結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年11月29日(木曜日)

ゴーンの「拘置所暮らし」と「電話で宅配」の「時代の時間感覚」

中日新聞夕刊コラム「夕歩道」がいい。

中日新聞は、愛知県を中心に、
岐阜県、三重県、滋賀県から、
福井県、石川県、富山県の北陸、
そして静岡県、長野県まで対象にする。

発行部数は、
1位、読売新聞、
2位、朝日新聞、
3位、毎日新聞、
4位、日本経済新聞に次いで、
5位が中日新聞。

産経新聞より読まれている。

その「夕歩道」。

「古くは元首相が
その門をくぐったこともある」
東京拘置所のことだ。

「世界に知られた大物経営者を迎え、
図らずも日本の拘置所の実態に
国際的な注目が」

カルロス・ゴーン元日産会長。
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フランスの有力紙ル・モンド。
「精神的な圧力に常にさらされている」

「日本型刑事司法」では、
「取り調べに弁護士が立ち会えず、
否認するほど勾留期間が長くなる」

一応、明日の30日が拘留期限。

この取り調べは、
国際水準で「中世並み」とも言われる。

「フランス、ブラジル、
レバノンの駐日大使らが
入れ代わり立ち代わり
接見しては、懸念を示す」

「豪腕と破格の報酬で
日本型経営の常識を覆した国際人は、
日本の”人質司法”にも一石を投じるか」

昨日の日経新聞社会面。

東京拘置所を描写する。
1人部屋の「単独室」と、
定員6人の「共同室」がある。

「ゴーン元会長ら2人もそれぞれ、
単独室に入っているとみられる」

「単独室は広さ約3畳。
洋式トイレと洗面台が
備え付けられている。
トイレの便器はむき出しのため
目隠し用の板が用意されている」

「平日は午前7時に起床、
午後9時に就寝」

「食事は1日3食が提供され、
食物アレルギーや宗教上の制約にも
対応している」

「入浴は夏場以外は週2回。
平日は屋外の運動場で
1日30分以上の運動の機会が与えられる。
髪形や服装は原則自由だ」

「逮捕勾留中の面会は
弁護人や大使館員などに限られ、
家族の面会は認められないケースが多い」

カルロス・ゴーン容疑者。

どんな思いで入っているのだろう。

30数年前、同じ会社の先輩が、
労働組合のデモ中に逮捕されて、
同じく小菅の拘置所に、
1カ月ほど収監されていたことがある。

あの時は共同室だったと思う。

一切を認めず、黙秘を通したために、
拘留は1カ月に伸びたが、
最後は母親が面会に来たそうだ。
つまり身元が開かされてしまった。

あるコンサルタントは昔、
商人舎の忘年会の帰りに泥酔して、
一晩、豚箱に入れられたが、
それとは次元が違う。

しかし「日本型刑事司法」と、
日本型人質司法には、
欧米から批判が出るだろう。

さて、商人舎流通SuperNews。
ヨークベニマルnews|
郡山・台新店で「電話で宅配」サービス開始

(株)ヨークベニマルがはじめたのが、
「電話で宅配」
これは電話注文の宅配サービス。

高齢者は買物するのも困難な人が多い。
しかも一人暮らしだったりする。

いくらネットスーパーが発達しても、
高齢者はスマホやパソコンは使えない。

だから電話で注文したら宅配する。

電話で話をすること自体、
高齢者には生きがいとなる。

対象商品は店が扱う全商品。
宅配料金は1回ごとに300円(税抜き)。

月~金曜日に実施する。
午前9~11時に電話注文を受けて、
その日の13時~17時に従業員が配達する。

1商品でも受け付ける。

とくし丸もどんどん広がっているが、
ヨークベニマルの「電話で宅配」は、
とくし丸ほどの投資もいらない。

【結城義晴の述懐】
ヨークベニマルらしい、
きめ細やかな配慮だ。
時代に逆行するどころが、
これこそ時代と地域を捉えている。
もしかしたら大高善興さんが
言い出したのかもしれないなぁ。
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最後に一昨日の、
「今日のダーリン」
ほぼ日刊イトイ新聞の巻頭コラム。img_message-448x484
「社会の時間感覚」を論じる。

「時代感覚」は、
「その時代の大きな産業の商品が、
生産されて消費されるサイクルを
基本にしている」

吉本隆明さんの受け売りを自白する。

「しばらく前だったら、
自動車がつくられて
買われて運転されるまでに、
どれくらいの時間がかかるかが、
社会の支配的な時間感覚を
つくっていたことになります」

カルロス・ゴーンは、
その自動車の時間感覚の王者で、
飛び切り速いスピードで走っていた。
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「もっと昔だったら、
米が種もみとして蒔かれて、
稲が刈り入れられ米になって
人の食卓にのぼるまでの、
長い時間を基準にして、
忙しいだの暇だのについて
感じていたということになるでしょう」

米中心の農耕社会。
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ところが、
「いまはデジタルの時代であり、
すばやいサービスの競争が
主要産業になっています」

「ソフト開発にかかっている
時間は別にするとしても、
アマゾンの倉庫に商品が入って、
ネットで注文され、
お客さまに届くまでという
サイクルを考えると、
稲作時代の200倍くらいの速度に
なっているでしょう」
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吉本隆明と糸井重里に脱帽。

「つまり、いまの時代って、
モノがつくられて
消費されるまでの時間じゃなくて、
コンピューター上のプログラムが、
情報を処理する速度をもとにして、
人間たちが”速いだの遅いだの”と
感じるようになってしまっている
ということかよ、です」

納得。

「そりゃあ、
みんなのこころが、
“いつも忙しい”とか
“ああ間に合わない”になるに
決まってるわけですよ」

うんうん。

「あらゆる人間が、
“遅いぞ、わたし!”
という感覚になっていると
言っていいんじゃない?」

「もうさ、社会の時間感覚が
“無理”のレベルにあるのよ」

無理はするけど、
無茶はしない。
などと結城義晴は言ってる。
ん~。

「だから、運送とか、
人間の動きを必要とするところで、
人手不足が問題になっているのは、
当然ですよね」

小売業、サービス業も。

「時間感覚を、昔に戻せ
とか言ってもはじまらないけど、いまは
“無理な時間のなかに生きている”と思って
その異常から外れたところに
“大事なこと”があると、
そこらへんの意識を持つことで、
生きにくさから脱し、
あらたな生きやすさを見つけやすくなる
…気がします」
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ヨークベニマルの「電話で宅配」は、
その”大事なこと”に気づいた。
もちろん、とくし丸も。

私も「無理な時間」を意識している。
だから「無茶」をしてはいけない、
と思っている。

ところでゴーンさん。
拘置所の三畳一間の「単独室」で、
“大事なこと”の時間感覚を、
じっくりと味わっているに違いない。

それはそれで、
いいことなのかもしれない。

〈結城義晴〉


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