結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年07月09日(木曜日)

ブルックス・ブラザーズ破綻と伊藤忠のファミマ完全子会社化

東京都の新型コロナ新規感染者が、
なんと今日1日で224名、過去最高。
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大阪府も30人。
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7月上旬の今、4月上旬と同じか
それを超える感染拡大が起こりつつある。

感染が起こる環境は、
やはり三密。
密接、密集、密閉。

マスクの装着と手洗いは徹底しよう。

徹底とは、
詳細に・厳密に・継続すること。
こまかく、
きびしく、
しつこく。

さて、
ブルックス・ブラザーズ。
昨日の8日に連邦破産法11条適用申請。
kv

ああ。

コロナは時間を早める。
H

実にいいブランドだが、
売れるのはアウトレットモールの店と、
オフプライスストアの売場ばかり。
つまり正価で売れなくなっていた。

ブランドを毀損することなく、
立て直しが求められていた。

それがかなわない。
コロナによって、
破綻が早められた。

ニーマン・マーカス、
JCペニー、
そしてブルックス。

いずれも老舗の100年企業。
強固なブランドであるがために、
「ゆでガエル」状態となった。

そしてゆでられる時間が短くなった。

今朝の日経新聞一面トップ記事。
「伊藤忠/ファミマを完全子会社に」

伊藤忠商事㈱が、
㈱ファミリーマートを、
とうとう完全子会社にする。

5800億円を投資して、
株式公開買い付け(TOB)を実施する。

TOB価格は1株2300円。
ファミリーマートはTOB終了後、
上場廃止。

この後は日経の記事だが、
伊藤忠は4.9%分の株式を、
約570億円で譲渡する。
今回の投資の1割である。

相手は全国農業協同組合連合会(JA全農)、
そしてその金融機関の農林中央金庫。

そのあとで、
JAグループと提携して、
大きな商流と物流をつくる。

今日の[商人舎流通SuperNews]
ファミマnews|
第1Q営業収益16%減・事業利益54%減の減収減益

第1四半期の連結決算が発表された。

営業収益は1117億6300万円で、
前年同期比15.9%減。
事業利益は89億8300万円で同54.0%減。
税引前四半期利益は46億8600万円で66.9%減。

減収減益。

それでも国内店舗数は1万6613店、
海外事業店舗は8032店。
世界の総店舗数は2万4645店。

通期の見込みは、
営業収益4600億円(11.0%減)、
事業利益570億円(11.7%減)。
しかし税引前利益940億円(103.4%増)、
当期利益600億円(37.8%増)。

記者会見した澤田貴司社長。
澤田ファミマ
「商品構成などが巣ごもり需要に
対応しきれていなかった」

ん~。

それもあるが、
私は業態自体の問題だと思う。

ファミリーマートは、
もともと西友がセブン-イレブンより、
一歩早くスタートさせた。

国産コンビニエンスストアだ。

1998年から伊藤忠の持ち分法適用会社に、
2018年には子会社になった。

それを今回完全子会社とする。

この間、ファミリーマートは、
エーエム・ピーエム・ジャパンや、
サークルKサンクスを傘下に入れて、
業界第2位に躍進した。

その巨大なコンビニを、
完全子会社にして。
JAグループとも連携させる。

㈱ローソンは2017年に、
すでに三菱商事㈱の子会社となって、
残るは㈱セブン-イレブン・ジャパンのみ。

コロナは資本の巨大化を早める。
企業間のM&Aを早める。

コロナは経営破綻を早める。
H

その波が一挙に押し寄せる。

しかしコンビニエンスストア業態に、
大きな節目がやって来ている。

間違いない。

コロナが時間を早めて、
それを教えてくれる。

〈結城義晴〉

2020年07月08日(水曜日)

Harvard Businessに「勝った~!!」と喜びつつ文明を考える 

Harvard Business Review。
日本版は、
「Diamondハーバード・ビジネス・レビュー」

その最新8月号が届いた。
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第1特集は「気候変動」
第2特集は「不安とともに生きる」

勝った~!!

しかし水前寺清子は歌う。
詞は星野哲郎。

勝った負けたと
騒ぐじゃないぜ♪

あとの態度が
大事だよ♪

Harvard Business Reviewが、
いつ新型コロナウイルスの特集をするか、
いつ気候問題を取り上げるか。

私にとっては、
密かな関心事だった。

Harvard Business Reviewは、
今年に入ってから7月号まで、
特集としては一切、
それらに触れなかった。

そっけないくらいだった。

一方、わが月刊商人舎は、
今年1月号特集で、
[極端気象]
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5月号で、
コロナは時間を早める。

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そして6月号で、
コロナ禍決算
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さらに7月号で(?)
明後日発表するが、
三連弾で畳みかける。

極端気象も、
コロナパンデミックも、
21世紀の大命題だからである。

いくら考察しても、
充分ということはない。

しかもCOVID-19感染拡大の渦中に、
そのことを探求することに意味がある。

まあ、Harvard Business Reviewとは、
近年、特集テーマが重なることが多い。

昨年2月号は、
商人舎が「幸せの時間管理」、
Harvard Business9月号が、
「時間と幸福のマネジメント」。
昨年8月7日のブログに書いた。
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問題意識が似ているというのは、
まんざらでもない。

だが、いつもわが方が早い。
もちろんパクリではない。

そのHarvard Businessの主張は、
「気候変動をイノベーションの機会に変える」

そして、
「CFOこそ気候変動問題を解決する切り札である」

CFOはChief Financial Officer。
つまり最高財務責任者。

私はCEOが直接担当し、
マネジメントボード全員が、
そして社員・従業員全員が、
私生活も含めて取り組む問題だと思うが、
どうだろうか。

ほぼ日刊イトイ新聞。
巻頭言は「今日のダーリン」
糸井重里さんのエッセイ。
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「季節を味わう
というのは、
季節の変化が、
暮らしも変えてくれるから
昔から、人は
それがうれしかったのだろうな」

「日本にいると、
季節によって食べるものも変わるし、
家のなかでの暑さ寒さへの対応も変わる。
こたつを出したり、
布団の厚さを変えたりもする」

日本には見事に四季がある。

「季節によって、
いろいろ変わる環境に、
いちいち反応したり
対処したりするというのは、
合理的な考え方からしたら、
コストが高すぎることだ」

その通り。

「環境も一定で、
室内の空調も一定だったら、
着ている服だって、
いつも同じようでいい。
冬もの夏もの、
春もの秋もの、
衣替えもめんどくさい」

「変化があるというのは、
高くつくものなのだ」

だからHarvard Businessでは、
CFOが切り札となる。

「しかも、風物詩とか
言ってられないこともたくさんある」

「冬は寒波も襲いかかるし、
豪雪だってある。
春には花粉が飛ぶし、
黄砂も飛んでくる。
そして、梅雨がくれば湿っぽいし、
活動もしにくい。
夏は猛暑、酷暑で
人死にさえも出る。
涼しくなったころには
台風がやってくる」

「さらに四季にも関係なく、
この島国は地震大国だ。
大きな津波の被害も
経験させられている」

「悲観的な人には、
この島国に住むのは勧められない」

私たちはそれでも、
この四季列島が大好きだ。
ちょっとマゾッホ的かもしれないが。

「これほどまでに
住みにくい環境条件が揃っているのに、
どうして、ぼくらは、
ここに暮らしているのだろうか。
そして、これまでも
この環境のなかで生きてきたのか、
それなりの文化や文明を
育ててこられたのか」

最後は笑い。
「外から見たら、
“あいつら、どんだけがまん強いの?”と
呆れられてしまうような
ことなのかもしれないね(笑)」

「文明とは、
人類の危機に対する
回答である」

あのアーノルド・J・トインビー。
名著『試練に立つ文明』から。
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中日新聞「春秋」が取り上げた。

高校のときに読書感想文を書かされた。

普段はあまり、
勉強ができる方ではなかった級友が、
素晴らしい分析を書いて、
驚かされたのを覚えている。

そのトインビー。
「文明というものは……
間断なく襲いきたる挑戦に
対応することに成功することによって
誕生し、成長するもの」

私たちの文明は、
そうしてできあがった。

それをパオロ・ジョルダーノは指摘する。
「コロナは今、
僕らの文明を
レントゲンにかけている」
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今こそ私たちの文明の真実を、
私たち自身の態度で証明するときだ。
CFOが切り札などではない。

最後に朝日新聞「折々のことば」
今日は第1869回。
子曰、徳不孤、必有鄰
(孔子『論語』より)
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「子の曰(のたま)わく、
徳は孤ならず。
必らず鄰(となり)あり」

この言葉から「有隣堂」の書店名ができた。
中学のころも高校のころも、
伊勢佐木町の本店にはお世話になった。

この孔子の言葉に対する金谷治さんの訳注。
「誠実な生き方というのは、
他人の思惑など顧みることなく、
ひたすら孤独のうちで磨かれるもの。
だがそれがかならずや
他人のこころに響く」

「同時代のなかで孤立していても、
密(ひそ)かにその生き方に支えられた人、
救われた人がいるからだ。
そういう人の結びつきは
かんたんには崩れない」

この言葉の強さは、
「人」に限らない。

国にも、会社にも、
同じことが言える。

そして私たちの文明にも。

〈結城義晴〉

2020年07月07日(火曜日)

温暖化で水蒸気の量が増えるから大雨が降る!!

今日は七夕。

ラッキーセブンというが、
その「7」のぞろ目の日。

五節句の一つ。
1月7日の人日(じんじつ)の節句、
3月3日の上巳(じょうし)の桃の節句、
5月5日の端午(たんご)の菖蒲の節句、
9月9日の重陽(ちょうよう)の菊の節句。
そして7月7日の七夕(しちせき)の節句。

織姫と彦星の恋物語もあって、
ロマンティックな節句だが、
あいにく全国的に雨。

それどころか、
連日の豪雨。

熊本、鹿児島から始まったこの豪雨は、
長崎、佐賀、福岡へ、
そして宮崎から大分へ。

私の故郷も含まれている。
だからというわけではないが、
心からお見舞い申し上げる。

イオンもセブン‐イレブンも、
ローカルスーパーマーケットも、
営業休止した。

それでも地域のライフラインとして、
奮闘してほしい。

さらに四国や中国地方を北上して、
近畿、東海・北陸、関東甲信へとやって来る。
7・7天気

このところ毎日書いているが、
気象の最高権威が、
東京大学大気海洋研究所。
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木本昌秀教授の警告。DSCN967800

[極端気象]
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木本教授は強調する。
「気象庁が観測を始めたのは、
1951年(昭和26年)ですから、
たかだか70年前のことです。
30年に1回の頻度で起こるのが
異常気象だとすれば、
70年間でせいぜい
1、2回観測される程度です」

「北海道に台風はやってこないと
教科書に書かれてありましたが、
2016年には台風10号も含めて
3つの台風がやってきた。
河川が氾濫して、
大変な被害が出ました」

「直近の気象観測や短い経験に
頼っていてはだめなのです」

「6000年分のデータを入れ込んで見ると、
東北地方に上陸した台風の数は
たくさんありました」
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「したがって気象庁が、
“○○記録””観測史上初めて”と言っても
驚くことはありません。
これからそうした事象は
どんどん出てきます。
ですが、それが異常かと言えば、
決して異常ではないのです」

「異常気象」が毎年のように続く。
これが[極端気象]だ。

「ほとんどすべてのシミュレーションは、
温暖化すれば水蒸気の量が増える、と、
結論づけています。
これは間違いのないことです」

「台風は水蒸気が凝結して、
その時の熱がエンジンになって、
回っています。
したがって水蒸気の量が増えれば
エンジンの強さは増しますから、
強い台風になる」

温暖化して、
水蒸気の量が増えるから
大雨が降る。
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そしてこれも毎日書いているけれど、
必要なことは2つ。

リスクマネジメントと、
ゼロエミッション。

前者は「適応策」、
後者は「緩和策」。

会社全体、業界全体、
行政や国全体で取り組まねば、
ゼロエミッションは絵に描いた餅だ。

それ以上に危険区域では、
緊急避難をしなければならない。

[商人舎流通SuperNews]

セブンーイレブンnews|
新宿市谷台町店の従業員が新型コロナに感染

トライアルnews|
スーパーセンター東開店(鹿児島市)従業員感染

新型コロナウイルスも、
まだまだ感染が拡大している。

豪雨による河川の氾濫や土砂崩れで、
多くの人が被災し、亡くなった。

コロナよりも優先されねばならない。
だからコロナは二の次にして、
避難を優先する。

このことは徹底しておきたい。

故堺屋太一さん。
非常時対策を5段階で整理している。
①救助
②救済
③復旧
④復興
⑤振興

河川の氾濫やがけ崩れは、
救助最優先。

この非常時の5段階の原則がある。
それは、
「軽いものから先に」

第1に、最も急ぐ軽いものは「情報」。
第2は、「生活物資」。
まず飲料と医薬品の配布。
その次が緊急の食料。
そしてその次が燃料と衣料。

小売業が貢献できる生活物資である。

第3は「安全な生活空間の準備」と、
そこへの「搬送」、「仮設住宅の提供」

この第3段階までが、
①の救助である。

そのあと救済、復旧が待っている。
そして復興、振興。
東日本大震災も、
まだまだ第4段階、第5段階である。

今回の豪雨は、
極端気象によって、
毎年のようにやって来る。

そのことへの覚悟と準備が、
国家レベル、行政レベルで求められる。
もちろん小売流通業も、
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

最後に三句。

七夕の雨よりつづきけふも降る
〈山口青邨(やまぐち せいそん)〉

七夕なのに今日も雨が降り続く。
山口は、工学博士の鉱山学者で東京大学名誉教授。
1892年~1988年。

松尾芭蕉の若いころの七夕の句。
七夕の逢はぬ心や雨中天

織姫と彦星の逢瀬。
逢えれば「有頂天」になれるが、
雨で逢えねば「雨中天」。
「雨中天」は芭蕉の造語。

けふの雨願ひの絲のきれやせん
〈正岡子規〉

そうはいっても、
願いの糸が切れませんように。

〈結城義晴〉

2020年07月06日(月曜日)

“圧縮された変化”の「Just in case」と星野佳路「倒産確率30%」

Everybody! Good Monday!
[2020vol㉗]

2020年第28週。
7月第2週。

熊本県や鹿児島県、宮崎県に続いて、
佐賀県、長崎県、福岡県に、
大雨特別警報が出された。

梅雨前線の活動が、
異常に活発になって、
線状降水帯が発生。
次々に集中豪雨を降らせている。

一昨日のブログでも書いたが、
[極端気象]だ。
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COVID-19感染拡大が続く中で、
極端気象が起こる。

極端気象は間違いなく、
地球温暖化の影響だ。

そして地球はこれも間違いなく、
温暖化している。
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木本昌秀東京大学教授は、
二つの提言をしてくれる。
「適応策」としてのリスクマネジメント。
「緩和策」としてのゼロエミッション。

極端気象は頻発している。
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だから“エミッション=排出”を、
ゼロにしなければならない。
これが「ゼロエミッション」だ。
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詳しくは月刊商人舎1月号を、
熟読していただきたい。

昨年に続いて、
豪雨の時期を迎えたのだから。

さて今日は朝から、
商人舎のスタッフオンライン会議。
ZOOMを使って、今月と今週の確認。

ほんの30分程度で終わったが、
テレワークを基本としているので、
とてもいいコミュニケーションとなった。

みんな元気に生活し、仕事している。

そして桃の季節。
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新盆は7月15日から。
これにもきちんと対応すること。
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日経新聞「オピニオン欄」
[核心]ウィズコロナの企業経営
上級論説委員として著名な西條都夫さん。

「新型コロナが
日本と世界を襲った2020年前半は
“圧縮された変化”が起きた」

圧縮された変化とは、
「平時ならゆっくり進む変化が、
コロナという外的ショックのせいで
ビデオの早送りのように
猛烈な速度で進行する」

手前味噌ではないが、
私の言葉で言えば、
「コロナは時間を早める」

「その結果、社会や生活の前提が
大きく変わった。
企業経営の現場も例外ではない」

サティア・ナデラ。
マイクロソフトCEO。
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4月末に発言した。
「コロナ禍で社会のデジタル化が進展し、
2年分の変化が2カ月で起きた」

これもコロナは時間を早める。

同社も遠隔会議システムをもつ。
ネーミングは「Teams(チームズ)」

その利用が、わずか2週間で、
従来の3倍となって、
1日あたり4500万時間に急増。

仕事の軸が顔合わせから、
オンラインに移りつつある。

商人舎と同じ。

経営の基本的な発想も修正を迫られる。
効率一辺倒の姿勢から、
もしもの事態に備えた在庫や
手持ち資金など
“冗長性”が重視され始めた」

フィナンシャル・タイムズ(FT)は、
現在、日経の傘下にある。
そのFTのコメンテーターが、
ラナ・フォルーハーさん。
この時代を命名した。
「Just in timeからJust in caseへの移行」

「Just in time」は、
必要なものを必要な時に必要な量。
「Just in case」とは、
もしもの時、万が一のため、念のため。

つまり「Just in case」は、
「リスクマネジメント」である。
最悪を覚悟して、最善を尽くす。

この記事の中で西條さんが紹介するのは、
㈱星野リゾートの星野佳路CEO。
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社内サイトにブログを書く星野さん。
5月12日版のタイトルは、
「我が社の倒産確率は30%」

星野さん。
「危機の局面では
“正直さ”が一番大切だから」

星野リゾートも客足は激減している。
倒産を心配しない社員はいない。

そこで3つの変数で
会社の先行きを27パターンに分類した。
⑴今期の減収幅
⑵経費削減の進捗
⑶新規の資金調達の可否
そこから倒産確率30%をはじき出した。

ブログの反響は大きかった。
「倒産しないために何をすべきか、
みんな自分の頭で考え始めた」

「今後も月1回ブログを更新し、
最新の倒産確率を示したい」

天気予報ならぬ「倒産予報」は、
星野ブログで続けられる。

そして最後に、
「5、6年に1度は、
需要がドーンと落ち込む危機が来る。
そんな前提で経営しないといけない」

これも、
「最悪を覚悟して、
最善を尽くす」

では、皆さん、今週も、
リスクマネジメント。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年07月05日(日曜日)

東京都知事選挙・小池圧勝と「考えること」の偉大さ・卑しさ

東京都知事選挙。
他道府県の人々には、
関係ないように見えるが、
そうでもない。

何しろ日本の首都の知事。
北欧のノルウェーの国家予算と、
同等のスケールをもつ大都市の長。

しかし夜の8時になった瞬間。
NHKは当選確実を出した。

つまらん!!

都知事選の投票率は、
40%に満たない。

当選は小池百合子さん。
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私と同じ年、
頑張ってほしい。

今回はリモート選挙で、
街頭演説など一度もせずに、
圧倒的な支持を得た。

しかし毎日、コロナ対策のために、
テレビで記者会見をして、
選挙活動としては存分な露出だった。

前にも書いたが、
東京リモートだとか、
営業自粛のステップだとか、
都政そのものを人気取りに使った観は、
なきにしもあらず。

政治屋は、
次の選挙を考え、
政治家は、
次の時代を考える。
(クラーク・ジェイムス・フリーマンとされる)

小池さん得意の英語の原文は、
“A politician thinks of the next election
and a statesman thinks of the next generation.”

“politician”が政治屋、政客。
“statesman”が公正な政治家。

小池さんには、
Politicianであってほしくない。
Stateswomanになってほしい。
こちらの言葉の方が、
女性首長であることを主張できるし。

日本の政治は今、国政も地方自治も、
公明党がキャスティングボートを握っている。

東京は4日間連続で、
新規感染者が100人を超えた。

イタリアの作家パオロ・ジョルダーノ。
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5月23日のこのブログで引用した。

「感染者の数、
発生地からの距離、
マスクの販売枚数、
株価暴落で失う金額、
検査結果が出るまでの日数と、
数えてばかり」

数えてばかりといえば、
民主主義における選挙も、
数を数えることだ。

「コロナは今、
“僕らの文明を
レントゲンにかけている”
のだから」

そう、私たちの文明が、
レントゲンにかけられている。

だからジョルダーノは言う。
「恐怖にも浸され、
頭がいっぱいだけど、
それでも
“今までとは違った
思考をしてみるための空間”
を確保しておこう」

考えるための空間。
考えるための時間。
ともに考えるための仲間。

考えるための基礎知識。
考えるための思考法。
考えるための情報収集。

それがとても大切だ。

「正しい」と言い募る者に限って、
信用できない。

それは選挙のプロセスを見ていれば、
本当によくわかる。

「自分は正しい」
立候補者は例外なく、
それを唱える。

しかしそれぞれが言っていることは、
正反対になるし、その嘘も透いて見える。

選挙はそれを明らかにする。

だから私たちも日常的に、
誰かが「自分は正しい」と言ったら、
それは疑ってかからねばならない。

かといって、
疑い深い人間になれと言うのでもない。

なぜなのかと、
いつもいつも、考えることだ。

ジョルダーノは、
数えることばかりでなく、
考えることの大切さを言う。

もちろん数えることも重要だ。
数えてから、考える。
考えてから、数える。

それの繰り返しが仕事であり、
その積み重ねが商売である。

ブレーズ・パスカルの『パンセ』
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「人間というものは、
どう見ても、

考えるために
創られている」

「考えることが、
人間の尊厳のすべてなのだ」

「人間の価値のすべて、
その義務のすべては、
正しく考えることにある」
〈断章146〉

こう言っておいて、
パスカルはまた考える。

「考えることはしたがって、
その本性からして称賛されるべきであり、
比類のないものである」

「それが蔑(さげす)まれるには、
よほど異常な欠点が
なければならないことになる」

「で、ほんとうはどうかというと、
じつに多くの欠点があり、
これ以上に滑稽なものはないほどである」

考えよと奨めて、
その考えることには欠点もあって、
これ以上、滑稽なものはない、
とも断言する。

「考えることというのは、
その本性からしてなんと偉大であり、
その欠点という点で、
なんと卑しいものなのだろう」
〈断章365〉

選挙のために考える。
そして数える。

仕事のために考える。
そして数える。

商売のために考える。
そして数える。

その本質は、
なんと偉大であり、
その欠点をみると、
なんと卑しいのだろう。

今日は拡大名人会。
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窓の外に広大なコース。
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ジャック・ニクラウスの像。
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芝は緑。
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紫陽花も咲いている。
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ゴルフも、考えてスイングし、
打数を数えて、また考える。

東京湾の雲。
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極端気象で雲の動きが激しい。IMG_75120

川崎の工場地帯。
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近代の文明がつくった工場。
これもレントゲンにかけられている。
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その上に広がる空と雲は、
何万年も何億年も変わらない。
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考えることの本質は、
なんと偉大であり、
その欠点をみると、
なんと卑しいのだろう。

胸に響く。

〈結城義晴〉

2020年07月04日(土曜日)

熊本集中豪雨、心からお見舞い申し上げる。

7月4日は、
アメリカの独立記念日。
Independence Day。

アメリカ人にとって、
クリスマスよりも、
サンクスギビングデーよりも、
自分たちの存在意義を感じる日。

しかしCOVID-19感染拡大は、
勢いを止めない。

再びロックダウンに入るかもしれない。
そのうえ人種差別への抗議行動は、
広がるばかりで、
国民は分断されている。

日本では熊本で、
記録的な大雨。
川の氾濫や土砂崩れが相次いだ。

死者や心肺停止、重体、
行方不明の方々が続出した。

心からお見舞いしたい。

こんな時にも、
小売業、サービス業、
そしてエッセンシャルワークをする人たち、
本当に尊い仕事です。

感謝したい。

今年の月刊商人舎1月号は、
特集[極端気象]
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木本昌秀東京大学教授と対談。
木本先生は大気海洋研究所教授で、
日本の気象の最高権威。
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その提言は、
地球温暖化による「極端気象」に備えよ!
「適応策」のリスクマネジメントと
「緩和策」のゼロエミッション

地球温暖化によって、
環境というピンボールの台が、
傾いてしまった。
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だから降る雨の量は同じでも、
集中豪雨が発生する。 202001_kimotoslide10
熊本の豪雨はこれだ。

私は木本先生との対談で、
[述懐]を書いた。
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「真理を探究する科学者の識見においても
“地球温暖化”は明白で、
深刻な状況に追い込まれている。
全人類にとって
“ゼロエミッション”は必須の要件である」

「企業を経営し、店舗を運営する者としては
“リスクマネジメント”が
これも必須の課題である。
そのことを強く強く認識させられた。
東京大学教授のエリート感はまったくない。
反骨の研究の徒である。
それは京都大学やUCLAの土壌が
生み出したものだろう」

いま、反骨の研究者が求められる。
体制側に立った者は、
その体制を守ろうとする。

そこからは真理は見えてこない。

「頻発する極端気象」のコンセプトは、
災害列島に生きるすべての日本人に向けた
渾身の警告である」

私はこの新年号の「まえがき」で書いた。
企業と人生のリスクマネジメント
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そうしたらコロナ危機が訪れた。
予想もしていなかった。

しかし企業には、
リスクマネジメントが必須となった。

「人間が生きていくことは結局、
必ず死ぬという”リスク”に対して、
マネジメントを貫徹することである。
つまり人間が生きたということは
リスクマネジメントの成果である。

いつ、どんな時に、
命は絶たれるかわからない。
だから人事を尽くして、
天命を待つのだ。

生まれたばかりの赤子のころから、
子ども時代、青年、壮年、老年となって、
人生100年時代を迎えようと、それは
“人生のリスクマネジメント”の結果である」

「企業を人間にたとえて法人と考えても、
“企業寿命30年説”をクリアしようが、
“100年企業”を目指そうが、
それを達成しようが、
そのためのサバイバル策は
“リスクマネジメント”そのものである」

「その意味では
“ゼロエミッション”も
人間が住める地球環境のための
“リスクマネジメント”に他ならない」

「それを2020年年頭の今、
意識を覚醒させて、始めたい。
本号の趣旨は、
“100年企業””200年企業”に向けた
“リスクマネジメント”の提案である。

「そして同時に、
あなた自身への
“人生のリスクマネジメント”の
お奨めである」

そしてリスクマネジメントとは、
最悪を覚悟して最善を尽くす。

COVID-19にも、
極端気象にも、
そして人種差別問題にも、
人事を尽くして天命を待つ。
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

こうして私たちは生きてきたし、
こうして私たちは生きていく。

熊本や鹿児島の皆さんに、
あらためてお見舞い申し上げたい。

〈結城義晴〉

2020年07月03日(金曜日)

2008年刊「お客様のためにいちばん大切なこと」の思い

今日は月刊商人舎7月号の、
最終責了日。
今号も午前様です。
すみません。

一日中、原稿を書き、
見出しをつけて、写真を選び、
キャプションをつけて、入稿。

実際に、すべてをそろえて入稿するのは、
商人舎GMの亀谷しづえだが。

今回は、と言うか今回も、
ほとんどの記事を内製化した。

つまり、社内で書いた。

今月号では最後の原稿で、
自著をちょっと使った。
2008年4月に㈱中経出版から発刊した本。
『お客さまのためにいちばん大切なこと』IMG_75000
㈱商業界の代表取締役社長を辞したのが、
2007年8月末日だった。

その後、当時の中経出版に挨拶に行った。

「流通図書の会」という集まりで、
協力し合った仲間の会社だったからだ。

当時の杉本惇社長にお会いしたら、
「本を書きませんか?」と、
お薦めいただいた。

そこで翌2008年4月17日の、
「商人舎発足の会」を目指して、
執筆することになった。

私は30年間、商業界でお世話になった。
その思いをすべて、この本に込めた。

担当編集者には、
腕利き編集者の飯沼一洋さんが起用された。
飯沼さんはそのころ、
10万部、15万部のヒット書籍を連発する、
辣腕編集者だった。

その杉本社長、飯沼編集者に支援されて、
2008年4月に発刊することができた。

発足の会がこの本のお披露目だった。

杉本社長にもスピーチしてもらった。
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飯沼さんも壇上に上がってもらった。
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参集してくださった皆さんには、
お土産としてお持ち帰りいただいた。
だから小売りサービス産業では、
トップの皆さんがほとんど、
読んでくださったはずだ。

ほんとうにありがたいことだった。

この本の「おわりに」は、
いまでもちょっと気にいっている。

単行本の一番最後のページで、
謝辞などを入れるところ。
「はしがき」だとか「あとがき」など、
いろいろ称する。

少し長いけれど、
一部、引用させてもらおう。

「おわりに」

「私はこの本を書くために生まれてきた」

商業の世界に入って、
ここに骨をうずめよう。
私がそう、心に決めたのは、
著書のまえがきに、
この言葉を書いた人がいたからです。

倉本長治。
その本の名は、
「店は繁盛のためにあり」(㈱商業界・昭和31年刊)

商業は、これまで、
士農工商の序列の中で
一番下に位置付けられていました。
そんな偏見はなくなったとは言っても、
日本では、働きたい会社の
ランキング上位には入ってこない。
まだまだ、日本の商業やサービス業は、
「近代化の過程」にあるのだと思います。

最も強い者が、支配者となり、
その仲間が人間を打ち倒す軍人や侍になった。
次に強い者が、自然と闘い、
農作物を生産する農民となった。
三番目に強い者が、
道具を使ってモノをつくる工の民となった。
そして一番体の弱い者が、商人となった。

私は、士農工商が生まれたプロセスを、
このように解きほぐして考えました。

しかし、現代のビジネス社会では、
かつて一番弱かった商人や
営業担当のビジネスマンが少しずつ、
力を得てきました。

この本の冒頭に掲げたように、
米国「最も働きたい企業ランキング」には、
労働集約型の、本来ハードワークを
要求されるはずの会社が並びます。

彼らの会社ではもちろん、
みなよく働き、
働きに応じた報酬が提供されます。

労働集約型産業の中に、
働く人々のモティベーションが
くっきりと示されているのです。

そしてそこに見えるのは、
アメリカ人らしい「人間力」
とでもいうべきものです。

マーチャントとして、
商人として、一番大切なことが、
彼らには、はっきりと
わかっているように思われます。

日本でも、それが見えてきました。
私は、「商業の現代化」と、
目標を設定しました。

この本は、消費財産業や
ホスピタリティビジネスに働く人々に、
「元気を出そう」と呼びかけるために、
書かれました。

自分の中から元気を生み出す。
そしてその元気を振りまく。
つまり「元気を売ろう」を
訴えるために書かれました。

毎日、元気を出す。
毎日、元気を売る。

これを繰り返しているうちに、
「人間としての力」がついてくる。
それが、多くの人々に伝わっていく。

やがて、
「商業・ホスピタリティ産業の現代化」が
成し遂げられる。
私の願いです。

2008年4月 結城義晴――

いまでも、この「おわりに」の思いは、
まったく変わらない。

昔むかし、
最も強い者が武士となった。
次に強い者が農民となった。
その次に強い者が工の民となった。
一番弱い者が商人となった。

かくて士農工商が生まれた。

私の発見。

まだまだ古いところでは、
この意識や序列は残されている。

「近代化」だけでは、
それを正すことはできなかった。
「現代化」がそれを果たすに違いない。

それでもこういったことには、
長いながい時間を要するものだ。

欧米では人種差別の問題が、
コロナ禍をきっかけに起こっている。

もしかしたらCOVID-19が、
その古くて悪い社会の序列そのものを、
改革するきっかけになるかもしれない。

月刊商人舎7月号を責了して、
そんな感慨をもった。

ありがとう。

〈結城義晴〉

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