結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年08月23日(火曜日)

石原靖曠先生来訪・岩崎弥太郎「おかめの面」・大村智「研究の経営」

トリプル台風来襲。

毎日新聞巻頭コラム『余禄』が、
「五輪台風」をとりあげた。

「五つの台風が
日本列島を囲むように並んだ
空前絶後の天気図」

56年前の今日、8月23日に発生。

ちょうどローマ五輪が開催されていた。

台風14号はBess、15号はCarmen、
16はDella、17号はElaine、
そして台風18号はFayeと名づけられた。

日本列島を襲ったトリプル台風のうち、
9号・11号は北海道に大雨を降らせて去った。

しかし、このホームページの、
2週間天気予報のページに、
常盤勝美さんが【緊急号外】を寄せてくれた。
台風10号上陸の可能性高まる!

まだまだ、予断は許されない。
しかし関東は一応、台風一過の快晴。

横浜商人舎オフィスを、
石原靖曠先生がご訪問くださった。DSCN8342-6

㈱スペシャリティ研究所代表取締役。
商業界リテールマネジメントスクール校長。
DSCN7609-6
今年、傘寿を迎えられたが、
とても80歳には見えない。

ピンクのポロシャツに
ピンクのストローハット、
イエローのパンツ。
コンビのシューズ。
若いし、お洒落。

自らポルシェを運転して、
函館までツーリングされたそうだ。DSCN8348-6
私は1977年の㈱商業界入社と同時に、
石原先生には大変、お世話になった。
そのころの私は、
本物のジャーナリストのことばかり考えていた。

石原先生は、
ノンフーズ分野の圧倒的第一人者で、
とくにホームセンター、ドラッグストア、
さらにスーパーセンター開発の指導は、
群を抜いた。

最近は商業界精神の伝道者の役割も担われて、
なくてはならない先生だ。

もちろん米国チェーンストアの専門家。
カリフォルニアのパームデザートに、
家を買って、1年に150日ほど滞在。
現地研究は10年におよんだ。

今日は懐かしい話などしながら、
その石原先生のインタビュー。

先生の著書を持ち出して、
解説してもらったりした。DSCN8351-6

月刊商人舎9月号に、ご登場いただく。DSCN8359-6
乞う! ご期待。

インタビューのあとは、
野田岩で鰻の白焼きと鰻重。

今度は、業界のこと、
亡くなった人々のこと、
商業界の社長時代の話など、
聞いてもらって、
なんだか気分が安らいだ。

私は㈱商業界の経営を担ったこと、
その根本的再生に取り組んだこと、
㈱商人舎を興したことを誇りにしている。

石原先生には、
わかってもらった気がした。

さて日経新聞の巻頭コラム『春秋』は、
岩崎弥太郎の話。
ご存知、三菱グループ創始者。

明治7年、東京・茅場町に事業の本拠を移すと、
「店頭に『おかめ』の面を掲げた」

「いつもこの面を見ることで
店員も穏やかな顔つきに変わり、
客に笑顔で接するようになってほしい」
弥太郎はそう考えた。

店を訪れた福沢諭吉。
「岩崎氏は商売がわかっている」

「店員は岩崎の郷里の土佐で
武士だった者が多かった」

いわゆる武士の商法。

「船で荷物を運んでほしいと頼みにきた客に、
いかにも載せてやるといったふうの
横柄な態度が目立ったらしい」

そこで「腰を低く愛想良く、
と言い聞かせるためのアイデアが
おかめの面というわけだ」

コラムは人型ロボットの接客へと話を移して、
「武士出身の店員よりよほど商人らしい」

私は動いて話すロボットよりも、
無言の「おかめ」の面のほうが、
商売や経営の機微をとらえていると思うが。

日経新聞最終面『私の履歴書』
今月は大村智さん。
北里大学特別栄誉教授で、
2015年ノーベル生理学・医学賞受賞。

北里研究所に入って、
天然物化学分野の研究に従事。
アベルメクチンを発見し、
それを基にイベルメクチンを開発。

イベルメクチンは抗寄生虫薬として活用され、
寄生虫感染症の治療法が確立された。

研究者としても超一流だが、
北里研究所副所長、所長を歴任し、
研究所の財政再建に尽力。

今日はちょうどそのあたりの話。

「研究者の多くは大学の仕事を兼務し、
研究所の実体はほとんどなくなっていた」

当時、流行っていたのが、
「経営を研究する」こと。
しかし大村さんは、
「研究を経営する」と言った。

4つの要素から、
「北里研究所の経営」を考えた。
①研究のアイデア
②そのための資金導入
③人材育成
④得られた成果の社会還元

「経営や財務は
まったくの素人だったので
専門書を読みあさった」

それだけでは当然、足りない。

税務の専門家の井上隆司さん、
日本興業銀行副総裁だった二宮善基さん、
東京海上火災保険社長だった渡辺文夫さん。
スペシャリストから直接、学んだ。

勉強を重ねたうえで、
北里研究所の財務諸表をじっくり調べた。

「気が狂うかと思うほど大変だったが、
とんでもない赤字で
倒産してもおかしくない状態」だった。

大村さんは決意する。
「自分が経営者としてやっていく」

「研究所の副所長に手を挙げ、
大学教授を辞めることにした」

「経営の研究」をする教授は多いが、
「研究の経営」をする学者は少ない。

岩崎弥太郎の「おかめの面」は、
商売や経営には必須だ。

大村智の「研究の経営」も、
もちろん経営には必須だ。

「経営の研究」では、
経営はできない。

〈結城義晴〉


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