結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2018年03月24日(土曜日)

トイザらス創業者チャールズ・ラザラス氏の訃報に思う

糸井重里さんの愛犬ブイヨンが、
3月21日に死んで、
ほぼ日の巻頭言「今日のダーリン」。

「一日経って、二日経って、
変わったことと
変わらないことが
あるのでしょうね。
じぶんには、まだよくわかりません」

いい写真です。〈「ほぼ日」より〉
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「こころのダメージのはずなのに、
からだのほうがつらいね」

すごく、よくわかる。

チャールズ・ラザラスさんも逝去。
「トイザらス」創業者。
一昨日の3月22日、
地元ニューヨーク州で永眠。
94歳だった。〈写真はCNNJapanより〉
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第二次世界大戦後の1948年、
今から70年前になるが、
まず子供用家具店を開業。
このころは業種店だった。

その後、1957年に、
玩具に特化した専門店業態を開発。

スーパーマーケットをはじめ、
多くのチェーンストアから学んで、
子どものライフスタイルストアに転換。

「スーパーストア化」と呼ばれるが、
同業のおもちゃ屋の3倍以上の売場面積に、
3倍以上の幅広い品ぞろえをして、
商品をラックに高々と積み上げる。

圧倒的に迫力のあるフォーマットである。

バナーは「トイザらス」
Toys “R”(= are) Us。
直訳すると「おもちゃ屋は私たちだ」

語尾はLazarus氏の名前と共通している。
英語表記のロゴ「Я」は、
「R」をロシア文字のように裏返しにした。

これは幼児特有の鏡文字を模倣したもの。
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大チェーンストアにするためには、
バナーやロゴにも特徴やセンスが必要だ。
それが強烈なポジショニングとなる。

創業から30年後、
トイザらス開発から22年後の1978年、
株式を公開して絶頂期。

以来、その調達資金をもとに、
店舗網を全米に広げて、
カテゴリーキラーの代表となった。

しかしそのカテゴリーキラーの典型として、
ウォルマート、ターゲット、
そしてコストコの逆襲にあって、
少しずつ業績を落とした。

専門店はその領域において、
どこよりも深く広い品揃えを持たねばならない。
さらに感動的なインパクトが必要だ。

実際に、
マンハッタンのブロードウェイの店は、
店内に巨大な観覧車が回る。
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恐竜が鎮座して、
強いインパクトを持っていた。
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チェーン展開を進めるうちに、
そういった子どもたちが熱狂するものが、
喪失されていった。

金太郎飴型のチェーンストアとなり、
少しずつ普通の店になってくると飽きられる。

チェーンストアの宿命である。

ラザラス氏も1998年にCEOを退任。

2005年には、投資会社に買収された。
コールスバーグ・クラビス・ロバーツ。

さらに2006年には、87店舗を閉鎖。
12店舗以上を二番手のフォーマットに転換。
このベビーに絞り込んだ「Babies”R”Us」は、
比較的好調だ。
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2009年のホリデーシーズンには、
“Holiday Express”という小型店舗を開発。
ショッピングセンターの空き店舗などに、
一挙に90店オープン。

これは「Toys“R”Us Express」と、
フォーマット名をつけて、
新展開を構想したが、
画期的な業績回復には至らなかった。

商人舎流通スーパーニュース。
昨2017年9月19日版。
トイザらスnews|
米国・カナダ事業が連邦破産法11章適用して倒産

2017年9月18日に、
「チャプター11(米国連邦破産法11章)適用を、
バージニア州裁判所に申請」

「2017年1月期決算で、
年商115億4000万ドルの大型倒産である。
1ドル100円換算で1兆1540億円。
売上高は前年比マイナス2.2%、
純利益は2900万ドル(29億円)の赤字」

「店舗数は1691店だが、
米国内店舗数879店、
海外店舗数は812店で、
世界18カ国に展開する」

「ただし今回は、
アメリカとカナダの北米事業が倒産の対象で、
日本など北米以外の国は含まれない」

倒産の理由は、
アマゾンなどのオンラインリテーラーと、
ウォルマートやターゲット、コストコなど、
総合リアル店舗業態との板挟みで、
売上げ低迷が続いたこと。

これが米国カテゴリーキラーの末路である。

アマゾンはもともと在庫を持たない商売で、
低経費運営を価格に反映させる。
ウォルマートは売場のアコーディオン化で、
ホリデーシーズンに玩具の売場を広げ、
その他のシーズンは縮小するという作戦。
これがトイザらスの年がら年中在庫過多商売の、
弱点を突いた。

ラザラス氏の逝去に関して、
トイザらスは声明を発した。
「この数週間、トイザらスにとって、
悲しい出来事が続いていたが、
当社の愛すべき創業者が亡くなったという
今日のニュースほどつらいものはない」

マイケル・ゴールドスタインCEO。
「ラザラスはおもちゃ業界の父だった」

「おもちゃを愛し、
おもちゃを買いに来る
子どもたちを愛していた。
おもちゃで遊んでいる子どもを見ると、
パッと顔を輝かせていた」

この創業者のDNAを受け継ぎ、
引継ぎ、発展させられなかった。

それがトイザらス倒産の真因である。

ラザラス氏の逝去とトイザらスの倒産。
ひとつの時代が終わったことを示している。

合掌。

〈結城義晴〉

2018年03月23日(金曜日)

商人舎流通SuperNewsの業態別動向と山崎正和の「公正と公平」

第90回選抜高校野球。
「春のセンバツ」が始まった。

まさに「球春」

毎日新聞「余録」が取り上げた。
「2018年、めでたく野球の春は
コウジエンにもコウシエンにもやって来た」

岩波書店の「広辞苑第7版」は、
今年1月12日発刊。
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この7版でやっと、
「球春」という言葉が辞書に並んだ。
「野球のシーズンが始まる、春先の頃」

被災間もない阪神大震災、
東日本大震災後の大会も、
そんな球春の危機であった。

「白球、そして36チームの
ひたむきなプレーが運んでくる
90度目の春である」

今日の初日は、
もう福島の聖光学院高校が勝利した。

順調に日程を消化すれば、
4月4日の水曜日が決勝戦。

高校生の球春は短い。
桜散るの言葉のままだ。

さて、商人舎流通スーパーニュース。
毎月20日を過ぎると、
業態ごとにそれぞれの協会から、
前月の統計結果が発表される。

【統計】のボタンを押すと、
ズラリと統計数値が並ぶ。
その2月編。

2月百貨店統計|
既存店▲0.9%で3カ月連続減少/インバウンド39%増

インバウンド消費は絶好調。
前年比38.7%の伸びを示した。

月刊商人舎2017年12月号。
免税商売に覆われていく日本
2020年!! 1億6000万人のMarketing
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さらに札幌5.2%、大阪5.2%、福岡5.0%。
この3都市の5%超えの成長。
東京0.6%、横浜0.5%。

これらも訪日外国人の影響だ。

ほかの都市や府県では、
百貨店業態は必要ないがごとき数字。

インバウンドがなければ、
百貨店業態の今は考えられない。

2月総合スーパー統計|
売上高1.3%増/低温で衣・住不調/食は農産中心に好調

これは日本チェーンストア協会のデータ。
しかしチェーンストア統計と呼ぶには、
ちょっと抵抗がある。

コンビニもドラッグストアも、
ファストフードも、
チェーンストアだからだ。

この協会はもともと、
総合スーパーが牽引していた。

しかし現在は、
大手食品スーパーマーケットが中核。

それに総合スーパーも、
食品の構成比が5割を超えている。

協会には、やはり総合スーパー業態を、
一部でも運営する企業が17社と多い。

ニトリホールディングスも大創産業も、
丸井グループもDCMホールディングスも、
この協会に入っている。

その意味では総合性を持つ。
だから商人舎ではこの統計を、
大雑把ではあるものの、
総合スーパーの動向を示す指標とする。

2月は前年比1.3%増だった。

食品がプラス2.2%、
衣料品がマイナス0.5%、
住関連品がマイナス1.2%。

ユニクロのファーストリテイリングが、
万が一にもこの協会に加盟すれば、
衣料品はもっと良い数字を出すだろう。

2月スーパーマーケット統計|
青果4.4%増と好調で既存店売上高3カ月連続増

3つの協会が協力し合って調査する統計。
食品の消費トレンドは底堅い。
既存店前年比は0.7%増。

青果がプラス4.4%、
畜産がプラス1.9%、
惣菜がプラス1.2%、
日配品がプラス0.9%、
一般食品がプラス0.3%。

水産だけがマイナス1.9%だった。

2月日生協統計|
総供給高3.1%増/宅配は35カ月連続で前年超過

生協は2つの業態を持つ。
店舗生協のスーパーマーケットと、
宅配ビジネスだ。

2月も店舗販売は0.5%増、
宅配は1.4%増、
また宅配の43.7%を占める個配は、
2.5%増で一番堅調だった。

2月コンビニ統計|
低温降雪で客数減だがホット商品好調で既存店0.3%増

問題はこのコンビニ統計だ。
何しろ2月からは、
7チェーンの統計になってしまった。

スリーエフがローソンに変わったからだ。

かつてのサークルKサンクスは、
ファミリーマートになってしまったし、
統合の加速は留まることを知らない。

セブン-イレブン、
ファミリーマート、
ローソン。
御三家。

その後にイオンのミニストップ、
北海道のセコマ、
山崎製パンのデイリーヤマザキ。

悪いけれど、ヤマザキは、
他のチェーンと比べると一段と落ちる。

北海道のセコマは店名セイコーマート。
この企業は北海の地に土着して、
きっとサバイバルするだろう。

イオンのミニストップも、
同社の小型店「まいばすけっと」などと、
連携を図って残るのだろう。

だとすると、日本のコンビニは、
どんどん飽和に向かって、
やがて5チェーンくらいに淘汰される。

2月の傾向は、
新店を加えて全店で2.4%増、
既存店は前年比プラス0.2%。

店数は5万5395店で1.5%増。

業態別に見ると、
圧倒的にドラッグストアが伸びている。

そのドラッグストアも、
食品の構成比上昇が成長を支える。

私は日本のドラッグストアも、
アメリカやヨーロッパのように、
経営統合が進むとみている。

そのM&Aが急激に進むのは、
全体の伸び率が鈍化し、
止まった時である。

欧米の先行例を承知して、
日本の業態別動向を見ていると、
「既に起こった未来」として、
日本の動静が浮き上がってくる。

最後に、「折々のことば」
第1058回。
公正であれば
公平でなくてよい
〈美学者・評論家 山崎正和〉
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ある賞の選考会の終了後、
山崎さんがふと口にした言葉。

公正であれば、
公平でなくてよい。

倉本長治の「商売十訓」
第八訓は、
公平で公正な社会的活動を行え

倉本長治は、「公平で公正」。
山崎正和は、「公正であれば、
公平でなくてよい」。

編著者の鷲田清一さん。
「フェアであることと
不偏であることとは同じでない」

「賞の選考にあたっては、私も、
平坦でない作業にこもる熱い思いに
心を動かされた作品は、
つい肩入れし強く推す」

「受けた衝撃が深ければ、
その仕事の意味もきっと重いはず。
選考会では、委員がそれぞれに
受けた衝撃の意味を、
フェアに聴きあい、探りあう」

これは商売における、
ロイヤルカスタマーへの対応と、
通常の顧客との応対に似ている。

ロイヤルカスタマーには欧米では、
ロイヤルティプログラムを用意する。

日本でも、ロイヤルティを、
強く持ってくれる顧客には、
店の側も「肩入れする」

それもよいのだ。
「公正であれば」
「フェアであれば」

これはすべての業態に共通することだ。

〈結城義晴〉

2018年03月22日(木曜日)

高原豪久「変化率で勝負する法」と「利ざやの大きさで稼ぐ法」

「雪と桜とブイヨンと。」

3月21日午後3時16分、
糸井重里さんの愛犬ブイヨンが死んだ。

「病院に向かう途中の桜並木に、
雪が降りかかるという
なんともめずらしい春分の日に、
家人の腕のなかで眠りながら
旅立ちました」

私は2年前の1月4日に、
ジジを亡くした。

糸井さんの気持ち、わかる。

何も言うまい。
ただ、幸せだっただろうと思う。

合掌。

そのブイヨンが逝った今年の桜。
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横浜商人舎オフィスの遊歩道も、
とてもいい季節。
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春の雪しきりに降りて止みにけり
〈加舎 白雄〉

今日は朝から、前川智範さん来社。
第一屋製パン(株)代表取締役社長。
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私は3年前から、
同社社外取締役。

いくつかの報告と、
様々な問題に対する議論。

がんばってほしい。

そして夕方には、
商人舎Web会議。
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いつものメンバーが参集して、
実に建設的な提案ばかり。

Webの世界は激しく変化している。
それを実務として体験し、
学習することができる。
こんなにいい勉強はない。

学びつつ、仕事ができる。

さて、日経新聞電子版。
「経営者ブログ」
高原豪久ユニ・チャーム社長。
タイトルは、
「三手の読み」の先を読む思考術
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高原さんは重大な問題提起をする。

「日系企業は、
欧米の同業に比べて
収益性が低い」との指摘がある。

高原さんはその要因を、
「過剰品質」に求める。

そんなことを表明していいのかと、
ドキドキしてしまう。

「商品やサービスに対する消費者の期待」
これは常に高まっていく。

「しかし、
企業が開発した新技術や機能革新によって
ある時から
商品やサービスが提供する価値が
消費者の期待値を飛び越して、
あまりにも先へ進化してしまう」

「期待値を過度に超えた新技術・機能革新」
これを高原さんは「過剰品質」という。

それが発生した時点から、消費者は、
その商品やサービスの価値の進化に、
「あまり反応しなくなる」

パソコンや携帯電話がよい例。

ある商品が世の中に出始めたころは、
消費者は高機能や多機能を要望する。

しかし、その商品が、
ほとんどの世帯や個人に浸透すると、
「頻繁に使う機能に絞り、
シンプルで使い勝手の良い商品を
求める消費者が増えています」

「今以上に機能を高めたり、
できる事を増やしたりしても、
消費者は興味を示しませんし、
開発コストを反映した
高い価格では買わないでしょう」

まさにコモディティ化現象である。

そこで、その商品は、
「消費者の期待にミートしていない
『過剰品質』」となる。

「その市場やカテゴリーそのものが、
消費者の頭の中で『過剰品質』と
認識された状態では、
新たな技術を投入し、
プロの目から見れば
『機能的に進化した新製品』だとしても、
消費者は割高な対価を支払ってまで、
その新製品を買ってはくれません」

クレイトン・クリステンセンが、
「イノベーションのジレンマ」で指摘した。

「企業は、
その新製品を投入するために
かかった費用を短期間で
手っ取り早く取り返すため、
生産設備を稼働させようとして
莫大な販促費用をかけ、
不毛な価格競争へ飛び込んでいきます」

これがまた、
コモディティ化を促進させてしまう。

「結果として、
開発にかかった費用はそのままに、
新たに費やした膨大な販促費によって
利益率がさらに低下する」

高原さんは推察する。
メーカーと消費者の間に、
「意識のズレ」「ボタンの掛け違い」
が生じて、それが、
日系企業の「低収益構造」になっている。

しかしこのコモディティ化現象に対して、
小売業は一足早く発想を転換し、
プライベートブランドに力を入れた。
これも高原さんの見方だ。

PB商品の展開は、
「商品を自社開発し、
ローコストの調達網を整備し、
常時低価格を訴求」して、
「利ざやの大きさで稼ぐ」考え方。

ウォルマートに象徴される経営戦略だ。

しかし「従来の日系小売業の多く」は、
「回転率で稼ぐスタイル」
が主流だった。

この従来型小売業に対して、
チェーンストアのコンセプトは、
まさにアンチテーゼだった。

高原さんは述懐する。
「しかし、この発想の転換は
容易ではありません」

「日本の消費者は独特だ」との思い込みが、
「我々日本のビジネス・パーソンには
染みついているからです」

ここからが正直な発言だ。

暗黙のうちに考えている。
「日本の消費者は変化を好み、
新製品が好きだ」
「商品の鮮度や品質に厳しい」

これを全く否定することもないとは思う。

しかし、この暗黙の了解に従って、
日本のメーカーは、
「消費者からの多様な要求に対応」して、
「次々に新製品を投入」し、
「多様なライン・バリエーション」を、
構築し、展開してきた。

日本の流通と日本のメーカーが、
協働で作り出してきた方法論、つまり、
「変化率で勝負する」やり方。

「多くの日系企業は、
変化率で勝負する方法で
グローバル競争を戦っています」

もちろん、高原さんも、
全面否定はしない。
「変化率で勝負するという得意技は
これからも主軸におくべきだと思います」

「得意技を封印して勝てるほど、
グローバルでの競争は甘くない」

そこで最後の提案。
「変化率で勝負するという得意技に
利ざやで勝負する新たな技を習得し、
合わせ技にしなければ勝てない、
勝ち続けられないと思います」

その通り。

「日本の流通や消費者は独特である」
この固定観念に縛られてはいけない。

「日本で成功すると同時に、
海外でも通用する」
これを前提に戦略開発する必要がある。

従来の考え方をテーゼとする。
「変化率で勝負するという得意技」だ。

それに対するアンチテーゼが、
「利ざやで勝負するという新たな技」

そして両者をアウフヘーベンして、
ジンテーゼを導き出す。

それが高原さんの「三手の先を読む法」

素晴らしい。

しかし、私はいつも言うけれど、
三井高利の「店前現金無掛値」は、
欧米よりもずっと早い1673年の、
「利ざやで勝負する法」だった。

クレイトン・クリステンセンも、
その主張の「破壊的イノベーション」に、
類似したジンテーゼを見出している。

もちろん、中小ローカルの日本企業は、
「変化率で勝負する法」で、
生き残っていくこともできる。
悲観することはない。
念のために。

〈結城義晴〉

2018年03月21日(水曜日)

山頭火「春の雪ふる」とセブン‐イレブン「サンドイッチ改革」

暑さ寒さも彼岸まで。
しかしその彼岸の中日、
つまり春分の日の祝日に、
関東甲信越に春の雪。

横浜でも1センチほど積もった。
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うれしいたよりも
かなしいたよりも
春の雪ふる
〈種田山頭火〉

山頭火は尾崎放哉と並んで、
日本を代表する自由律の俳人。
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この道しかない春の雪ふる 
〈種田山頭火〉

「この道しかない」は、
人生を決断した思い。
「うれしいたよりもかなしいたよりも」も、
これも、人間の思い。

「春の雪ふる」はいま目の前の情景。

「思い」と「情景」の組み合わせは、
俳句の基本技法。

自由律俳句の名人は、
意外なようだが、
基本技法を駆使している。

昨日の日経新聞。
「セブン-イレブン・ジャパンが、
サンドイッチの賞味期限を
3割伸ばす」

セブンのサンドイッチの売れ筋1位は、
「ミックスサンド」(税込み250円)。
3位は「シャキシャキレタスサンド」で、
これも250円。

この2品で、なんと、
サンドイッチ全体の約3割を売る。

セブンのサンドイッチの売上高は、
年間1300億円程度。
だからこの2品だけで約390億円。

この2品は具材にレタスを使っている。
そのレタスに関する刷新。

この商品の従来の問題点。
「パン生地がレタスの水分を
吸い込んでしまうため、
長時間保存するとパンが湿り
味や食感が変わっていた」

改善の工夫。
「小麦粉の配合を1割超増やすことで
生地のしっとりとした食感を保ちながら
賞味期限を伸ばした」

これまでは「製造から30時間」が、
店頭での販売期間だった。

他のサンドイッチよりも短かった。

それが「40時間」となる。

この「賞味期限」の3割増は、
売上拡大につながる。

セブンは1月に埼玉県内でテスト販売した。
この2品の売上げが2割伸びた。
サンドイッチ全体でも1割増えた。

この2割に関して、
「朝と昼の売れ行きは変わらず、
品薄になりがちな夜間の売上げが伸びた」

おそらく賞味期限が長くなって、
撤去したり廃棄したりしなかったために、
品切れが減ったからだろう。

この実験で、
サンドイッチの食品ロスは、
1店舗あたり5%超減った。

いい実験だし、いい改善である。
セブン-イレブンの真骨頂。

鈴木敏文前会長が去っても、
この社風は堅持されている。

日経の記事は、
イオンリテールの改革も報告する。
「2017年から順次、
酸化や細菌の繁殖を抑える包装を採用」。

「鮮魚や精肉100品目以上を対象に、
新包装を導入」

その結果、消費期限が、
1.5倍程度、伸びた。

これもロスの削減と売上げ増につながる。

ファミリーマートは17年9月から、
惣菜の容器に「窒素ガスを充填」。
賞味期限は2日前後から約5日に伸ばした。

ただし、惣菜の賞味期限が5日になっても、
それが肝心のおいしさや鮮度を、
担保することになるかどうか。
こちらはそう単純な話ではない。

「同じような事例」を並べても、
それが本質をついたり、
傾向を導き出したりするわけではない。

日本の食品ロスは推定年間約621万トン。
2015年の「国連持続可能な開発サミット」
30年までのフードロス50%削減を決議。

しかしこの国際的な食品ロスの問題と、
セブン-イレブンの改革は、
つながっているようで直結してはいない。

セブンの基本はマーケティングにある。
そこからの発想が結果的に、
廃棄ロスと機会ロスを削減した。

ここに現代の商売としての価値がある。

朝日新聞「折々のことば」
第1056回。

賢者は、
自分がつねに

愚者になり果てる
寸前であることを
胆に銘じている。
〈オルテガ・イ・ガセット〉

スペインの思想家オルテガ。
その名著『大衆の反逆』から。
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「放っておけば人はすぐに
『自分の思想の限られた
レパートリーの中』に
安住してしまう」

「自分を超えるもの、
自分の外にあるものへの
感覚をなくしてしまう」

人は易きに流れやすい。

「それを鈍らせないためには、
たえず『自分を疑う』ことが必要だ」

編著者の鷲田清一さん。
「これより先に行けば危ない、
それを言っちゃあお終いよ、
という限界の認識も
その中で磨かれる」

オットー・ビスマルクの言葉が浮かぶ。
「愚者は経験に学び、
賢者は歴史に学ぶ」

しかしこれは、
ビスマルクの真意ではない。

正しくは、
「愚者だけが、
自分の経験から学ぶと信じている。
私はむしろ、最初から、
自分の誤りを避けるため、
他人の経験から学ぶのを好む」

オルテガはビスマルクの真意に近いし、
それをポストモダンとして深めている。

しかし山頭火にも、
オルテガに通じる句がある。
どうしようもない私が歩いている

春の雪に、山頭火を思った。

〈結城義晴〉

2018年03月20日(火曜日)

プーチン・習近平の「最良の独裁者」と「イオンnews」の日本の潮流

ロシア連邦大統領選挙。
ウラジーミル・プーチン大統領が、
通算で四選。

2000年3月の大統領選挙で初当選。
2004年は二選。

2008年は連続三選禁止の憲法規定で退陣。
しかし、この時は自分は首相となって、
ドミトリー・メドベージェフ大統領と、
二頭体制を築いた。

さらに2012年の大統領選挙で再選し、
今年は通算四選の長期政権。

一方、中華人民共和国では、
習近平国家主席。

こちらは3月11日に憲法を改正して、
国家主席の任期2期10年の制限を撤廃。
2004年以来の憲法改正を断行して、
終身国家主席の目も出てきた。

一方で、暗に転じた政治家もいる。
フランスの二コラ・サルコジ元大統領。
2007年の大統領選の際、
リビアから資金供与された疑惑で、
事情聴取のため警察に留置。

日本では安倍晋三首相
森友文書書き換え問題で、
窮地に陥っている。
小泉純一郎政権の1980日間を抜いて、
戦後三番目の長期政権。

一番は佐藤榮作政権の2798日、
二番は吉田茂政権の2616日間。

残念ながらもう青息吐息。

考えてみると、
北朝鮮のキム・ジョンウン政権も、
外的要因さえなければ長期政権だろう。

それにしてもプーチンと習近平。

ニコロ・マキアヴェッリによれば、
「最も理想的な政治とは、
最良の独裁者によるもの」

しかし、「最良の独裁者」は、
そう簡単に登場するものではない。
むしろ、すごい才能と高い志がいる。

さて今日は、朝から、
東京の浅草ビューホテル。
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助六由縁江戸桜の羽子板。
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ほんとうに久しぶりに、
奥田則明さんと面談。
(株)奥田フレッシュフード研究所所長。DSCN2199.JPG8

もう、30年以上も前になるが、
奥田さんは(株)ダイエー商品部にあって、
鮮魚部門の切り札バイヤーだった。

かつてウナギは、
外食産業の高級商材だった。
日本のスーパーマーケットで、
今のように販売されるようになったのは、
ダイエーのおかげである。

つまり「ウナギの大衆化」は、
中内功と奥田則明の功績だった。DSCN2234.JPG8
その奥田さんを口説いて、
コンサルタントの筆者になってもらった。

これは私の功績か。

私が(株)商業界を退任したとき、
「押す力と引く力がある」と、
励ましてくれた。

それは奥田さん自身の経験だった。

今日はそんなことも含めて、
3時間くらいも話し込んだ。

楽しかった。

その奥田さんがいたダイエーも、
いまやイオングループにある。

商人舎流通SuperNews。
おかげさまで大好評。

今日はイオンnews|が4本。

イオンnews|

石塚幸男メガスポーツ社長就任

石塚幸男さんは、
イオンリテール(株)専務執行役員で、
人事・総務本部長だが、
このたび(株)メガスポーツ社長に就任。
昨年10月にアメリカ研修でご一緒した。

最良の独裁者のタイプではないだろうが、
最良のマネジメントを実現させてほしい。

商品の話題が2つ。
イオンnews|
トップバリュ「まるごと献立キットCooKit」第1弾開発

アメリカでは1996年に、
フードマーケティング協会(FMI)から、
「Meal Solution」コンセプトが発信された。

その顧客側のニーズは5つに集約された。
⑴Planning(メニューを決めること)
⑵Shopping(実際に買物すること)
⑶Prepping(準備すること)
⑷Cooking(上手に調理すること)
⑸Clean up(後片付けすること)

2017年2月から2018年2月の1年間。
イオンは家庭で料理をする人に対して、
どんなストレスがあるかを調査した。

その4大ストレスは、
第1に料理の下ごしらえをする
第2に献立を考える
第3に材料を買いそろえる
第4に味付けする

先のMeal Solutionのニーズでいえば、
イオンの調査の顧客の料理ストレスは、
第1がPrepping、
第2がPlanning、
第3がShopping、
第4がCooking。

多分、Clean upのストレスも、
調査の結果にはあったはずだ。

このニーズをとらえた商品が、
「CooKit」だろう。

イオンnews|
サンリオ「キキ&ララ」を羽海野チカが描いたコラボ商品

そして、
イオンnews|
2月主要15社営業成績/イオンリテール既存店・全店好調

イオングループ15社の実績。
業態ごと、地域ごとの成績は、
それ自体が日本の各地域の潮流を、
よく表している。

メーカーや卸売業にとっても、
地域の小売業にとっても、
マークしておくべき数値だ。

イオンの総合スーパーは、
イオンリテールと、
イオン北海道とイオン九州。
三者三様の2月となった。

スーパーマーケットは、
全国のマックスバリュ。
既存店・全店ともに増収は、
北海道、東北、九州。
既存店マイナス・全店プラスは、
東海、中部、ユナイテッド。
ともにマイナスは西日本。

地域の企業の実力の違いもあろうが、
全国的にばらけた。

ドラッグストアとアミューズメントは、
ずっと好調を維持している。

しかし、専門店チェーンは不調。
ユニクロやMUJI、ニトリ、
ABCマートなど一人勝ち状態。

コンビニもここへきて、
不調に転じている。

今年の月刊商人舎1月号
「岡田元也の真意」の記事た。
リージョナルシフトによって、
総合スーパーと食品スーパーの連携が、
地域ごとに図られる。
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北海道は好調な2社の連携、
九州はマックスバリュが良いが、
イオンは既存店・全店ともに不調。

今後、連携を深めていって、
好不調を調整するのだろうが、
それはイオンの競合企業にとっても、
重要な競争環境の変化となる。

もちろんどの会社にも、
「最良の独裁者」あるいは、
「最良のマネジメント」が、
必須である。

〈結城義晴〉

2018年03月19日(月曜日)

春の足音の中の永田町の冬の嵐と人間産業の「よき仕事」

Everybody! Good Monday!
[2018vol12]

2018年第12週。
3月の第4週で、
今週水曜日21日は春分の日。

昨日の日曜日が彼岸の入り。
春分の日が彼岸の中日、
そして土曜日の24日が彼岸の明け。

今週は春の彼岸の週。

平昌冬季パラリンピックが終わり、
オリンピックからの一連の、
ウィンタースポーツの祭典が終了。

祭りの後の寂しさ。

しかし、あの渡部暁斗。
平昌五輪個人ノーマルヒル銀メダリスト。
ワールドカップ総合優勝を決めた。

これはあの荻原健司以来23季ぶり。

高木美帆もワールドカップ最終戦で、
スピードスケート女子1500mで1位。
1500mの今季種目別総合優勝。
全種目での総合優勝も決めた。

アスリートたちにとっては、
祭りの後などではない。

春めくといふは恙(つつが)の癒ゆるに似
〈朝日俳壇より 東京都・寺川芙由〉

(稲畑汀子選評)寒さに耐え、
ようやく春らしい陽気になった喜び。
それは病が治ってゆく過程に似ている。

日本は春爛漫。
横浜商人舎オフィスの裏の遊歩道。
桜が開花した。
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しかし春爛漫のときには、
「春眠暁を覚えず」

よき仕事あるからこその朝寝かな
〈同 松山市・富岡信明〉

商人の朝は早い。
仕事の朝の、
朝寝は許されない。

しかし、年輪を重ねた俳人には、
それも許されるだろう。

「よき仕事」

いい響きだ。

それが一生の仕事ならば、
夜なべ仕事にも身が入るし、
徹夜すら厭わない。

私の場合、それだ。

さて、森友文書改ざん問題。
国会参議院予算委員会は揺れ続ける。
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毎日新聞は書いている。
「春の足音は近いのに、
永田町は、いや安倍晋三政権は、
冬の嵐に逆戻りである」

YouTubeでその質疑を、
丁寧に見聞きしていると、
情けなくなる。

選挙で選ばれた国会議員。
多くの関門を乗り超えてきた高級官僚。

それらのやりとりが、
まったく議論になっていない。

言い逃れや時間稼ぎ。
その場しのぎ。

一方は揚げ足取り、
相手の失態を導き出すだけで、
議論は進まない。

予算委員会で予算が審議されないのは、
何より国民にとっての損失だ。

政治家とは、官僚とは、
果たして「よき仕事」なのだろうか。

ブレーズ・パスカル。
パンセの「断章一〇八」
②index

「人が、告白した案件に関して、
利害関係をもっていないなら、
その人は絶対に
嘘をついているはずはない、
と断定することはできない」

「なぜなら、この世には、
嘘をつくという目的のためだけに、
嘘をつく人も存在するからだ」

ん~、パスカル。

今週の私のスケジュールは、
比較的のんびりとしている。

しかし今週の東京・横浜は、
雨模様。

そんな春を楽しみつつ、
よき仕事に邁進したい。

さて、
日経ビジネス「今日の名言」
「転ばぬ先の杖」を与えると、
そればかりに頼るようになり、
チャレンジする気持ちが
失せてしまいがちです。
〈大山 健太郎アイリスオーヤマ社長〉

大山さんが言う「転ばぬ先の杖」とは、
AI(人工頭脳)のこと。

「私は、AIの登場がこうした風潮を
加速するのではないかと心配しています」

「AIはビッグデータを解析して
判断をします」

そのとおり。
大量のデータが必要となる。

「人々は効率的に物事を達成しようと、
AIが過去の事例に基づいて導き出した
成功確率の高い選択肢を
優先して選ぶようになるでしょう」

ビッグデータやAIは、
効率的に仕事を、
達成するためのものであり、
成功確率の高い選択肢を、
導き出すためのものだ。

「そうなると、ますます、
前例にない挑戦をする人が
減ってしまうように思います」

だからこそ、
「よき仕事」のためには、
人間の意志や感情が必須になる。

人間の、
人間による、
人間のための産業には、
なおさらのことだ。

言い逃れやその場しのぎ、
時間稼ぎだけの仕事で、
あってはならない。

では、みなさん、
今週も、よき仕事を。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2018年03月18日(日曜日)

日曜随想「花のしたにて春死なん」〈西行〉

平年や例年よりも早い今年の桜。

もしかしたら天の仕業。
早仕掛け、早仕舞い。
そして際の華やかさ。

一方、安倍内閣の支持率は、
各メディアの調査がうち揃って、
30%台前半で、過去最低。

安倍晋三夫妻の森友学園問題が、
近畿財務局の文書書き換え問題となって、
麻生太郎財務大臣に火の粉が飛んだ。

テレビで見る限りだが、
佐川宣寿前理財局長はもちろんのこと、
安倍晋三、麻生太郎、
残念ながら目が泳いでいる。

朝日新聞「天声人語」は西行の歌を引いた。
花を待つ心こそなほ昔なれ
春にはうとくなりにしものを

「桜を待つ気持ちは昔と変わらない。
それでも人の世の春に疎遠となるのは、
老いゆえである」

わきて見む
(おい)木は花も
あはれなり

今いくたびか
春にあふべき

「とりわけよく見よう。
老いた木の花にも風情がある。
あと何度の春に巡り合えるだろうか」

桜は切り口から腐りやすい。
「桜切るバカ、梅切らぬバカ」

桜と梅の剪定法の違い。

桜は幹や枝を切ると
そこから腐りやすくなるので、
切らないほうがよい。
梅は枝を切らないと、
むだな枝がついてしまうので、
切ったほうがよい。

何が桜で、何が梅か。
何を切って、何を切らぬか。
それが問題だ。

天声人語はなぜか、
桜の老いに向かうが、
西行の「山家集――春の章」は、
全173首のうち103首が桜の歌だ。
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春風の
花を散らすと
見る夢は

さめても胸の
さわぐなりけり

春風が花を散らしている夢は、
目覚めた後まで胸のときめきが続く。

桜にはそんな夢のようなときめきがある。

もっとも有名な歌。
願はくは
花のしたにて
春死なん

そのきさらぎの
望月の頃

「如月の望月のころ」は、
2月25日の満月の日。

現在の暦では3月末のころ。

大岡信さんが書いている。
「西行の熱愛した
桜の花盛りの時期に当たるが、
また釈迦入滅の日でもある。
出家の身として、
とりわけその日に死にたい
という願いをこめた歌だが、
驚いたことに、彼は願った通り、
河内の弘川寺で、
建久元年二月十六日に没した」

安倍晋三さんも、
麻生太郎さんも、
ちょっとだけでもいい、
老いや死について、
考えてみるといいのではないかな。

日経新聞「春秋」は、
円熟期の松尾芭蕉の句。

さまざまの事
おもひ出す桜かな
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さて日経新聞の昨日の「読書欄」
岩井克人さんの「半歩遅れの読書術」
『ヴェニスの商人の資本論』
『会社はこれからどうなるのか』
『会社はだれのものか』
どれもいい。

「目には目を、歯には歯を」
ハンムラビ法典にある言葉。
紀元前18世紀の古代バビロニアの法律。

岩井さんはシェークスピアの悲劇を読む。
「ロミオとジュリエット」

「ロミオはモンタギュー家の一人息子、
ジュリエットはキャピュレット家の一人娘。
両家は中世イタリア・ヴェローナ市の名門。
血で血を洗う抗争を繰り返してきた仇敵」

キャピュレット家の仮面舞踏会の日、
ロミオは一悶着起こそうと
仲間と一緒に忍び込む。
そこでジュリエットと出会い、
恋に落ちる。

オリビア・ハッセーの映画はよかった。
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「翌日2人は密かに結婚するが、
直後にロミオは喧嘩に巻き込まれ、
親友のマキューシオが
殺されたことに逆上し、
ジュリエットの従兄ティボルトを
斬り殺してしまう。
ロミオは追放令をうける」

両家の抗争は果てしなく続いていく。

「いくつかの行き違いの末、
ジュリエットはロミオが、
ロミオはジュリエットが
死んだと思い込み、
ともに自殺をしてしまう」

「その死に涙することによって
仇敵だった両家はようやく正気に返る」

実に的確に、簡潔に、
この物語を要約して、
岩井さんはハンムラビ法典の言葉を引く。

「目には目を、歯には歯を」の本当の意味。
「目を取られたら目のみ、
歯を取られたら歯のみ
取り返せ」

モンタギューとキャピュレットの抗争。
「いかにこの英知を実行に移すのが
困難であるかを象徴する。
一方が他方を侮辱すると、
他方が一方を傷つけ、
傷ついた一方が今度は他方を斬り殺す」

「目には目以上、歯には歯以上を
もとめる報復合戦はエスカレートし、
必ずや両者の破滅をもたらしてしまう」

「抗争の連鎖を断ち切る道はただ一つ。
両者が互いに
もっともかけがえのないものを
犠牲にしなければならない」

「知らずして、その可能性を
純粋かつ崇高な形で実現したのが、
ロミオとジュリエットの2人なのである」

最後に両家に和解が成立し、
「ロミオとジュリエット」の悲劇は終わる。

「だが、本を閉じ、現実に引き戻されると、
そこは果てしない抗争の世界が広がる」

キリスト教圏とイスラム教圏。
北朝鮮と韓国およびアメリカ合衆国。
ヨーロッパとロシア。
そのロシアと旧ソ連からの独立国。
日中関係、日韓関係。

様々な経済闘争。

「目には目を、歯には歯を」

「一見すると恐ろしい言葉。
私たちの悲劇は、私たち人類が
その英知にも達しえないことである」

だからこそ日本人は、
さまざまの事
おもひ出す桜かな

であるし、
花のしたにて春死なん
である。

〈結城義晴〉

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