結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年06月19日(金曜日)

旺文社マネジメントスクール講義「コロナ禍の中の流通概論」

COVID-19禍からの帰還。

都道府県境をまたぐ移動は、
全面的に解禁された。

主要な鉄道の駅や空港では、
出張や旅行が通常に、
戻り始めた。

しかし感染リスクが、
消えたわけではない。

ピーター・ドラッカーは言う。
「経済活動は、社会のごく一部の
機能を担うものに過ぎない」

人と社会が第一である。
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経済のための自粛解除ではなく、
人と社会のための解除だ。
それが経済を回す。

それを忘れてはならない。

ライブハウスやナイトクラブなど、
接客を伴う飲食業の営業も、
可能になった。

コンサートなどのイベントも、
参加数上限は1000人に引き上げられた。

プロ野球もほぼ3カ月遅れの開幕。
史上初の無観客での公式戦。

パシフィックリーグ。

ソフトバンクホークス、
千葉ロッテマリーンズ
2対1でホークス。

東北楽天ゴールデンイーグルス対、
オリックスバッファローズ。
9対1の大差で楽天。

そして西武ライオンズ、
日本ハム北海道ファイターズ。
3対0の完封でライオンズ。

セントラルリーグは、
中日ドラゴンズ対ヤクルトスワローズ。
9対7でドラゴンズ勝利。

広島カープ対DeNA横浜ベイスターズ。
5対1でカープ。

読売ジャイアンツ対阪神タイガース。
3対2でジャイアンツ。

ん~。

さらに将棋名人戦第二局。
豊島将之名人vs渡辺明三冠。

腰掛銀の凄い将棋だが、
158手で豊島が制した。
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すこしずつ「いつもの生活」が、
戻ってくる。

とても、とてもいいことだ。

ただし昨日と今日、
COVID-19の状況は、
何一つ変わっていない。

朝日新聞デジタル。
生物学者の福岡伸一さん。
現在は青山学院大学教授。
「コロナ後の世界を語る」シリーズに登場。

「生命の必然、
ロゴスでは抵抗できない」

福岡さんは実にいい。
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「生命としての身体は、
自分自身の所有物に見えて、
決してこれを自らの制御下に
置くことはできない」

「私たちは、
いつ生まれ、どこで病を得、
どのように死ぬか、
知ることも
選(え)り好みすることもできない」

「本来の自然と、
脳が作り出した自然。
本質的な対立がある。
前者をギリシャ語でいうピュシス、
後者をロゴスと呼んでみたい」

ピュシスは自然そのもの。
ロゴスは言葉や論理のこと。

「生命はピュシスの中にある。
人間以外の生物はみな、
約束も契約もせず、
自由に、気まぐれに、
ただ一回のまったき生を生き、
ときが来れば去る」

「ピュシスとしての生命を
ロゴスで決定することはできない。
人間の生命も同じはずである」

「それを悟ったホモ・サピエンスの脳は、
計画や規則によって、
つまりアルゴリズム的なロゴスによって
制御できないものを恐れた」

人間が制御できないもの。

「それは、ピュシスの本体、
つまり、生と死、性、生殖、
病、老い、狂気……。
これらを見て見ぬふりをした。
あるいは隠蔽(いんぺい)し、
タブーに押し込めた」

「しかし、どんなに精巧で、
稠密(ちゅうみつ)
ロゴスの檻(おり)に閉じ込めたとしても、
ピュシスは必ずその網目を通り抜けて
漏れ出してくる。
溢(あふ)れ出したピュシスは
視界の向こうから襲ってくるのではない。
私たちの内部にその姿を現す」

「そんなピュシスの顕(あらわ)れを、
不意打ちに近いかたちで、
我々の目前に見せてくれたのが、
今回のウイルス禍ではなかったか」

ピュシスの自然が、
ロゴスに凝り固まった人間に、
不意に襲い掛かってきた。

科学者は意外にも、
文学的な表現をする。

「ウイルスは
無から生じたものではなく、
もとからずっとあったものだ。
絶えず変化しつつ
生命体と生命体のあいだを
あまねく行き来してきた」

「ウイルスの球形の殻は、
宿主の細胞膜を借りて作られる」

ウイルスはヤドカリである。

「ウイルスも生命の環(わ)の一員であり、
ピュシスを綾(あや)なすピースのひとつである」

「ウイルスが伝えようとしていることは
シンプルである」

「医療は結局、
自ら助かる者を
助けているということ、
今は助かった者でもいつか
必ず死ぬということ、
それでもなお、我々がその多様性を
種の内部に包摂する限りにおいて、
誰かがその生を
次世代に届けうるということである」

自ら助かる者だけが助かる。
しかしいつか必ず死ぬ。

「一方、
新型コロナウイルスの方も、
やがて新型ではなくなり、
常在的な風邪ウイルスと化してしまう」

「宿主の側が免疫を獲得するにつれ、
ほどほどに宿主と
均衡をとるウイルスだけが
選択されて残るからだ」

極めて論理的なコロナ論である。

「明日にでも、
ワクチンや特効薬が開発され、
ウイルスに打ち克(か)ち、
祝祭的な解放感に包まれるような未来が
こないことは明らかである」

同感。

「長い時間軸を持って、
リスクを受容しつつ
ウイルスとの動的平衡をめざすしかない」

この「動的平衡」こそ、
福岡伸一の持論だ。

「ゆえに、私は、ウイルスを、
AIやデータサイエンスで、
つまりもっとも端的なロゴスによって、
アンダー・コントロールに置こうとする
すべての試みに反対する」

同感。

「それは自身の動的な生命を、
つまりもっとも端的なピュシスを、
決定的に損なってしまうことにつながる」

ピュシスとの「危うい動的平衡」。
それがこれからの人類の生き方だ。

そしてこの危うさや緊張感が、
人間の時間を早める。
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本質的に時間は変わらない。
しかしこの動的緊張によって、
人間自身が感じる時間が早まる。

だからコロナは時間を早める。

中世のペストが、
そして100年前のスペイン風邪が、
人間の時間を早めた。
それを人類は近代化の進化と、
勘違いしてしまったのかもしれない。

さて今日は、
学習院マネジメントスクール改め、
旺文社マネジメントスクール。

昨2019年から衣替えされ、
スポンサーが旺文社となった。DSCN94289-448x336

私は2007年から、
この故田島義博先生創設の経営塾の、
「流通概論」を担当している。

昨年の巻頭講座は5月24日だった。
事務局長の林純子さんの挨拶。
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このスクールの新学長は、
生駒大壱さん。
旺文社代表取締役社長。
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そして講義開始。
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昨年も2時間以上、
語り切った。
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そして記念の全員写真。
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しかし今年は、
オンライン講義に変わった。

だから今日は林純子さんが、
パソコンに向かって挨拶。
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私も腕時計を外して準備。
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そして座って、
講義を始めた。
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今回のテーマは、
「コロナ禍の中の流通概論」

画面に受講者たちの顔が小さく映る。
しかしその表情ははっきりとは見えないし、
人間の集団の「意志の動き」は感じられない。
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私は立って講義するのが常だ。

それがピュシスである私の肉体による、
ロゴスの解明に役立つと思うからだ。

しかし今日は座りながらも、
できる限りクールにロゴスの解説に努めた。

ご清聴を感謝する。

〈結城義晴〉


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