結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年05月16日(土曜日)

レナウン・JCペニーの倒産と「失われた5年」再びか?

㈱レナウンが民事再生法適用申請。
2020年5月15日金曜日。

個人的な趣味の話で恐縮だが、
私はアクアスキュータムが好きで、
スーツやコートなど現在はほとんど、
このaqua(水)とscutum(盾)のブランドだ。
akuasukyu-tamu
レナウンはこの英国ブランドを、
バブル崩壊の1990年に買収し、
リーマン・ショックの2008年に売却した。

1990年代まで長らく、
日本のアパレルの王者だったレナウン。

それどころか、
世界最大のアパレル企業だった。

しかし2019年12月決算で、
年商502億6200万円、
経常損失は77億9500万円。

よくあることだが、決算期を、
2月から12月に変更したため、
最新決算は10カ月分となる。
換算すれば現在は、
ほぼ600億円の年商か。

日本経済新聞は一面トップで、
このニュースを扱った。

しかし編集委員の田中陽さんが、
日経電子版の「Nikkei Views」に、
本質を的確に書いてくれている。
「レナウン経営破綻」

サブタイトルが、
「社長”不在”、四半世紀の悲劇」

「レナウンには四半世紀にわたり、
“社長不在”とも言える経営が
行われていた。
移り変わりが激しい
ファッション業界の中で、
時代に即した決断をしてこなかった」

つまりトップマネジメントの問題。
意外かもしれないがアパレル産業は、
食品産業以上に、
トップのリーダーシップが問われる。

田中さんの第2の指摘は、
「蜜月関係にある百貨店との取引」

「レナウンの主要な販路は百貨店で、
百貨店の成長と共に
レナウンも大きくなる構図。
両者はコインの表と裏の関係に
例えられることもあった」

日本の百貨店は不動産業のようなものだ。
その百貨店を主たる売場とすれば、
大家の百貨店が衰退したら、
店子のテナントも衰微する。

そのかわりにユニクロが伸びた。

それにしても、
コロナ禍による初の上場企業の倒産だ。
「コロナは時間を早める」
N

一方、商人舎流通スーパーニュース。
JCペニーnews|
新型コロナ感染拡大が引き金で連邦破産法11条申請
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こちらも15日の金曜日に、
チャプター11適用申請。

1990年くらいまで、
シアーズと並んで両雄と言われた。

アメリカ人はデパートメントストアと見る。
日本の流通関係者はGMSと呼ぶ。
ゼネラルマーチャンダイズストア。

米国商業センサスの分類では、
ディスカウントデパートメントストア。
少なくとも米国におけるJCペニーは、
こちらが正しい分類だ。

そしてJCペニーの倒産も、
直接の原因はCOVID-19にある。

しかし本質はやはり業態の衰退である。
社会的な役割が喪失してしまった。

ウォルマートにとられた。
ターゲットにとられた。
アマゾンにとられた。
マクネア教授の「小売りの輪」仮説の、
原理通りとなった。

なんとか生きながらえていたが、
「コロナは時間を早める」
H

日経新聞の経済コラム「大機小機」
「失われた5年」再びか
コラムニストは「神羊」と名乗る。
「神の子羊」はイエス・キリストのこと。
どうもネーミングに不遜なところがある。

「感染拡大が収束すれば、
経済活動はただちに正常化する」
こんな楽観論は影を潜めた。

コラムニストは、
2008年のリーマン・ショックと、
2020年のコロナショック。
その共通点を考察する。

そして再び、
「失われた5年に見舞われる」と、
悲観的な見方を提示する。

「経済が元の姿に戻るまでに
かなりの時間がかかる」と言って、
その3つの要因をあげる。

第1は、人々の行動様式が、
変わってしまうこと。
他人との物理的な距離を空ける、
多くの人が集まる場所に行かない、
といった行動は、感染収束後も長く続き、
人々の行動様式に根付いていくだろう。

第2に、
「ペントアップデマンド」がないこと。
これは証券業界の用語で、
景気後退期に一時的に、
購買行動を控えていた消費者の需要が、
景気回復期に一気に回復すること。

コラムニストは証券業界人かもしれない。

今回最も大きな打撃を受けているのは、
エンターテインメントや外食のような
サービス消費である。

この分野では、
「自粛期間中に失われた消費は、
永久に戻ってこないのである」と、
コラムニスト。

第3に、「失業、労働時間短縮などで、
所得が減った労働者は消費を切り詰め、
それによって売り上げが減った企業は、
さらに生産の縮小を余儀なくされる」

「つまり、需要と供給とが
スパイラル(相乗)的に悪化する
局面に陥りかねないのである」

「さらに、失業率は
来年には6%台と戦後最悪になる」

「向こう5年間の経済の需給関係は、
コロナの後遺症から年平均で
4.5%下振れすると見込まれる」

「これは消費者物価上昇率を
毎年平均で1.1%程度下振れさせる」

つまりデフレ基調である。

「その結果、金融政策の正常化は遠のき、
超低金利環境のさらなる長期化は必至だ」

これは妥当な見方だ。

「コロナショックは、
経済・金融環境に対して、
一時的にとどまらない
大きな構造変化を
もたらしてしまうのである」

もちろん大きな構造変革は起こる。
それもスピーディーに。
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神の羊氏に反論しよう。
第1に、
人々の行動様式が変われば、
そこに新たなニーズが生まれる。
それを捉えることこそ経済活動である。
必ず成果は生まれる。

第2に、
ペントアップデマンドも、
小売りサービス業の世界では、
必ず上乗せが行われる。

「元に戻る」ことばかり考えていれば、
それは5年も低迷が続くかもしれない。
しかし新しい局面に入ると考えれば、
「永遠に戻ってこない」ことはない。

第3に、
消費の切りつめや節約志向は、
しばらく続くだろうが、
それはいわば、
当たり前の賢い消費行動だ。

バブルに沸くことはないだろうが、
人々は安定した生活を望むようになる。

そのことに対して、
「コロナは時間を早める」

悪いものはどんどん淘汰され、
良いものがますます革新される。

貨幣経済よりも、
実体経済が重視されてくる。

私はそう信じている。

〈結城義晴〉

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