結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年06月12日(土曜日)

「DXはIT化とは異なる」とウォルマートの失敗

関東甲信地方はまだ、
梅雨入りしていない。

東海地方は1カ月ほど前の5月16日に、
梅雨入り宣言されたのに。
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「平年」ならば梅雨入りは、
東海が 6月6日ごろで、
関東甲信は6月7日ごろ。

東海が平年より早すぎるし、
関東甲信は遅い。

気象に関してはフォッサマグナを境に、
西日本と東日本が分断されたようだ。

「分断」はどんなことでも、
ご勘弁願いたいものだ。

「DX」という言葉、
新聞でも盛んに取り上げられる。 ???????????????????????????????????????????????????????????????????
Digital Transformation。
デジタルトランスフォーメーション。

昨日の日経新聞コラム「大機小機」
「DX、結果と目的を間違うな」
コラムニストは小五郎さん。

「コロナ禍によりITの導入が進んでいる」

『コロナは時間を早める』
その時間が早まる一番手は、
デジタル領域だ。

「DX化は”情報システム部”の延長ではない」

ごく当たり前と言えば当たり前。
月刊商人舎3月号でも特集した。
Retail「DX」商人舎3月号DX
コラム。
「現場業務の効率化は、
結果であって目的ではない」
これがこのコラムの言いたいことだ。

「例えば、埋もれているデータを一元管理し、
全社で顧客データを活用できるようになっても、
そこに顧客視点がなければ、
真の付加価値は生まれない」

「サービスを実現する手段として
ITやデータをどのように生かすか」

「まず顧客や社会が求めるサービスが
何かを考えるのが先だ」

マーケティングである。

「その上で、
付加価値の提供に必要なデータ、
データ収集の方法などと検討する」

「DX化の推進には
組織横断的な取り組みが求められるが、
現場の抵抗や縦割りの組織文化が
ネックになることがある」

私は4つの壁を上げた。
⑴データそのものの壁
⑵経営資源の壁
⑶組織の壁
⑷マインドの壁
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コラムニストが指摘するのは、
⑶の組織の壁だ。

「社会の価値観が変わり、
営業部門からマーケティング部門へと
業務の主軸が変わるとすれば、
ビジネスモデルそのものを変える必要がある」

「DXが組織や業態の変革を伴うなら、
イニシアチブがとれる上級役員や
顧客に近い役員が旗振り役を担う必要がある」

これがCDOだ。
チーフ・デジタル・オフィサー。

「情報システムの専門家に
業務を理解させることではなく、
経営陣や執行部が
ITを学ぶことが重要になる」

Retail「DX」特集で、
㈱カスミの山本慎一郎社長と、
同感したポイントだ。
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「同時に、
ベンダーとの付き合い方も大事だ。
丸投げでは失敗を招く」

これも山本さんと語り合った。
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コラム。
「今後の業務のあり方を明確に示し、
インプットとアウトプットの情報を特定し、
具体的な仕様に落とし込む」

「事業のあり方や顧客への付加価値を
明確に示したうえで、覚悟を持って
能動的に発注できるかが問われる」

再び。
「DXはIT化とは異なる」

「事業そのものを変革させる契機であり、
アプローチも視点も
主体となるプレーヤーも変わる」

「従来の情報システム部が問題なのではない」

「経営者がDXに対する発想を
転換できるかが成否を左右する」

経営者に限らない。
組織の要所を支えるリーダーたちが、
会社を変革する契機ととらえる。

日経新聞の6月4日の記事。
「ウォルマート、DXで早変わり」
ニューヨーク支局からの報告。
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ウォルマートは、
約1500店に導入した戦略設備を
あっさり放棄する。

ネットと店舗を融合するDXの柱として
鳴り物入りで導入していたのが、
「ピックアップタワー
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このタワーは最大300箱の注文品を保管できる。
利用客は事前にネットで注文を済ませておく。
店を訪れ、タワーの読み取り機に
スマホに表示させたバーコードをかざすと、
注文しておいた商品が5~10秒で出てくる。

ネット通販は自宅で注文ができるが、
届くまでに時間がかかる。
リアルの店舗はすぐに商品を入手できるが、
売場をあちこち歩き回らなければいけない。

双方の利点を融合するモデルとして
支持を集めていた。

ウォルマートは17年から導入を始め、
約1500店に導入した。

私は導入直後の2018年にこのタワーを見た。
添乗員に注文しておいてもらって、
その購買を追体験した。

しかしあまり感心出来るものではなかった。

姿かたちは派手で目立つ。
人手もかからない。

しかし生鮮食品などは扱えない。
購買を完結できない。
そのくせ顧客は、
店舗にやってこなければならない。

記事も指摘する。
「タワーは温度管理が必要な生鮮品は
保管できない。
別の場所で受け取る必要があり、
消費者からは”二度手間になる”との
声があがっていた」

つまり顧客のショッピングが、
分断されてしまう仕組みだ。

DXによって、
こうした片手落ちの政策がなされても、
顧客は喜ばない。

ウォルマートはタワーのかわりに、
「マイクロ・フルフィルメントセンター」を拡大する。
「MFC」と略して使われる。

「ロボットを駆使し、
おもちゃや家電、医薬品から食料品まで
商品をかき集める店舗併設型の
自動配送システム」

「ピックアップからパッキングまでに
要する時間は5分。
青果や精肉など生鮮品については
スタッフが別途売場から集め、
一つにまとめる」

「消費者は自宅や職場でネット注文し、
車で店舗の駐車場に立ち寄る。
すると、スタッフがとりまとめた商品を
車のトランクに入れてくれる」

こちらは購買が完結する。

MFCはすでに、
ニューハンプシャー州セイラムで導入済み。
今後2~3年のうちに
100以上の店舗で稼働させる。

アルバートソンも、
MFCに力を入れる。

「ウォルマートはDXを中心に、
22年1月期に約1兆5000億円を投じる」

ウォルマートも間違うことがある。
私にはそれが面白かった。
しかしすぐに失敗を認めて、
方向転換ができる。

ショートタイムショッピングよりも、
ワンストップショッピングが優先される。
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何ごとも分断されてはならない。

〈結城義晴〉

2021年06月11日(金曜日)

COVID-19に対峙する最大の戦略は企業の理念である。

商人舎スーパーチャンネル。

今日はその収録。

印刷されたばかりの月刊商人舎6月号。
特別企画「2021キャズム決算」IMG_38101

その決算の全体像を解説し、
活字にできなかったポイントを、
直接、語る。IMG_38131

35分間で一挙に語りきって満足。IMG_38151
ピーター・ドラッカー先生の言葉。
「世の中には、
読み手と聞き手がいる。
しかも、その両方であるという人は、
ほとんどいない」

あなたは読む人間か、
それとも聞く人間か。

あなたは本や雑誌から学ぶか、
それとも研修会から学ぶか。
商人舎チャンネルから学ぶか。

さて、今日も商人舎オフィス。
㈱フジは愛媛県松山市に本社を置く。

朝、会長の尾﨑英雄さんと、
電話で話した。

フジは松山市の本社第3ビル5階を、
コロナワクチンの集団接種会場として提供した。

いい話だ。

その会場で尾﨑さんも6月6日に接種した。
私も同じ日に東京大手町で接種。
自衛隊の大規模会場。

松山市ではフジ本社以外にも、
百貨店の松山三越、
国際交流施設のアイテムえひめ大展示場、
松山市総合コミュニティセンターが、
集団設置会場となった。

フジは1967年、
尾山謙造氏によって愛媛県宇和島市に創業。

設立の理念の第1は「地域社会への貢献」、
第2は「豊かなくらしの推進」。

フジにしろ、三越にしろ、
こういった地域社会への貢献は、
素晴らしいし、誇らしいことだ。

今日の商人舎流通スーパーニュース
ヨークベニマルnews|
ワクチンの職域接種/第1弾は郡山市従業員が対象

㈱ヨークベニマルは6月21日から、
ワクチンの職域接種を実施する。
第1弾は福島県郡山市の本社社屋での職域接種。
公益財団法人星総合病院の協力を仰ぐ。

対象は郡山市および近隣地域の従業員。
その後の状況を見ながら、
従業員の家族を含めた拡大を検討する。

ヨークベニマルは、
福島県を中心に宮城県、山形県、
栃木県、茨城県に、
233店を出店している。

郡山市以外の地区でも、
各自治体と地域医療機関との連携が取れたら、
順次、実施を検討し、判断していく。

ヨークベニマルは位置づける。
「スーパーマーケット事業は
エッセンシャルビジネス」

従業員の感染防止が、
地域社会への貢献になる。

それが「野越え山越え」精神の根本にある。

同じく今日の商人舎流通スーパーニュース。
イオンnews|
イオンモール幕張新都心で6/21職域接種開始/順次拡大

イオンは6月21日に、
イオンモール幕張新都心で職域接種を開始する。

接種の対象は
グループ従業員と、
イオンモール
に入居する専門店従業員。

このイオンモール幕張新都心を手始めに、
埼玉県越谷市のイオンレイクタウン
愛知県のイオンモールナゴヤ
ドーム前、
さらに全国8カ所の事業所で、
約5万人
から開始し、順次拡大していく。

イオンはフジと同じように
全国の行政や自治体と連携して
イオンのショッピングセンターを、
ワクチン接種会場として提供きた。
約30施設約2万人の住民が接種を受けた。

イオンの基本理念は、
「お客さまを原点に平和を追求し、
人間を尊重し、地域社会に貢献する」。
いわゆる平和産業・人間産業・地域産業。

COVID-19に対峙する最大の戦略は、
企業の根本理念である。

接種会場提供と職域接種は、
倉本長治の言葉のままである。

「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」

〈結城義晴〉

2021年06月10日(木曜日)

商人舎6月号「競争は商人を鍛える」と「自分の歌を歌え」

月刊商人舎6月号、
発刊しました。

特集は、
競争は商人を鍛える
ベニマルvsロピア「つくばの陣」

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[Cover Message]
「同じ商品ならより安く、同じ価格ならより良いものを」を標榜するロピアが、茨城県つくば市に進出した。60号店である。1985年(昭和60年)につくば科学博覧会開催によって世界的に注目を集めたつくば学園都市。そのつくば博を当て込んで西武百貨店がオープンし、ジャスコが出店し、ダイエーが進攻した。しかしコロナ禍「キャズム」の今、いずれも撤退している。そのあとのマーケットは、地元に本拠を置くリージョナルチェーンのカスミがドミナントを築き、南下してきたヨークベニマルが秀逸の店舗を営む。ダイエーのあとにはディスカウント型スーパーマーケット業態に特化した西友が店を出している。その旧西武百貨店の物件の1階にロピアがオープン。目と鼻の先にあるヨークベニマルつくば竹園店との競争が始まった。全国注目のベニマルvsロピア「つくばの陣」である。ロピア開業初日の5月19日、朝一番に大髙善興ベニマル会長が訪れて、金言を残した。互いに正々堂々の商売を貫徹して、「自分の歌を歌おう」。競争は商人を鍛えるのである。

目次。
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この号の特集は、
昨年9月のロピアの関西進出以降を、
すべて整理したうえで、
ヨークベニマルとの闘いを描写した。

結論は、
競争は商人を鍛える。

しかし実力伯仲の競争こそが、
その競争に参画する者を鍛える。

力に差がある者同士の闘いは、
実は競争にならない。

ここが重要なポイントである。

そしてそんな競争者の在り方は?

[Message of June]
自分の歌を歌え。

自分の歌を歌え。
自分の絵を描け。
自分の夢を追え。

自分の足で歩け。
自分の手でつくれ。
自分の頭で考えよ。

それが21世紀の商売のやり方だ。
ポストモダンの流通業の在り方だ。
そしてそれが商業の現代化を実現させる。

良いものはそっくり真似よ。
徹底的にベンチマークせよ。
それを横展開せよ。

標準化せよ。
マニュアル化せよ。
生産性を上げよ。

しかし皆が皆、
真似ばかりしていると、
顧客から見放される。

すべての店が互いにベンチマークし合うと、
すべての店が似てくる。
イノベーションは起こりにくい。

レース型競争からコンテスト型競争へ。
いや、レース型を制する者によって、
コンテスト型が展開される。

「大きい・強い」を実現した者ばかりが、
そのうえで「自分らしい・優しい」を競う。
それが三千年紀の競争だ。

自分の歌を歌え。
自分の絵を描け。
自分の夢を追え。

自分の足で歩け。
自分の手でつくれ。
自分の頭で考えよ。
〈結城義晴〉

[Inspired by Mr. Zenko Otaka]
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ヨークベニマル大髙善興会長の言葉に、
インスピレーションを受けて、
このメッセージが出来上がりました。

大髙さんに感謝します。
ありがとうございます。

それから6月号は特別企画も掲載。
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例年6月号は決算特集です。
しかし今年は特別企画として、
コンパクトにまとめつつ、
網羅しました。

コロナ禍の「キャズム」期間の決算。
保存版です。

さらに先月から始まった連載。
「結城義晴の定義集」
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今月は第2回で、
「ニーズ・ウォンツ」

従来の用語事典や単語集は、
一般のビジネス用語と比べると、
特殊な意味づけをしています。

外来語ならばその本来の意味とは、
ずいぶん違ったニュアンスが、
込められていることが多い。

そのあたりのことを丁寧に、
定義しなおしてみました。

今号の「ニーズ」と「ウォンツ」に関しては、
フィリップ・コトラーの定義があります。
それを使うのが妥当だと思います。

そして結論。
「ニーズとウォンツのあとに
“商品”をくっつけて使わないほうがいい」

月刊商人舎4月号特集は、
結城義晴「定義集」基礎編
流通専門用語と関連語・類似語・派生語・反対語の考察
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この4月号の考え方をもとに、
誰にでもわかりやすい「定義集」を、
お届けします。

ご愛読のほどを。

自分の歌を歌え。
自分の絵を描け。
自分の夢を追え。

自分の足で歩け。
自分の手でつくれ。
自分の頭で考えよ。

〈結城義晴〉

2021年06月09日(水曜日)

進む高齢者ワクチン接種と「ITを使えない人間は生活できない?」

単行本「コロナは時間を早める」
来週月曜日に三刷が届く。
コロナ本
4月17日に第一刷発刊、
5月17日に第二刷刊。
そして6月17日付けで第三刷刊。

しかし商人舎には6月14日に到着。

マス・プロダクトではなくて、
ジャスト・イン・タイム。

だから小刻みに増刷する。

それでも1カ月ごとに増し刷り決定。
ありがたいことです。

目次は「章」で構成されている。
序章と終章、第一章から第七章まで。
第三章は長いのでその下に「節」をつけた。

序章 三千年紀の「流通」の時間
三千年紀の夜明けに
カミュ『ペスト』の予言
「2年分の変化が2カ月で起きた」
「10年間が1年間で来たって感じ」

第一章 コロナが時間を早めた。
中世ペストの大流行は時代を早めた
スペイン風邪はセルフサービスを広めた
福岡伸一が明かす「時間が早まる」理由

第二章 艱難は商人を鍛える。
サミットの「コロナ感染」奮闘記

第三章 日本小売業態地殻変動
序節 業態地殻変動とは何か?
第1節 「嵐の前」前の日本小売産業
第2節 コングロマーチャントの「強運」
第3節 双子の総合スーパーと百貨店
第4節 スーパーマーケット「特需」
第5節 コンビニ「複占」への軌道
第6節 ドラッグストア「経営統合加速」
第7節 ホームセンターの「フード親和性」
第8節 「ティファニーで朝食を?!」

第四章 コロナ禍の「キャズム」
「キャズム」とは何か
「イオンのマスク禁止論争」
「キャズム」によって変わったもの
ライフスタイルの二極化と「トレード・オン」

第五章 ブレイクスルーの「戦略計画」
キャズム期に組織を若返らせる
「経済活動とはリスクを冒すこと」
「ブレイクスルー思考法」
ブレイクスルー思考における演繹法

第六章 ポスト・コロナ時代への決断
確かな損失と不確かな利益
ウォルマートのチームマネジメント導入
ヤオコーの「フーコット」始動の時代観

第七章 リテールDXと「加速の加速」
コロナパンデミックとDX狂騒曲
「ムーアの法則」から「ローズの法則」への衝撃
コロナワクチン開発のダイバーシティ
コロナ禍と「リスクマネジメント」

終章 「いちばん大切なことは目に見えない」

ぜひ、手にとってみてください。

それから明日は月刊商人舎6月号発刊。
楽しみにしてください。

思い返せば昨2020年10月号。
特集タイトルは、
ロピア飛来! 大阪寝屋川の陣
平和堂・ライフ・万代の棲み分け競争を描き出す。
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月刊商人舎11月号特集は、
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そして12月号は、
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新興ロピアの成長の姿。
それを関西での「三つの陣」を通して、
描き通した。

そして、この6月号は、
その後の展開を整理し、
最新の「つくばの陣」までを描く。

楽しみにしてください。

今日は横浜商人舎オフィス。
次々に来客。
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小川達也さん(中)と、
林知哉さん(右)。

小川さんは㈱お元気さん 企画本部長。
林さんは㈱TGパワー社長付事業開発担当。
㈱ティーガイアスマートライフ事業部では、
法人営業統括リーダー。
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林さんの事業部は、
チェーンストア店舗に向けて、
ソーラー発電設備を提供している。

SDGsのコンセプトに沿っていて、
実に意義のある事業だ。

私も話を聞いたり、
意見を言ったりして、
活発な議論をした。

ホールフーズマーケットは、
ブルックリンで環境対策店舗をつくった。
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あんな店が日本にもできたらいいし、
林さんたちもそれに貢献してほしいと思った。
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その後、宮本洋一さん。
もちろんブルーチップ㈱社長。IMG_38031
今日、宮本さんも、
ワクチン接種をしてきたばかり。
宮本さんはファイザー社製。
私はモデルナ社製。

二人とも第一回ワクチン接種を終えて、
気持ちも楽になったか、
ブルーチップの新しい事業と、
宮本さんのユニークな提案。
素晴らしい。

久しぶりに2時間半も話し込んだ。

もちろん互いにマスクを着用し、
ソーシャルディスタンシングを守って。

日経新聞電子版経営者ブログ。
㈱IIJ会長の鈴木幸一さん。
日本のインターネットの草分け。鈴木幸一
「先週、区役所で
新型コロナワクチンの接種を受けた」

高齢者へのワクチン接種は、
確かに少しずつ進んでいる。

鈴木さんの接種会場は、
区役所の1階ロビーだった。

受付から接種に至るまで、
高齢者のサポートを、
役所の人と思われる関係者がたくさんいて、
なにくれとなく、面倒をみている。

「世話をする人の数が
過剰ではないかと思ったのだが、
観察をしていると、高齢者の世話は
本当に手がかかり、
過剰な数と思えるほど、
たくさんの世話をする人が、
面倒をみたほうがいいようだ」

同感だ。

そして鈴木さんの専門の考え方。
「IT化というのは極論すれば、ある程度、
ITを使いこなせない人間は生活ができない」

「そこまで強い方針を出さない限り、
なかなか進まない」

その通り。

菅政権のデジタル庁は、
この命題にどう解答を出すのか。

「できない人は、昔ながらのやり方で
生活ができることを
許容することが続く限り、
2重、3重の仕組みの存在を許すことになり
逆にコストが高くなり、
間接人員が増えるばかり」

鈴木さんは言い切る。
「そんな合理性だけの施策が
日本で受け入れられるはずもない」

「あらゆる人に、
やさしさを維持する日本という国は、
IT化ということだけをみれば、
世界的に後れを取ることは
致し方のないことかもしれない」

最後に高齢化の話になる。
「あのボブ・ディランがこの5月に、
日本風に言えば傘寿になった。
80歳である」
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スティービー・ワンダーは言っている。
「初めてBlowin’ in the Windを知ったのは
15歳の時だった」

すごいことだ。

ボブ・ディランが傘寿を迎えたニュースは、
鈴木さんにも自分の高齢を実感させる。

そして”Like a rolling stone”

How does it feel
どんな気持ちだ
How does it feel
どんな気持ちだ
To be on your own
ひとりぼっちになるというのは
With no direction home
帰るところがないっていうのは
Like a complete unknown
知り合いもなく生きるのは
Like a rolling stone?
石ころみたいに転がっていくのは
〈佐藤良明訳〉

高齢化社会と言っても、
すべての高齢者が、
ローリングストーンではない。

DX(Digital Transformation)は、
提唱者のストルターマン教授によれば、
Good Lifeをもたらさねばならない。

良い生活であり、良い人生である。

ITもデジタルも、
ワクチンもSDGsも、
そのためにあるのだ。

〈結城義晴〉

2021年06月08日(火曜日)

世界Webサイトの大規模システム障害と「呉越同舟のDX」

世界のウェブサイトで、
大規模なシステム障害。

今朝6月8日午後6時50分ごろ。
そのため日本経済新電子版が、
閲覧エラーとなった。

私も日経電子版を見ようとしたら、
Error 503 Service Unavailableが出た。

不思議なことに12時間ほど前に、
商人舎公式サイトも接続確立不能だった。
結城義晴のブログも、
その入稿画面も接続不能だった。

こちらは別の理由だと思う。

日経よりも長い時間帯で、
不通になっていた。

それに商人舎のアクセス数は、
月曜日の7日に通常の3倍に跳ね、
問題の8日には5倍に高まった。

接続不能になっていなかったら、
どこまで上がったかわからない。

こちらはアクセスが、
集中し過ぎたからの事故だ。

理由は言えない。

しかし大メディアの障害は、
日経だけではなかった。
読売新聞社オンラインも、
米国ニューヨーク・タイムズも、
英国フィナンシャル・タイムズも。

世界のメディアのウェブコンテンツは、
配信サービス会社が担っている。
その会社はfastly(ファストリー)。
このファストリ―にシステム障害が起こった。

英国政府サイトや日本の金融庁・環境省でも、
一時サイトの閲覧ができなくなった。

米アマゾン・コムや楽天の通販サイトなど、
幅広いサービスに影響が出た。

各社・各庁のウェブサイトは、
fastlyのコンテンツ配信網を利用していた。
コンテンツ・デリバリー・ネットワーク。

ファストリーは日本時間の午後8時ころ、
復旧を済ませたと発表。
サイバー攻撃などの可能性は否定している。

コンテンツ配信網サービスに関しては、
日本もアメリカもイギリスも、
呉越同舟でファストリーを活用する。

DXの領域では、
こういった呉越同舟が頻発する。

Digital Transformationは、
3つの側面をもつ。
⑴外部エコシステム
⑵内部エコシステム
⑶プラットフォームのシステム

⑴は攻めのDX、
⑵は守りのDX、
⑶は呉越同舟のDX

これによって、
ネットとリアルの両面から、
顧客の経験価値を創出し、
競争優位を築くこと。

それがDXである。
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世界のメジャーなメディアにおける、
コンテンツ配信網の共有は、
この第3のDXということになる。

ただし、
肝心のプラットフォームに障害が起こると、
このような事故が起こる。

商人舎はこれとは関係のない、
別の理由によるものだが。

今日は横浜商人舎オフィスを、
立教大学大学院の教え子が訪ねてくれた。

齊藤宏さん(中)。
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川瀬英梨さんがご一緒。

齊藤さんが立教で学んだころの勤め先は、
コカ・コーラカスタマーマーケティング㈱。
今はコニカミノルタマーケティングサービス㈱。
ショッパーデータプラットフォーム執行役員。

川瀬さんは
コニカミノルタ㈱。
マーケティングサービス事業部コンサルタント。

コニカミノルタの、
新しいマーケティング事業は、
カメラ技術を使ったマーケティングだ。

Go Insightと名づけられて、
リアル店舗でのショッパーの行動を、
科学的に解析しようとするものだ。

私はここでも

いろいろと議論して、
勉強になった。

8月か9月かはまだ決まっていないが、
コニカミノルタ主催のセミナーで、
講義をし、齊藤さんと対談することにした。

話が終わってから、
「コロナは時間を早める」にサイン。IMG_37821

齊藤さんはもう読み終わっていて、
本の中から私の講演テーマを、
いくつか提案してくれた。

いつものように左手で、
筆を持つ。IMG_37871

書き上げてから落款を押す。IMG_37881

できればすべての読者に、
サインをして落款を押したい。

しかしそれはできない。
コロナ禍でお会いする機会も少ない。

それでも直接、お会いした人は、
遠慮なく言ってほしい。

プロゴルファーの渋野日向子のように、
いつでも誰にでも応じる所存だ。

〈結城義晴〉

2021年06月07日(月曜日)

笹生優香全米女子オープンゴルフ制覇の三千年紀の在り方

Everybody! Good Monday!
[2021vol㉓]
2021年第23週。
6月第2週。

昨日、モデルナワクチンを接種した。

東京・大手町の自衛隊大規模接種センター。IMG_36501

直後はちょっと痛いという程度。IMG_36371

1日経過してこんな状態です。IMG_37661
季節性インフルエンザの注射よりも、
やはり痛みは大きいし残る。

それでも気分は安定している。
日本で最初に、
COVID-19感染者が出たのが、
昨年の1月16日。

私自身に関しては、
それから1年5カ月。

よくも感染せずにきたものだ。
新型肺炎が発生したり、
亡くなったりする人もいた。

そんな人たちのことに、
思いを馳せつつも、
感謝したいと思う。

第2回接種は7月8日となりました。

さて早朝から感動した。
全米女子オープンゴルフ選手権。IMG_37321
女性のゴルフ界の世界最高峰。
アマチュアにも開放されているから、
US女子オープン。

対してプロだけで闘うのが、
全米女子プロゴルフ選手権。

この大会は1977年に、
樋口久子(75歳)が優勝した。

それから全英女子オープンも、
メジャー大会とされているが、
こちらは2019年に、
渋野日向子(22歳)が制覇した。

そしてUS女子オープン。
笹生優花(19歳)。

ロリー・マキロイにそっくりのスイング。IMG_36731
マキロイ(32歳)は、
北アイルランド出身のイギリス人。
男子の全米オープン、全米プロ。
そして全英オープンを制覇した。
残るはマスターズだ。

笹生はマキロイを、
「私のアイドル」とコメントした。

それにしても今、
女子で世界最高のスイングだ。
だから優勝してもおかしくない。IMG_36891

対して畑岡奈紗(22歳)。
アメリカのプロゴルフ界に飛び込んで、
もう5年が経過する。

4アンダーで72ホールを終了し、
笹生優花と並んでトップだった。IMG_36591

笹生優花は、
ドライバーは280ヤードも飛ぶし、
アイアンショットは正確だし、
バンカーショットも見事。
アプローチは旨いし、
パッティングもいい。IMG_36621

畑岡も同じく、
すべてがトップレベルのゴルファー。IMG_36651

その二人が4アンダーで終わった。IMG_36691
つまり1位と2位を日本勢が占めた。

奇跡だ。

そして2人でのプレーオフ。
3ホール目に、笹生がバーディ。IMG_37351

これが決まって、笹生の優勝。IMG_37371

すぐにキャディとハグし、
そのあとで畑岡に抱きついた。IMG_37301
父親が日本人で、
母親がフィリピン人。

だから日本語とタガログ語ができるし、
自分で努力して英語も堪能となった。

19歳11カ月での優勝は、
史上最年少タイの記録。IMG_37181

テニスの大坂なおみ、
バスケットボールの八村塁、
そしてゴルフの笹生優花。

ハーフの若者が活躍する。
これからの日本を象徴する出来事だ。

その意味で、
畑岡にはちょっと悪いけれど、
私は笹生優花の優勝を喜んだ。

もちろん畑岡奈紗は現在、
日本最高の女子プロゴルファーだ。
彼女の努力は必ず報われると思う。
IMG_37531

日本の若者たちが、
真の国際人となって、
グローバルに活躍する。

商売の世界でも、
こんな商人が登場してほしい。

もちろん柳井正は、
それを実証しつつある。

ファーストリテイリングは、
スウェーデンのH&Mを射程に入れた。
スペインのZARAも近い将来、
追い抜くに違いない。

イオンの岡田元也、
ニトリホールディングスの似鳥昭雄。

彼らに続く若い商人が、
日本を制覇して、
国際舞台に躍り出てほしいものだ。

それが三千年紀の在り方だ。
(三千年紀は2001年から3000年までのこと)IMG_37511
ああ、うれしい。

笹生も畑岡もまだまだ活躍しそうだ。
私も理想のスイングを求めて、
日々の努力をつづけよう。

では、みなさん、今週も、
努力、努力。
Good Monday!

〈結城義晴〉

【追伸】
6月7日の夜から8日の早朝まで、
このブログが接続確立エラーとなりました。
いわゆる「炎上」です。
お詫びします。

2021年06月06日(日曜日)

大手町自衛隊大規模会場でモデルナワクチンを接種しました。

6月6日、日曜日。

土曜日の昨日が、
二十四節気の芒種だった。

1年を24分割して、
ほぼ15日ごとに季節を区切る。
それが二十四節気。

次は6月21日の夏至だ。

朝から雨模様。
IMG_36571

アジサイも雨に濡れて、
瑞々しい色を見せる。IMG_36561

10時半ごろ妙蓮寺駅から東横線に乗って、
目黒線、都営三田線と乗り継いで、
地下鉄大手町駅へ。

大手町はJRで言えば、
東京駅と隣の神田駅の間にある。
西には皇居がある。

改札口にはプラカードを持って、
女性が立っている。IMG_36181

新型コロナワクチン大規模接種センターへ。IMG_36191

広大な大手町の地下通路だが、
その矢印を辿っていくだけで、
ワクチン接種センターへ続く。IMG_36201

目指すは大手町のC2bの出口。 IMG_36211

7分ほど歩いて、
ワクチン接種会場の出口に到着。IMG_36221

自衛隊大規模接種センターは、
大手町合同庁舎第3号館。
IMG_36501

ちょっと古い建物だ。
IMG_36511

立て看板に3つの質問事項。
65歳以上の高齢者、
本人確認書類、そして接種券。
IMG_36251

ビルの横にテントが張ってあって、
ここが入口。
IMG_36271

マスクを確認され、
手の消毒をし、
それから体温が計られる。

私はなぜか35.7度。
合格。

そして受付レーンへ。
IMG_36281

運転免許証と接種券を出して、
書き込んでおいた予診票を提出。IMG_36291

するとこのセットをもらえる。
私が割り当てられたのは黄色だが、
ブルー、赤、グリーンなどに分かれている。IMG_36301

建物を突き抜けると簡易トイレ。
IMG_36311

戻る時にはテントをくぐる。
IMG_36321

それから延々と、
黄色ファイルの仲間7人とともに、
ビル内を歩く。

黄色の床の椅子に座って待つ。
もちろんソーシャルディスタンシング。IMG_36341

このあと係官から予診票の内容確認。
さらに医者から問診を受けて、
現在かかっている病気や薬を質問される。

それからまた黄色の仲間と歩いて、
椅子に座って待つ。

そしていよいよ、
モデルナワクチンの接種。

医者は自衛隊の人。
アレルギーがあるかとか、
ワクチン接種をしていないかとか、
質問を受けて、
左肩を消毒してもらって、
まっすぐプツッという感じで、
注射針を刺す。

ワクチンの液体が、
体内に入っていくのを見ていた。

実にあっけなかった。
それほど痛くもなかった。

毎月、このセンターの近くで、
血液検査をする。
大手町プレイス内科。

この場合の血液検査はサンプルを3本採る。
そのほうがワクチン接種よりも、
長い時間、針を刺している。

それよりも痛くない。

プツッという感じで終わった。

それから証明書交付係から、
接種済み証明書をもらって、
同時に次の接種の予約。

さらに15分ほど経過観察。
と言っても椅子に座って待つ。
12時に受付をして、
12時29分に終わった。
IMG_36481

接種後の肩はちょっと重い感じ。IMG_36381

腫れているわけでもない。
IMG_363711

それでもワクチン接種を終わって、
やはりほっとした。
IMG_E36471
ずいぶんたくさんの人が、
ワクチン接種センターの運営に、
献身的に従事してくれている。

店舗オペレーションなどを、
日々観察している私から見ると、
多すぎる気もしないでもないが、
それでもすべての人に感謝したい。

モデルナ(Moderna)は、
米国のバイオテクノロジー企業だ。
マサチューセッツ州ボストンに本社がある。
共同創業者はカナダ人のデリック・ロッシ。
ハーバード大学の幹細胞研究者だった。
京都大学の山中伸弥教授は、
iPS細胞研究によってノーベル賞を受賞したが、
ロッシはその山中研究をヒントにして、
ビオンテックと同じmRNAを用いて、
COVID-19ワクチンを開発した。

だからロッシにも山中教授にも、
感謝しなければならない。

ワクチンには4つの効果がある。

①発症予防の効果
感染しても症状が出ることを抑える。

②重症化予防の効果
症状が出ても重症にならないようにする。

③感染予防の効果
感染そのものを防ぐ効果だ。

完全に検証されてはいないが、
感染予防効果はある程度見込める。

④集団免疫の効果
多くの人がワクチンの接種をして、
多くの人がウイルスへの抗体を持つことで、
社会全体が守られる効果。

私も接種によって、
この4つの効果が得られるし、
感染予防と集団免疫には貢献できる。

感染しにくくなれば、
感染させる確率も減る。
それが何より大切なことだと思う。

帰りは広大な大手町の地下通路が、
ちょっと短く感じられた。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

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