結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年08月17日(火曜日)

結城義晴、城崎漫遊と「城の崎にて」

甲子園高等学校硬式野球も、
ベスト8が決まりつつある。
夏真っ盛りとはいえ、
残るチームがだんだん減ってくると、
夏が過ぎてゆく感じが深まる。

気の所為か、
蝉の声も一段と高く聴こえる。

私は、休暇で、
城崎温泉に来ている。

新幹線で京都へ。
そこから山陰本線で、
兵庫県の北の端。
「城崎温泉」。

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志賀直哉の『城の崎にて』でおなじみ。

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一度来たかった。

この感覚は、去年の富士登山と一緒。
日本人ならば、死ぬまでに一度は、
とでもいったらよいか。

「よう来んさった!」と浴衣姿で出迎えてくれた。

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駅の前には、水汲み場。
蒸し暑い山陰の昼間、
見るだけで涼しさを感じる。
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そして島崎藤村の、あまりうまくない字の石碑。

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城崎温泉には、七か所の「湯」がある。
駅前には「さとの湯」

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街中を歩いてゆくと、
柳に川。

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昔の情緒を残す。
川べりの山本屋で地ビールを一杯。

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この暑さのなか。
冷たくて、フルーティで、旨い。

街中をぶらぶら行く。

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城崎温泉発祥の「一の湯」。

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そして一番人気の「御所の湯」。

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なぜ一番人気か。
訊ねたら、
「一番新しい湯だから」

味気ないけれど、リアリティ。

そして志賀直哉ゆかりの三木屋。

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直哉は、ここに逗留して執筆した。
直哉が散策した宿の裏手の小路。

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その川沿いの小路に道祖神。

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直哉の好きな川沿い。

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これも小さな道祖神。

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『城の崎にて』の中で、魚串の刺さった鼠がもがいた川に合流。

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「ある午前、自分は円山川、それからそれの流れ出る日本海などの見える東山公園へ行くつもりで宿を出た。「一の湯」の前から小川は往来の真中をゆるやかに流れ、円山川へ入る。或所迄来ると橋だの岸だのに人が立って何か川の中の物を見ながら騒いでいた。それは大きな鼠を川へなげ込んだのを見ているのだ」

「鼠は一生懸命に泳いで逃げようとする。鼠には首の所に7寸ばかりの魚串が刺し貫してあった。頭の上に三寸程、咽喉の下に三寸程それが出ている。鼠は石垣へ這上がろうとする。子供が二三人、四十位の車夫が一人、それへ石を投げる。却々当らない。カチッカチッと石垣に当って跳ね返った。見物人は大声で笑った。鼠は石垣の間に漸く前足をかけた。然し這入ろうとすると魚串が直ぐにつかえた。そして又水へ落ちる。鼠はどうかして助かろうとしている。顔の表情は人間にわからなかったが動作の表情に、それが一生懸命である事がよくわかった」

「鼠は何処かへ逃げ込む事が出来れば助かると思っていた。子供や車夫は益々面白がって石を投げた。傍の洗場の前で餌を漁っていた二三羽の家鴨が石が飛んで来るので吃驚し、首を延ばしてきょろきょろとした。スポッ、スポッと石が水へ投げ込まれた。家鴨は頓狂な顔をして首を延ばした儘、鳴きながら、忙しく足を動かして上流の方へ泳いで行った」

「自分は鼠の最期を見る気がしなかった。鼠が殺されまいと、死ぬに極まった運命を担いながら、全力を尽して逃げ廻っている様子が妙に頭についた。自分は淋しい嫌な気持になった。あれが本統なのだと思った。自分が希っている静かさの前に、ああいう苦しみのある事は恐ろしい事だ。死後の静寂に親しみを持つにしろ、死に到達するまでのああいう動騒は恐ろしいと思った」<『城の崎にて』より>

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その道祖神やお地蔵様を描き続けた画家・故椿野ひろしの画廊。

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回顧展が開催されていた。

そして、カップルの道祖神。

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暑い暑い城崎漫遊。
結城義晴の夏休み。
気分を少しだけ、
皆さまに、おすそ分け。

もちろん夏の城崎の湯も、格別。
その湯はお裾分けできないけれど。

<結城義晴>

2010年08月16日(月曜日)

「誰が、何を、いつまでに実行するか」三菱ケミカル小林喜光社長の仕事術

Everybody! Good Monday! [vol 33]

2010年第33週、8月も第3週となりました。

今日は、お盆の明け。
「先祖の霊が帰る日」。

ただし現代日本社会では、
多くのサラリーマンの夏季休暇が終わり、
仕事が再開される日。
通常に戻る会社が多い。
「サラリーマンが仕事に帰る日」

小売業・サービス業では、
順番に休暇を取るから、
これから夏休みという人もいるかもしれない。

従って、夏休みは続く。

わが商人舎も、18日まで夏季休暇。

今朝、内閣府が発表した第2四半期(4月~6月)の日本のGDP。
国内総生産速報値は、
実質成長率プラス0.1%、年率換算で0.4%。
実質成長率は物価変動分を除いた数値。

つまりは横ばいということ。
これも悪くはない。

ただし、物価変動分をそのまま数値化した名目GDPは、
マイナス0.9%、年率換算ではマイナス3.7%。
これが生活実感に近いデータといわれる。
つまりは、顧客が感じているものは、
この4月~6月、まだまだ不況感覚だったということ。

一方、これも経済産業省が今朝発表した6月の第3次産業活動指数。
2005年を100とすると、6月は97.1。
前月比マイナス0.1で2カ月連続低下。

第3次産業の中で、
小売業・卸売業はプラス1.2%。
それが7月、8月と猛暑酷暑で、
その分の消費傾向は伸びに伸びた。

㈱菱食社長・中野勘治さんによれば、
「神風が吹いた」

今週は、お盆明けの消費マインド。
すなわち「節約・倹約、もったいない」

この基調を忘れてはならない。

今週は、19日の木曜に7月の百貨店販売データ、
20日の金曜日に7月のコンビニ販売統計が発表される。

7月の営業状況が順次、明らかになる。

そして土曜日、京都・四条河原町阪急が閉鎖。
今年末12月25日の有楽町西武の閉鎖に向かって、
百貨店の店舗淘汰が進む。

さて、日経新聞「インタビュー領空侵犯」
三菱ケミカルホールディングス社長の小林喜光さんが、
MOSを唱える。
マネジメント・オブ・サステナビリティ。
「永続性を考える経営」
そのために三つの要素に評価基準を分けて100点満点で経営をみる。
三つの要素とは、永続性、健康、快適。

「経営の理想を掲げながら現実に対処する」
小林さんはそう言うが、
これも私の持論「オクシモロン」。

小林さんは、2007年、
日本最大の化学会社㈱三菱ケミカルホールディングス、
そして同時に三菱化学㈱の代表取締役に就任。
化学工業界に、この人あり。

2009年の『プレジデント』誌「社長の仕事術」では、会議のあり方を説く。
「無駄な報告をダラダラ行うような会議はもちろんやめたほうがいい。
しかし、会議は組織を効率良く動かすための『交通整理』として、
欠くことのできないものです。
会議で決めるべきことをきちんと決めたほうが、
仕事の効率は確実に上がります」

小林さんの考え方。
ひとつは「Due date」
もうひとつは「Responsible person」

「重要なアイテムを抽出して、
それについて『いつまでに』、
『誰が責任を持ち』仕上げるか。
これが会議の要諦です」

「何を、誰が、いつまでにやるのか。
これが抜けている会議は『ダメな会議』です」

一つひとつの仕事。
誰が、いつまでに、実行するのか。

お盆明けの今週のありかたである。
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2010年08月15日(日曜日)

ジジとお盆と敗戦の日[2010日曜版vol33]

ジジです。
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今日8月15日は、お盆。
そして敗戦の日。

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敗戦の日をなぜ、
お盆にかさねたのか。

ここには、あきらかに、
意図が、はたらいています。

[塩野七生さんが、
「終戦」よりも「敗戦」のほうが、
正しいといっていますが、
ユウキヨシハルのおとうさんも、
おなじ考えです]

ボクには、わかりませんが。

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空も海も、青い。
雲は、しろい。

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田は青い。

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それが夏です。

でもボクは、ねむい。

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おきたばかりだからです。

おきたら、かおをあらう。

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手をなめる。
それで顔をぬぐう。

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耳のところも。
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ここが気持ちいい。
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もういちど、手をなめて。

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耳のところを。

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顔をあらったら、足も。

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目が、さめた。

dscn6698-3.jpg〈ノートルダムの猫背男?〉
そういえば、
おとうさん、
去年のいまごろ、
フジ山にのぼった。

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雲がすごかった。

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フジ登山も、
お盆や敗戦と、
関係あるのでしょうか。

ボクには、わからないけれど。
ねぇ、ネズミくん?
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ごらいこう(御来光)。

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なぜか、感動する。

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うんかい(雲海)。

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こころが、
あらわれる。

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今日一日は、
目をぱっちりとさまして、
お盆のこと、
敗戦のこと、
かんがえてみたいと、
おもいます。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2010年08月14日(土曜日)

実質実効為替レートとイトーヨーカ堂の「アンダー500㎡」新型店実験について

円高は86円で一服し、
株安も日経平均41円ほど戻し、
お盆休みに入った。

しかし、為替も株価も、
表面だけでは判断できない。

外国為替に関しては「円高でなく、ドル安」
「実質実効為替レート」では、当然ながら円はそれほど高くない。

「実質実効為替レート」とは、
ユーロやイギリス・ポンド、人民元など、
世界58カ国の主要通貨に対する円の価値を、
物価変動の影響を取り除いて算出した指標。

2005年の実質実効為替レートを100とすると、
現在は103.24。

1995年、1ドル80円を切って史上最高値がついた。
その時点の実質実効為替レートは151.11だった。
15年前と比較すると、昨日の86円は、
実質実効為替レートでは3割以上も低いのだ。

株価に関しては、
3月時点と比べると、
16.6%の下落率
これは主要20カ国の中で、
最も大きい数値。

私自身は株はまったく持たない。
これは日経新聞記者たちにも課されたジャーナリストのあり方。

しかし、日本企業の株価には関心がある。
日本全体の経済力の一端を物語るものであることは確かだからだ。
この面でも、あるべき姿を取り戻すまでは、
まだまだ、先は遠い道のりが待っている。

さて、セブン&アイ・ホールディングスが、今秋から
500㎡クラスの小型スーパーマーケットを始める。

これも日経新聞のスクープ。

昭和50年代に大規模小売店舗法が施行され、強化されたころ、
日本のスーパーマーケット業界には、
500㎡型が盛んにつくられた。

「アンダー500㎡」という流行語が生まれたが、
この言葉をつくったのは、誰あろう結城義晴。

だから今朝の「セブン&アイ新型店展開」のニュースには、
私は、妙な既視感を持つ。

今回の試みは、
①大都市の消費者に絞った。
すなわち立地と客層を限定した。

②500~700㎡の面積。
イトーヨーカ堂の5分の1、セブン-イレブンの4倍。

③生鮮食品・惣菜中心の品ぞろえ。

④3年で100店体制2000億円。
これは、1店年商20億円の計画ということになる。
500㎡、150坪で、年商20億円なら、
笑いが止まらない。
年商を別にすれば、イギリスのテスコが、
イギリス本国で展開するテスコ・エクスプレスと同じ考え方。

当分、「イトーヨーカ堂」の店名で展開するというが、
さてこの試み、どう判断するか。

昭和50年代のアンダー500㎡とは、
競争環境も、マーケットの状況も違う。

立地と客層を絞り込んで、
マーケティングとしては一定のセオリーに則っている。
しかし、断言しておこう。
1店20億円は実現できないに違いない。
このプロジェクトは相当に、
苦労を覚悟しておかねばならない。

昭和51年、イトーヨーカ堂は、
1500㎡(450坪)の新型実験店を始めた。

ヨークマート勝田台店。
しかしこのヨークマート・プロジェクトはずっと水面下にいた。
あの試行錯誤を思い出してみるべきだ。

こんなニュースが出た時、
渥美俊一先生なら何と答えただろう。

そう考えた。

きっと、即座に、言い切るに違いない。
「もっとやらねばならないことがあるはずだ」

私も、そう思う。

<結城義晴>

2010年08月13日(金曜日)

所在不明高齢者279人の厭世的気分とRMLC店舗クリニックの「現世肯定と現状否定」

朝日新聞の「高齢者の所在不明問題」調査。
全国すべての市区町村への取材で、
「100歳以上の不明者は少なくても279人」と判明。

兵庫県112人、大阪府88人、京都府21人、さらに東京都は13人。
大都市部に集中、なぜか関西にも集中。
東北、北陸など地方の26県は皆無。

全国約1万6000人のホームレスは、
「不明高齢者予備軍」という。

一面コラム『天声人語』も皮肉る。
「長寿大国の名が泣く怪事である」

「子や孫に囲まれて暮らすお年寄りばかりではない。
独居はつらい。さりとて弔いもないまま、
役所の書類棚で生かされ続ける高齢者は悲しすぎる。
お盆に帰るに帰れず、あの世でぼやいている人も多かろう」

今日13日は、「お盆の入り」。
先祖の霊を弔う日。
そんな日に、長寿大国の名が泣く怪事。
高齢化社会が問題視されてばかりの現今、
「長寿社会」を誇りにしようと訴えている私だが、
その「長寿」社会の数値的根拠が揺らぐ。

自分の親、祖父母、近親者との関係が薄れてくることは、
自分に対する関心の希薄さを示す。

すなわち厭世的な空気。
人間として、人間社会として、
最も避けねばならないこと。

しかし、これは国の問題とばかりは言えない。
会社も店も同じ。

社内に厭世的な気分が蔓延し、
若い、優秀な人が辞めていく。

毎日の基礎的な仕事がおろそかになり、
「数値的根拠」が揺らいでくる。

やがて衰退し、崩壊に進む。

お盆商戦真っただ中の今だが、
むしろ売上げづくりよりも、
実地棚卸や在庫管理が大事だ。

1品1品の商品を、自分の親・祖父母のごとく愛で、
大切に扱い、大切にお客さまに提供する。

そんなお盆商戦でありたい。

同じ朝日新聞のコラム「経済気象台」
稲泉連のノンフィクション『仕事漂流』(プレジデント社)から紹介している。
「デパートの洋菓子売り場の舞台裏が書かれている。
型くずれしたケーキや、売れ残りを店員が買い取るのだ。
しかも『すいません。これだけしか買えなくて』と謝りながらである。
なんと悲しい風景だろう。
もともと安い賃金が実質的にまた下がるのである」

コラムニスト遠雷氏は、つぶやく。
「ネガティブで憂鬱(ゆううつ)な『競争』である」
私は、前向きで、活気のある競争を奨励するものだ。
お客様を喜ばせる競争。
そんな競争からイノベーションが生まれる。

この気分を失ったら、
小売流通業やサービス業から去ったほうがいい。

小売流通業やサービス業は本来、楽しいものだ。

先週末、私が座長を務める商業経営問題研究会(RMLC)で、
店舗クリニックを行った。

夏季合宿。
楽しかった。

参加者はいずれも小売業現役経営者またはOB。
全員が、実に楽しそうに店舗視察を楽しんだ。

初日6日は、 既報の通り、千葉駅に集合し、
ベイシア、ヤオコー、マックスバリュ、
sendo&MrMax、ビッグハウス、カスミ、
そしてベイシアとメガ・ドンキなど、駆け巡った。

翌日は、 まずトライアル。
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躍進するディスカウンター。
マルエツが苦労していた店に居抜きで入居し、
徹底したローコスト運営と特異な集荷方法で、
収益を絞り出す。

次に、RMLCのメンバーでもある加藤勝正社長の㈱セイミヤ多古店。

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800坪の意欲的実験店。

額賀瑞穂常務(右)、黒畑聡志店長と写真。
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RMLCメンバーで記念写真。

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小売業やスーパーマーケットが楽しい職場であることは、
二枚の写真が示してくれている。

昼食は、手打ちそば「おにざわ」。

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さらにセイミヤ鉾田舟木店。

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ここでも、額賀常務、橋本貴之店長と写真。
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「よい店によい店長あり」。

さらに水戸まで足を延ばして、
ヨークベニマルの新店を視察。
水戸浜田店。
この7月にオープンしたばかりの実験店。
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私は、この店でベニマルは、
「店舗全体の惣菜化」に取り組んだと見た。
それは逆に「量販の放棄」である。
しかしその代りにプライベートブランドの量販は志向する。
新しい時代に入った。

最後に、マルト笠原店。

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茨城県いわき市にドミナントを築くマルトが、
水戸市まで南下してきた店。
ショッピングセンターの中で、
マルトらしいリアリティのある商売を展開している。

クリニックは楽しい。
店を巡ることは楽しい。

それは店が楽しいところだからである。

厭世的な気分は、
たとえお盆といえども、
排除したい。

お盆は、祖先の供養をするもの。
それは、現世の肯定につながる。

今月の商人舎標語は、
「現状を否定せよ」

だたし、現世は肯定しなければいけない。

現世を肯定し、現状を否定する。
人間として生きるのは、むずかしい。

<結城義晴>

2010年08月12日(木曜日)

イオン&マルナカ包括的提携と中野勘治菱食社長の「規模と機能」

本格的な帰省ラッシュ。
お盆休みの「国民大移動」復活

小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

これが日本国民の大半が求めるもの。
つまりエブリボディ・ニーズ。

それに応えるのが、
小売業・サービス業。

それにしても自民党参議院議員会長選。
中曽根弘文氏と谷川秀善氏の間で争われ、
40票の同数の結果、
規約でくじ引き。
中曽根参議員会長誕生となったが、
小学生の学級委員選出のようで、
かわいいというか、
情けないというか。
けしからんというか、
どうでもいいというか。

7月の日本国の参議院選で勝利した自民党の、
その参議院のリーダー選出がくじ引き。

まったく、というか。

その間、円高は進み、
瞬間的に84円台に突入。
15年1カ月ぶり。

しかし15年前とは、状況はまるで違う。
1995年段階は、日経平均株価1万6800円、失業率3.1%、
現在は株価9300円、失業率5.3%。

「経済一流政治三流」が、
「経済三流政治五流」に、
堕してしまっている。

そんな中、国民のエブリボディ・ニーズは、
小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。

さて日経新聞が昨日の夕刊でスクープ。
「イオンとマルナカ、包括的業務提携」

イオンはご存知、
セブン&アイ・ホールディングスと並ぶ日本最大の小売業グループ。
全国にマックスバリュをはじめ、
カスミ、ベルク、いなげや、マルエツなど、
1200店のスーパーマーケットを配する。

一方、マルナカ・グル-プは、
中四国最大のスーパーマーケット企業。
総店舗数210店、総年商3300億円。
香川に本拠を置く四国のマルナカと、
岡山に本部を持つ中国地方の山陽マルナカ。
両者で瀬戸内リージョナルチェーンを構築。
近く、ホールディングカンパニーをつくる予定。
マルナカ社長は中山芳彦氏、
山陽マルナカ社長は、その長男でマルナカ専務の明憲氏。

包括的業務提携は、
今のところ商品がらみの内容。

イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の提供、
メーカー商品の共同調達、
物流・情報システムの相互活用など。

マルナカ専務中山明憲さんは、発言している。
「現時点では資本提携は考えていない」
私には、この発言をした時の中山さんの表情が浮かぶ。

一方、イオンは坂野邦雄SM事業最高責任者が発言。
「中四国で確固たる地位を築きたい」
これも、表情が浮かぶ。
坂野さんは、構想している。
「範囲の経済におけるクリティカル・マス」を。
私の持論でもある。

この包括的業務提携の意義は大きい。
第一に、食品スーパーマーケットの業務提携であること。
イオンはスーパーマーケットに最大の力を入れている。
だから全国の食品スーパーマーケットに大きなインパクトを与える。
第二は、中四国エリアの「クリティカル・マス」突破を狙っていること。

「マルナカよ、お前もか!」ではない。
「これも一局」である。

バックに三菱商事が絡むこともあって、
この提携、若干の資本提携に進むに違いない。
その後は、カスミやベルク、いなげや、光洋と同方向を志向する。

ただし、私は思う。
少なくともアメリカのクローガー方式を採用すべきだ。
間違ってもアルバートソン型に至ってはいけない。

さて昨日は、東京・平和島。
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モノレールの流通センター駅で降りて、
㈱菱食本社へ。

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菱食・中野勘治社長インタビュー。

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月刊『マーチャンダイジング』の連載企画で、
宮崎文隆編集長が同道。
宮崎さんは㈱商業界の『販売革新』前編集長。

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中野さんは、1939年7月七夕生まれ。
ニチレイ専務、ユキワ社長、アールワイフードサービス社長を歴任し、
2006年菱食副社長を経て、2008年3月社長就任。

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就任と同時に、「創造的破壊」を推し進め、
菱食改革の陣頭指揮を執る。

20世紀的な食品卸売業から、
21世紀の中間流通業へ。
そのために新しい機能創出を志向する。

規模の論理から、機能とマーケティングの論理へ。
「リテール・サポート」はもちろんのこと、
「コーディネートの役割」を果たさねばならない。
そこで「フードコーディネート本部」をつくった。

私は、パーティなどで中野さんにはよくお会いする。
しかしこうしてゆっくり、じっくりお話しする機会はなかった。

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中野さんは実にエネルギッシュで、
イノベーションの意欲に燃えていた。

第一声は「この異常な暑さは、神風だ」

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目下の最大の話題は、「4社経営統合」
菱食を中心に、三菱商事傘下の食品卸売企業3社の経営統合。
㈱明治屋商事は酒類に伝統があり、強い。
㈱フードサービスネットワークは低温商品の機能を持つ。
そして㈱サンエスは菓子問屋として強力である。
もちろん菱食は加工食品だけで1兆円のスケールを持つ。

それぞれの機能において、
製造業にも小売業にも十分な役割が果たせる総合化を成し遂げる。

中野さんによると、それは、
「生活編集能力の高い生活者のライフスタイル多様化に対応」するために、
新しい中間流通として必須の機能である。

菱食1兆3993億円、
明治屋商事3051億円、
フードサービスネットワーク3129億円、
サンエス2035億円。

トータル2兆2000億円の日本最大の食品卸売業。
しかしそれは、
単に巨大な卸売業が誕生するというだけのことではない。

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私は日本人の生活は、
どんどん個性化していると考えている。
一人ひとりが個性化を志向する。
それが結果として多様化現象を起こす。

これは「自己編集能力」の獲得である。
生活者のライフスタイルの多様化を意味する。

従って小売業は『コンシューマー』(消費者)発想から、
『カスタマー』(顧客)志向に変わらねばならない。

小売業と共闘する卸売業は、
多様な業態を対象に取り組みするわけであるから、
生活者のライフスタイルの多様性を知ることができる。

ここに中間流通としての存在意義がある。
メーカーのマスマーケティングのコンシューマーにも、
小売業の自社・自店のカスタマーにも、
卸売業としての「生活者のライフスタイル」の把握と対応は、
十二分に貢献することができる。

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中野さんは「スマート(賢い)な生活者」を強調する。
さらに女性の登用を力説する。

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その菱食の女性スタッフが中心となって、
長期計画「Evolution21」が出来上がった。

廣田正特別顧問や後藤雅治会長がつくりあげたミッションの上に、
「Innovation by FCM」のビジョンと、
6つのOur Promise。

21世紀の菱食の姿がくっきりと展望されている。

中野さんは、本当にうれしそうに語った。
70分ほどの時間は、一気呵成。
中野節に終始した。

こんなインタビューもいいなあ、と私は思った。

最後にカメラマンに求められて固い握手。

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イオンとマルナカの包括的業務提携、
菱食を中心とする4社経営統合。

単なる数合わせ、スケールの追求ではうまくはいかない。
それはまさしく20世紀発想である。

21世紀には、
規模をもとにした新しい機能が求められる。

その根本に、
顧客志向と生活者発想がなければならないことは、
論をまたない。

<結城義晴>

2010年08月11日(水曜日)

分子生物学者・福岡伸一の「動的平衡」と「行く川の流れは絶えずして・・・」

残暑 お見舞い申し上げます。

㈱商人舎は、明日8月12日(木)より18日(水)までの1週間、
夏季休業とさせていただきます。

暑さ厳しき折、皆さま、くれぐれもご自愛ください。
そしてお盆商戦の千客万来、ご祈念いたします。

なお緊急のご連絡は、代表電子メールinfo@shoninsha.co.jp、
あるいはスタッフ各自の携帯電話でお受けいたします。

もちろん、商人舎ホームページ、
および結城義晴のブログ[毎日更新宣言]は、
年中無休でお届けいたします。
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台風4号が北上している。
このお盆休みは、
日本列島台風一過になるかもしれない。
店舗商業は、書き入れ時の台風。
客足に直撃する。
その心配はつのる。

アメリカ・ユタ州では、
日本人観光客を乗せたバスが横転、
3人が死亡。

かの地のドライバーは、
平気で時速150キロを出す。

道も平坦で、北海道をさらに広くしたようなところを、
走ることも多い。

昨日10日、財務省発表の「国の借金」。
904兆0772億円。
はじめて900兆円を超え、
このままでは2011年度中に1000兆円に達する。

日経新聞が総合欄で報道している。

これが企業の売上高ならばいいのだが、
企業でいえば「借入金」。
この904兆円は、名目国内総生産の1.9倍。
現時点での日本国人口1人当たりで換算すると、
約710万円の借金。

これも日経の記事からの数字引用だが、
IMF調査では、国別債務残高と国内総生産を比較すると、
日本は2009年度末に218%の異常値となる。
財政危機でEU経済の足を引っ張っているギリシャが115%。
アメリカ83%、ドイツ73%、イギリス68%。

国の借金が増えるのは、
国の収入が減るのに、
国の支出予算が増え、
それを国債という借金で賄うため。

2010年度の一般会計予算は、
92兆3000億円の歳出、つまり支出。
これに対して税金による国に収入は37兆4000億円。
その差、54兆9000億円。
これを44兆3000億円の国債を中心に補う。

国の収入を国の借金が、予算段階で上回った。
これは敗戦後の混乱期以来。

日本経済の根本的な立て直しが求められている。

これも「現状を否定せよ」でなければ、
解決できない。

商人舎8月の標語。
「現状否定」は政府はもとより、
国民一人ひとりの意思決定レベルにまで求められよう。

そのひとつが消費税の引き上げということになろうか。

その意味では、口だけ出して、
世論を誘導している観のあるマスコミにも、
「現状否定」の矛先はつきつけられるに違いない。
マスコミほど「現状否定」できない存在もないが。

もちろんすべての設計は、
その責を担う菅直人内閣にある。

だからといって、
リーダーの首を挿げ替えれば、
この難問解決がなるとも思えない。

課題ははっきりしている。
いかにそれを解決するか。

ヒントは「動的平衡」にある。

今日から始まった朝日新聞「夏の基礎講座」。
1時間目「生命」の講座で、
分子生物学者の福岡伸一さんが語っている。
その著『生物と微生物のあいだ』は、
まず、読んでほしい。
それから『動的平衡』も。

「何が自分の身に応じた『分際』なのか」

「この『分際』というのが、
生物学では重要なキーワードになるのです。
英語でニッチ」

「人間以外のすべての生物は自分のニッチを守っていて、
限られた資源や環境の中で、
ほかの種と闘いを起こさないようにすみ分けているのです」

「60兆の細胞から成り立っている人間の体は、
せせらぎによってできたよどみのようなもの。
水は絶え間なく流れ込み、
いったんよどみを形成し、また流れ出る」

鴨長明の『方丈記』。
「行く川の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず」

これが「動的平衡」の文学的表現。

「動的平衡」とは、
「生命とは分子を入れ替えながら、
その同一性を保っているものである」

という考え方。

たとえると、
生命は店舗。
分子は商品。

「店舗は商品を入れ替えながら、
その同一性を保っている」

福岡さんは強調する。
「脳が人間の体や心をすべて支配しているというのは、
生命感の大きな錯誤だと言いたい」

「ニッチ」と「動的平衡」。
「現代化」におけるキーワード。

この国のかたちも、
企業や店の在り方も、
私たち自身の生き方も、
「分際」と「行く川の流れは絶えずして云々」に、
収斂してくる。

さて昨日は、荒井伸也先生とご一緒。
㈱ショッピングセンター丸正総本店社長の飯塚司郎社長、
同専務の飯塚正彦さんと研修会。
飯塚専務はコーネル・ジャパン「伝説の第一期生」。

30年来の付き合いの飯塚司郎さんから、
「ひたむきさ」を学んだ。

そして夕方には、商人舎オフィスを、
隣組の㈱成城石井社長・大久保恒夫さんが訪ねてくれた。
大久保さんも、コーネル・ジャパン第一期生にして、
第二期には、講師陣の一翼を担ってもらった。
dscn1921-3.jpg

9月1日から同社相談役に退く。
後任は、コーネル・ジャパン「奇跡の第二期生」の原昭彦さん。

大久保さんは、その後、
日本商業の地位向上に貢献するために、
新しい自分の役割を求める。

しかし来年度も、
コーネル・ジャパンのファカルティに加わっていただくことを、
お約束願った。

心から感謝。

「経営者の役目の一つは、
確実な後継者育成。
成城石井ではそれができました。
原さんはこれまでも営業の責任を担ってくれて、
私も完全に任せていました。
全く心配はない」

「原さんはまさにミスター成城石井。
大丈夫です」

力強く原さんを後押しした。
成城石井という会社の「流れは絶えず」である。

dscn1922-3.jpg

その後、互いに、自著にサインし合って交換。

「行く川の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず」

この言葉を、強く感じる一日だった。

国も、会社も、店も、人も。

<結城義晴>

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