「知識商人を極める」
ピーター・ドラッカー先生は、資本主義社会の次にやってくるのは、
「知識社会」だと予言しました。
知識社会とは、「資本や労働力に代わって、知識が最も重要な生産手段になる社会」
「資本」は資本家が所有した。
「労働力」は労働者が所有し、それを資本家との契約によって、
相互の協力のもとで生産手段となった。
もちろん現在も資本や労働力が生産手段であることは変わりない。
しかしそこに、「知識を有して価値あるサービスを生みだす存在」が加わる。
ドラッカー先生は、「ブレインズ(脳)とハンズ(手)が必要である」という。
それが「知識経営者」や「知識テクノロジスト」そして「知識労働者」。
商業・サービス業の世界では、これをまとめて「知識商人」という。
結城義晴がつくった言葉。
今年から始まる2011年のディケード。
すなわち10年間。
「知識商人」が他産業に対して、大きく躍動する時代になるに違いない。
「知識社会の知識商人」
アメリカの食品分野ではホールフーズマーケットが、
まさに知識商人の集団となって躍進している。
オーガニックやナチュラル、様々な生産環境や医食同源の知識を、
ホールフーズはトップマネジメントからパートタイマーまで共有しつつ、
尊敬され、愛される小売業者となっている。
ドラッグストアも多くのスペシャルティストアも、
みんなナレッジ・マーチャントが主役となっている。
日本でも、これからの10年、「知識商人」の時代がやってくる。
まず資本と経営の分離はますます進む。
そこでは知識経営者の存在抜きには考えられなくなる。
そんな知識経営者は、知識ミドルマネジメント、知識テクノロジストを求める。
そして知識ミドルマネジメントは自律した知識商人である。
知識労働者も知識商人である。
商業が知識社会にふさわしいのは、「知識労働者」も「知識経営者」も、
ともに「知識商人」として共鳴し合えるところにある。
スーパーマーケットのヤオコーが『店長塾』を開いて、
店長の自律性を重視するのは、
同社が全体に「知識商人企業」となりつつあるからだ。
ユニクロのファーストリテイリングが、世界に人材を求め、英語を公用語にするのは、
「ナレッジ・マーチャント」コングロマリットになろうとしているからだ。
医療機関、IT企業、
音響・照明など芸術性のある機関、
機械・建築など専門性のある機関、
法律、会計、税務など専門機関、
様々な分野で、ナレッジ・テクノロジストの存在抜きには、
仕事が進まなくなった。
そして商業・サービス業分野には、「ナレッジ・マーチャント」が不可欠になる。
「知識商人を極める」
それが2011年の、そしてこの10年間の標語。
「知識商人を究めたい」。
ナレッジ・マーチャントの条件や資質を究明したい。
多層のナレッジ・マーチャントを養成する機関を構築したい。
それが結城義晴の「知識商人を極める」こと。