結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年07月02日(木曜日)

藤井聡太「最善の手」とフィリップ・モリスの「煙のない社会」

急に思い立って、
サミットストア東中野店へ。IMG_74390

横浜の我が家から、
車で高速横羽線に乗って、
山手トンネルを使う。
ちょっと渋滞もあったが、
1時間足らずで到着。

夜中や早朝ならば、
30分かからない。
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副店長の大橋香介さんが、
店とバックヤードを案内してくれた。
従業員休憩室まで見せてくれた。DSCN96370
広報室/社長秘書の植川肇さんも、
本部からやって来て、説明してくれた。

お二人に感謝したい。

すぐに、横浜商人舎オフィスに戻って、
原稿書きに勤しむ。

月刊商人舎のCoverMessageと
Message of Julyを書いた。

楽しみにしてください。
今月も、いいですよ。

アベマTVでは一日中、
将棋王位戦の中継をやっていた。

第61期王位戦七番勝負の第一局。

藤井聡太七段が、
木村一基王位に挑戦している。

互いに持ち時間8時間。
2日間にわたって格闘する。
その2日目。
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プロ将棋には八大タイトル戦がある。
そのうち2日制は4つ。
名人戦、竜王戦、王将戦、
そして王位戦。
1日制は、王座戦、棋王戦、叡王戦、
そして棋聖戦。

藤井聡太はいま、
棋聖戦で渡辺明三冠と、
王位戦で木村一基九段と闘っている。

そして渡辺に2連勝。
木村とは初戦。

タイトル戦には和装で臨む。
昨日からモノトーンの書生のような姿。
これがよく似合う。
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第1日目からどんどん手は進んで、
2日目の封じ手を開くと、
あっという間に終盤戦へ。

後手の木村が「1四王」と逃げたのに対して、
藤井は(1三と」とと金を捨てて迫る。
このあと4手で木村、投了。
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圧倒的に攻め続けて、
そのまま勝ち切ったが、
別名「千駄ヶ谷の受け師」の木村王位に、
藤井は不気味な強さを感じたに違いない。
私はそう思った。
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対局後は場所を移して、
記者会見。
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記者の質問は、
勝負にこだわるような、
一手の損得に及んだ。

藤井は答えた。
「いつもその局面で、
最善の手を考えています」

天才藤井聡太は、
つねに最善だけを求める。

17歳にして、
求道者の心境。
それをさりげなく、言葉にする。

この大きな勝負でも、
最善を求め続け、
最短の詰みを追求して、
木村のかけた罠にはまりそうになった。

しかしここでも、
ギリギリのところで最善を求めて、
その罠をも回避した。

最善であろうとすると、
困難な状況も生まれてしまうし、
最善であろうとすれば、
その艱難からも逃れることができる。

いつも最善を求める。
凄いことです。

日経新聞「グローバルオピニオン」
ロバート・エクルズ教授。
Robert G. Eccles。
イギリスのオックスフォード大学教授。
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「社会的責任/市場で重要に」

アメリカの経営者団体に、
ビジネス・ラウンドテーブル(BR)がある。
この団体が、昨年、
株主第一主義からの転換を宣言した。

このブログでも8月23日に書いた。

ビジネス・ラウンドテーブルは、
「パーパス」(企業の目的)を再定義し、
株主だけでなく顧客や地域社会など
すべてのステークホルダーを
重視する声明を出した。

もうすぐ1年が経過する。

しかしこれまでのところ、
踏み込んだパーパスを公表している企業は
ほとんど見当たらない。

エクルズ教授は残念がる。

その中で数少ないが最新の事例がある。
フィリップ・モリス・インターナショナルだ。
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フィリップ・モリスの経営報告は、
先ごろ金融当局にファイリングされ、
全ての取締役が署名することで、
会社としての強い姿勢を示している。

フィリップ・モリスは、
「煙のない社会」の実現を、
会社の目標に掲げ、その手段として、
葉タバコを燃やす製品から、
加熱式たばこへの移行を進めてきた。

凄いことだ。

「最新のパーパスでは
変化の加速を強調するとともに、
規制当局と協力する姿勢も
改めて鮮明にしている」

ビジネス・ラウンドテーブルは、
短期主義の見直しを提案した。
四半期ごとの業績で株主を喜ばせるのが、
短期主義である。

さらにそれは、
「株主資本主義」の修正を標榜する。
「シェアホルダー・キャピタリズム」という。
株主利益だけを考えていれば
良しとする考え方だ。

エクルズ教授。
「資本主義のあり方を見直す必要性は、
新型コロナウイルスの災厄が
収まった後の経済を考えるにあたって、
ますます重要になっている」

「企業は
世の中をどう変えたいかを明確にし、
そのためにビジネスで
何を成すべきかを説明する。
こうした過程を通じて
市場の短期主義は是正される」。

たばこ会社のフィリップ・モリスが、
「煙のない社会」を目指す。

これこそ「最善の追求」である。

最後に朝日新聞「折々の言葉」
第1863回。
最も強いものに従うのは
必然のことである。
(ブレーズ・パスカル『パンセ』から)

「すさまじい権力や暴力をふるう者に、
人は最終的に屈服せざるをえない。
それは必然のこと、つまり、
そうでしかありえないことだ」

パスカルは17世紀フランスの思想家。
私のブログにもよく登場してもらう。

編著者の鷲田清一さん。
「ではこの言葉を反転させたらどうなるか」

最も弱い者に従うことこそ
自由だ。

「弱い者に従うのは、
人が何に強いられることなく
選びとった結果なのである」

強い棋士の手は、
最強の「必然」を求め続ける。

しかし藤井聡太の「最善の手」は、
必然と自由とを行ったり来たりする。

それが21世紀の人間の在り方だ。

〈結城義晴〉

2020年07月01日(水曜日)

コロナ時代を先導するドイツ「社会的市場経済」の「協調と競争」

7月1日だ。
2020年は今日から後半戦に突入する。

COVID-19禍がなければいまごろは、
東京五輪一色だったに違いない。

今月第4週の金曜日24日が、
オリンピック開会式の日で、
スポーツの日として祝日になった。

その前日の23日は、
もともとの祝日「海の日」で、
この週末は4連休である。

オリンピックは一応、
来年に延期されたが、
それもどうなるかわからない。

世界のCOVID-19拡大は、
現時点で最大風速を示す。

WHOの見解では、
コロナはこれから加速し、
最悪の事態はこの後、起こる。

世界中では約1000万人が感染し、
約50万人が死亡している。

東京都は今日、新規感染者67名。
緊急事態宣言解除後、最多。

まだまだ「Afterコロナ」などと、
呑気なことを言っているときではない。

COVID-19から、
いかに世界を救うか。

そんな中で、
今日の日経新聞「大機小機」
「メルケル氏が導くコロナ後」
コラムニストは無垢(むく)氏。

「コロナ危機ほど
世界の指導者の優劣を
はっきりさせた例はないだろう」

「強権政治家やポピュリストが
相次いで馬脚を現すなかで、
光彩を放つのはメルケル独首相である」
メルケル
コラムニストは、
主要国のリーダーを評価する。

中国の習近平国家主席。
「危機の発生源である習主席は、
初動の遅れで大流行を招いた。
責任は重大だ」
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米国ドナルド・トランプ。
「最大の感染国になった大統領は、
楽観論から初期対応が遅れた
自らの責任を棚上げし、
大統領選目当てで米中対立をあおる」
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英国ボリス・ジョンソン首相。
「過信から欧州最悪の危機を招いた首相には、
混乱のなかで
合意なきEU離脱の危険がつきまとう」
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日本の安倍晋三首相。
「先進国最悪の財政危機にありながら
巨額の債務を積み増すしかない」

さらに、「大幅遅れのデジタル化を、
“1丁目1番地”と位置付けるしかない」
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しかし、
アンゲラ・メルケル首相。
その対応は、水際立っている。
「医療支援を先行させ、
医療体制を整えるとともに、
消費減税など
大胆な経済対策を打ち出した」

「財政健全主義を貫いてきたからこそ、
思い切った転換ができる」

「メルケル政権の真髄は、
その文化政策にある。
首相は”ドイツは文化の国だ”とし
芸術支援を優先順位リストの
最上位に置いている」

素晴らしい。
自国のポジショニングを鮮明にして、
その政策を断固、進める。

マクロン仏大統領とは、
大規模なEU復興基金を推進する。

最大の経済危機を前に、
「かけるべき橋は大きくなる」と大転換。

財源に国際炭素税やデジタル税を当てれば、
経済の仕組みは変わる。

コロナ危機は大恐慌以来の、
資本主義そのものの危機である。

そこで新たな世界標準に浮上するのは、
ドイツ流の「社会的市場経済」だろう、
と、コラムニストは絶賛する。

賛成だ。

「メルケル首相の復活は
コロナ危機下の救いである」

「自国本位主義を排し
国際協調を先導する
“敗れざるメルケル”は、
コロナ後の世界に
道しるべを示している」

「社会的市場経済」とは、
1950年代の西ドイツの時代から、
東西ドイツの統一を経ても継続されている、
ドイツ特有の社会福祉政策と経済政策の思想だ。
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私も詳しいわけではないが、
ドイツを旅するとそれが実感できる。

経済思想・経済秩序として、
流動性があるにもかかわらず、
3つの一貫した特徴がある。

第1は、市場と国家の共生を目指している。
競争を機能化しているし、
その競争が社会に役立っている。

アルディ、リドル、メトロ、エデカなど、
流通においても、競争は機能化されている。
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第2は、生産的な秩序政策の戦略を、
強く支持している。
だからインフラ政策、地域振興、
そして職業教育や専門教育も、
国家の責務として充実させている。

第3は、生産のために、
社会システムが必要とするものだけに、
限定している。

ドイツは間違いなく、
いつになるかわからないポスト・コロナ時代の、
国際的リーダー国家である。

自国本位主義を排し、
国際協調を先導する。 DSCN87988_DSCN87968_
これは、
企業の戦略にも当てはまる。

自社本位主義を排し、
産業内外の協調を先導する。
しかし競争も機能化させる。

つまり「利他と無私」である。
そして「協調と競争」でもある。

私たちはこれから、
難しいことをやり遂げねばならない。

わかりやすくて、
すぐにできそうなことだけでは、
コロナ時代を切り抜けられない。

「すぐ役立つことは、
すぐに役立たなくなる」
(橋本武)

そのことを強く心にとめて、
7月を生きていきたい。

〈結城義晴〉

2020年06月30日(火曜日)

シルク・ドゥ・ソレイユ破産とジョルダーノの「僕は忘れたくない」

シルク ・ドゥ・ソレイユが破産。

ああ。

団員をはじめ従業員約3500人は、
全員が解雇される。

退職手当や政府からの失業者支援を、
最大限受けとれるようにするためで、
ショーが再開したらすぐに復帰できる。
だから多分、団員は大丈夫だ。

1984年のカナダ・ケベック州で、
大道芸人のギー・ラリベルテが、
「ヌーヴォー・シルク」を立ち上げた。
ヌーヴォーはフランス語の「新しい」、
シルクは「サーカス」。

サーカスや大道芸をベースに、
物語性や思想性、芸術性を盛り込んで、
夢のようなな世界を描き出すショー。
そのために、
テーマに沿って舞台装置をつくり、
衣装に工夫を凝らし、
オペラやロックなど、
音楽をふんだんに使う。

秀逸なエンターテインメントが誕生した。

ラリベルテは「太陽のサーカス」と名づけた。

演目も1993年に、
Mystère(ミスティア)が大ヒット。
ラスベガスのホテル、
「トレジャー・アイランド」で公演された。

1998年のO(オー)によって、
シルク・ドゥ・ソレイユは不動の地位を築いた。
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2003年にはZumanity(ズーマニティ)
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2004年にはKà(カー)
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さらに同年、Love(ラヴ)
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2013年には、
Michael Jackson One(マイケル・ジャクソン ワン)。
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私は幸いにして、
どれも観ることができた。

水をテーマにしたオー、
反対に火を題材にしたカー。
性を命題にしたズーマニティ、
ビートルズナンバーをちりばめたラブ、
そしてマイケルづくしのワン。

素晴らしい。

そのシルク・ドゥ・ソレイユが、
カナダの裁判所に破産手続きを申し立て、
アメリカの破産裁判所にも、
連邦破産法15条の適用を申請する。

新型コロナウイルスによって、
全公演が停止。
収入もほとんどなくなった。

ダニエル・ラマーCEO。
「過去36年にわたって、
われわれは大成功を収め、
利益も上げてきた」

しかし、
「売上げがゼロになったことで、
会社の将来を守るために
断固とした行動を取らねばならない」

連邦破産法は日本の民事再生法。
今後は債務整理と資本構成の見直しをして、
再起を目指す。

コロナはシルク・ドゥ・ソレイユまで、
追い込んでしまうのか。

なんとか復活してほしいものだ。
シルクがこの世から消えてしまうのは、
人類の損失である。

こんなとき、
国家の役割は何だろうと思う。
そしてノブレス・オブリージュによって、
救えないものかとも考える。

モニカ・グリュッタースさん。
ドイツの文化メディア担当大臣。
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「私は彼らを
見棄(みす)てはしません」

「文化は時代が好調な時にだけ
許される贅沢(ぜいたく)品ではない。
それを欠く生活がいかに味気ないかを、
私たちは今、目のあたりにしている」

「しばし緊急の措置を
要請せざるをえないが、
芸術家や文化機関と十分に協議しつつ
この苦境への対応と補償に当たりたい」

私たちも芸術を見捨ててはならない。

さて、商人舎流通SuperNews。
またぞろ店舗にコロナ感染が出てきた。

今日は、
J.フロントnews|
大丸札幌店の取引先従業員が新型コロナ感染

昨日は2本の記事。
ライフnews|
大阪府の「ライフ高石店」従業員がコロナ感染

イトーヨーカ堂news|
「イトーヨーカドー甲府昭和店」従業員コロナ感染

危うい動的平衡の中で、
私たちはコロナと共生していく。

だから油断してはいけない。
慣れてはいけない。

「コロナ後」など、
ずっとずっと先の話だ。

いまはまだ、
コロナとの闘いの真っ只中にいる。
そのことを忘れてはならない。

したがって、
くれぐれも言っておきたいが、
自分の得のためにのみ、
商売をしてはいけない。
自分のためだけに、
仕事してはいけない。

いつも、
「世のため、人のため。」

もう何度も引用してきた。
パオロ・ジョルダーノ。
その著作は『コロナの時代の僕ら』
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1982年生まれのイタリア人作家。
素粒子物理学を専攻したあと、
イタリア第一の人気小説家となった。

ジョルダーノは、
「僕」を主語にして、
「忘れたくない」ことを列挙する。

「僕は忘れたくない。
この自己中心的で愚鈍な自分を」

同感。

「僕は忘れたくない。
頼りなくて、支離滅裂で、
センセーショナルで、
感情的で、いい加減な情報が、
今回の流行の初期に
やたらと伝播されていたことを」

いまも、これからも。

「僕は忘れたくない。
今回の緊急事態があっという間に、
自分たちが、
望みも、
抱えている問題も、
それぞれ異なる
個人の混成集団であることを
僕らに忘れさせたことを」

だから「世のため、人のため。」を、
忘れてはならない。

「僕は忘れたくない。
今回のパンデミックのそもそもの原因が
秘密の軍事実験などではなく、
自然と環境に対する
人間の危うい接し方、
森林破壊、
僕らの軽率な消費行動にこそ、
あることを」

明日から今年の後半に入る。
そしてプラスチック製買物袋有料化が始まる。
無題
それは根本的には、
「自然と環境に対する、
人間の危うい接し方」への、
反省を込めた行動である。

このことは忘れたくない。

〈結城義晴〉

2020年06月29日(月曜日)

コロナ禍で見えた⑴DXの遅れ⑵信頼に足る組織⑶地元密着

Everybody! Good Monday!
[2020vol㉖]

2020年第27週。
6月最終週で、
明後日の水曜日から7月。

本当にあっという間に半年が過ぎた。
「コロナは時間を早める」

今週も、来週も。
来月も、再来月も。
夏も秋も。

その間に自分たちの強みを、
さらに強くすることができるか。

コロナが時間を早める間に、
その準備ができるか。

日経新聞電子版「経営者ブログ」。
宮内義彦さんが書いている。
オリックスシニア・チェアマン。
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「日本の構造改革、
コロナ禍で見えてきた
弱点は」

いつも正論の宮内さん。
コロナ禍で、
「これは何とかしないと、
日本は駄目になるな」と思うこと。

2点ある。

1つ目は、DXの遅れ。
DXはDigital Transformationの略で、
デジタル技術で大変革を遂げること。
日本は韓国や台湾などにも、
大きく先を越されている。

コロナとの闘いで、
日本のDX標準があったか。

学校では非対面での授業ができない。
書類にハンコを押さないといけないので、
テレワークができない。
テレワークのためのシステムが不十分である。
公共サービスの窓口が混乱した。

「長らくDXの到来が告げられながら
対応してこなかった。
旧態依然とした社会システムを
変えようとしなかった。
そのツケが一度に出たのです」

同感。

2つ目は、
日本の政治、行政のあり方。

「今回、あからさまになったのは、
国政でのリーダーシップの脆弱さと
行政の混乱」
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今回の危機で分かったことは、
従来通りの官僚による「下書き」が、
まだ通用していること。

宮内さん。
「政治家が主導したのかもしれませんが、
内容はとても官僚的なものです」

つまり、
「政治家が官僚化している」。

「PCR検査では保健所の枠を超え、
民間に協力を求めることを、
当初はやりませんでした」

PCR検査受診の目安となった、
“37.5度以上の発熱が4日以上”。
一度発表されて、
その後もかたくなに守られた。
「恐らく多くの人が検査を受けられず、
なかには重症化した人もいたでしょう」

そこで、
「哲学と洞察力を備え、未来を見据え、
国際的に範となるような
真の政治主導力をこの国が持つこと」

さらに「日本の行政組織」。
かねて優秀であると目されていたが、
「その能力や連携の拙なさ」が露わになった。

「10万円の給付金を国民にすぐに配れない、
国民の情報を十分把握していない、
民間に業務を丸投げしてしまう、
縦割りの「たこつぼ」から出られない、
限られた知見によって実施している
PCR検査について総括をしようとしない」

国民が知ったことについて、
宮内さんから改めて指摘されると、
ひどく重いことだと聞こえてくる。

ほかに分かったことは、
「地元密着行政の重要さです」

最後に、宮内さんの提言。
「コロナ禍後、
DXの後れを取り戻すことと
信頼に足る政治・行政組織を
いま一度つくり上げること」

しかし宮内さんはこれを、
オリックスに向けても言っていると思う。

そしてこの指摘は、
小売業・サービス業に対しても、
当てはまる。

第1に、
DXの遅れを取り戻す。

そこに投資する。

第2に、
信頼に足る組織をつくり上げる。

第3に、
地元密着営業を充実させる。

国の弱みは、
その国の多くの企業にも、
相似形で巣食っている。

国の弱みに影響されていない企業は、
疾駆するだけでよい。

さて今日は午後から、
オンライン会議。

㈱True Dataのみなさん。
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越尾由紀さん、烏谷正彦さん、
宮本隆さん、阿部満梨奈さん。
それから西口美穂さん。

1時間ちょっとの間、
月刊商人舎7月号の座談会。
またまた「ビッグデータ」で、
コロナを読み解きます。

そのあと、
True Dataの会社のことに関して、
相談に乗った。
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お疲れ様、有難う。

今週の私のスケジュールは、
月刊商人舎7月号の入稿仕事。

頑張ります。

その号の雑誌のテーマを定めて、
1日24時間で考えを煮詰める。
それが私の時代の見方となる。

ただし7月1日から、
プラスチック製レジ袋有料化。
頼りない行政の指示だが、
最後のチェックをお忘れなく。
無題
では、みなさん、今週も、
信頼に足る組織をつくり上げ、
地域密着営業を充実させよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年06月28日(日曜日)

モーツアルト、ピカソ、そして藤井聡太。棋聖戦完勝。

藤井聡太。

17歳。
将棋プロ棋士。
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私たちは2020年6月の今、
本物の天才を目の当たりにしている。

コロナ感染が世界中に拡大していようと、
天才は天才として成長している。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。
1756年、オーストリアのザルツブルクで生まれた。
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父親のレオポルトは、
宮廷ヴァイオリン奏者で、
宮廷室内作曲家・宮廷楽団の副学長。
クラヴィコードという銀盤楽器の名手だった。

モーツアルトには姉のナンネルがいて、
彼女のクラヴィコードの稽古を聴きながら育った。
モーツアルトは3歳から、
クラヴィコードを遊びで弾いていた。
コップの音程も聴き分けた。

4歳になると父親が本格的に教え始めた。
そしてめきめきと上達していった。

4歳のころのこと。
父親の音楽仲間が集まって、
弦楽三重奏の新曲を練習していた。

モーツァルトはそばで聴いていたが、
ヴァイオリンのパートが弾きたいと、
駄々をこねた。

そこで弾かせてみると、
それまで聴いていただけで、
習っていないはずのヴァイオリンを、
見事に弾いてしまった。

5歳頃には譜面も書いていた。

6歳のころには父とともにウィーンを旅した。
この際、マリア・テレジアの前で演奏し、
ひどく評判をとった。

7歳のときにはパリへ行って、
ルイ15世の前で演奏した。

8歳にはロンドンに渡って、
クリスチャン・バッハに指導を受けた。
そして14歳でローマ教皇から、
黄金拍車勲章を贈られた。

藤井聡太を見ていると、
モーツアルトの年少期を思う。

パブロ・ピカソは、
1881年スペインのマラガで生まれた。

ピカソが赤ん坊のころから、
言葉を覚えるより先に絵を描いた。

初めて喋った言葉は「ピス」。
スペイン語では鉛筆を「ラピス」というが、
その略語の幼児用語である。

父親は画家で美術教師。
ピカソは7歳からその父に、
ドローイングや油絵を本格的に教えられた。

ピカソが9歳で描いた絵。
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タイトルは「ル・ピカドール」

ピカドールは闘牛士。
馬に乗って槍で牛を刺す英雄。

色彩が素晴らしい。
ピカドールと馬のバランス、
馬の筋肉などが、
見事に描かれている。
バルセロナのピカソ美術館所蔵。

ピカソ12歳のドローイング。
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ピカソの父は繰り返し繰り返し、
石膏デッサンや巨匠の模写をさせた。

天才も真似から育つ。

13歳のころ、ピカソは、
鳩のスケッチを描きかけていた。
それを父が見つけて、
わが子の画力が自分を超えたと感じた。
そして父は絵を描くことを止めた。

そんなピカソの10代を伺うように、
私たちは藤井聡太を見ている。

その藤井聡太は、
2007年、愛知県瀬戸市に生まれた。

5歳のころ将棋を覚えた。
駒に動かし方が書いてある将棋セットがある。
それを祖母が買い与えた。

祖母と初心者同士で指したのが最初の対局。
しかしすぐに祖母を卒業し、
祖父が相手となったが、
数カ月後、地元の将棋教室に通い始めた。

父はサラリーマンで、兄が1人。
両親とも将棋は初心者。

将棋教室では詰め将棋を解き、
駒落ち定跡を覚えた。

藤井もこのころ字を覚えていなかった。
字を書くよりも先に将棋を指した。

幼稚園の誕生日カードには、
「名人になりたい」と書いた。

小学校1年の3月、
アマ初段で東海研修会に入会。
小学校3年のアマ四段のとき、
小学生名人戦の愛知県予選大会に出場、
決勝で敗れて号泣。

小学校4年の9月に、
プロへの登竜門の関西奨励会へ入会。

詰将棋解答選手権という全国大会がある。
日本将棋連盟と朝日新聞社が後援。

2004年に第1回が開催され、
プロもアマも参加する。

第10回大会までに、
宮田敦史七段が6回も優勝して、
将棋界で詰将棋の名人として名高い。

藤井聡太は8歳で初めて出場し、
13歳の5回目の参加で優勝した。
第12回大会である。

それ以降、現時点まで、
5連勝を成し遂げている。
13歳のころから、
プロたちも藤井にはかなわなくなった。

そして2016年、奨励会を卒業し、
史上最年少の14歳2カ月で、
四段に昇段し、プロ棋士となった。

プロ入り後は、
無敗のまま公式戦最多連勝記録を樹立、
29連勝の快挙だった。

中学生棋士としては史上5人目。
加藤一二三、谷川浩司、羽生善治、
そして渡辺明現三冠(36歳)。
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その渡辺明と棋聖戦第2局。
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後手番藤井の第1手は8四歩。
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この将棋でも妙手を2つ。
矢倉戦の5四金。棋聖戦妙手
解説の藤井猛九段も、
立会人の屋敷伸之九段も、
控室にいた佐藤康光将棋連盟会長も、
舌を巻いた一手。

さらに3一銀。
誰も予想しなかったし、
コンピュータもこの手は軽視した。
それが後になってみると、
燦然と輝きだす一手だった。棋聖戦2妙手

超天才の渡辺明棋聖も、
なぜか藤井の前では精彩を欠く。
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朝9時からこうして二人で向かい合って、
夕方の6時半過ぎまで。

互いのことが嫌というほどにわかってしまう対局。
渡辺は藤井の90手で投了した。
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藤井は今回、和服で臨んだ。
師匠の杉本昌隆八段(51歳)のプレゼント。
母親と師匠とで選んだ。

濃紺の着物に黒の羽織、
袴は仙台平(せんだいひら)。
若々しくて実にいい。
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私たちは今、
本物の天才を見ている。

モーツアルトのような、
ピカソのような、
藤井聡太。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2020年06月27日(土曜日)

「可処分時間・時間経済」と「幸せの”時間管理”」

アメリカのCOVID-19感染者数。
完全に第二波を迎えている。

ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、
25日(木曜日)の1日で、
過去最多の約4万人が新規感染。

全米50州のうち、
カリフォルニア州やフロリダ州など、
29州で感染が拡大している。

重要なことだが、
「経済再開を急いだ州で拡大が目立つ」
日経新聞の野村優子さんが、
ニューヨークから報告している。

米国疾病対策センターのレッドフィールド所長。
「米国は新型コロナ感染者の
10%しかカウントしていない」

テキサス州のグレッグ・アボット知事は、
「経済再開の計画を一旦停止する」と発表。
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カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、
「我々は依然として、
パンデミックの第1の波にいる」
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ドナルド・トランプの集会など見ていても、
誰ひとりマスクをしていない。

甘~い。

一方、日本国内の感染者は、
午後9時時点で新たに92人。
死者は1人。

アメリカと比べると、
沈静化しているかに見えるが、
まだまだ油断はできない。

全国の感染者数は累計1万8471人、
死者は計972人。

東京都は57人、神奈川県は4人。
大阪府は2人。

東京は5月の緊急事態宣言とその解除、
そして東京アラートとその解除と、
営業自粛のステップ2から3へと、
都民を揺らしてきた。

人々の心が揺れてはいけない。
揺らしてはいけない。

さて日経新聞の「Deep Insight」
「時間経済」は商機か受難か
中山淳史コメンテーターが書く。

パーソル総合研究所が、
6月2日までの5日間に、
就業者2万人に調査。

在宅勤務の実施率は全国で約26%、
しかし継続希望者はそのうち、
7割近くにも達した。

そこでコメンテーター。
可処分所得ならぬ、
“可処分時間”

情報技術が発達し、
何時間もかかってやってきた煩雑な仕事を
コンピューターが代替する。

時間は絞り出され、
自由に使えるようになった。

月刊商人舎 2019年2月号特集は、
幸せの「時間管理」
タイムマネジメントとMHコントロール
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コロナ禍がそれをさらに顕著にした。

コメンテーターは移動の時間を推計する。
総務省の調査。
就業者の往復の通勤時間は
全国平均で1日約60分、
首都圏では90分。

会社に着いたあとも、
交通機関で移動する。
例えばタクシーの利用は、
首都圏は1人当たり平均30分前後。

これに会議など社内での移動時間がある。
すべて総計すると、
他の仕事に回せるようになる移動時間は、
2~3時間に上る可能性がある。

チェーンストアの本部スタッフやバイヤーも、
移動時間をどう活用するか。

さらにインターネットでのデータ交換で、
飛躍的に時間が節約された。
米アカマイ・テクノロジーズによると、
「日本国内の4月のデータ通信量は
前年同月に比べて58%増えた」

コロナがそれを助長した。
「地殻変動のけん引役は”時間”だ」

「長さや用途で多様な時間が生まれた」
つまり「細切れ時間」が生まれた。

そこで新産業が誕生する。
主役に躍り出た企業は、
Zoomのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ。
さらにマイクロソフト、
ネットフリックス、
ウーバーテクノロジーズ、
アマゾン。

「時間経済」あるいは、
「時間資本主義」などと、
勝手に名づけられているが、
つまりは「細切れ時間」に、
1時間単位の「かたまり時間」も加わる。

ピーター・ドラッカーは言っている。
「時間をまとめよ。
かたまりにせよ」

それが可能となる。

ただしコメンテーター。
「時間経済がもたらすのは
福音だけではないかもしれない」

「便利な技術は今後も進歩し、
可処分時間が増える。
だが、その時間は
人間をより忙しくする可能性もある」

その通り。
それが、
「コロナは時間を早める」正体だ。

ここでコメンテーター。
「エクセルを思い出そう」。

計算業務は簡略化され、
可処分時間も増えたが、
人は計算から解放された一方で、
今まで問われることのなかった能力を
別の場所で発揮するよう、
求められることになった。

社会学者リチャード・フロリダ。
「ホワイトカラーは陳腐化し、
“クリエイティブ・クラス”という
新知的労働者層が台頭する時代が来た」
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ここでいう「クリエイティブ」とは、
「機械や陳腐化に負けない能力」という意味だ。

「増える可処分時間を使って
人は創造性をどう高めるか。
それが見えないと、
仕事をどんどんのみ込む情報技術革新の荒波を
生き残るのは難しい」

だからこそますます必須となるのは、
「タイムマネジメント」と、
「マンアワーコントロール」である。

「幸せの”時間管理”」である。

最後に[Message of February]
時間よ、止まれ!b
“Time is money”
〈アメリカ建国の父/ベンジャミン・フランクリン〉

「賢い人間は
時間を無駄にすることに
最も腹が立つ」
〈イタリアの詩人・哲学者/ダンテ・アリギエーリ〉

しかし、こんな言葉もある。
「珠玉の時間を無為に過ごさないようにと、
注意を受けたことがあるだろう。
そうなのだが、
無為に過ごすからこそ
珠玉の時間となるときもある」
〈イギリスの劇作家/ジェームス・マシュー・バリー〉

時間はなぜか二面性を持つ。
それが時間の特徴だ。

「労働は適時にはじめること。
享楽は適時に切り上げること」
〈ドイツの詩人/エマヌエル・ガイベル〉

「一番多忙な人間が、
一番多くの時間をもつ」
〈スイスの神学者/アレクサンドル・ビネ〉

これは真理だ。

私たちは誰もが、
「時間」の中で働き、学ぶ。
「時間」の中で休み、眠る。
「時間」で生きて、
「時間」で死ぬ。

「幻でかまわない
時間よ とまれ
生命のめまいの中で」
〈作詞家/山川啓介・作曲家/矢沢永吉〉

時間とは一生、付き合わねばならない。
その時間が止まった瞬間、
死が待っている。

だからこそ時間との向き合い方に、
ある種の決着をつけておきたい。
自分なりの羅針盤を携えておきたい。

仕事の時にもプライベートの時にも、
時間に対するマネジメント哲学をもって、
生きていきたい。

〈結城義晴〉

2020年06月26日(金曜日)

タモリの「絶対! 信用しない」とヤオコーの「おかげさまで連続増益」

タモリ。
「ワンチームだとか、
ウィンウィンだとか、
俺、絶対、信用しないんだよ」
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テレビ番組の「タモリ倶楽部」で、
森田一義がつぶやいた。
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「何者にもなろうとしなかった男」と、
称されるだけあって、
へそ曲がり。

しかし、タモリの発言、
実によくわかる。

何事も、
きれいごとだけで済ませてはいけない。

ワンチームもウィンウィンも、
結果として実現されると、
これ以上ないパワーを発揮する。

しかし口先だけでそれを唱えても、
なんの意味もない。

「店は客のためにある」
この標語も全く同じだった。

スローガンや名言といったものは、
例外なく、それだ。

だから私は、名言は嫌いだ。

ドラッカーの言葉を引用するときには、
もうドラッカーそのものは、
いつも書いているから、
それほど説明はいらないが、
それでもその文章を書いているときの、
背景や周辺の状況を説明しつつ、使う。

それ以外の人の言葉の場合は、
その人のことを説明してから、使う。
写真なども探して紹介する。

新聞などに書かれていた言葉は、
新聞記事に付け加えて解説する。

言葉だけ抜き出して使うのは、
これもたいてい、
我田引水やポピュリズムのときだ。

今年5月31日のこのブログ。
トランプの”looting⇒shooting”

ドナルド・トランプのツイート。
“When the looting starts, the shooting starts”
「略奪が始まれば、銃撃が始まる」
“looting”――略奪すること、
“shooting”――銃撃すること。
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1960年代のフロリダ州マイアミ。
人種差別的傾向が強い白人警官が、
黒人に対してどのような姿勢で臨むかと、
問われたときに答えたフレーズだが、
その後、公民権運動家たちから、
強く非難されてきた言葉だ。

それをトランプが使った。

それが現時点の世界の、
「人種差別」抗議デモにつながった。

ごろのいい言葉や、
ネットや本に書かれている名言を、
それだけ抜き出してくる文章は、
タモリではないが、
「俺、絶対、信用しないんだよ」

さて今週の日経新聞。
火曜日の記事「決算ランキング⑹」
連続増益・ヤオコー断トツの28期

㈱True Dataの株主総会でも、
一部取締役の間で話題になった。

というか、他の取締役から、
私に質問があった。

「平成不況、
リーマン・ショック、
東日本大震災、
新型コロナウイルスまん延――。
これら日本経済の危機を乗り越えて
連続増益を遂げてきた企業群がある」

日経新聞が[3月期決算の上場企業]を対象に、
連続増益のランキングを作成した。

「ヤオコーが断トツだった。
2020年3月期まで、
28期にわたって増益が途切れていない」
これは連結決算の統計だ。

2位の企業は14期連続だから、
ヤオコーは連結でも、
それら優秀企業の2倍の長さである。

リーマン・ショックがあったのは、
2009年3月期の決算だ。
この期を含む連続増益は、
ヤオコーとカカクコム、
イー・ギャランティの3社だけ。
イー・ギャランティは、
売掛債権の保証会社である。

商人舎流通SuperNews。
ヤオコーNews|
63期経常利益12.2%の31期連続増収増益

㈱ヤオコーは単体決算では、
31期連続増収増益なのだ。

1989年決算からの連続という快挙。
つまりバブル崩壊以降、
減収や減益がない。

日経の記事。
「同社の成長を振り返ると、
少子高齢化、労働力不足、
人口の都市集中といった
社会構造の変化を先取りして、
それぞれ”個食対応””外国人採用”
“都市型店開発”などに結びつけた
不断のカイゼンが見て取れる」

ヤオコーの5月の既存店売上高は、
前年同月比で19%増。
株価は上場来高値を更新。

それでも川野澄人社長は、
この会社の歴代社長と同じで、
29期連続の増益を楽観していない。
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そしてコメント。
「収入減少や将来不安から
節約志向が一気に強まることが想定される。
品ぞろえや提案を磨かなければ
生き残れない」

来年の決算期に、
このコロナ禍をはねのけて、
連続増益の記録を伸ばす企業は、
どのくらいあるのだろう。

連続2期以上の増益をした336社では、
「増益見通し」を発表しているのは、
69社と約2割にしかならない。

私は取締役会で質問されて、
自分のことのように誇らしかった。

しかし、振り返ってみると、
平成不況から、
リーマン・ショック、
東日本大震災、
新型コロナウイルスまん延――。
この間の連続増益はすごいことだ。

月刊商人舎2017年10月号。
特集は「中計病」の処方箋
川野幸夫会長にインタビューした。
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川野さんは最後に語った。
「ヤオコーの基本理念である”おかげさま”が、
やはりおおもとにあります。
つまり人は一人で生きているのではなく、
多くの方のお陰で生かされている。
だから、”おかげさまで”と
言われるような生き方をすることが
とても大切なのだと思います」

「おかげさまで」と言う言葉こそ、
口先だけで言っても意味はない。

「よくリベラルアーツと言われますが、
人間はそういうものが真に
備わっていないとだめです」

リベラルアーツは、
立教大学の信条でもある。

「ただ単に
商売のノウハウだけが勝っていても、
長い年月を考えると、
企業としても経営者としても、
みんながついてきてくれる
ということにはなりません」

「ノウハウを唯一
と思っている人にとっては
無駄なことに見えるかもしれないけれど、
哲学書や小説を読んでみることも必要です。
人間性をつくってくれます」

私は、それらを総称して、
「知識商人」と表現する。

タモリじゃないけど、
「おかげさまで」も、
口先だけなら、
「俺、絶対、信用しないんだよ」

そしてそれでは、
連続増益は実現できない。
数字が示してくれる。

〈結城義晴〉

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