味の素・イオンなどの「商品情報統一」と手順前後

盆の中日。
日経新聞の記事。
「味の素やイオン、商品情報を統一」
日経新聞のスクープ。
と言ってもこの取り組みは、
何度も繰り返されている。
製配販の代表的企業約30社が、
統一した商品情報を取得できるシステムを導入する。
小売業はイオンやイトーヨーカ堂。
製造業は味の素やキユーピー、
キリングループ、日清食品、
ニチレイフーズ、ミツカン、
ユニ・チャーム、ユニリーバ、
ライオンなど。
卸売業は三菱食品やPALTACなど。
時期は2026年度。
これまでメーカー、卸、小売りごとに、
管理する情報の項目や形式が異なっていた。
そこで流通側は手作業で、
自社システムに登録し直していた。
店頭に並ぶ食品や日用品には、
製造国やメーカーなどを識別するため、
メーカーが13桁のJANコードを発行する。
「日本の統一商品コード」だ。
メーカーは新商品が出るたびに、
JANコードに商品の情報をひもづけ、
自社システム上に登録し管理する。
メーカーが新商品を出すと、
小売りは主に卸を通じて入荷する。
流通側は店舗や電子商取引などで売る際、
店舗の棚札やECサイトに
表示したり在庫管理したりするために
商品情報が必要になる。
ただ、商品情報の項目や属性、表記ルール、
字体や文字サイズなどが、
メーカー、卸、小売りごとに異なる。
そこで流通側は自社のフォーマットに合わせて、
手作業でデータを打ち直す必要がある。
こうした非効率なプロセスで、
膨大な手間と時間がかかっている。
政府はこの労働量を「年間約30万人月」と試算する。
誤入力によるミスも誘発している。
新設するシステムでは、
卸や小売りはJANコードで検索すれば
必要な商品情報を取得できるようになる。
食品や日用品など業界別に
複数ある商品データベースと連携させ、
新システムから一括して商品情報を取得する。
システム開発は経済産業省が支援し、
費用は民間が負担する見通し。
25年度からスタートする。
システムの管理運営はいつものように、
一般財団法人流通システム開発センター。
商品情報に含める範囲は今後、
詰めていくことになる。
小売り側は顧客への訴求のために、
1商品あたり200~300項目もの情報を求める。
一方、メーカー側は開示範囲を、
最小限にとどめたい思惑がある。
26年度は品名や重量など、
基本的な約50項目の商品情報の入力を開始。
その後は小売りから要望の多い
高画質画像やアレルゲン情報なども
順次追加していく予定だ。
新システムが導入されれば
流通全体での業務を20年比で35年までに15%、
50年までに35%それぞれ削減できる見込みだ。
何度も紹介しているが、
月刊商人舎は2017年3月号で特集した。
ケーススタディ特集
商品情報Platform
「商品Master/商品Contents」の共有と競争
[CoverMessage]
欧米ではワン・ワールド・シンク(1WorldSync)。
日本では非食品のプラネット(Planet)と、
食品のジャパン・インフォレックス(JII)。
商品マスタ(Product Master)が整備され、
商品情報の交換と交流によって、
数多の商品がつつがなく流通・供給される。
そこでは情報をベースとした
社会システムの標準化と効率化、
合理化、最適化が推進される。
製配販のサプライチェーン・マネジメントが貫徹される。
さらに商品デジタルコンテンツが充実して
実店舗とElectronic Commerceが
融合する時代がやってくる。
結果として豊かで、多様で、低価で、
オムニチャネルの、
ライフスタイルが保障される。
そのためのさまざまな
社会インフラが構築される。
それが近未来型の
「商品情報プラットフォーム」である。
この動きを推し進める者、阻む者、
そして傍観する者。
鍵を握るのは、
Platform概念の産業レベルでの社会化と、
その共有と競争の共通認識に他ならない。
この特集に対して、読者からの質問があった。
毎日投稿してくれる吉本一夫さん。
「2017年3月号は、繰り返し読みましたが、
正直、難しかったです。
JANもGTINの一タイプと理解していて、
その意味で日本も対応はしていると思っていたからです」
「もしかすると、メーカーも卸も小売りも、
会社ごとにJANとは別に
独自の商品コードを作っていますが、
それをやめてGTIN一本でいこうということでしょうか。
そうだとすると、現状、企画商品などで、
同じJANを複数の商品に使い回しているので、
なかなか難儀ではあります」
今回の取り組みはその難儀なことを、
統一しようということだ。
日本スーパーマーケット協会は、
まず商品マスターの統一から始める。
イオンなどの取り組みは、
それとはまた別の動きだと思う。
詳細は商人舎2017年3月号の記事を読んでほしい。
朴水石(パク スーソク)の提案
日本市場の特性と欧米亜の商品情報戦略
月刊商人舎ではこの秋に、
「商品Master」に絞った特集を組むつもりだ。
一歩、一歩。
そのあと「商品Contents」
2017年はそれらをすべて広げて、
「商品情報Platform」を展望した。
少し早すぎたし、
わかりにくかった。
その反省だ。
第1に「商品Master」
第2に「商品Contents」
そして「商品情報Platform」
手順前後はよろしくない。
そこんとこ、よろしく。
〈結城義晴〉