグリー・ウィグリー」という店だった。

何かを削ること、
何かを省くこと。
それは大抵の場合、
成果に結びつくことが多い。

しかし削り過ぎたり、
省き過ぎたりすると、
今度は逆に成果は半減する。
いや完全に価値が喪失する場合すらある。

amazon goによって、
衝撃的にお目見えした「レジレス化」は、
一方で人件費を削減することに貢献するが
他方で無形のサービスを削ぎ取ってしまう。

1979年に登場したウォークマンは、
小型テープレコーダーの録音機能を省き
再生機能に特化した新製品だった。
それは機能を省くことで特別の価値を生んだ。

「レジレス化」のコンセプトにも、
それによる特別な価値の創出が必須だ。
その展望がないレジレス化は、
単なる人手不足対策でしかない。

何かを削ること、
何かを省くこと。
勇気がなければできないし、
思考力とビジョンがなければ成しえない。

セルフサービスは、
ベターサービスである。
そしてレジレスサービスも、
ベターサービスでなければならない。
〈結城義晴〉

さて、テキサス州ダラス。
その2日目は、朝から講義。DSCN9285.JPG8

すでに事前講義を2時間やっている。
そのうえで、アメリカにやってきて、
競争の原理の変貌や、
そのときの戦略論を解説。DSCN9287.JPG8

難しいことを易しく、
易しいことを面白く。
面白いことをより深く。

それがわたしの講義の基本思想。DSCN9294.JPG8
全米小売業の最新動向を整理し、
クリティカルマスと範囲の経済、
寡占、三占、複占と、
フィリップ・コトラーの4つの競争原理。
それらに私のロジックを加えて、
どう戦略を組み立てるかを語った。

米国商業統計に見る総合ストアの分類の本質、
日本の総合スーパーの戦略の在り方。

ウォルマートやクローガー、
コストコやAmazonが、
それをどう実践しているか、
ホールフーズやトレーダー・ジョーが、
その中でどんな仕事をしているか。

2時間たっぷりの講義時間は、
あっという間に終わった。

それから今日は怒涛の店舗視察、
インタビュー、調査・観察、
そしてショッピング。

ウォルマート・マーケット。
ウォルマートのスーパーマーケットで、
ネイバーフッドマーケットの店名から変更中。DSCN9343.JPG8

入り口に「ピック・アップ」の表示と、
フリーWi-Fiの掲示。DSCN9344.JPG8
オンラインで注文して購買し、
この店の第1番レジで受け取る。

天井はスケルトン、
1200坪の店だが、
広々とした感じがする。DSCN9368.JPG8

右手にサービスデリの対面コーナー。
ウォルマートならば、どんな店でも、
必ず、このサービスデリはある。DSCN9369.JPG8

Texans come here for
Low Prices。
DSCN9346.JPG8
ロールバックの嵐となっている。

青果部門の鮮度感は飛躍的に上がっている。DSCN9348.JPG8

鮮度を保障して、
いつでもだれでも理由なしに、
返金と返品を受け付ける。DSCN9349.JPG8

黄色と緑の美しい陳列。
黄色のレモンのなかに、
オレンジが2個アクセントで配されている。DSCN9352.JPG8

店舗奥主通路にはバルーンが施され、
エンドのトップにはロールバックが続く。DSCN9355.JPG8

エンドゴンドラの左サイドには、
LOW PRICEの文字。
トップパネルは2枚が、
三角型でロールバック。
DSCN9360.JPG7

バルーンをつけてロールバック。DSCN9361.JPG8
あとでわかったことだが、
今日からダラス地区のクローガーが、
新価格プロモーションを展開する。
それへの対抗策が、
このロールバックの嵐だった。

母の日向けエンドには、
「Celebrate Mom」DSCN9357.JPG8

ウォルマート・マーケットのカラーは、
黄緑色だが、レジにもその色が使われる。DSCN9364.JPG8

店頭に掲示があったオンライン販売の、
受け取り場所はここ。DSCN9366.JPG8

レジスター1番には、
オレンジ色のカバーがかけられて、
とても目立つ。
DSCN9365.JPG8
ウォルマート・コムに、
どれだけ期待が寄せられ、
どれだけ力が入れられているかがわかる。

次にクローガー。
その「フレッシュフェア」。DSCN9394.JPG8

入り口の空間には、
母の日のプレゼンテーション。DSCN9393.JPG8

素晴らしい青果部門と惣菜部門。DSCN9389.JPG8

ナチュラルのゴンドラアイルは、
成長率3割で伸びている。DSCN9391.JPG8

そして売場のいたるところに、
「Lower Prices」の黄色のパネルやPOP。DSCN9392.JPG8
ウォルマートはそれへの対抗策を講じたのだ。

ジェシー・フロアーズ店長は、
17歳でこの業界に入った。
アルバートソン、ウィンデキシーを経て、
クローガーに入社。
DSCN9373.JPG8.JPG8

真剣に聞き入る第15団の面々。DSCN9380.JPG8

23年間働いて、今は店長だが、
やがてエリアマネジャーになって、
15店舗くらいを統括したいという。DSCN9378.JPG8

30分以上も丁寧に答えてくれて、
団員にはほんとうに勉強になった。DSCN9371.JPG8

今日から始まるのが、
「SAY HELLO TO LOWER PRICES」DSCN9372.JPG8

青果部門マネジャーのカルロスさん。
「5人でプロデュース部門を動かしている」DSCN9384.JPG8

ジェシー店長を囲んで、
全員写真。
DSCN9386.JPG8

その後、この店のデリを買って、
ランチタイム。
DSCN9388.JPG8

さらにクローガーを訪問。
こちらはマーケットプレイス。
非食品強化の大型店。

入り口には花の売場があって、
顧客を出迎える。
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そして自慢の青果部門。DSCN9449.JPG8

店舗左サイドは、デリ、ベーカリー。DSCN9441.JPG8

チーズはショップ形式で、
ニューヨークのチーズを提案。DSCN9439.JPG8

精肉&シーフードは、
ひとつの部門である。DSCN9437.JPG8

「Hi, I’m your LOW PRICE」DSCN9434.JPG8

巨大な非食品強化型スーパーマーケット。
その奥主通路も長い。DSCN9433.JPG8

冷蔵ケースにシンプルトゥルース。
プライベートブランドの牛乳と卵。
もちろんオーガニック商品だ。DSCN9431.JPG8

店舗右サイドのアパレル部門。
ファッション・エッセンシャル。DSCN9426.JPG8

かつては家具を非食品の柱にした。
しかしそれは失敗だとわかった。
そこでアパレルに切り替えて実験中。
しかしうまくは、いっていない。
DSCN9424.JPG8

ファーマシーとHBCの売場は見事。DSCN9423.JPG8

ウォルマート・マーケット、
クローガー。
両雄がマーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャー。

そのためにマルチフォーマット戦略を採る。

それ以外のニッチャーが、
ホールフーズマーケットDSCN9341.JPG8

店頭にはレンタサイクルが。DSCN9342.JPG8

入り口付近の花売場。
やはり母の日は花でお祝いする。

しかし青果部門はちょっと力が落ちた。
残念なことだが。
DSCN9328.JPG7

その青果部門の中に精肉の平ケース。DSCN9338.JPG8

オーガニックのパック野菜。DSCN9337.JPG8

バーベキュー売場から、
精肉対面コーナーへ。DSCN9332.JPG8

「BUTCHER」と名付けられた、精肉対面売場。DSCN9303.JPG8

惣菜のパック商品は、
リーチインケースで縦陳列。
商品のフェースがこちらを向いている。DSCN9309.JPG8

そしてセルフデリ。
デリの味も落ちてはいない。DSCN9310.JPG8

中2階のイートインスペースから、
下の売場とレジを望む。DSCN9314.JPG8

グロサリー部門は広大である。DSCN9318.JPG8
午前中の訪問なので、
ちょっと差し引かねばならないが、
それでもホールフーズは、
全体に客数が落ちている。

その理由の一つは、
マーケット全体がオーガニックを品揃えし、
ホールフーズの独自性が薄れたこと。

さらにAmazon傘下に入って、
ホールフーズの商品を、
オンラインで買うことができるようになった。
だから店舗への客足が落ちた。

そこで現場の人員を減らした。
するとまた客足が引いていく。

何とも悩ましい問題だ。

一方のトレーダー・ジョー。DSCN9418.JPG8

入り口に母の日プレゼンテーション。DSCN9413.JPG8

こんなパネル。
DSCN9412.JPG8

右手の花売場は華やか。DSCN9414.JPG8

エンド陳列はいつも、
どの店もきちんとしている。DSCN9417.JPG8

デモンストレーションのコーナー。DSCN9395.JPG8

そして乳製品売場。DSCN9396.JPG8

冷蔵ケースのエンドでは、
顧客のダイエットに協力する企画。DSCN9400.JPG8

トレーダー・ジョーの大きな変化。
それがこのエンド。DSCN9410.JPG8

自慢のプライベートワイン。
「チャールズ・ショー」に、
新アイテムが加わった。
それが3ドル99セントの3アイテム。DSCN9411.JPG8

その結果、1ドル99、
2ドル99と3ドル99の商品ラインとなった。DSCN9406.JPG8.JPG8

それはオーガニック・チャールズショー。DSCN9407.JPG8

ワイン売場の真ん中にも、
島陳列で展開。
DSCN9408.JPG8

オーガニック原材料が7割使われた商品。
大ヒット間違いなしだ。DSCN9404.JPG8

スプラウツ・ファーマーズマーケットDSCN9498.JPG8

こちらも絶好調。
DSCN9476.JPG8

店舗の真ん中にオーガニック野菜・果物。DSCN9477.JPG8

ナチュラル&オーガニック。DSCN9478.JPG8

奥に向かってひな壇式の売場。DSCN9479.JPG8

今日のオーガニック商品は、
191アイテム。
DSCN9475.JPG8

奥壁面のボリューム陳列。DSCN9474.JPG8

右手にはサンドイッチのデリ売場。DSCN9481.JPG8

ボアーズ・ヘッドを入れている。DSCN9482.JPG8

その隣にサービスデリの鮮魚・精肉売場。DSCN9486.JPG8

店舗中央にバルク売場。DSCN9488.JPG8

そしてバイタミン売場。DSCN9491.JPG8

トレーダー・ジョーが好調なら、
スプラウツは絶好調。DSCN9492.JPG8

レジの後ろにコンセプトが謳われている。
「Healthy Living For Less」
健康な生活をより安く。
DSCN9489.JPG8

続いてアルディDSCN9463.JPG8
1万平方フィートの小型店。
品揃えを限定して1300SKU。

そしてプライベートブランド比率95%。DSCN9454.JPG8

アルディもオーガニックを強調している。DSCN9456.JPG8

さらにLOCALを取り入れ始めた。
DSCN9457.JPG8

テキサス州の商品をアピール。DSCN9458.JPG88

牛乳は1ドル99セント。DSCN9459.JPG8

相変わらずレジにはスタッフが1人だけ。DSCN9462.JPG8
アルディの小型店は、
これからも伸びる。

そしてダラーストアの雄、
ダラーゼネラル。DSCN9464.JPG8

1ドルを中心に、
10ドルなどの価格帯の商品も扱う。DSCN9466.JPG8

軽衣料もとにかく安い。DSCN9467.JPG8

ジャンクフード販売も何のその。DSCN9470.JPG8

そして人員は店に2人。
いくら客が並んでもチェッカーは1人。DSCN9469.JPG8

それでもダラーゼネラルは、
1万4609店舗で年商234億7100万ドル、
2兆3471億円の大チェーンだ。DSCN9472.JPG8

最後の最後は、
トータルワインIMG_4498.JPG8

全米20州に176店舗を展開するリカーショップ。IMG_4499.JPG8

世界中から仕入れた8000種のワイン。IMG_4500.JPG8

3000種のスピリット、2500種のビール。IMG_4501.JPG8

妥当な価格の商品から、
高額で希少なロングテール商品まで、
幅広くて深い品揃えが特徴。

種類が多いからテースティングして、
味を知ってもらわねばならない。IMG_4512.JPG8

ワインスクールから、
地域コミュニティの集合場所まで、
さまざまに活用できる部屋。IMG_4513.JPG8

レジは9台でスーパーマーケット並みだ。IMG_4506.JPG8
平和堂第19団のダラス研修2日目。
とびきりの企業のとびきりの店舗を訪れ、
見て、聞いて、感じて、買って、
収穫は大きかった。

それにしても、
トレーダー・ジョーの新ワイン。
オーガニックチャールズショー。
バカ売れするに違いない。
(つづきます)

〈結城義晴〉


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