結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年05月28日(木曜日)

ドナルド・キーンの「二つの回答」と「不可解な謎」

今日はオンライン鼎談。
私は横浜商人舎オフィス。

いつものように車で出社。
そしてパソコンの前に座る。IMG_69470

ZOOMを使って、
竹垣吉彦さんと佐々木泰行さん。IMG_68870
執筆担当の亀谷しづえも加わって、
4人の座談会。

竹垣さんは現在、
㈱イオンファンタジー監査役。
佐々木さんは早稲田大学大学院主任研究員。

お二人とも財務や経営数値の専門家で、
今年の2月・3月決算と来年の決算に関して、
忌憚なく意見を交換した。

オフレコの部分もかなりあって、
実に面白い座談会だった。

6月号で掲載予定。

座談会や対談、鼎談。
私は大好きだ。

一人ひとりが考え方を披露するのが、
講演や原稿執筆。

その一人ひとりの知見を、
ぶつけ合って、
共同作業で新しい知見を得る。

それが座談会や対談・鼎談。

対談(たいだん)は二人でする。
音楽ではデュエット、あるいはデュオ。
三人は鼎談(ていだん)。
これはトリオ。

それ以上が座談会とすれば、
これがカルテットやクインテット。

どれも好きです。

一人でやるのはソロ。

かつての販売革新や食品商業で、
この座談会や対談・鼎談を多用した。

近年はずいぶん減ってきた。

故緒方知行編集長も、
結城義晴編集長も、
そのコーディネートが得意でした。

月刊誌は現在も、この手法をよく使う。
一般誌・文学誌、経済誌・経営誌、
スポーツ誌でも音楽誌でも、
面白い企画ができる。

私はどんな人とでも、
対談するし、鼎談する。

受けて立ちましょう。
どうぞ、名乗りを上げてください。
共同作業によって、
より良い成果をあげましょう。

さて、東京新聞巻頭コラム
「筆洗」

ドナルド・キーンさんの話。
米国出身の日本文学者。
昨年2月24日に逝去された。
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キーンさんは日本人から、
たびたび同じ質問を受けた。

「あなたは俳句を理解できますか」

俳句に精通するキーンさん。
実は二種類の回答を用意していた。

一つは、「無理ですね」

「日本で生まれていなければ、
俳句を理解できるはずはありません」

こう答えると聞いた人はうれしそうに、
「そうでしょうね」と相づちを打つ。

もう一つの答えは、
「もちろんです」

「俳句なんてそれほど
理解しにくいものではありません」

この答えだと日本人は、
「興ざめた顔をして、話題を変える」

コラムニスト。
「外国人には理解できない。
それが日本人にはうれしいらしい」
しかしこれは外国人も同じだが。

コラムニスト。
「国際社会で
日本の新型コロナ対策の評判が
上がっているそうだ」

「日本は、外国人には
“理解できない方法”によって
コロナ対策に成功したのではないか。
そう持ち上げられて
満足そうに相づちを打つ日本人の顔が
つい浮かぶ」

「検査体制は不十分。
強制力を伴う都市封鎖もできないのに
感染者数を抑制できたのが、
奇妙に見えるらしい」

しかし、
「検査体制、医療体制が
対応しきれなかった事実に
変わりはない」

同感だ。

朝日新聞DIGITAL。
「不可解な謎」

「当初は日本の検査体制や、
強制力のない緊急事態宣言の効果を
疑問視していた欧米メディアは、
現在の状況を驚きとともに伝えている」

東京新聞の筆洗と同じ。

米誌フォーリン・ポリシー。
「何から何まで間違っているように思える」
その上で、それでも現状を、
「不思議なことに、全てがいい方向に
向かっているように見える」

「中国から大勢の観光客を
受け入れてきたことを考えると、
この死者率の低さは奇跡に近い」
「日本がラッキーなだけなのか。
それとも優れた政策の成果なのか、
見極めるのは難しい」

オーストラリアの公共放送ABC。
「不可解な謎」と題した記事を配信。

イギリスのガーディアン紙。
「大惨事目前の状況から成功物語へ」の見出し。
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日本人の生活習慣が感染拡大を防いだとの見方。
⑴マスクを着用する習慣
⑵あいさつで握手やハグよりお辞儀をする習慣
⑶高い衛生意識
⑷家に靴をぬいで入る習慣など

これは妥当な指摘だと思う。

東京医科大学の浜田篤郎教授。
「日本人の清潔志向とマスク文化が、
第1波の抑え込みに一定の役割を
果たした可能性がある」

そういえば、このコロナ禍の前には、
マスク論争があった
このブログでも問題にした。

昨2019年12月26日。
イオンの「原則的にマスクをしないで接客する」方針の問題について

大晦日の12月31日のブログ。
「マスク論争」に結論出して[結城義晴の毎日更新宣言]終了します!

こんな論争も、
COVID-19パンデミックで吹っ飛んだが、
ガーディアン紙の指摘に戻ると、
⑶高い衛生意識
⑷家に靴をぬいで入る習慣
これが大きいと思う。

東京医大の浜田教授。
「第1波を免れた分、
第2波の拡大が懸念される」

「感染者が少なかったということは、
免疫を持つ人が少ないということ。
第1波より感染者が増える可能性がある」

これもその通り。

PCR検査数の少なさについては、
「やらなかったのではなく、
できなかった」

「第2波が来るまでに
患者の収容体制などを整え、
検査数を増やせるよう
準備しておく必要がある」

これも同感。

だから私たちはキーンさんのように、
二つの回答を用意しておくべきだ。

日本人の良さを自覚しつつ、
足りないところは補っておく。

そのために、
人事を尽くして、
天命を待つ。

最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

対談も鼎談も座談会も、
この複数回答につながる方法論である。

〈結城義晴〉

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