結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年01月30日(水曜日)

川野幸夫「中小企業線引き」発言とDMS新春政策セミナー講演

日経新聞が単独インタビュー。
カルロス・ゴーン容疑者。
日産自動車元会長。

〈徳間書店刊『ゴーン・ショック!』〉
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勾留先の東京拘置所。
約20分間の英語でのやり取りは、
逮捕後初のマスコミ発言だった。

ちょっと意外な気がするが裁判所は、
家族や事件関係者の面会を禁じているが、
それ以外の一般の面会は禁止していない。
日経は本人の同意を得て面会した。

「なぜ勾留が続いているのか理解できない」
「証拠は日産がすべて持っている。
どうやって証拠隠滅できるのか」

「私は逃げない。
しっかりと(法廷で)自分を弁護する」

日産の社内調査に対しては、
「策略で反逆だ」

健康状態は、「大丈夫だ」

現在の自らの状況について、
「人生山あり谷ありだ」

同感。

一方、朝日新聞は、今日、
川野幸夫さんの単独インタビュー。
日本スーパーマーケット協会会長、
㈱ヤオコー会長。
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消費増税の際に、
政府が進めるポイント還元策に対して、
川野さんは懸念を表明した。
「流通業界も消費者も混乱に陥る」

ポイント還元策に反対する姿勢は、
すでに明らかにされている。
「対象になる中小企業の範囲を
限定的にするよう経済産業省に求めていく」

この「ポイント還元策」は増税後9カ月間、
キャッシュレス決済で購買すると、
中小小売業の買物客には、
国の負担で還元される。
⑴独立系中小小売店では購入額の原則5%分
⑵コンビニ加盟などの中小小売店では2%分

だが大手小売業の直営店は還元策の対象外。

日本スーパーマーケット協会と、
日本チェーンストア協会、
日本チェーンドラッグストア協会。
3団体は昨年末、経産省に要望した。
「ポイント還元策の撤回」を含めた見直し。

特に「中小企業の線引き」を、
問題視する。

ここで基準になるのが、
中小企業基本法だ。

同法が小売業の中小企業を規定する。
「資本金の額又は出資の総額が5千万円以下
又は従業員50人以下」

経産省の現時点の説明。
「同法の定義を基本に、
ほかの要件を設けるかどうか検討中。
年度内の早い段階で決めたい」

同法の定義のままならば、
資本金5千万円以下の大企業が対象に入る。
ヨドバシカメラ、スギ薬局、
さらにファーストリテイリングのGUなど。

ポリティカル・マーチャントの川野さん。
「中小企業とは呼べないような企業まで
対象となり健全な競争環境が破壊される。
年間売上高を要件に加えるべきだ」

「個人的には」と断ったうえで、
「10億円以下での線引きが
現実に即していると思う」

さらに「価格競争が激しくなり、
結果的に中小の小売業者が
困ることになりかねない」

「混乱が商品を納入するメーカーを含む
サプライチェーン全体に広がる」

「メーカーに
価格を下げるよう求める圧力が
一部で出てくるだろう」

これはポリティカルな発言だ。

川野さんのヤオコーも対抗策を検討中。
5%の割り引きセールやポイント還元など。
結局は自社が原資を負担して、
こういった対抗策を実施することになる。

消費増税に絡んで、
さまざまな弥縫策が出される。
まさに弥縫策で、
ほころびだらけだ。

これでは公正な競争原理が働かず、
日本経済全体にとっても、
混乱は極まるばかりだ。

消費税10%への引き上げはいいと思う。
きっぱりと、それだけでいい。

消費増税を政治や選挙対策に、
利用すべきではない。

あくまでも、
全体最適を目指すべきだ。

さて今日は、東京・九段下。
ホテルグランドパレス。Hotel_Grand_Palace_019

第185回DMS定例会。
ドラッグストアMD研究会。
新春政策セミナー。DSCN74269

ドラッグストア業界の老舗の研究会。
DSCN73709

冒頭に研究会会長の挨拶。DSCN73729

石田岳彦さん。
ウエルシア薬局㈱取締役副社長。DSCN73739

その後、特別講演。DSCN73769

まず、
結城義晴。
テーマは、
「流通業のすでに起こった未来」
それをドラッグストアに向けて語る。DSCN73799

ピーター・ドラッカーは言う。
「すでに起こった未来は、
体系的に見つけることができる」DSCN73879

アメリカのドラッグストアは、
2社によってリードされている。
すなわち「複占」状態だ。
ウォルグリーンブーツアライアンスと、
CVSヘルス。

ウォルグリーンはクローガーと、
ネットビジネスで協業し、
CVSヘルスはターゲットと同盟する。
さらにCVSケアマークは、
ウォルマートのPBMを担当する。
PBMは薬剤給付管理会社のこと。

アメリカでは巨大チェーンが、
業態ごとに複占となり、
その巨大チェーン同士が同盟を結ぶ。

もちろん、時間を経て、
この現象が起こってきた。

それを日本における、
「すでに起こった未来」と考えるか。DSCN74009

今、絶好調のドラッグストア業界だけに、
こういったものの見方に応じて、
さまざまな考察をしてくれるかどうか。

それでも私は「すでに起こった未来」を、
多角的に例証していった。DSCN74169
ご清聴を感謝したい。

私の後の講演は、
今西信幸さん。
チェーンドラッグストア協会事務総長。
そう、故宗像守さんの後任。DSCN74219
テーマは、
「ドラッグストア業界、
10兆円産業化への道」

さらに「ドラッグストアに期待される役割」DSCN74229

椎名敏也さんが講演。
㈱日本リテイル研究所代表。
椎名さんも宗像守さんの後任。DSCN74249

この後、AとBに分かれて、
分科会が開催され、
最後に意見交換会。

「宗像守お別れの会」は、
昨年7月31日に同じホテルで開催された。DSCN74259
私は自分の講演の始まりと終わりに、
宗像さんへの哀悼の意を表した。

合掌して、1日を終えた。

〈結城義晴〉


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