結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年06月26日(日曜日)

サルトルの「人間は自由の刑に処せられている」について

猛暑が続く。

昨日はその猛暑の中で、
ゴルフをした。

今日は家から一歩も出ずに、
静養した。

日中、外は暑い。
内はエアコンで涼しい。

ランチはパスタで、
一杯だけワインを飲む。

そして午睡する。

夕方になると、
日中の暑さが残ったまま、
少し涼しい風が吹いてくる。

中学・高校生のころの、
夏休みの1日。

あれを思い出して、
ゆったりした気分になった。

疲れたら、休む。
休んだら、動く。
そして疲れたら、休む。

人間の一生は、
この繰り返しだ。

しかし、
「人間は自由の刑に処せられている」
ジャン=ポール・サルトル。

「人間は自由である。
人間は自由そのものである。
もし……神が存在しないとすれば、
われわれは自分の行いを正当化する、
価値や命令を眼前に見出すことはできない。
……われわれは逃げ口上もなく孤独である。
そのことを私は、
人間は自由の刑に処せられている
と表現したい」
(『実存主義とは何か』伊吹武彦訳)
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サルトルは考えた。
神はいるのか、いないのか。
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無から一切の万物を創造した神が、
存在するならば、
あらゆるものは現実に存在する前に、
神によって本質を決定されている。

これを「本質が存在に先だつ」と言う。
有神論である。

しかしもし神がいないとしたらどうなるか。

あらゆるものはその本質を、
神によって決定されずに、
現実に存在してしまうことになる。

これを「実存が本質に先だつ」と言う。

そしてサルトルはこれが、
人間のおかれている根本的な状況である、
と主張した。

人間はあらかじめ本質を持っていない。

だから人間とは、
彼が自ら創りあげるものに他ならない。

人間は自分の本質を、
自ら創りあげることを義務づけられている。

その意味で人間は自由である。
しかし自由である分、
自分自身に全責任が跳ね返ってくる。

だから人間は、
「自由の刑に処せられている」

逃げ口上も言い訳も意味はない。

サルトルはフランスの哲学者。
1905年6月21日生まれで、
1980年4月15日没。
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シモーヌ・ド・ボーヴォワールは、
籍を入れない妻だった。
二人は慣習からも自由だった。

サルトルは3歳のときに、
右目を失明して、強度の斜視となった。

1973年、68歳で残った左目を失明した。
それまで左目で読み書きをしていた。

それでも自由を求めた。
自由の刑に処されつつ。

晩年は口述筆記などをして、
ものを考え、ものを書き続けた。

商売も仕事も、
自由である。

人に制約されることなく、
神にも決定づけられず、
自分で決めることができる。

しかし自由の刑に処せられている。

私はときどき、
「商売の神様」を持ち出すけれど、
それはあらゆるものを決定する神ではない。

追認してくれる神である。

その意味で有神論の神に対しては、
サルトルに同意している。
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自分がやってきたことを、
正当化する必要はない。

誰も「正当化せよ」と命じているわけではない。

しかし私たちは孤独である。
商売や仕事には逃げ口上も利かない。

結果が示されるだけである。
自分自身に跳ね返ってくるだけである。

それが「自由の刑」である。
喜ばしき「自由の刑」である。

〈結城義晴〉


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