ベルク無人店舗「Belc Go!大妻中野店」経理部門の発想で開業

「Belc Go!大妻中野店」
㈱ベルクの無人店舗が、
プレオープンした。
山本恭広編集長が取材に行った。
場所は東京都中野区。
大妻中野中学校・高等学校。
中高合わせて約1400名の女子生徒が学ぶ。
その学校の中に無人店舗を開業した。
オープンに先駆けて今日の11月25日に、
学内で記者説明会が行われた。
説明してくれたのは4名。
学校関係者が2名。
それに阿久津智紀㈱TOUCH TO GO社長(右端)と、
須川智之ベルク執行役員財務経理部長。

学校内の自販機スペースの跡地に、
無人店舗ができた。
売場構成はゴンドラ2台と多段ケース3台。
ベルクのオリジナル商品を中心に、
パン、菓子、米飯、飲料が並ぶ。
システム提供はTOUCH TO GO。
無人決済システム「TTG-SENSE」が採用された。
レジは2台。
TTG-SENSEは、
陳列ケース上に設置したAIカメラと、
陳列棚にある重量センサーによって、
利用客の購買行動を追跡する。
そして顧客が取得した商品が自動でレジに表示される。
バーコードスキャンが不要な無人決済システムだ。
TOUCH TO GOはこのシステムを、
オフィス、工場内、土産物店など、
約150カ所で展開している。
コンビニではファミリーマート。
写真はJR横浜線菊名駅の改札口の店。

JR東日本のNEWDAYSも採用しているし、
スーパーマーケットでは、
東急ストアが導入している。
大妻中野校には食堂がない。
だから生徒は昼食や軽食を購入するために、
2台の食品自動販売機を活用していた。
しかし自動販売機は、
決済が現金のみで回転効率が悪い。
しかも常に行列となっていた。
そこで学校側が無人店舗の導入を決定した。
学校側は2つの原則を設けた。
現金は使わないこと、スマホを介さないこと。
したがって決済は交通系ICのみ。
生徒はIC定期にチャージして利用する。
商品の配送はベルク練馬高松店から、
毎日午前中に行う。
店舗から学校までは、
30分以内で届けられる距離だ。
ベルクはTOUCH TO GOとともに、
出店地域などについて1年半前から、
打ち合わせを繰り返していた。
そしてTOUCH TO GOの担当者が、
大妻中野校にアプローチして実現した。
4月にはベルクから商品を持ち込んで、
学校内で試食会を実施した。
職員からは好評だった。
「うちの店舗の標準面積は600坪。
6坪だから100分の1でも売れればいい」
ベルクの須川さんが売上目標の目安を答えた。
ベルク社内では部門横断的に、
デジタル推進委員会を設置している。
定期的に会議を行って、
新しいプロジェクトの創出を検討する。
この委員会のアウトプットの一つが、
Belc Goだった。
経理部門も売上げをつくれないか、
そんな発想だった。
須川さんはデジタル推進委員の1人で、
公認会計士の資格を持つ。
Belc Goの営業期間は学期中のみ。
試験期間、夏季・冬季休暇は休業する。
当然と言えば当然。
「学校側と商品の共同開発などの、
企画をしていきたい」
須川さんはさまざまなビジネス機会を探る。
日本のスーパーマーケットの無人店舗は、
U.S.M.Hの「オフィススマートショップ」がある。
(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)

これは自社開発の仕組みを利用した店だ。
その名は「Scan&Go Ignica」
傘下の㈱カスミが自治体、企業などの施設内に、
200カ所以上展開している。
またマックスバリュ東海は、
「Maxマート」を展開している。
2025年8月末時点で141店舗。
いずれも自治体や企業、大学など、
人が集まる施設に開設するケースだ。
しかしベルクの中学・高校内の開設は珍しい。
販路拡大という意味だけでなく、
若年女子層にベルクブランドを、
先行的に浸透させる意図がある。
無人店舗と言えばオーケー㈱。
1975年5月、50年前に、
東京・国分寺に実験店舗を開業した。
故飯田勧会長の考案だった。
私が商業界に入社する2年前の話だ。
先輩から聞いたところでは、
自動販売機を並べたような店だったとか。
店頭には実際に人はいなかったが、
後方では店員たちが独楽鼠のように、
忙しく動き回っていたとか。
笑い話風に話してくれた。
しかしすぐに失敗に終わった。
そのころはあらゆる技術がなかったからだ。
しかし飯田さんの発想と思いは、
いま実現している。
Amazon Goは2016年12月5日に、
シアトルのアマゾン社内にオープンし、
2018年1月22日に一般公開された。

結局はビジネスにならず、
失敗に終わったが、
そのシステムは新たな活用が進む。
ジェフ・ベゾスの夢が一応、実現したものだ。
飯田勧の思い、ベゾスの夢。
そしてベルク経理部門の発想。
収益は小さくとも、
そこに顧客がいる限り、
店は役に立つものなのだ。
これらの無人店舗の鍵は、
固定客をつくれるか否かにある。
その意味でベルク経理部門、
いいと思う。
岡田徹。
小さな店であることを
恥じることはないよ
その小さなあなたのお店に
人の心の美しさを
いっぱいに満たそうよ
〈結城義晴〉




















