結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
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2018年12月30日(日曜日)

日曜版【猫の目博物誌 その70】お節料理

猫の目で見る博物誌――。
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もうお正月がやってきます。
お正月にはお節料理。
五節句や五節会で供された料理です。

五節句(ごせっく)は、
季節の節目の行事。

人日(じんじつ)1月7日。
上巳(じょうし)3月3日、
端午(たんご)5月5日、
七夕(しちせき)7月7日。
そして重陽(ちょうよう)9月9日。

五節会(ごせちえ)は、
奈良時代から続く宮廷の行事。

元日(1月元旦)、
白馬(あおうま、1月7日)、
踏歌(とうか、1月16日)、
端午(5月5日)、
そして豊明(とよあかり、11月新嘗祭翌日)。

これらの節句や節会に料理が出された。
それが「御節料理」の始まり。

そのなかで一番ポピュラーになって、
庶民も楽しむようになったのが、
正月元旦の「お節料理」。

〈写真は紀文のおせち三段重〉紀文おせち

正月のお節料理には、台所を休ませ、
女性を家事から解放する意味があって、
私はそれが好きだ。

歴史と伝統があるから、
「おせち」には形式と分類が生まれた。

懐石料理と同じようなコース料理である。
第1に「祝い肴(三つ肴)」
第2に「口取り」
第3に「焼き物」
第4に「酢の物」
第5に「煮物、煮しめ」

祝い肴は主に関東と関西で異なる。
関東では黒豆、数の子、田作り、
関西では黒豆、数の子、たたきごぼう。

「黒豆」は、邪気払いの料理、
さらに黒く日焼けするほど、
マメに働けるようにとの願い。

「数の子」はニシンの腹子、
子孫繁栄を願う縁起物。

関東の「田作り」は、
カタクチイワシの稚魚を、
干して飴炊きにした料理。
カタクチイワシを肥料として使うと、
田畑が豊作になった。
ここから五穀豊穣を願う料理となった。

関西の「たたきごぼう」は、
地中深くに根が入っていくごぼうは、
家の基礎が堅牢であることを願う。

口取りは、かまぼこや伊達巻、きんとんなど。

「紅白かまぼこ」は、おめでたさを表す。
赤には魔除け、白には清浄の意味がある。

「伊達巻き」は、形が巻物に似ている。
知識が増えるように。

「きんとん」は漢字で「金団」、
金運を呼ぶ縁起物。

酢の物の代表は、「紅白なます」。
「水引」をかたどっている。
水引は祝儀・不祝儀の際に、
贈答品の包み紙などにかける帯紐。

平安や平和を願う意味。

焼き物はまず「鯛の姿焼き」。
恵比寿様が持つ魚として、
ハレの食卓の魚。
「めでたい」の語呂合わせもある。

それから「鰤(ぶり)の照り焼き」は、
出世魚で立身出世を願う。

「車海老艶煮(つやに)」は、長寿の願い。
エビは、腰が曲がる。
お年寄りのように、
腰が曲がるまで長生きを、との思い。

煮物では、「煮蛤(にはまぐり)」が、
左右の貝がピッタリ合って、
夫婦円満を願う。

「昆布巻き」は、
「よろこぶ」に通ずる料理。

「筑前煮」は土の中で根を張る根菜を煮る。
末永い幸せを願う料理。
レンコンは穴があるから見通しがきくし、
里芋は小芋をたくさんつけるから子孫繁栄。

これ以外にもお節料理には、
いわれや願いが込められている。

そのおせち料理は、重箱に詰める。
先の敗戦の後に定着してきた。

「幸せを重ねる」という意図がある。
正式な段数は四段とされる。

「三」は、完全な数を意味する。
その「三」の上にもう一段重ねた四段。
「一の重」「二の重」「三の重」と呼び、
「四」は「死」を連想させるから、
「与の重」と書く。

「一の重」には祝い肴と口取りを詰める。
「二の重」には 焼き物。
鯛や鰤、海老などの海の幸を詰める。
「三の重」には酢の物の紅白なますなど、
「与の重」には煮物。

「三段重」にする場合は、
一の重に祝い肴と口取り、
二の重に焼き物と酢の物、
三の重に煮物。

二段重の場合は、
一の重に祝い肴と口取りを詰め、
二の重に煮物を並べる。
残りは好みで振り分ける。

五段重もあるけれど、
その5番目は神様に捧げるとか。

重詰めの基本は、
一つのお重の品数は奇数とする。
日本では奇数が「吉」だからだ。
ちなみに中国では偶数が吉とされる。

詰め方には形式がある。
格子模様の「市松」、
円形を4分の1ずつ交差させた「七宝」、
さらに「八方」「段取」「升詰」「隅取」など。

最後にお節に関連した俳句。
「食積」(くいつみ)はお節料理のお重のこと。

重詰や隅に残りし蛸の足
〈村山故郷〉

昨今はタコも高くなったけれど、
ユーモアのある一句。

「食ひ倒れ」てふ大阪の重詰は
〈河本 和〉

大阪はお節も食い倒れ。

最後に巨匠も。
食積のほかにいささか鍋の物
〈高浜虚子〉

わかる、わかる。
今年はおでんです。

おせち料理、意味を知りつつ、
食べたいものです。
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でも今年のおとうさんは喪中で、
飾り立てたおせち料理はありません。
悪しからず。

(『猫の目博物誌』より by yuuki)

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