結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年08月10日(日曜日)

怒ったり魂を売ったりしても自分のものを書きたい。

8月の三連休。

真ん中の日曜日。

私は自宅で単行本の全体構成を考え直し、
少しだけ原稿を書いた。

構想を練るのは充実して楽しい。
しかし書くのは苦しい時間だ。

『天才たちの日課』
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この本は面白い。

続編の「女性編」は、
さらに過激で壮絶ですらある。
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ウィリアム・ギャス。
1924年~2017年。
アメリカの小説家、評論家。

「いちばんよく書けるのは、
怒っているときだ」

不思議な言い方だが、
わかる気もする。

「だから、長期にわたる執筆の仕事は体に悪い」

1995年刊行の小説『トンネル』は、
25年をかけて執筆した。

「仕事中は神経が張りつめてくるので、
しょっちゅう立ちあがって、
家のなかを歩きまわらないといけない」

「とくに胃に悪い。
いずれにせよ、
怒らないとうまく書けないし、
紙の上で話が展開していくと、
それに対しても怒ってしまう」

「胃潰瘍がぐんぐん成長して、
薬をたくさんのまなくちゃいけない」

「仕事がうまくいってるときは
たいてい半病人だねのを書く仕事は体を痛める。

代表作は『アメリカの果ての果て』
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イサク・ディーネンセン。
1885年、デンマーク生まれの女流作家。
1914年にアフリカに渡って17年間農園を経営する。

映画「愛と哀しみの果て」の原作、
『アフリカの日々』はその体験的エッセイ。
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コーヒー農園経営に失敗して帰国。
作家として売れ始めたころから、
ディーネンセンの健康状態は悪化していった。

そして頑張りを支えるために、
覚醒剤アンフェタミンを使い始めた。

晩年、体力が必要となる重要な局面の執筆のとき、
いつも服用していた。

「私は自分の経験のすべてを
物語にすることと引き換えに、
悪魔に魂を売ったの」

ものを書くというのは、
そのくらい厳しい仕事だ。

さて商人舎流通SuperNews。

6月商業統計|
販売額52兆円1.7%増、うち小売業13兆円2.0%増

経済産業省大臣官房調査統計グループの報告。
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6月までのトレンドを、
「一進一退の小売業販売」と表現する。

6月の卸売業販売額は39兆690億円、前期比1.7%増。
小売業は12兆9660億円、同2.0%増。

業種別卸売業動向は、
食料・飲料卸売業が6.8%増、
農畜産物・水産物卸売業が4.8%増。
医薬品・化粧品卸売業が6.8%増。

繊維品卸売業が▲5.9%、
衣服・身の回り品卸売業が▲2.3%。

業態別小売業。
百貨店は5054億円、▲8.0%、
スーパーは1兆3766億円、4.8%増。

この統計には食品スーパーマーケットの分類がない。
すべて「スーパー」に含まれている。

コンビニは1兆1211億円、5.1%増。

ドラッグストア販売額は7984億円、
6.5%の増加。

家電大型専門店販売額は4261億円5.6%増。

6月のホームセンターは2955億円、2.3%増。

商人舎流通SuperNewsは、
丁寧に全体を書いている。

しかし業態別の1カ月間の売上高を比較すると、
全体像を表してはいないことがわかる。

ただしそのトレンドを知ることはできる。
だから「前年同月比」は役に立つ。

百貨店は悪かったが、
あとの業態はよかった。
それを彼らは「一進一退」と表現した。

総合スーパーと食品スーパーの「スーパー」は、
4.8%増だった。

コンビニが5.1%増、
ドラッグストアが6.5%増。

家電チェーンが5.6%増、
ホームセンターが2.3%増。

企業別の6月統計を調べると、
マミーマート既存店8.8%増、全店21.1%増。
ベルクが既存店7.3%増、全店12.6%増。
ヤオコー既存店4.9%増・全店9.3%増。

好調な埼玉県本拠の3スーパーマーケットだ。

イズミ既存店が0.2%減。
サンエー既存店3.4%増、
こちらは46カ月連続で前年プラス。

6月も暑かった。
家電チェーンはエアコンがけん引したが、
もっと暑かった7月はなぜか、
エアコンが低調になる。

暑さ寒さも彼岸まで。
しかし商売においては、
先取りが必須なのだ。

二十四節気は15日ずつの暦だが、
中国で生まれたので、
日本に適用すると少しだけ早い。

それが商売の先取りとぴったりしていると思う。

商業業態統計のような文章は、
生成AIなどでも書けるだろう。
実際に経産省などでも使っているかもしれない。

しかしギャスのように、
「怒っているとき」に一番よく書けたり、
ディーネンセンのように、
「悪魔に魂を」売ってまで書いたりするほうが、
本当の文章になると思う。

私はときには怒ったり、
場合によっては魂を売ったりしても、
自分のものを書きたい。

〈結城義晴〉


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