結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年09月28日(水曜日)

ヒラリー&トランプと安倍&蓮舫の「ガラスの天井と地下室」

昨日は大統領選テレビ討論会。

初の女性大統領を目指す
民主党候補ヒラリー・クリントン。
異端の不動産王、
共和党候補ドナルド・トランプ。

日経新聞夕刊、
ウォール街ラウンドアップ。

「米株の先物が買われ、
メキシコペソも反発。
クリントン氏が(討論で)
負けなかったことを示唆する」

そのうえで、
アメリカ産業界の、
支持層の「ねじれ」を指摘。

「大企業がクリントン氏を支持し、
民主党の支持層だった中小への
支援をトランプ氏が持ちかける」

これが異例の大統領選を、
さらに予測不能にしている。

毎日新聞が二人の専門家に、
コメントを求めた。

ジョナサン・ミラーさん。
米国外交問題評議会国際問題フェロー。

「討論はクリントン氏の圧勝だった。
トランプ氏の外交政策は、
アジア専門の米国人の一人として
聞くに堪えないものだった。
クリントン氏は、
日本を含めた同盟国への関与の
重要性を明確にして安心させた」

一方、
渡部恒雄さん。
東京財団上席研究員で、
讀賣新聞のあの方ではない。

「反主流のポピュリストと、
正統なリアリストとの戦いだ」
前者は大衆迎合主義者のトランプ、
後者が現実主義者のヒラリー。

「第1ラウンドは総合的には
クリントン氏が優位な結果を残した」

そして先を読む。
「クリントン氏が大統領なら
政策は予測可能性が高く、
日本にとってはやりやすい」

「トランプ氏が大統領でも、
外交を専門家に丸投げして
既存の共和党路線に
戻る可能性も十分にある。
自流にこだわれば
陣容が整うのに時間がかかり、
外交が停滞するリスクがあるが、
そのときはむしろ日本が
アジア外交を積極的に
主導するチャンスともいえる」

渡部さんは楽観的で、よろしい。

一方、日本では一昨日から、
第192回の臨時国会。
安倍晋三首相の所信表明演説に対して、
今日は参議院本会議で、
民進党の蓮舫代表が質問。

アメリカでも日本でも、
男女対決。

その主張の中身は別にして、
「ガラスの天井」はずいぶん低くなった。

逆に、
「ガラスの地下室」
などという言葉が生まれるくらい。

ワレン・ファレル著『男性権力の神話』
1993年の出版だが、
このなかに「地下室」が出てくる。

「ガラスの天井」は、
女性の一定以上の昇進を阻む壁。

「ガラスの地下室」は、
男性が使い捨てられる現実を表現。
収入と引き換えの
危険な職種や長時間勤務、
自殺、病気や事故による高い死亡率、
徴兵、死刑といった過酷な状況。

トランプ支持層には、
「ガラスの地下室のメロディ」が、
流れているかもしれない。

アメリカ人の平均寿命は、
男性が女性より6.9歳短い。
1920年には差は1歳だった。

日本も2015年現在、
女性が87.06歳、
男性が80.79歳。
男女差6.27歳。
1920年頃はアメリカ同様に、
約1歳の差だった。

差は、日米ともに、
開き続けている。

そんな中で、かの国では、
大統領の「ガラスの天井」は、
どうやら破られそうだ。

まだまだ予断は許さないけれど。

さて、今日も一日、
横浜商人舎オフィス。

朝から染谷剛史さんが来訪。
㈱リンクアンドモチベーション、
MEカンパニー執行役。DSCN9838-6
Mはモチベーションで、
Eはエンジニアリング。

小売業・サービス業に絞って、
エントリー・マネジメントと、
モチベーション・マネジメントに関する、
ソリューションを展開する。

MEカンパニーに協力して、
12月6日にセミナーを、
開催することになった。

基調講演を担当する。
詳細は追ってお知らせする。

一方、
とりせん下館店。とりせん2-6
昨日、商人舎編集スタッフ廣川裕が、
Weekly商人舎の取材で訪問。

店長の片野和久さん。
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とりせん本部からも、
重鎮がずらりと顔をそろえて、
インタビューに応じてくれた。とりせん-6
左から成田和弥さん、赤井淳一さん、
秋山謙二さん、田中幸雄さん。
成田さんは営業サポート本部開発部部長、
赤井さんは常務取締役営業副本部長、
秋山さんが取締役第一商品部長、
田中さんが取締役第二商品部長。

長編の取材記事は、
2週間ほど先に公開予定。

さて最後に昨日の、
糸井重里の『ほぼ日』
巻頭エッセイは「今日のダーリン」

「たのしいことを
見つけるというのは、
とても大切なことだ」

これ、糸井の得意技。

「いま、どこかの店で
お茶をのんだりしながら、
通り過ぎる人たちを
見ているとする。
ただ眺めていて、
それがたのしいなら、
それでいい」

「眺めているだけでは
たのしくなくなったら、
じぶんなりに、
歩いてくる人たちの
表情やら服装やらで、
仮説を立ててみたり、
妄想をしてみたりする。
それがたのしいなら、それでいい」

「『いろんな人がいるなぁ』という、
そのいろいろを、そのまま
『いろいろだなぁ』と
感じているのも、いい」

いかにも糸井だ。

「たのしくもなんともない場に、
たのしいことを見つけたり、
生み出したりするのは、
よくそれをしている人には、
むつかしいことではない。
じぶんがたのしければいいのだから、
人に迷惑をかけることもないし、
批判されることもない」

そして現代を風刺する。

「人間がたのしいことを見つけるより前に、
『これはたのしいですよ』ということが、
ひっきりなしに流れてくるのが、
現代というものだ」

テレビ、ゲーム、スマートフォン…。

糸井はそのことを、
否定や批判するのではなく、
提案する。

「たのしみというものを、
だれかに与えてもらうものなんだと
思いこんでるそのクセが、
もったいないと思うのだ」

「たのしいことというのは、
だれかがくれるものではない」

「だれかだとか、
なにかだとかと
いっしょに
じぶんで
生み出すものだ」

そう、それが、
アミューズメントの本質だ。

「『たのしい』が雨のように
降り注いできたとしても、
あなたがたのしくなるとはかぎらない」

「『たのしい』は、
もともとあなたが
持っているもので、

あなたの『なかに(!)』
あるものなのだ」

だから「たのしい」を、
ビジネスモデルにするとしたら、
顧客がもともともっているものを、
引き出す仕事をつくることだ。

「たのしくしてくれる人が好き
‥‥そうなんだけどね、
その人は、あなたが
たのしんでいるのを見て、
じぶんもたのしいと
思う人だろうか」

人が楽しんでいるのを、
自分の楽しみにできる人。

だからトランプとヒラリーや、
安倍晋三と蓮舫も、
楽しむのがいい。

楽しみを見つけつつ、
学ぶのがいい。

「ガラスの天井と地下室」
これらは「苦しい」を前提にしている。

そういったことが、
いろいろなねじれの、
原因にもなっているんだと思う。

〈結城義晴〉

2016年09月27日(火曜日)

齋藤充弘VC協会会長就任と大統領選討論会の「heelとmother」

日本ボランタリーチェーン協会。
1966年設立の一般社団法人。

齋藤充弘さんが、
会長にご就任。
全日本食品㈱会長。DSCN9835-6
大役、ご苦労様です。

これまでの会長は井上毅さん。
元通商産業省大臣官房調査統計部長、
そして流通システム開発センター元会長。

その前の会長の小川修司さんも、
旧通産相の官僚出身だった。

だから実務家の齋藤さんが、
会長に就任して、
協会をリードするのは、
とてもいい。

このボランタリーチェーン協会、
設立は早い。

小売業関係の協会で一番古いのは、
1948年設立の日本百貨店協会。
次が1952年の日本専門店会連盟。

そして1958年の、
日本セルフ・サービス協会。
現在は全国スーパーマーケット協会と、
合併したうえで名称を変えて、
新日本スーパーマーケット協会。

その次の四番目が、
日本ボランタリーチェーン協会。

それから1967年、
日本チェーンストア協会が生まれた。

ボランタリーチェーンの対極にあるのが、
日本フランチャイズチェーン協会で、
1972年の設立。

日本スーパーマーケット協会は、
1999年に清水信次さんがつくった。

ボランタリーチェーンの定義。
「異なる経営主体同士が結合して、
販売機能を多数の店舗において
展開すると同時に、
情報等を本部に集中することによって
組織の統合を図り、
強力な管理のもとで、
仕入れ・販売等に関する戦略が
集中的にプログラム化される
仕組みとその運営」

少々長いが、
私も講義をする時には、
この定義を使っている。

1962年に、
『流通革命』を書いたとき、
林周二先生はチェーンストアを、
どうもボランタリーだと、
想定していたようだ。

同年、倉本長治先生が書いたのが、
『チェーンストアへの道』という本。
こちらのチェーンストアへの軌道は、
明らかにボランタリーチェーンで、
ケーススタディとして述べられている。

アメリカでは、
フランチャイズが発達している。
一方、ヨーロッパでは、
ボランタリーチェーンが発展した。

日本のボランタリーチェーンは、
商業の現代化の中で、
これから第二弾、第三弾の、
重要な役割を果たすことになる。

齋藤さんの見識と経験、
そしてリーダーシップに、
大いなる期待がかかる。

よろしくお願いします。

さて、今日は午前中に、
米国大統領候補テレビ討論会。DSCN9832-6
横浜商人舎オフィスで、
パソコンのYouTubeで観た。

民主党候補のヒラリー・クリントン、
共和党候補のドナルド・トランプ。

アメリカ国内では、
猫も杓子もテレビ観戦。

日本でも大注目の、
第1回テレビ討論会。

場所はニューヨーク郊外ヘンプステッド。

今回のテーマは三つ。
①アメリカ合衆国の針路
②繁栄への道筋
③安全保障問題

はじめは国民大衆にとって、
もっともリアリティのある雇用問題。

ヒラリーは、
「良質の雇用を創出し、
最低賃金を引き上げる。
男女平等の賃金を実現する」

トランプは、中国やメキシコから、
「盗まれた米国の雇用を取り戻す」

この発言にも、
両者の考え方の違いは表れた。

朝日新聞デジタルで、
海野素央明治大学教授が語る。
「一言が流れを変えた」

海野教授は、米国大統領選の研究者。

「勝敗の分かれ目は
開始から50分ほどが過ぎた時の
クリントン氏の発言だったと思う」

ヒラリーの質問。
「あなたは、この討論会で
私を批判する準備をしてきたのでしょう。
私も準備してきました。
それは何か知っていますか?」

「大統領になる準備をしたのです」

討論会では拍手は禁じられている。
しかし会場から、
思わず拍手が上がった。

ここで流れが変わった。

この発言までは、トランプは、
ヒラリーを「国務長官」と呼びかけた。
英語で「Secretary of State

「嘘つきヒラリー」
これがトランプの常套句だが、
それも封印していた。

大統領らしさをアピールする戦法。

礼儀正しく、落ち着いた様子で、
前半戦の議論をリード。

しかし、この一言で流れが変わった。
「大統領になる準備をしたのです」

それに大統領らしさの演出も、
全体を通してみれば、
トランプの特徴を奪った。

どう見てもトランプは、
米国のバイキンマンだ。

しかしバイキンマンも、
逆の意味で人気者。

それが正義の味方のように振る舞うと、
バイキンマンらしくなくなって、
精彩を欠き、人気は落ちる。

これを「バイキンマンのジレンマ」と、
表現しておこう。

ヒラリー68歳が、
トランプ70歳を諫める、
母親のように見えた。

もちろんヒラリーにも弱点はあるし、
かつてのケネディとニクソンのような、
大差がつくものではないだろう。

アメリカ人はプロレスでも、
ヒールが大好きだ。
heelは英語で踵の意味。

プロレスでは悪役のことで、
ヒールにはヒールの戦い方がある。

そのヒールが、
善玉のベビーフェイスを演じると、
これはどうもいただけない。

そのヒールに対して、
マザー(mother)からの、
毅然とした一言。

その意味でもやはり、
この討論会は、
面白いショーだった。

討論会直後のインターネット調査。
CNNのアンケート回答分析では、
ヒラリーの勝利は62%、
トランプは27%。

ダウ平均株価も、
ヒラリー優勢を受けて、
84ドル上がった。

大統領候補の今後の討論会は、
10月9日のミズーリ州セントルイス、
19日のネバダ州ラスベガス。

私はその間、アメリカ本土で、
このショーをリアルに楽しむことになる。

〈結城義晴〉

2016年09月26日(月曜日)

初優勝豪栄道とSMAP中居正広・ロピア高木勇輔の明日

Everbody! Good Monday!
[2016vol39]

2016年第40週。
9月最後の週で、
今週土曜日から10月。

あとは一気呵成に、
年末までなだれ込む。

私は10月、11月と、
半月ずつアメリカ出張。

その間に、
米国大統領選挙は、
最大の盛り上がりを見せ、
11月8日が投開票日。

それまでにテレビ討論会が、
三度開催される。その第1回討論は今夜。
日本時間で明日27日の午前。
ニューヨーク市郊外。
ヘンプステッドのホフストラ大学。

民主党候補ヒラリー・クリントン、
共和党候補ドナルド・トランプ。
その直接対決。

第1回テーマは三つ。
①米国の進路
②繁栄
③安全保障

司会者を挟んで、
それぞれのテーマを、
30分間ずつ。

合計90分で議論する。

今回は面白いショーかもしれないが、
何かを生み出す議論にはならない。

合衆国大統領候補の討論ならば、
次の時代が見えてくるような、
夢とビジョンと実のある、
ディスカッションを望みたいが。

それにしても、
大関豪栄道豪太郎。
大相撲秋場所で全勝優勝。

大阪府寝屋川市出身境川部屋。
本名・澤井豪太郎、30歳。

カド番からの全勝優勝。
涙の初賜杯、見事。

日本人力士としては、
20年ぶりの全勝制覇。
1996年秋場所の横綱貴乃花以来。

身長183cm、体重160kg。
右四つからの寄りは正攻法。
しかし今場所でも、
横綱日馬富士を破った一番のように、
首投げも鋭い。

日経新聞・吉野浩一郎記者。
相撲界の「乱世」を、
予見して、鋭い。

31歳の大横綱白鵬は、
休場して「違ってきた」と発言。

今年の初場所で大関琴奨菊が、
日本人として10年ぶりの初賜杯。

春場所からは大関稀勢の里が、
3場所連続優勝争い。

新旧勢力が入り交じっった移行期を、
記者は「乱世の土俵」と評する。

大横綱千代の富士時代と、
次の大横綱貴乃花時代の合間。

大関霧島が生涯唯一の優勝、
琴富士、琴錦、水戸泉らは、
平幕優勝。

貴乃花時代から横綱朝青龍時代の間、
出島、武双山、貴闘力、そして琴光喜が、
ただ一度の優勝を飾った。

今、その状況に酷似している。

照ノ富士、逸ノ城らモンゴルの大器。
高安、御嶽海、遠藤ら日本のホープ。

「はたまたまだ見ぬ新星か。
ゆっくりではあっても
時計の針は前にのみ進み、
戻ることはない」

こんなときが、
大相撲は一番面白い。

さて、秋は深まる。

善人と察して停る赤蜻蛉
〈朝日俳壇より さいたま市・町田蚕子〉

豪太郎の肩には赤とんぼが、
とまりそうだ。

指揮棒の先より秋の広がりぬ
〈同 塩尻市・古厩林生〉

さわやかな旋律が聴こえてくる。

久しぶりに日経俳壇にいい句があった。
秋蟬のひと節鳴いて風となり
〈東京都・野上卓〉

そんな昨日は、
神奈川県大磯。
レイクウッドゴルフクラブ。IMG_9298-6

雲の切れ間に、富士の姿。IMG_9297-6

前のパーティは、
中居正広くんのグループ。
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といってもSMAPのメンバーではない。

最近の心労を癒すために、
ごく親しい仲間たちが、
プレゼントしたラウンドらしい。

若い人たちのように、
サインをもらったり、
一緒に写真を撮ったりはしない。

遠くから、その心労を察しつつ、
静かにラウンドした。

中居くんも44歳になった。
芸能界の乱世が彼を待っている。
神奈川県藤沢市出身。

私はその藤沢に本部を置く、
㈱ロピアの会長・社長とラウンド。

高木秀雄さんは73歳、
高木勇輔さんは34歳。

私は勇輔さんが高校生の頃から、
秀雄さんとはながい付き合い。

昨年度小売業ランキングで、
133位のロピア。
年間売上高は819億1600万円、
前年比116.8%。
経常利益は34億5300万円、
こちらは114.1%。

会社は絶好調だし、
戦略は間違っていないし、
実にいい親子関係だし、
人財も集まっているし、
そのうえ、お二人とも、
ゴルフもいい線を行っている。

少なくとも傷心の中居くんよりも。

1年に二度ほど一緒に、
ゴルフプレイを楽しむ。
私もいい気分になる。

アメリカ出張など、
超多忙な中、
実に爽快なひと時だった。
ありがたい。

そういえばSMAPの1998年の名曲。
「夜空ノムコウ」

あれからぼくたちは
なにかを信じられたかなぁ
夜空のむこうには
明日がもうまっている
〈作詞・スガシカオ、作曲・川村結花〉

豪栄道豪太郎にも、
高木勇輔にも、
中居正広にも、
明日が待っている。

時計の針は
前にのみ進み、

戻ることはない。

なにかを信じられたなら。

もちろん、
高木秀雄さんにも、
結城義晴にも。

みなさんにも。
では、今週も、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年09月25日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その19】彼岸花

猫の目で見る博物誌――。
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猫の目は夜にも見える。
光のないところでも見える。
日陰者さえ見える。

そんな猫の目で見る博物誌――。

彼岸の明けには彼岸花。IMG_3800-6
秋の彼岸の頃に咲くから、
彼岸花。

学名Lycoris radiata。
ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年生。
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真ん中がツボミ。
両サイドが開花。

花弁は6枚で、
放射状につく。

そこで学名のradiataは、
「放射状」という意味。
Lycorisは、
ラテン語のヒガンバナ属。

鱗茎はデンプンに富むが、
有毒な球根性植物。

鱗茎の毒の主成分は、
アルカロイド。

食べると吐き気や下痢を起こす。
死に至る場合もある。
原因は中枢神経の麻痺。

群生する。

夏の終わりから秋の初め、
高さ30~50cmの花茎が、
地上に出てきて、
その先端に苞(ほう)に包まれて、
花序がひとつ付く。
枝も葉も節もない。

苞はつぼみを包んだ葉。

その苞が破れると、
数個の赤い花が顔を出す。
9月中旬のこと。

花には短い柄があって、
写真のように横を向いて開く。
すべての花は、
輪生状に外向きに並ぶ。

しかも花弁は細長く、
大きく反り返っている。

開花すると、
晩秋には線形の細い葉が、
バラの花のように、
ロゼット状に出てくる。

葉は冬の間、姿を見せるが、
翌春になると枯れる。

そして再び、
晩夏から初秋に、
地上に花茎を出す。

日本では水田の畦などに多く咲く。IMG_9478
〈photo by Huminori Kanaya〉

畦に植える目的は、
ネズミ、モグラ、虫など、
田を荒らす動物を、
鱗茎の毒で忌避させるため。IMG_9477

稲と彼岸花。
救荒作物として、
田畑の草取りのついでに、
植えられ、栽培される。IMG_9476

別名が多い。

曼珠沙華は「マンジュシャゲ」
サンスクリット語のmanjusaka。IMG_3802-6

死人花は「しびとばな」
地獄花「じごくばな」
幽霊花「ゆうれいばな」
剃刀花「かみそりばな」
狐花「きつねばな」
捨子花「すてごばな」
「はっかけばばあ」

日本での別名・方言は、
1000以上だという。

花と葉が同時に出ない。
だから「葉見ず花見ず」ともいう。

ひどい命名ばかり。

それでも、
日本の秋の彼岸には、
必須の花で、
それがこの花の
「ポジショニング」なのだと、
猫は思う。

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彼岸から、
猫はこの花を、
見ている。

(『猫の目博物誌』〈未刊〉より by yuuki)

2016年09月24日(土曜日)

老子24章「自ら伐むる者は功無く、自ら矜る者は長しからず」

土曜日は『老子』
小川環樹訳注の中公文庫から。
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老子は中国の春秋戦国時代の人。
諸子百家のうちの代表的な哲学者。
「道家」は老子を始祖とする思想。

そしてその道家の思想による宗教を、
「道教」という。
ちなみに中国三大宗教は、
儒教・仏教・道教。

歴史家・司馬遷が紀元前100年頃に、
『史記』を著したが、
その中に「老子韓非列伝」があって、
老子のことが記されている。

その「老子」第二十四章は、
有名だ。

(つまだ)つ者は立たず、
(また)ぐ者は行かず。
つま先で立つものは、
立ち尽くすことができない。
大股で歩くものは、
長く歩くことはできない。

自ら見る者は
明らかならず、

自ら是とする者は
(あらわ)れず。

自分を見せびらかす者には、
なにもよく見えない。
みずから正しいとする者は、
他人より際立って見えることはない。

自ら伐(ほ)むる者は
功無く、

自ら矜(ほこ)る者は
(ひさ)しからず。
自分でほめる者は、
何も成功しない。
自分の仕事ばかり、
誇りにする者は、

長続きしない。

つま先立ちをすること、
大股で歩くこと。

つまり、自分を大きく見せること。
誇大広告のような人間。

自分を見せびらかすこと、
自ら正しいとすること、
自分で自分をほめること、
自分の仕事を誇りにすることすら。

老子は「道」の立場から、
余分なものとした。

還暦を過ぎると、
「道」も少しはわかってくる。

しかし、いつになっても、
以て自戒とすべし。

老子は宮澤賢治に通じる。
「雨ニモ負ケズ、
風ニモ負ケズ」

「アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ」

「ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ」

だから老子は、
商人に語りかけている。

ありがたい。

今日も朝日新聞一面から、
『折々のことば』

芸がないようだけれど、
いいものはいい。

編著者の鷲田清一さんと、
どうも波長が合いすぎて、
怖いくらいだ。

今日は天気がいいね。
鶴見俊輔『思い出袋』から、
ある小学校長の言葉。

鶴見は昨年7月20日に没した、
哲学者、評論家。
1922年に生まれた大正人。
米国プラグマティズムの紹介者のひとり。

その鶴見が小学生の時、
校長が朝礼でこう挨拶した。

「今日は天気がいいね。」
それだけ言って壇を降りた。

「代わりに、陰で
相当努力していたのだろう、
児童とすれ違った時は名で呼び、
少し長めの話をした」

「語りかけは個々の誰かにするもので、
不特定多数を相手にすれば
演説になると考えたのだろう」

「高い位置に
昇ったことのある人の話は長いのに、
この人は違った」

この校長先生、
もしかしたら「老子」を読んでいた。

来週月曜日の朝礼の言葉。
あなたはどう考えるか。

陰の努力こそ、
必須だけれど。

横浜商人舎横の新田間川。
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雨模様。
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明日は秋晴れ。
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みなさんも、
充実した週末を。

アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ

自ら伐むる者は功無く、
自ら矜る者は長しからず。

〈結城義晴〉

2016年09月23日(金曜日)

たかが服、されど服。たかが雑貨、されど雑貨。

朝日新聞『折々のことば』527。
毎朝、素晴らしい。

前にも書いたけれど、
いまや、朝日看板の『天声人語』より、いい。

たかが服、されど服
(戯〈ざ〉れ言葉)

「戯れ言葉」とは、
ふざけて言う言葉。

編著者の鷲田清一さん。
「服はしょせんうわべだと人は言う。
その人の現実を繕い、
ときに偽るものだと」

「服ごときに
人生のすべてを注ぐのは
愚かだとも」

そう考える人もいるかもしれない。

「が、服は人を支えもする。
受け入れがたい現実を
押し返すため、
はねつけるためにも
服はある」

「そうした抵抗、
もしくは矜持(きょうじ)を
人はしばしばその装いに託す」

「服は、折れそうな心を
まるでギプスのように支えてくれる
重要な装備でもあるのだ」

私もそう思う。

「ファッション」といわず、
「服」という言葉を使う人。

柳井正さんは、
喜ぶだろうな。

鷲田さんのことばに。

「FAST RETAILING WAY」
グループ企業理念。

まず、ステートメント。

服を変え、
常識を変え、
世界を変えていく

そして、ミッション。

ファーストリテイリンググループは―─
本当に良い服、
今までにない新しい価値を持つ
服を創造し、
世界中のあらゆる人々に、
良い服を着る
喜び、幸せ、満足を提供します
独自の企業活動を通じて
人々の暮らしの充実に貢献し、
社会との調和ある発展を目指します

さらに、私たちの価値観。

お客様の立場に立脚
革新と挑戦
個の尊重、会社と個人の成長
正しさへのこだわり

私は最後の言葉が好きだ。
「正しさへのこだわり」

さて、秋がどんどん深まっていく。
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ハロウィンの季節に向かって。IMG_9263-6

もう日本でも、
バレンタインデーを凌ぐイベント。IMG_9257-6

1977年9月設立、
KALDI COFFEE FARM。
第1号店は1986年の東京・下高井戸店。

2010年10月、直営200店を越え、
2013年に国内300店を達成。

昨年8月段階で国内349店舗。  IMG_9265-6

「洒落た雰囲気」の店。
輸入食材とコーヒー豆の専門店。

女性だけで運営され、
管理職もすべて女性。

店の入り口で、
紙コップのコーヒーがふるまわれる。
顧客はそれを受け取ると、
飲みながら店内をめぐる。

このコーヒーはテイスティングではない。
「お・も・て・な・し」

ちょっとあまいが、
オリジナルブレンド・
「マイルドカルディ」

ワインなど、私も時々購入する。

たかが珈琲、されど珈琲

そんな気がするKALDI。

日経新聞の記事。
「ニトリ、東急百貨店に出店」

東急百貨店東横店に、
小型フォーマットを出店する。
バナーは「デコホーム」

品ぞろえの基本は、
低価格だが高級感漂う商品。
使いやすいキッチン雑貨など。

石原靖曠理論でいえば、
スモールaの雑貨。
それにミドルaを加える。
20160910_isihara_02

東急東横店南館の7階、
約430平方メートル。

ニトリは都市部の百貨店への、
出店攻勢を強化する。

上野マルイ、東武百貨店池袋本店。

KALDIと並んで出店しても、
十分、いける。

たかが雑貨、されど雑貨

そんな商売こそ、
これからの主流だ。

〈結城義晴〉

2016年09月22日(木曜日)

秋分の日の「サンクコスト」と「コンコルドの誤謬」

暑さ寒さも彼岸まで。IMG_9254-6

秋分の日。
今年は9月22日。

1年を4つに分けて、
秋分と春分、
夏至と冬至。

秋分は夏と秋を分ける。

残暑が厳しいと予測されたが、
涼しい。
IMG_9244-6

秋分の日のコンセプト。
祝日法第2条で、
「祖先をうやまい、
なくなった人々をしのぶ」

秋分の季節性とは関係ない。

前身は1878年(明治11年)の「秋季皇霊祭」
これは1947年(昭和22年)に廃止された。

つまりそれまでは祭日で、
その後が祝日になった。

このことは今週月曜日、
敬老の日のこのブログで書いた。

祝日は「国家が休日とする法定休日」
祭日は、宗教儀礼上の、
重要な祭祀を行う日。

秋分の日はかつて祭日で、
現在は祝日。

だから仏教各派で、
「秋季彼岸会」が開催され、
墓参りをする。

秋分の日は彼岸の中日で、
前後各3日を合わせた7日間が彼岸。

月曜日の敬老の日が彼岸の入り、
今度の日曜日が彼岸の明け。

それにしても涼しい。
IMG_9251-6

木々の葉も色づいてきた。
IMG_9248-6

毎日新聞の巻頭言『余禄』のテーマは、
「サンクコスト」

「すじの悪いプロジェクトも
『乗りかかった船』との名目で
打ち切れぬことが多い」

会社の仕事などにもあるし、
あらゆる組織にこれがある。

「とくにそれまでの費用や労力が
むだになるのを嫌い、
損失を広げてしまう」

これを「サンクコスト効果」という。

日本語では「埋没費用」
「まいぼつひよう」と読む。

別の言い方では、
「コンコルド効果」
英語で、Concorde fallacy。

本来は「コンコルドの誤り」
「コンコルドの誤謬・コンコルド錯誤」などとも。

コンコルドは、超音速旅客機。
イギリスとフランスが、
1963年に共同開発したが、
2003年に全機が退役した。

速度が速くて性能が高い。
しかしコストは高くて採算が取れない。
つまり費用対効果の面で問題のあるもの。
そのたとえにコンコルドが使われる。

また、失敗することが予測されつつも、
これまでに投じた投資を
無駄にしたくないという心理から、
計画を中止できずに、
さらに失敗を重ねてしまうこと。

ここでもコンコルドが使われる。

サンクコストも同じ。
「もう取り戻せぬ過去の出費」

余禄は説明する。
「本来は将来の費用と効果だけを考えて
今後を決めるのが合理的なのだが、
人間は過去にとらわれて判断を誤る」

「そこには過去の誤りを認めたくない
というメンツや自尊心の問題もある」

余禄が言いたいのは、
高速増殖原型炉「もんじゅ」

廃炉に向けた動きが始まった。

もんじゅのサンクコストは、
国費だけで1兆円。
22年間で運転したのは、
わずか250日。
年間維持費200億円、
再稼働に何千億円。

「国はもんじゅを中核としてきた
核燃料サイクルは維持する構え」

「フランスで新たな高速炉を共同開発する」

このフランスとの共同開発は、
コンコルドの誤謬に出てくる英国の話。

縁起はよろしくない(ニヒルな笑い)

国内には大量のプルトニウムが、
いまだ蓄積されている。

「なお回らぬサイクルにこだわるのは、
やはり過去の呪縛か」
とコラムニスト。

ついでに「一向に回らないサイクル」から、
「2%の物価上昇目標に向けた
日銀による金融緩和の継続」を皮肉る。

「何にせよ『乗りかかった船』の危うさは
行きがかりにとらわれぬ目で
見きわめたい」

サンクコスト心理を考えねばいけない。

ニコラス・グレゴリー・マンキュー。
ハーバード大学経済学部教授。
米国大統領経済諮問委員会委員長。

『マンキュー経済学』は、
世界の経済学の教科書中の教科書。

そのマンキューが説くのが、
「経済学の10大原理」

第1は「人々はトレードオフに直面している」
あちらを立てればこちらが立たず、
こちらを立てればあちらが立たず。
どちらかを切り捨てねばならない。

もんじゅを廃炉にするか、
高速核燃料サイクルを確保するか。

第2は「あるものの費用は
それを得るために
放棄したものの
価値である」

もんじゅの費用は、
1兆円分の国税に当たる。

そして第3に「合理的な人々は
限界原理に基づいて考える」

「限界原理」には説明がいる。

その意味は、
「トレードオフの関係のものを
単位あたりで等しくすると
最も効率が良くなるという原理」

もんじゅの行動計画に、
「微調整」を加えると、
便益と費用が発生する。

このような「微調整」を
「限界的な変化」(marginal change)という。

そして、限界的な変化によって、
限界的便益と限界的費用が発生する。

もんじゅ計画の変更で、
限界的便益と限界的費用はどうなるか。

たとえ話をさがして、
わかりやすいのは1杯のコップの水。

砂漠で1日ぶりに飲むコップ1杯の水は、
限界的な便益が大きい。

しかし、1リットルの水を飲んだあとの、
コップ1杯の水は、
限界的な便益がひどく小さい。

合理的な人々は、
このコップ1杯の水の費用と、
そのときの便益を考えることで、
消費行動を選択し、実行する。

もんじゅの限界的便益と限界的費用を、
明らかにして議論しなければならない。

その前の議論も、
もちろん必要である。
核燃料や高速炉に対する考え方だ。

マンキューの経済原理は、
会社の経営や運営を考えるときに、
大いに役立つ。

サンクコストの考え方も。

「もったいないは損をする」
株式投資などでも、
サンクコスト効果は使われる。
「損をしたくないと思って損を広げる」

恋愛論議などにも、
このコンセプトはよく使われる。

「sunk cost」
sink(沈む、埋没する)の過去分詞。

think(考える)の過去分詞thunkではない。
感謝するthankでは、もちろんない。

〈結城義晴〉

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