結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2014年05月31日(土曜日)

消費増税後の物価上昇と値上げに、国民は賢く対応しよく耐えた。

2014年5月最後の日。
今年に入って、
まるまる5カ月が経過する。

5月はラスベガスへ行った。
商人舎USA視察研修会Basicコース。

次は9月上旬のハワイ入門コース。
まったくの初心者に、
アメリカ小売業のロマンやビジョン、
楽しさや豊かさを伝授します。

遡ると4月は台湾とヨーロッパ。
ロンドンとバルセロナ。
新しく得るものが、
膨大で深淵だった。

6月は中国に向かう。

そして7月には二度、
アメリカへわたって、
駆けずり回る。

昨日、月刊『商人舎』6月号を責了して、
今日は一路、山梨県甲府へ

JR横浜線で八王子まで。
それから特急あづさ。
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中央線沿線は万緑につつまれる。
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1時間ほどで、甲府盆地が見えてくる。
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靄っているが、私はこの景色大好き。
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そして甲府到着。
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駅前の武田信玄像の前で。
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流通団地内の流通会館で、
包装資材商社㈱オオキの社内研修。
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オオキ社長の大木勝志さんは、
山梨県の商業界同友会の重鎮。

㈱商業界社長時代から私は、
ずっと交流があって、
この社内研修をお引き受けしている。
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テーマは、
「パラダイムの転換と商業界精神」

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変えてはならないことと、
変えねばならないこと。
それを語るのが、今日の趣旨。
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商業界の故倉本長治主幹、
『商売十訓』を唱えた。
その第一訓は、
「損得より先に善悪を考えよう」
第二訓は、
「創意を尊びつつ良いことは真似よ」

前者は、変えてはならないことの真髄。
後者は、変えるための真理。
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20世紀の商売のパラダイムと、
21世紀ビジネスのパラダイム。

イトーヨーカ堂の社是は、
「基本の徹底と変化への対応」。

サービスとホスピタリティ。

そういった対極にあることを、
体内化し、その振幅をつくる。

武田信玄公の言葉に、ある。
「甘柿も渋柿も、ともに役立てよ」
甘柿と渋柿が社内には必要だ。
その両極があって、
さらに両極が融合して、
ひとつの方向に向かって仕事を進める。

それが現代の商業界精神。
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時間はちょっとオーバーしたが、
2時間ちかく、一気に語った。

オオキの皆さんの、
聞く姿勢が変わって来た。
それが今日の実感だった。
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社内にイノベーションが起こっている。
それを実感して、私は嬉しかった。

ご清聴を、感謝したい。
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さて今日の日経新聞は、
消費増税後の景気動向を探る記事ばかり。

増税1カ月後の景気指標が出そろったからだ。

まず経済産業省の4月の鉱工業生産指数
2010年を100として、季節調整値を出すが、
速報値は99.6。

増税前の3月と比べて、2.5%ダウン。
99.6の指数値は昨年11月と同じ。

住宅市場は、増税前の駆け込み需要の反動。
国土交通省の4月新設住宅着工戸数は、
前年同月比マイナス3.3%。

しかし、1997年4月の消費増税時は、
マイナス9.3%で、
これと比べると減少率が小さい。

一方、4月の家計調査の個人消費。
前年同月に比べてマイナス4.6%。
しかし97年4月はマイナス1.0%だった。

今回、増税直後の落ち込みは大きい。

ニトリの5月の既存店売上高は、
前年同月比マイナス7.5%。
しかし、当初の想定と比べると、
「減少幅は小さい」。

4月の商業販売統計。
コンビニ売上高は全店ベースで
前年同月比4.2%増。

「個人消費には濃淡」があって、
「まだら模様」を呈する。

当然のことだ。

すべてが好況、
あるいはほとんどが不況。
そんなことは今後起こりにくい。

これは好調で、これは不調。

攻撃はいいが、守備が悪い。
ショットはいいが、パットが悪い。

惣菜はいいが、生鮮は悪い。
生鮮はいいが、グロサリーは悪い。

そういったまだら模様が、
企業によって、店によって、
異なる。

現在の消費は、
十人十色でなく、
一人十色。

かつては、
十人一色だった。

だから「まだら模様」。
一方、物価は、
消費増税後に大きく上がった。

4月の全国消費者物価指数は、
前年同月比プラス3.2%。

消費増税は当然ながら物価を上げる。

日銀は予測していた。
消費増税の消費者物価上昇効果は、
1.7ポイントと。

だから4月の実質上昇率3.2%から、
1.7ポイント差し引くと、1.5%の上昇。

増税前の3月の上昇率1.3%と比べると、
増税なしでも物価は0.2ポイント上昇。

中小企業庁の5月調査。
消費増税の価格転嫁状況。
「すべて転嫁できている」の回答は、
消費者向けの取引で75%。

4月調査より2.9ポイント上昇。
「前回の増税時よりも転嫁の動きが早い」。

つまり増税分の価格転嫁は、
順調に進んだ。

そこで食品・日用品製造業各社は今夏、
原料価格上昇などに対応して
相次ぎ値上げに踏み切る。

消費はまだら模様。
しかし夏にはさらに、
値上げが敢行される。

政府と日銀は、
インフレターゲット論に立脚し、
物価を引き上げようとしている。
それが経済振興に役立つという考え方。

そして消費増税は、
それほど物価や消費を下げなかったと、
さまざまな行政府を通じて広報している。

日経新聞が、
それを伝えている。

しかし消費者から見ると、
同じものを同じ量、買っても、
消費増税で出費は増える。

物価が上昇すれば、
出費はさらに増える。


国民はこの5月、
賢く対応し、
よく耐えた。

小売流通業は、
そのことを強く、
意識しなければならない。

損得より先に善悪を考えよう。
そのために、
創意を尊び良いことは真似よ。

良い週末を。

〈結城義晴〉


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