結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年05月23日(日曜日)

伊達政宗「智に過ぐれば嘘をつく」と「噓をつく店」

一昨日の5月21日が、
二十四節気の「小満」だった。

関東はまだ梅雨入りはしていない。
青い空を雲が行く。
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小満は「しょうまん」と呼んで、
万物が次第に成長して、
一定の大きさに達して来るころ。

ベランダの草花も成長する。
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本当にいい季節だ。 IMG_34851
朝日新聞巻頭コラム「天声人語」

伊達政宗の遺訓「五常訓」
そのなかの言葉。
「智に過ぐれば嘘をつく」

コラム。
「確かに知恵者は
ずる賢くウソが多そうだ」

「策士策におぼれる。
戦国武将の自戒とされるのもよくわかる」

ところが近年の研究は、
それを否定する。
「知能の高さと虚言の多さに
明確な関係はないそうだ」

「ウソをつきやすいと
科学的にわかったのは
欲ばりな人や創造性の豊かな人、
あるいは疲れている人だとか」

欲張りな人。
創造性の豊かな人。
疲れている人。

なるほど。

阿部修士京都大学准教授の著書、
『あなたはこうしてウソをつく』
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「人間は生まれつき他人をだますのか。
それとも成長して不正直者になるのか」

阿部さんはそんな疑問から研究を始めた。

答えは単純ではない。

「脳機能を調べてわかってきたのも、
性善説と性悪説の両方を
あわせもつ複雑な脳のはたらき」。

米国のデータでは、
「人は1日に平均1回ウソをつく」

米国人はこんなこともデータ化する。

「誰かを傷つける邪悪な偽りだけでなく、
やさしさの虚言もあれば、
悲しみを忘れようとの自己欺まんもある」

コラム。
「そもそも私たちは真実と虚偽とを
つねに行き来する存在らしい」

コラムは、
「義に過ぐれば」を取り上げて述懐する。
「正しさだけでは窮屈ということか」

あすは伊達政宗の385年目の命日。

儒教の「五常」は「仁・義・礼・智・信」
政宗はこの五常を土台にして、
アレンジを試みた。

仁に過ぐれば弱くなる。
義に過ぐれば固くなる。
礼に過ぐれば諂(へつらい)いとなる。
智に過ぎれば嘘をつく。
信に過ぐれば損をする。

伊達政宗はリアリストだった。
第一訓の「仁」は儒教の根本思想で、
他人に対する親愛の情や優しさのことだ。

優しすぎると弱くなる。

しかしイエス・キリストは言う。
「右の頬を 打られたら、
左の頬も差し出しなさい」

政宗から見ると、
それは弱さとなる。

さらに第三訓の「礼」が過ぎると、
おべっか、追従、忖度となる。

最近の日本の役所のことを言っているようだ。

第五訓「信」は、友情に厚く、
人をあざむかないこと、誠実なこと。

孔子は言う。
「民、信なければ立たず」
人民は「信」がなければ、
生きていくことができない。

政宗はそれも行き過ぎると、
「損をする」と言う。

江戸時代の「儒教」は勉強の材だった。
勉強が過ぎると実務ができない。
政宗はそう言いたかったのかもしれない。

何事も「過ぎる」のはよくない、と。

しかし「過ぎる」の主張が「過ぎる」と、
もっとよくない。

とりわけ仁と義と信は、
商売に不可欠で、
いくら「過ぎる」でもいいと思う。
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最後に拙著「Message」から。
嘘をつく店

「この店は滅びる」
倉本長治は言い放った。

よほど腹が立ったのか、
それともひどく悲しかったのか。
私も近頃、そんな気持ちになることがある。

客を平気で待たせる店。
買いたい品が見つかりにくい店。
欲しいものが品切れしている店。
買った商品が傷んでいる店。
きたない店。

一番いけないのは、
嘘をつく店。

「安い」と「良い」とは、
突き詰めると同じことだ。
品質が同等で価格が低い状態を
「安い」といい、
価格が一定で品質が高い状態を
「良い」という。
ただし、「安い」も「良い」も、
嘘をつかない店でのことだ。

客を待たせない店、
分類と陳列の整った店、
欠品のない店、
品質のしっかりした店、
きたなくない店、でのことだ。

「安いよ、安いよ」と
大声を張り上げている者にかぎって、
嘘つきの店がある。
きたない店が多い。

そしてこんな店には、
「買物の得」はあっても、
「生活の得」はない。
「暮らしの得」を提供する店を、
「デスティネーションストア」と表現する。

(中略)

競争はやがて、賢い消費者を
多種多数、誕生させる。
逆に、競争者自身は
多産多死の状態に陥る。

しかし、それは良いことなのだと思う。
進化を意味するのである。

だから私もこう言い切ろう。

嘘をつく店など、滅びてしまえ。
永遠に、この地上から無くなれ。

〈結城義晴〉

2021年05月22日(土曜日)

全米プロの松山英樹と君という商人の「今を生きる」

プロゴルファー松山英樹。
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全米プロゴルフ選手権で、
首位と2打差の4位。  IMG_34771

ゴルフの4大メジャーは、
マスターズ、
全米オープン、
全英オープン。
そして全米プロゴルフ選手権。

マスターズで初優勝して、
自信が漲(みなぎ)っている。

不思議なものだ。
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そのマスターズでは、
2位がウィル・ザラトリス、
3位対がジョーダン・スピースと、
ザンダー・シャウフェレ。
そして5位がジョン・ラーム。

しかし全米プロでは、
彼らの名前は上位にない。

つまり松山英樹だけが、
メジャートーナメントで、
上位にある。
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人間としての自信が、
それを可能にしている。

マスターズで優勝するまでは、
「欲」が前に出ていた。

優勝したい、優勝したい。
勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい。

そのために日々、努力を続ける。
未来のために今を犠牲にしても、
それに打ち込む。

それでもなかなか成就しない。

それが松山にとっての、
ゴルフであるし、スポーツである。

ある人にとってはアートであるし、
ある人にとっては政治であるし、
私たちにとっては仕事である。

ほぼ日刊イトイ新聞。
糸井重里が書く巻頭エッセイは、
「今日のダーリン」
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「大人の人間が考えていること、
やっていることのほとんどが、
未来のための準備だ」

同感だ。

「未来になにか”目的”があって、
それを実現するために必要なことを、
いまやっている」

「たとえば、東海道新幹線に乗って、
東京(現在地)から大阪(目的地)に行くとすると、
熱海やら名古屋やらについては、
通っている途中にしか過ぎない、
なにも関係ない」

「せいぜいが、静岡あたりで
“富士山が見えた”とかね、
目で追ったり写真を撮ったりするくらいだ」

私もいつもやっている。
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「ぼくらのやっていることのほとんどが、
つまりは、”現在(いま)”を
“目的(みらい)のために捧げている、
ということになっているんじゃない」

「なにかをよくしたい、
ましにしたいと思って目的がある。
だから、それを実現するのは、
よいことである」

「しかし、そのために”いま”が、
ただの”材料”や、”手段”や”我慢”に
なってしまうとしたら、
んん? それでもいいのだろうか?」

同感だ。

「”いま”がなにかの途中である
というのも、認めるよ。
だけど、その”いま”が
つまらなくてもいいのか?」

「いつかやってくる
最高の”目的(みらい)”のために、
いまが供物として
捧げられているようなことは、
ほんとはヘンだと思うのだ」

私もそう思う。

「生きるということは、
まさしく”いま”のことなのに」

「どうぶつや、幼い子どもは
“いま”を生きているぞ」

「“あすなろの木”は、
明日でなくて、
今日を生きているぜ」

松山英樹は、
明日のためではなく、
今日を生きる。
目の前の一打一打を真剣に打つ。
その278打が10アンダーとなって、
マスターズの栄冠をもたらした。

私の仕事で言えば、
この一言一文が、
一冊の雑誌になる。
一冊の本になる。

しかしこの一言、この一文をこそ、
楽しまなければ何になるのか。

「この一瞬の積み重ねが、
君という商人の全生涯」
倉本長治。
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商売には顧客がいる。
「いま」の顧客が目の前に存在する。
だから商人は「いま」を生きる。

「いま」を生きるから、
「あす」がある。

楽しくなければ商売じゃない。
これは「いま」を生きることだ。

松山英樹も商人も、
普通の大人が考えることとは、
違うことをやっている。

そこに本当の未来がある。

〈結城義晴〉

2021年05月21日(金曜日)

「コロナ恐るに足らず」の誤謬と「厚生」の尊厳

九州は早い梅雨入りの上に、
記録的な大雨。

心からお見舞い申し上げたい。

その一方で、
相変わらずの新型コロナウイルス感染。
今日の新規感染者数は、
なんと北海道が、
日本で一番多くて727人。

次いで東京都の 649人、
愛知県の579人。
大阪府は415人まで減ってきた。

大雨の福岡県は387人、
神奈川県が327人。

広島県219人、
沖縄県207人。

その沖縄に、
緊急事態宣言が発令された。
金曜日の夕方、6時を過ぎてから、
菅義偉首相が発表。

後手後手、モグラ叩き。

日経新聞「大機小機」
コラムニストは三剣さん。
「コロナは恐れるに足らず?」

「内閣官房参与の”さざ波”ツイートならずとも、
メディアで報じられる政府関係者の発言には
“コロナ恐れるに足らず”が本音か、と
邪推したくなるものが散見される」

この期に及んで、まだそんな印象がある。

厚生労働省で医薬品業務にかかわる担当者。
国産ワクチンの開発・承認が遅れる現状に
「米国や欧州ほどの感染爆発は起きていない。
何がいけないのか」

「3月には同省老健局が堂々と
“3密”送別会を開いた」

「しかも、主宰した幹部は
“公衆衛生の専門家”との報道もある」

厚生労働省は日本政府の中で、
もっとも「古い体質の役所」のひとつだ。
極めて保守的な風土が残った官庁だ。

コラムニストが指摘する厚労省の本音は、
「専門知識を持たないマスメディアが
過剰に騒ぎ立てている」

「急いでワクチンを認可し、
副作用でも発覚しようものなら、
メディアは手のひら返しで
官僚たたきに走るに相違ない、
という猜疑心(さいぎしん)も見え隠れする」

その考え方の本質は、
国民のための「公僕」というよりも、
自分と自分たちの組織を守ろうとする、
悪い意味での「官僚」である。

人口10万人当たりの感染者数は、
米国が9976人、日本は553人。

5月19日時点で世界で116番目である。

「だが問題の核心は絶対数ではない」
とコラムニスト。

「人口100万人当たりの1週間の新規死者数」

4月7日の直近のボトムは1.04人。
38日後の今月15日は4.97人。
日本は5倍近くの急増。
(札幌医科大学調査)

感染が爆発しているインドは、
3月24日の1.07人が、
4月15日に4.83人に増えた。

インドと同じレベルの急増。

「大阪に限れば事態はインドより深刻だ」

その大阪の3月22日は1.25人、
4月16日には5.68人。
さらにその1カ月後の5月16日には、
27.59人に達した。

「足元で頭打ちになっていても
予断を許さない状況と言える」

コラムニストは怒っている。
「欧米より感染が抑えられていた間に
対策を講じるべきだと誰しも思うなか、
不作為で医療崩壊を助長する政府は
無責任ではないか」

さらに言う。
「この期に及んでもワクチンが
いつどこまで行き渡るのか、
どんよりした不安は消えない」

同感だ。

しかしコロナの効用も見出す。
「エネルギー多消費型社会が
持続的ではないことを見せつけた」

2020年の二酸化炭素排出量は、
経済停滞によって、
前年比で7%減との報告もある。

「どんな環境活動家も
ここまで人々の意識を変えることは
できなかった」

「皮肉というほかない」

「厚生」の「厚(こう)」は、
「加える、強くする」を意味する。
したがって「厚生」とは、
「人々の生活を健康で豊かなものにすること」

「コロナ恐るに足らず」は、
断じて許せない誤謬だ。

人間の命という「尊厳」は、
何よりも優先されねばならない。

官僚も公僕も、
商人も。

今日は毎月恒例の血液検査と診察。
横浜駅から東京駅へ。IMG_34611

駅前の丸ビルと新丸ビル。IMG_34601

丸の内のビル街。IMG_34581

そして大手町プレイスタワー。IMG_34561

この地下1階に私のかかりつけの病院がある。IMG_34541
大手町プレイス内科。

院長の田嶼尚子先生が私の主治医。
日本を代表する糖尿病の権威。

田嶼先生自身、すでに、
ファイザーのワクチンを二度、接種した。
医療従事者でしかも高齢者。

私に対しても接種の注意点を、
懇切丁寧に教授してくださる。

そして万一の副反応への薬も、
処方してもらった。

接種当日には、
その薬を飲んで臨めばいい。

ありがたい。

帰社すると、
亀ヶ谷純子さんから、
達筆の手紙が届いていた。
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㈱カメガヤ名誉会長。
神奈川県のドラッグストア。
主力の店舗バナーは「Fit Care DEPOT」

私の「定義集」に、
真面目な感想と率直な決意表明。

素晴らしい。

田嶼尚子先生も亀ヶ谷純子さんも、
「厚生」に対して真摯な人たちだ。

そんな人たちと知己(ちき)を得て、
私は幸せだと思う。

COVID-19にしても、
地球環境や人間の命にしても、
私たちがいつも必ず、
真摯に向き合うべき対象である。

〈結城義晴〉

2021年05月20日(木曜日)

FSSF2021運営委員会の「最悪を覚悟して最善を尽くす」

今日は東京・八丁堀へ。
日本食糧新聞社。

1946年12月創設、
食品業界専門新聞社。
いまや圧倒的な一番紙で、
専門紙誌はもとより、
WEB版や動画サイトまで発信する、
総合メディア。

その日本食糧新聞社が主催するのが、
フードストアソリューショーンズフェア。
略してFSSF。
FSSF1

共催は一般社団法人離島振興地方創生協会。
この協会の理事長は千野和利さん。
阪急オアシスの元会長。

副主催はFSSF運営委員会。
西日本の18社の食品小売業が参加する。

今日はその運営委員会。
今年9月8日・9日に、
FSSF2021が開催される。

もちろんこのCOVID-19パンデミックの中、
開催そのものは慎重に意思決定される。

私は考えている。
新型コロナウイルス禍に対しては、
政府と地方自治体とが先導して、
全国民、全産業をあげて防御しなければ、
この日本という国の将来はない。

だから国と地方自治体の判断に従う。
FSSFも国と自治体の指示に従う。

しかし可能性があるうちは、
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

リスクマネジメントの鉄則だ。

企業経営の原則でもある。

今日の運営委員会には、
副主催企業のトップマネジメントが、
オンラインで参加。
錚々たる顔ぶれだ。

オンラインの恩恵でもある。

日本食糧新聞社の会場には、
代表取締役会長CEOの今野正義さん、
代表取締役社長の杉田尚さん、
共催の千野和利さん。
そして私も参加した。

私は今年からアドバイザーとなって、
主にFSSFのセミナーをプロデュースする。

4人並んでモニターに向かう。
モニターの先には運営委員の皆さん。
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はじまると、
新聞社大阪支社開催の趣旨や意図、
COVID-19対策などを、
丁寧に説明した。IMG_77751

私は世界の食品展示会の情報など紹介しながら、
その在り方、将来像などを語った。
それから今年のセミナー企画の概要。IMG_77761
このあと運営委員の皆さんが、
全員、1社ずつ意見や要望を語ってくれた。

さすがだと思った。

それぞれに鋭い視点や責任ある発言だった。

そのなかで㈱キョーエイは、
今日が株主総会で、
埴渕一夫社長が会長になり、
埴渕恒平さんが新社長となった。
お二人揃って運営委員会に参加してくれた。

ちなみに新社長は、
商人舎ミドルマネジメント研修会で、
S級を獲得した期待の俊英だ。
アメリカ視察研修にも参加して、
意欲満々。

㈱ライフコーポレーションからは、
並木利昭専務が参加して、
鋭い指摘をしてくれた。

SDGsに関しても、
とても良いご提案だった。
感謝したい。

1時間半ほどの運営委員会が終了。
4人そろって写真撮影。
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ありがとうございました。

最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

リスクマネジメントです。

さて、商人舎流通スーパーニュース。
お陰様で絶好調。

日生協news|
「コープ商品の2030年目標」と「責任ある調達基本方針」を公開

日本生活協同組合連合会が、
「コープ商品の2030年目標」を設定し、
それを公開した。

日生協は、
2030環境・サステナビリティ政策を策定した。
これに呼応する形で、
持続可能な社会の実現に向けた目標を推進する。

また、サプライチェーンを通じて、
「責任ある調達」を推進するため、
各種の方針を改めて整理した。
その結果を「責任ある調達基本方針」として、
公開した。

日本生協連はコープ商品の開発・卸を担う。
それら商品群に対して、
①農産、②水産、③紙・パルプ、
④パーム油、⑤プラスチック、
そして⑥食品ロスに関する、
持続可能な調達目標を定めた。

これはまさにSDGsの活動だ。
Sustainable Development Goals。
「持続可能な開発目標」。

私は故高村勣さん会長のころから、
日生協を取材してきた。
最近はちょっとご無沙汰しているが。

本来このSDGs活動は、
日本では日生協がリードするのが、
一番自然だと思う。

「日本生協連は今後、
全国の生協と協力しながら、
エシカル消費対応商品を普及させ、
エシカル消費に共感できる消費者を
社会に増やしていく」

SDGsはこの、生協連の考え方が重要だ。
「社会にエシカル消費者を増やしていく」。

エシカル(ethical)は、
「倫理的な・道徳上の」を意味する形容詞。
近年は「エシカル=倫理的=環境保全・社会貢献」
の意味合いが強くなっている。

それを生協や小売業が率先してやる。

自分だけやってます、
わが社はやってます。
これではいけない。

安倍晋三・菅義偉両首相の「やってる感」は、
小売りサービス業が真似てはいけない。

自社の幹部・社員・従業員とともに、
顧客と取引先を巻き込んでいく。

もちろん消費者や取引先でも、
エシカルなマインドを持っている人たちは、
それを実践している。

だから互いにそれが融合していって、
エシカル社会が出来上がる。

それがSDGsの本質である。

〈結城義晴〉

2021年05月19日(水曜日)

「ロピアつくばの陣」で大高善興ヨークベニマル会長の金言

今年はすべてをすっとばして、
梅雨がやってきた。

コロナは時間を早める。

北陸・関東甲信・東北はまだだが、
東海地方まで梅雨入りしてしまった。
その東海は平年より21日も早い。

九州・西日本なども記録的な早さだ。

しかし梅雨入りが早いからといって、
梅雨明けも早いかといえば、
そうともかぎらない。

昨日から茨城県つくば市。

そして5月19日、
ロピア トナリエクレオ店のオープン。IMG_33551

朝7時に店舗に行くと、
朝食タイム。

いつもの新店オープンのように、
賄(まかない)の朝食が用意され、
全員が食べている。IMG_33031
商人舎クリニックチームも、
相伴(しょうばん)に与(あずか)った。

㈱関西ロピア社長の福島道夫さんも、
駆けつけて激励した。

淡々と、粛々と、
部門ごとに開店準備が進む。
私はいつも思い出す。
ピーター・ドラッカーの言葉。
「いい工場は静かだ」

8時になると全体朝礼。IMG_33061

水産部門と畜産部門の売場を、
全員が囲む。

そしてロピアビジョンの唱和。
接客七大用語。

執行役員総括店長の大蔵正則さんが、
スピーチして、
5人のチーフが決意表明。

そしてまた「静かな工場」となった。

10時、オープン。

古家裕さん。
㈱ロピア取締役千葉営業本部本部長。
今回のオープンの責任者。
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雨模様にちょっと心配顔。

そして内田貴之さんと小川学さん。
内田さんは取締役管理本部長。
小川さんは取締役湘南PC惣菜部。IMG_E34271

大蔵正則総括店長と、
工藤みい奈チェッカーリーダー。IMG_E34381

オープン後10分、
大高善興さんが来店。
もちろん㈱ヨークベニマル会長。IMG_33871
丁寧に、満遍なく売場を見てから、
いろいろとお話しした。

歩いて5分のところに、
ヨークベニマルつくば竹園店がある。

ロピアとの初めての競合。
「いい勉強をさせてもらっています」

それからディベロッパーの庄司元康さん。
㈱日本エスコン東京商業開発部マネージャー。
ダイエー出身で故鈴木達郎専務が、
最初の上司だったとか。
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11時半ごろひと段落して、
ヨークベニマルつくば竹園店を視察。IMG_33881
完璧な状態でロピアを迎え撃っていた。

なんと真船幸夫社長が登場。
この店の激励に訪れていた。
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それから木本淳店長。
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青果部門のところで、
呉越同舟。
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真ん中は、
ヨークベニマル取締役佐藤孝男さん。
常務執行役員販売事業部長。
左は㈱カスミ常務取締役の塚田英明さん。
コーネル大学ジャパン伝説の第一期生。

右がヨークベニマル執行役員の庄子鉄也さん、
ニューフォーマット推進室室長。
一番右が大越鉄夫さん。
今回のクリニックチームに参加してくれた、
元ヨークベニマル店長、かましん店長で、
6月から㈱てっちゃん塾社長。

精肉売場では諏訪拓也さんが説明してくれた。
つくば竹園店精肉マスター。
ヨークベニマル随一の精肉スペシャリスト。
アメリカで「Head」と呼ぶ位置づけだが、
マネジャーの上のクラスを「マスター」と呼ぶ。
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取材を終えて真船社長と話をしていたら、
再び大高善興会長が登場。
立ち話だけれど話し込んだ。
私の著書を持ってこられて、
「今日は先生の本の言葉を、
みんなに話したんですよ」
14年前の『お客さまのためにいちばん大切なこと』
ありがたい。
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「この本の通りだ。みんなに読ませますよ」
ありがたいお言葉。

そして競争の際、最も重要なことを仰った。
まさに「大高善興の金言」
それは月刊商人舎6月号で紹介しよう。

それからカスミへ。
フードスクエアつくば竹園店。
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40年前のオープンで6年前に改装した。
その6年前から店長を務めるのが、
真中健介さん。
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丁寧に説明を受けて、
ポーズ。

ここにも大高さんはやって来て、
「勉強させてもらいますよ」と、
真中店長に声をかけた。

結局、大高さんとは、
ロピア、ヨークベニマル、カスミで、
偶然の遭遇をした。

この勉強熱心さが、
ヨークベニマルの真髄だ。

私たちは最後に西友つくば竹園店へ。
もともとはダイエー筑波学園店。
ダイエーが撤退して2012年、西友が出店。
古い物件で西友は1階を、
スーパーマーケットにした。

最後にロピアにもどって、
代表取締役社長の高木勇輔さんと会った。

競争は商人を磨く。
それぞれの商人の、
個性をむき出しにしつつ。

それを実感した「つくばの陣」だった。

〈結城義晴〉

2021年05月18日(火曜日)

新型コロナウイルスワクチン接種券到着と「つくばの陣」前夜

来ました。
「新型コロナウイルスワクチン接種券」

郵便番号と住所・氏名が印字されていて、
その下にバーコードとQRコード。
そして「あなたの券番号」。
10桁の数字が私の番号。
00261のあとに5桁の数字。

接種を受ける日時・場所を、
予約しなければならない。

9時から23時59分まで、
コールセンターに連絡する。

これが込んでいてなかなかつながらない。

すぐに連絡すると、
私の住所の横浜市では、
集団会場のWEB予約枠は埋まっている。

やはり5月31日からの、
東京の自衛隊接種会場になるかもしれない。

それでも高齢者は優遇される。
ありがたい。

渋滞学の権威は、
東京大学の西成活裕教授。
先端科学技術研究センター教授。
「ジッパー合流」を提唱する。

渋滞を軽減するためには、
「譲り合い」が必須である。

私が早く予約すれば、
それだけ予約できない人が出る。

それほど急ぐこともない。
慌てることもない。

高齢者のあとの方で、
接種してもらえばいいと思っている。

それでも接種券が届いて、
少し安心した。

この安心感が重要だ。

ちょうど1年になるが、
コロナ問題に一定の目途がつくまで、
髭を生やしている。

ワクチンを接種したら、
それを剃ろうと考えていた。

やっと髭を剃ることができそうだ。

さて今日は午前11時から、
サミット㈱の決算発表会。
東京・西永福の本部で、
記者会見方式の発表が行われた。

服部哲也社長が大いに語った。
コーネル大学ジャパン伝説の第一期生。
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2021年3月期決算は、
営業収益3264億9400万円、
売上高3136億4900万円。
いずれも前期比6.8%増。
営業利益は126億2200万円で、
前期比49.0%増。
経常利益138億9300万円で同50.8%増。
当期純利益95億7000万円で同83.4%増。

コロナ特需で過去最高益が出た。
社長就任1年目としては、
上々の成果が上がった。

「社員一人一人の頑張りで
勝ち取った数字」
と服部さん。

「社長としての自分の力は関係なかった」
謙虚。

「コロナ下で
じっくり考える時間が増えた」

サミットの強みとは何か、
大切にすることは何か。
それを考え抜いた。

「コロナ後に真価が問われる。
それに向けた準備をする」

決意表明は力強かった。

一方、私は商人舎オフィスに出社。
『コロナは時間を早める』第二刷。
手に取った。
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この「奥付」に書いてある。
2021年4月17日第一刷発行、
2021年5月17日第二刷発行。
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お申込み、お願いします。

横浜から東海道線で東京まで、
それから山手線で秋葉原、
さらにつくばエクスプレス線で、
筑波駅まで。
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秋葉原とつくばはいま、
50分ほどでつながれている。
便利になった。

つくば駅のホームにポスター。
トナリエつくばスクエアが、
5月19日オープン。
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ロピアも同時オープン。
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そのトナリエクレオ。
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ロピアの開店準備が進む。
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店に入れてもらって、
巡回視察。
IMG_32921

店内装飾の最終仕上げ。IMG_32861

デザイナーの佐々木さん。
元精肉チーフ。
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そして古家裕さん。
㈱ロピア取締役千葉営業本部本部長。
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千葉県と茨城県のロピアを経営する。
古家さんも話し始めたら止まらない。
しかしロピアらしさを、
出し続けたいと話してくれた。

そのあとヨークベニマルつくば竹園店へ。
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ロピアから歩いても5分。
ヨークタウンの核店舗。IMG_32971
夜の8時を回っていたが、
いい状態の売場で顧客も入っていた。

ロピア登場を迎え撃つ準備は、
万端怠りない。

明日はこの「つくばの陣」を取材する。
楽しみにしてください。

〈結城義晴〉

2021年05月17日(月曜日)

カスミの小濵裕正さんと懇談・「蛻変」の意志を再確認する。

Everybody! Good Monday!
[2021vol⑳]
2021年第20週。
5月第4週。

昨日の日曜日から、
緊急事態宣言が、
9都道府県に拡大された。

東京と大阪は、
新型コロナの変異株も、
沈静化に向かっているようでもあるが、
逆に地方の都市や町には広がっている。

「コロナ制圧タスクフォース」は、
共同研究グループである。
慶應義塾大学、東京医科歯科大学、
北里大学、京都大学、
東京大学医科学研究所付属ヒトゲノム解析センター。

3400人以上の日本の患者を分析して、
「重症化」に関する貴重な発見をした。

わかりやすいのは、
血液型と重症化リスクの関係。
A型・B型の人と比べてO型の人は、
新型コロナにおける重症化リスクが、
約0.8倍と低かった。
一方、AB型の人は約1.4倍と高くなった。

重症化のリスクは、
「O型<A型・B型<AB型」

本当か?

などと思ってしまうが、
その可能性が示された。
興味深い。

もう一つは、
「DOCK2」というバリアントに関する研究。
バリアントは変異種のことだ。

遺伝子配列が違っている人が一定数いる。

ヒトゲノム配列の変異種「DOCK2」をもつ人は、
65歳以下の非高齢者において、
約2倍の重症化リスクを有する。

ヒトゲノムは、
ヒト(ホモサピエンス)の、
ゲノム(遺伝子情報)。

その遺伝子情報の組み合わせの、
変異種のひとつが、
日本人を含む東アジア人集団では、
約10%と高頻度に見られる。
対して欧米人集団では、
ほとんど見られない。

つまりこのDOCK2は、
アジア人特有のものであって、
そのうえ重症化因子の、
有力候補である可能性が示唆された。

研究は進められる。

力強いことだ。

今日は東京のお茶の水。IMG_32571

山の上ホテル。
IMG_32601

川端康成、三島由紀夫、池波正太郎。
文豪たちが缶詰めになって、
原稿執筆したホテルとして著名。IMG_32581
だから出版社村と言える東京神田にある。

小濵裕正さんと昼食。IMG_E325511
小濵さんは1965年、
㈱主婦の店ダイエーに3期生として入社。
初めに担当したのは品質管理だった。

その後、ダイエーは猛烈なスピードで成長。
小濵さんは要所要所で重要な役割を果たし、
ダイエーでの最後の役職は専務取締役。

すぐに㈱カスミに転身し、
社長、会長を歴任。
㈱U.S.M.Hが設立されると初代会長。
日本チェーンストア協会会長、
日本スーパーマーケット協会副会長も歴任。

業界の重鎮だ。

この5月の株主総会で、
カスミの会長を退任して、
相談役に就任。

しかし悠々自適。
80歳。

私はもう30年以上のお付き合いだ。

「蛻変」という言葉や概念は、
小濵さんから教えていただいた。

動物の「変態」のように、
会社や組織も皮を脱ぎ去らねばならない。

今日はダイエー時代の話から、
日米欧のスーパーマーケットの趨勢、
ユニクロやニトリの話題まで、
2時間半もじっくりと話した。

故鈴木達郎さんはダイエー一期生、
故平山敞(たかし)さんは小濵さんと同期生。
もちろん創業者の故中内功さんは偉大だった。

そんな人たちの話が、
次から次へと出てきた。

別れがたいものがあって、
話は尽きなかった。

昨日、紹介した『再び男たちへ』のなかで、
塩野七生さんは書いている。
「人の為した業績は、
二種類に分類できるのではないかと思う」

第一は、
作品というかたちで遺(のこ)せるたぐいの業績。
「絵画や彫刻、建築、書籍、レコード、ヴィデオ」

第二は、
作品というかたちで遺すことのできない業績。
「政治家や経済人、武人等の為した業績」

小濵さんは立派な第二分類の業績、
私はささやかな第一分類。

2008年4月17日の商人舎発足の会では、
小濵さんにスピーチしていただいた。

「実は、結城さんが、
商業界社長を退任したとき、
うちにスカウトしようと思った」

「結城さんに一度、
スーパーマーケットを、
経営させてみたかった」
小濱さん
ありがたいお言葉。

しかし私は第一分類。

ちょっとだけ第二分類を経験したが、
スーパーマーケット経営の機会はなかった。

小濵さんは武蔵小杉に転居される。
私とは距離が近くなった。

別れ難かったけれど、
これからはもっとお会いできそうだ。

その後、御成門へ
東京タワー。IMG_32711

㈱True Dataで打ち合わせ。IMG_32701
小売業のDX実践講座。
これから本格的に進めます。

越尾由紀さんと外山敬晃さん。
社長の米倉裕之さんはオンライン参加。IMG_32671
ありがとう。

そのTrue Dataの会議室に、
㈱紀文食品のお二人を招いて、
これもミーティング。

堀内慎也さん(中)と高柳謙一郎さん。
IMG_32641
堀内さんは事業企画室正月ユニット部部長、
高柳さんは新任の営業企画部部長。

紀文は4月16日、
東京証券取引所1部に株式公開。
「84年目の上場」として明るいニュースだ。
おめでとう。

今年9月2日(木)3日(金)。
恒例の紀文正月フォーラムを、
復活させます。

私は全体の相談役と総括講演。

楽しみにしてください。

では、みなさん、
今週も「蛻変」をめざそう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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