結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年05月21日(木曜日)

スーパーマーケットとコンビニの差異と「在庫は炭鉱のカナリア」

緊急事態宣言。
関西の3府県で解除された。

大阪も兵庫も京都も、
府民・県民がよく頑張った。
地方行政も健闘した。
知事たちも貢献した。
吉村洋文大阪府知事は大活躍した。
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しかし、コロナとの闘いは、
まだまだ続く。

3月16日のこのブログで書いた。
最善の経済対策は
「感染致死率抑制」と
新型コロナとの「共生」

「感染拡大のスピードと
致死率を下げる努力をしながら
共存するしかない」

山本太郎長崎大学教授。
名著『感染症と文明』
サブタイトルは「共生への道」
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COVID-19との関係は、
決して「静的」なものではなく、
危うい「動的な平衡状態」である。

日経新聞まで、
「ウィズ・コロナ」という言葉を使うが、
新型コロナと仲良く手をつないで、
生きていくのではない。
かといって撲滅もできない。

「危うい動的平衡状態」であることを、
しっかりと認識しておかねばならない。

感染症は変異し続ける。

そして5月18日のこのブログでは、
ハーバード大学提言の
「命も経済も」の二兎戦略の意味
HARVARD-UNIVERSITY

都市封鎖や緊急事態宣言と、
その段階的緩和を、
何度も何度も繰り返す作戦。
これでは経済は徐々に衰弱していく。

いわば消極的なシナリオだ。

それよりも、
日常生活に必要な産業から、
順番に経済活動を活発にしていく。
金が儲かる産業から順に、
投資活動が進んだ時代とは違ってくる。

私の考え方は今、ここに至る。
だから小売産業、流通産業、
消費産業は重大な社会的責任を負う。

21世紀は日常生活に必須の産業の時代だ。
そのサプライチェーンマネジメントの時代だ。

㈱商人舎の発足の会は、
2008年4月17日だった。

もう12年が過ぎた。

その発足の会の記念講演で、
私は4時間の講義をした。

タイトルは、
「小売流通サービス業が
21世紀の日本を救う」

0185
コロナパンデミックの時代は、
まさにそれだ。

阪神淡路大震災を凌駕するものが、
やって来るとは考えたくはなかった。

しかし2011年3月11日には、
東日本大震災が起こった。

1918年のスペイン風邪を超えるものが、
この世界に訪れるなど、
夢にも思わなかった。

しかし今、COVID-19パンデミック。

そんな有事のときにはいつも、
小売りサービス業が日本を救う。

私は予言者ではないし、
ドラッカーは予言をするな、
と言い残している。

44年間、小売りサービス業を、
毎日毎日、モニタリングしてきて、
それは私の確信となった。

さて、その小売業の4月の統計が出ている。
商人舎流通SuperNews。
4月スーパーマーケット統計|
既存店10.7%増/総売上高9830億円

スーパーマーケット3協会の、
会員企業270社の集計だ。

既存店ベースの前年同月比は110.7%。
英語ではComparableと表現する。
比較可能なデータである。

それが1割増。

緊急事態宣言による、
ネスティング(巣ごもり)の結果である。

4月は3月に引き続いて、
全国の小・中・高校が一斉休校となった。
4月7日にはまず7都府県を対象として、
緊急事態宣言が発令された。
16日にはそれが全都道府県に拡大された。

スーパーマーケットの需要は、
押し上げられた。

日配食品や加工食品、
日用品の一部カテゴリーでは、
店頭の品切れが続出した。

一方で、惣菜の既存店販売額は、
対前年比95.3%と落ち込んだ。

2013年5月31日のブログ。
超一流づくめの
ハーバード・リテール教室
「在庫は炭鉱のカナリア」

ハーバード大学の小売業研究の権威、
アナンス・ラーマン教授と、
結城義晴は共演した。
20130531234909

この講演会でラーマン教授は強調した。
「在庫生産性は炭鉱のカナリア」

小売業は在庫を価値とみなし過ぎる。
事業生産性の向上のためには、
適切な在庫コントロールと、
それによるサプライチェーンマネジメントが必要だ。

複雑化する小売業において
アートとサイエンスを組み合わせた
オペレーション管理が、
一層重要である。

現コロナ禍でこそ、
アートとサイエンスの組み合わせは、
必須である。

一方、
4月コンビニ統計|
既存店前年比10.6%減/外出自粛で客数2割減

こちらは一般社団法人の、
日本フランチャイズチェーン協会調査。
㈱セブン-イレブン・ジャパン、
㈱ファミリーマート、
㈱ローソン、
ミニストップ㈱、
㈱セイコーマート、㈱ポプラ、
山崎製パン㈱デイリーヤマザキ事業統括本部。
いまや7社の統計が全体像を示す。

その4月のコンビニ既存店売上高。
前年同月比10.6%減。

来店客数18.4%減、
客単価は9.5%増。
とは言っても客単価は688.3円だ。

新型コロナ感染症拡大は、
スーパーマーケットに特需を生む。
だがコンビニには逆風となった。
セブンーイレブンが5.0%減、
ファミリーマートが14.8%減、
ローソンが11.5%減。

品揃えと価格。

両業態の差異が、
この1割ずつの明暗となった。

5月も6月も、この傾向は続く。

「在庫生産性は炭鉱のカナリア」である。

そして、
小売流通サービス業が、
21世紀の日本を救う。

〈結城義晴〉

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