結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年08月28日(土曜日)

安倍晋三首相退任後1年間のコミュニケーション

昨年の今日、8月28日。
安倍晋三前首相が辞意表明。

ああ、あれから1年か。

この1年間、
COVID-19パンデミックが、
ここまで来るとは、
誰が予想しただろうか。

その間、菅義偉新首相が担って、
ここまで来てしまった。

どう受け取るかは、
個人によって差がある。

しかし世界がここまで来て、
日本もここまで来た。

1年前の安倍総理退任記者会見。
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質疑応答の最後の方で、
ジャーナリストの神保哲生氏が、
「安倍政権のメディア対策」と、
「政権のメディアとの関係のもち方」に関して、
鋭く質問した。

1年前が思い出される。

質問の主旨を簡単にまとめると、
事前に質問を提出させて、
それにあらかじめ答えを用意して、
メモを読みながら、
その質問にだけ答える記者会見を、
安倍晋三首相自身はいいと思うか。

正面からの答えは得られなかったが、
菅政権になってこの1年間、
この神保氏の指摘した点は、
さらにひどくなった。

最近の記者会見は、
見ていられない、
聞いていられない。

首相官邸側も、
記者もジャーナリストも、
ともに劣化が激しい。

結果として、
国民に真実が伝わらない。

戦後の総理大臣として、
大平正芳第68代・69代首相は、
秀逸だったと思う。

辻井喬著『茜色の空』で描かれる。
辻井はセゾン総帥の堤清二さんのペンネーム。
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大平は読書家でクリスチャン。
「戦後政界指折りの知性派」だった。

故田中角栄64代・65代首相は評した。
「大平君は政治家というよりは
宗教家だねえ、哲学者だねえ」

人間の知的活動にも学術・学問にも、
大平は終生、畏敬の念を抱いた。

演説や国会答弁、記者会見の場で、
「あー、うー」と前置きをした。
そこで「アーウー宰相」と言われた。

子どもたちまで「あー、うー」と真似をした。

しかし大平は頭の回転が早く、
発言も論理的だった。

「あー、うー」以降は早口でもあった。

その「あー、うー」のあとは、
乱れなく、見事な文章となっていた。

早野透著『田中角栄』で、
角栄が大平を評価しつつ、
記者たちを説教している。
「アーウーを省けば
みごとな文語文になっているんだぜ。
君らの話を文章にしてみろ。
話があちこち飛んで
火星人のように何をしゃべっているのか
分からんぞ」
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大平正芳や田中角栄。
彼らと競い合った福田赳夫や三木武夫も、
そして同時代の安倍晋太郎も、
自分の頭で考え、
自分の言葉で語った。

自分の戦略があり、
自分の政策があり、
だから自分の言葉があった。

それがこのところ消えた。

経営者にも実務家にも、
リーダーと呼ばれる人たちには、
必須の心構えであり、能力だろう。

毎日、毎時、毎分、毎秒、
考えに考え、考え抜いていれば、
自分の考えが固まる。
そして自分の言葉が出てくる。

自分の頭で考え、
自分の言葉で語る。

私も講義のときにいつも言う。
「結城先生の言葉を、
君たちがなぞっても、
説得力がない。
自分の言葉に置き換えて、
自分の事例を盛り込んで、
周りの人や上司、部下に語る。
それができて初めて、
その内容がわかったということだ」

安倍首相退任から1年して、
そんなことを思った。

演説も答弁も会見も、
そして会議での発言も、
毎日の店舗や部署での朝礼も、
コミュニケーションである。

ピーター・ドラッカーは、
教えてくれる。

コミュニケーションには4つの基本がある。
その第1が「知覚」。
知覚とは理解し、納得すること。
理解させ、納得させること。

だから、
コミュニケーションを成立させるものは、
受け手である。

コミュニケーションを成立させるのは、
その内容を発する者ではない。
聴く者がいなければ、
コミュニケーションは成り立たない。

故佐藤栄作首相の最後の記者会見は、
怒った首相が会場から記者を全員追い払って、
たった一人、テレビカメラに向かって語った。
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その場の受け手は誰もいなくなった。
カメラの向こうの視聴者だけとなって、
無残な姿が残った。

佐藤も最後に感情的になった。
それはコミュニケーションにとって、
大きなマイナスである。

ドラッカーの言う第2は、
「コミュニケーションは期待である」

「われわれは、
期待しているものだけを知覚する。
期待していないものは
受けつけられることさえない」

したがって、
「期待されているものが何かを
知らなければならない」

「期待するものを知って、初めて、
その期待を利用することができる」

第3に、
「コミュニケーションは要求である」

「従って、何かをしたいという
受け手の気持ちに訴えることが
何よりも重要である」

大平や田中は、
受け手である記者や国民の、
気持ちに訴えることができた。
大平はあくまで知的に論理的に、
田中は一流のわかりやすさと熱で。

最後にドラッカーは教える。
「情報とコミュニケーションとは
別物である」

現菅義偉首相の記者会見は、
書かれた情報の伝達である。

残念ながら「知覚」がない。
コミュニケーションがない。

それは本人にとって、
不本意なはずである。

記者やジャーナリストにとって、
国民にとって、
ひどく不幸なことである。

そうして1年が過ぎた。

自民党総裁選挙、
そのあとの衆議院選挙を経て、
このコミュニケーション不在の日本は、
あるべき姿を取り戻すことができるのか。

政治がコミュニケーション不在となると、
実業界までその傾向が伝染してこないか。

杞憂に終わればいいのだが。

〈結城義晴〉

2021年08月27日(金曜日)

オリックス宮内義彦の「ポストコロナ」と「コロナ敗戦」の検証

何も書くことがない日がある。

小林一茶など手に取る。

大の字に寝て涼しさよ淋しさよ
〈文化十年〉
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そろそろ夏も終わる。
今年の夏の最後のあがきのように、
猛暑日が続く。

それでも夏の終わりの淋しさよ。

日本経済新聞電子版「経営者ブログ」
宮内義彦さん。
オリックスシニア・チェアマン。
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ソフトな語り口ながら、
実に手厳しい。

今日のテーマは、
「コロナ敗戦」の検証、
政治の責任で

新型コロナウイルス感染症は今後、
「半年から1年くらいかけて、
世間はゆっくり落ち着きを
取り戻していくのではないか」

きっと、そうだろう。

動的均衡のなかで、
コロナと共生していく。
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宮内さんの読み。
「コロナ終息後には
世界で空前の消費ブームが
起きているかもしれません」

コロナ禍前とは異なる、
空前の消費ブーム。

イギリスは共生を目指して、
経済再開を決めている。

「日本は例によって、
前後左右の国々を見、
世論の動向に気を配り、
最も慎重な政策をとるように思います」

残念なことではあるが、同感。

二つ目の視点。
新型コロナをきっかけに浮き彫りになった、
日本の社会システムの欠点。

「欠点は何か、どこかを、
具体的に検証した上でなければ
次に備えて変えるべきものが判りません」

まず一つ目の指摘。
「新型コロナ禍のような非常時には
中央集権的に物事を進める」

非常時と平常時は、
組織マネジメントは異なる。

「しかし今回も縦割りで、
厚生労働省のキャパシティーの中で
取り組もうとしていた」

「結果的にワクチンの輸入が遅れ
承認も進まず、
先進国の中でも明らかに
接種が遅れました」

ワクチン注射の担い手など、
非常時には医師以外の手を借りる。

非常時に即応した法の改正ができなければ、
リスクマネジメントとは言えない。

ワクチンのサプライチェーンや在庫管理には、
メーカーの専門家を巻き込めば
効率よく進められた。

ワクチンの接種状況は、
地方の山村や離島で接種率が高い一方、
大都市が低いなどムラが出ている。

「最も必要とする所を優先する」

「優先順位を十分につけないまま進めた結果、
働き手や若い世代が取り残されてしまった」

「太平洋戦争のときも
食糧配給ができなかったのですが、
それと同じように感じます」

宮内さんはずっと指摘しているが、
「都道府県の縦割りも問題」

首都圏であれば東京だけなく、
神奈川、千葉、埼玉を加えた、
「グレーター東京」

関西でいえば、
「グレーター大阪」

そして、
「知事や市長の上に臨時に特命大臣を設ける」

都道府県を跨ぐエリア設定と、
一本化された司令塔。

これは大地震などの災害時でも役立つ。

もちろんチェーンストアは、
これを日常的にやっている。

イオンのリージョナルシフトは、
この構想と同じだ。

そして最後に、
「何がコロナ敗戦をもたらしたか」の検証。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のごとく、
「日本では大きな問題でも
十分に検証されないまま
やり過ごされがちです」

原子力発電所の事故も然り。

「まさに政治の責任において
これを行うべきです」

河野太郎あたりが、
きちんと検証すべきだろう。
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そして次の非常事態は何か、
と考える。

「大地震、大雨洪水、地域紛争、
新しいパンデミック等、
何があるかわかりません」

その意味で、
「リスクマネジメント」こそが、
国にも産業にも企業にも必須のものだ。

これこそコロナから学ぶことの、
最大のテーマだ。

喫緊の政策は、
「新型コロナとの共生をどうとるか」

長期的には、
「日本の欠陥はどこかを調べ、
次に備えるべき長期的な課題に
取り組まねばなりません」

宮内義彦さんは、
いつも冷静な大局観をもつ。

しかしこうやって考えていくと、
日本国をチェーンストアと見立てて、
それを経営、運営するように、
政治や行政を司っていけば、
上手くいくのではないか。

ウォルマートには、
「ビジネスコンティニュイティ」がある。

イオンにもBCMがある。
(Business Continuity Management)
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緊急事態対策チームだ。

もちろんチェーンストアにも、
大企業病が潜む。
悪しき官僚化が潜在している。

政治とはまったく、
それらの塊のような存在だ。

そして日本の国や社会全体に、
大企業病化と官僚化がはびこる。

日々、それとの闘いを決意したい。

大の字に寝て涼しさよ淋しさよ

〈結城義晴〉

2021年08月26日(木曜日)

コロナによる重症者過去最多1974人と「あすへの希望」

「処暑」を、
過ぎたというのに、
東京は最高気温35.7℃の猛暑日。

栃木県佐野市が37.2℃。
わが横浜市は34.8℃。

それでも夕方になると、
雲一つなかった空に、
うっすらと秋の雲。IMG_6426 (002)1

少しずつオレンジ色が迫ってくる。IMG_6427 (002)

そして夕暮れがやってくる。IMG_6425 (002)1
日没はどんどん早くなる。

新型コロナウイルス感染による、
重症者。
今日は過去最多で1974人。

お盆が終わってから10日が経過する。
新規の陽性判明者数も、
盆休暇の人の流れの影響によって、
これからまた、増えていくのだろう。

今日の全国の陽性確認者は、
2万4976人。

まだまだ第五波のピークのなかにある。
予断を許さない。

商人舎流通スーパーニュース。
新型コロナ感染news |
8月26日(木)発表の主要小売業陽性判明236人

今日発表された主要小売業の陽性判明者。
236件に及ぶ。

全国の小売業やサービス業の店頭では、
「明かりははっきりと見えはじめている」ではない。

今日は午後から商人舎オフィス。
昨日の万代知識商人大学では、
4時間を超える講義をした。

やはり疲労感はすぐには去らない。

片山隆さんと対談。
㈱寺岡精工の前社長で、
現在、RTKデザイン代表。
テーマは世界の小売業情勢。
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2時間近くも熱談して、
実にスリリングだった。

もちろん二人ともワクチンは2回接種。
マスクをしてソーシャルディスタンシング。

片山さんは実感を込めて語る。
「欧米で破壊的イノベーションが起こっています」

私は自著から引用して、答えた。
「それはブレイクスルー思考です」

拙著『コロナは時間を早める』
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第五章・ブレイクスルーの「戦略計画」
・キャズム期に組織を若返らせる
・「経済活動とはリスクを冒すこと」
・「ブレイクスルー思考法」
・ブレイクスルー思考における演繹法

詳細は月刊商人舎9月号にて。
9月10日発刊。
是非、読んでいただきたい。
お申し込みは、

さて、朝日新聞「折々のことば」
今日は第2126回。

最善を望むことが
必ずしも
正しい希望の持ち方とは
限らない
(パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』)
パオロジョルダーノ

「不可能なこと、
実現性の低い未来を待ち望むと、
何度も失望を味わうことになり、
不安がいっそう膨らんでしまうから」

このブログでは何度も、
ジョルダーノを引用した。

1982年生まれのイタリア人作家。
素粒子物理学を専攻したあと、
イタリア第一の人気小説家となった。

ジョルダーノは言う。
「コロナは今、僕らの文明を
レントゲンにかけている」

「恐怖にも浸され、
頭がいっぱいだけど、
それでも
“今までとは違った
思考をしてみるための空間”を
確保しておこう」

折々のことばの編著者の鷲田清一さん。
最善を望むことに関して、
「このことは
政治や組織運営についてもいえるし、
幸福もきっとそう」

鷲田さんも菅義偉政権に、
最善を望むなと考えるのか。

「大きな固まりとしてそれを求めると
不幸への近道になる」

「幸福は小刻みにし、
その一つひとつを
玩味するのがいい」

小売業・サービス業が提供するのは、
ちいさな喜び
ささやかな幸せ
あすへの希望

その一つひとつを、
丁寧に生み出す努力を続け、
顧客には玩味してもらおう。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2021年08月25日(水曜日)

万代大学Financial Managementの「数字が好きですか?」

定宿はシェラトン都ホテル大阪。
部屋のデスクが気に入っている。
仕事しやすい。

朝、そのシェラトンからタクシーで、
東大阪の㈱万代本社へ。

帰りもタクシーで新大阪へ。
それからグリーン車で帰ってくる。

三密を徹底して避ける。

会議棟が私たちの校舎。IMG_64051

万代知識商人大学第6期。
スーパーマーケット業界最初の企業内大学。

今月のテーマは、
フィナンシャルマネジメント。
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両サイドの扉を開けて換気し、
十分にソーシャルディスタンスを取る。

司会進行は津田睦さん。
万代人事部マネジャーで、
万代大学第1期生の級長。IMG_63281

この講義の冒頭はいつも、
「数字は好きですか?」
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あなたは数字が好きですか。
実は私は大好きなのです。

数字の向う側の世界を、
数字を通して垣間見る。
そして前向きに、肯定的に、
モノを考える。

数字に媒介してもらうことによって、
雑念やしがらみや怨念が消える。
ゲーム感覚で、むしろ純粋な気分で、
状況が見えてくる。

数字はそういった浄化の機能を
持っているのです。
想像力を刺激する要素を
そなえているのです。

ただし、数字で人を
縛ってはいけません。
せっかくの浄化作用や想像の力が、
いっぺんにかき消されてしまいます。

いちじく
にんじん
さんしょに
しいたけ
ごぼうに
むくろじゅ
ななくさ
はつたけ
きゅうりに
とうがん

数字と商品を素直に結びつけて、
商業ビジネスにかかわる私たちは、
毎日、毎日、
夢を追いつづけています。

数字は清くて、正しくて、美しくて、
しかしも現実的です。
数字と商品を愛でることこそ、
私たちの仕事なのです。

さあ、あなたは
数字が好きになりましたか。
私と同じように
大好きになりましたか。
〈結城義晴著『Message』より〉
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それから「簿記と会計と財務の違い」。

「伊藤雅俊と岡田卓也」。
お二人ともフィナンシャルマネジメントを、
本当に重視した経営者だ。

次の講師は田縁(たぶち)仁平取締役。
財務経理・秘書・品質管理部門担当。IMG_63301

田縁さんの時間は120分。
社内の決算書や他社のデータを比べて、
実にわかりやすい講義だった。IMG_63331

田縁さんは三井住友銀行出身。
現在は万代に転籍して取締役。

だから銀行でたたき込まれた財務の見方を、
徹底的に教育してくれた。

たとえば、
「PLは下から見よ!」
損益計算書は、
一番上の売上高からではなく、
一番下の純利益から見ていく。
そうすれば損益がよく理解できる。IMG_63361

豊富な資料を提示して、
万代のフィナンシャルの現実を、
的確に示してくれた。IMG_E63451

田縁さんの講義のあとは、
結城義晴の1時間。

損益計算書と貸借対照表の、
基本的な意味と関係性と、
その両者の構造を、
私独自の解釈で明らかにしていく。

さらに「実地棚卸し」に関しての講義。
私はとても重要だと考えている。

ランチは、
いつも万代渋川店で購入。IMG_63531

一丁目一番地は、
農産部門の「徳用フェア」IMG_63501

桃がきれいに並ぶ。IMG_63541

水産部門は鮮度が命。
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今日の売りの一つは、
「真鯛お造り用」IMG_63551

そして惣菜部門。
よりどり1パック580円。
ボリュームがあって旨い。IMG_63591

ランチが終わると、
また結城義晴の講義2時間。
スーパーマーケットの計数の、
カギを握るエッセンスを解説し、
上場企業の決算を分析していく。

それでも脱線が多くて、
あっという間に時間は過ぎた。

そして三人目の講師は、
小宮秀友さん。
万代八尾曙川店店長。
「フラッグショップ店長」の位置づけ。
小宮さんも万代大学第3期生。IMG_63631

「店長は店舗経営者」というスタンスで、
「数字を変えよう!」と呼び掛けた。IMG_63651
万代の店長が実際に使う計数をもとに、
そのなかでいかに実績の改善をするか、
いかに成果を上げるか。
自分の経験をもとに、
丁寧に、詳細に、講義してくれた。

小宮さんとツーショット。IMG_63741

阿部秀行社長も聴講していて、
小宮さんの講義をほめてくれた。IMG_63761

最後にまた結城義晴の講義。
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フィナンシャルマネジメントを総括し、
シンプルな経営の在り方を提言した。IMG_63791

最後の最後はデジタル情報革命。
やがてフィナンシャルは、
デジタルにとってかわられる。
しかしAI(人工知能)ができないことを、
知っておかねばならない。
そして人間らしさによって、
意思決定しなければならない。

AIにできないことは8つある。
指折り数えながら講義した。IMG_63811
AIにないもの。
⑴意思がない
⑵人間のように知覚できない
⑶事例が少ないと対応できない
⑷問いを生み出せない
⑸枠組みのデザインができない
⑹閃きがない
⑺常識的判断ができない
⑻人を動かす力・リーダーシップがない

「常識的判断ができない」というのが、
実にユーモラスだ。

そして「小売りの神は細部に宿る」。
Retail is Detail.

その仕事を数字が後押ししてくれる。IMG_63851

講義が終わると一同礼。IMG_63861
ご清聴を感謝したい。

最後の最後は、
阿部秀行社長の講話。IMG_63951

6期生全員が集中して聴く。IMG_63971
1日の講義を短く総括し、
いちばん重要なことを1点、
絞り込んで講話してくれる。

これが実にいい。IMG_63911

その阿部さんと並んで写真。
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長い長い「計数」の講義。
終わってホッとした。

商人は数字が好きでなければいけない。
数字が応援してくれるまで、
数字になじまねばならない。

そして数字に縛られてはいけない。
数字が難しい、面倒だと逃げると、
逆に数字に縛られてしまう。

これでは本末転倒だ。

あなたは数字が好きですか?

〈結城義晴〉

2021年08月24日(火曜日)

パラリンピック「失われたものを数えず残されたものを生かせ」

大阪出張。

いつも右側の席を取る。
富士山を見るため。

しかし小田原のあたりで、
一瞬、頂のところが白く光っただけで、
あとは雲に覆われていた。

名古屋を過ぎて、
岐阜県・滋賀県に入ると伊吹山。IMG_63141

新大阪駅も人出は少ない。IMG_63201

車中もガラガラだった。IMG_63171
明日は万代知識商人大学第6期。
フィナンシャルマネジメントの講義だ。

今夜はパラリンピック東京の開会式。

パラリンピックはもともと、
「パラプレジア」(Paraplegia)と、
オリンピック(Olympic)からの造語。
Paraplegiaは、
脊髄損傷等による下半身麻痺者のこと。

1988年のソウル大会から、
正式に「パラリンピック」と呼ばれ、
「パラレル」(もう一つの)と、
「オリンピック」の造語という意味になった。
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「多様性と調和の祭典」
パラリンピックのシンボルマークは、
「スリーアギトス」。pararinpikku21
「アギト」はラテン語の「私は動く」。

障害のあるアスリートが出場する、
世界最高峰の国際競技大会。

パラ五輪の夏季大会と冬季大会は、
オリンピックと同じ年に、
同じ都市で開催される。

国際パラリンピック委員会は、
共生社会実現の促進を目指している。

国旗の入場と掲揚のあと、
国歌斉唱は佐藤ひらりさん。
全盲のシンガーソングライター。

そして選手団入場。

まず難民選手団。
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アフガニスタンからも参加があった。

最後に日本選手団。パラリンピック開会式4
約4400人のパラリンピアンによって、
22競技で539種目が行われる。
日本選手団はそのすべてに参加する。

選手団入場が終わると、
橋本組織委員会会長の挨拶、
アンドリュー・パーソンズ会長のスピーチ。

それから天皇陛下の開会宣言。
さらに選手宣誓は国枝慎吾、浦田理恵両選手。
国枝選手は車いすテニス、
浦田選手はゴールボール。

そして突然、布袋寅泰のショー。parari5

そして聖火入場と聖火点灯。pararinn6

パラリンピックの発祥は、
ロンドン郊外の病院で開かれた、
車いす患者の競技会だった。
1948年のこと。

ドイツから逃れたユダヤ人医師が、
障がい者のリハビリに、
スポーツを取り入れた。

それが大きな成果を上げた。

ルートヴィヒ・グットマン博士。
グッドマン博士
その理念がいい。
「失われたものを
数えるな、

残された能力を
最大限生かせ」

義足の走り幅跳びジャンパーは、
東京五輪の金メダリストの記録を上回る。

ピーター・ドラッカーは、
「自分の強みを生かせ」と教えた。

グッドマン博士は、
障がいのある人のために、
「残された能力」と言う。

失われた能力を「弱み」と考えて、
残された能力の「強み」を生かす。

私も右目はほとんど視力がない。
光が入って、ぼんやりと、
形や動きがわかるくらいだ。

白内障、緑内障、網膜剥離で、
4回も大きな手術をした。

そのかわりに左目が機能する。

左目だけでは足りないので、
他のすべての能力が左目をカバーする。

そのために頭も使う。

野球やテニス、卓球はできないが、
ゴルフならできる。

動く球は打てないが、
止まった球は打てる。

「失われたものを数えるな、
残された能力を最大限生かせ」

そしてそれが生かせる領域で精進せよ。

すべての人間に教えてくれる。
「前を向いて、アギト」と。

パラリンピック開催の一方で、
緊急事態宣言の地域が、
さらに拡大される。
北海道・宮城・岐阜・愛知・三重・滋賀、
そして岡山、広島。

まん延防止等重点措置も、
新たに高知・佐賀・長崎・宮崎を追加する。

やはりモグラ叩きか、
小出しのがギャンブルか。

首脳閣僚が方針を固めて、
菅義偉首相が記者会見した。

25日(水)に基本的対処方針分科会に諮って、
了承されれば政府対策本部で決定する。

期間は8月27日~9月12日。
17日間。

期間に関する科学的根拠は見当たらない。

うがった見方をすれば、
自民党総裁選挙告示の9月17日前に、
何とか終息の目途を立てたい。
だから9月12日。

そうだとすると感染症対策が、
政治日程に関連づけられていて、
これはあまり、よろしくいない。

この緊急事態宣言は、
現在の13都府県と合わせて21都道府県、
重点措置の対象は差し引きして12県。

合計で33都道府県となる。

今日の新型コロナ陽性判明者は、
全国で2万1570人。

陽性確認者数と感染者数は、
実際にはイコールではない。

だから感染者数の実数で把握するのがいい。
軽症・中等症Ⅰ・中等症Ⅱ・重症の4段階で、
社会全体に知らせるのがもっといいだろう。

もちろん一般的に、
陽性判明者数が報道されるから、
それが目安となっているが、
これも傾向を知るには悪くはない。

その陽性判明者が2万1570人。
火曜日としては過去最多だ。

それもあって、
33都道府県への拡大となった。

8月27日から勘定すると、
9月12日までぴったり3週間。

さてコロナの火は鎮まるのか。
パラリンピックの聖火は、
9月5日に消灯されるけれど。

「失われたものを
数えるな、

残されたものを
最大限生かせ」

現在の日本に、そして世界に、
グッドマン博士の理念が、
しみじみと教えてくれる。

私はいつも商業に当てはめてしまうが、
これは商売や仕事の極意でもある。

ありがたい。

〈結城義晴〉

2021年08月23日(月曜日)

「齋藤充弘 お別れの会」と「凝縮されたシンプル」

Everybody! Good Monday!
[2021vol㉞]

2021年第34週。
8月に入って第4週。

今日は二十四節気の「処暑」

二十四節気は1年を24等分する。
だから一つの節気はほぼ15日間。

大暑⇒立秋⇒処暑⇒白露⇒秋分と続く。

「処暑」は、
暑さが峠を越えて後退し始めるころ。
その最初の日を「処暑」と言い、
その期間も「処暑」と呼ぶ。

私は毎日、空を見上げているが、
暑さの峠は空に現れる。

処暑そのものだ。

今日は東京・日比谷。
帝国ホテル。
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もちろんいつものように、
二重マスクをして、
十二分に気をつけつつ、動く。

駐車場側の出入り口に看板が出ている。IMG_62651

「齋藤充弘 お別れの会」IMG_62671
全日本食品㈱と、
全日食チェーン商業協同組合連合会、
日本ボランタリーチェーン協会の共催。

7月22日のこのブログで訃報を書いた。
全日食チェーンの齋藤充弘さん、
ご逝去。合掌。

惜しい人だった。
これほど残念な思いはない。

本館2階孔雀の間が献花の会場。

遺影が飾られて、
お別れする人たちが、
間隔を空けて並び、
静々と献花する。
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齋藤さんの遺影は、
厳しい顔つきをしていた。
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残された人たちを一喝するようだった。
それも齋藤さんらしいと思った。

献花が終わると次の間には、
主催者と親族の皆さんが立っていて、
参列者一人ひとりにご挨拶。

平野実全日本食品社長、
木村建造連合会理事長、
泉田幸雄VC協会会長、
そして「全日食の顔」田中彰さん。
最後に親族代表は齋藤さんのご長男。

平野実さんは、
重い重い責任を感じている風だった。
木村建造さんも、
全日食チェーンを背負う意志を示した。
泉田幸雄さんは本当に寂しそうだった。
田中彰さんはひどく悲しそうだった。

その次の間には、
齋藤さんの想い出の写真などが、
掲示されていた。
IMG_62791

全日食チェーンの赤いブレザー姿。IMG_62721

副社長時代の執務室での写真。
IMG_62741
このほかにもお孫さん二人との、
ほほえましい写真もよかった。

理路整然の理論家。
現場に即した実務家。
独特の人間観察者。

ボランタリーチェーンという、
地味ではあるが面白い組織体。

齋藤充弘は、
人と人が集うこの組織体を、
心から愛していた。

再び、合掌。

献花が終わると、
帝国ホテルの1階ロビーへ。

シャンデリアとサンフラワー。
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今が旬の向日葵が存在感を示す。
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1階のランデブーラウンジ。
IMG_62881

アイスカフェオレ。
1650円。
IMG_62811
しかし何倍飲んでも同じ値段。

日本経済新聞社次長の白鳥和生さんと懇談。
IMG_E62841
故人の業績をよく知るふたりが、
それを語り合いつつ、
その故人を偲んだ。

齋藤充弘さん、
さようなら。

昨日の朝日新聞「折々のことば」
第2122回。

シンプルさが逆に
内容の飛躍や凝縮を生み、
美しく力強い作品を
生むことができるのです
(田畑精一)

『ありがとう 絵本作家・田畑精一の歩いた道』から。
ありがとう 田畑精一

「絵本は、形式が単純であっても
内容まで単純なわけではない」
絵本作家・田畑精一は言う。

「削り、切り捨ててシンプルであるのと、
凝縮してシンプルであるのは同じでない」

つまり大事なのは、
凝縮してシンプルであること。

削り、切り捨てての「シンプル」は、
20世紀の「トレードオフ」である。

あちらを立てればこちらが立たず、
こちらを立てればあちらが立たず。
ならばどちらかを切り捨ててしまえ。

しかし凝縮された「シンプル」は、
あちらを立ててこちらも立てる。
こちらを立ててあちらも立てる。
それが「トレードオン」だ。

齋藤充弘さんが田中彰さんから受け継いで、
その上で目指したボランタリーチェーンも、
凝縮してシンプルな組織体だと思う。

つまり、あちらもこちらも立てる。

個店を立てて、
チェーンも立てる。

もしかしたらこの、
ひどくしんどい仕事が、
齋藤充弘の命を蝕んだのかもしれない。

しかしそれは、
齋藤さんにしかできなかったことだ。
齋藤さんも満足していたと思う。

平野さんや木村さんが、
その遺志を継いでくれるに違いない。
私は確信している。

編著者の鷲田清一さん。
「人の成熟もきっとそういうこと」

人の成長段階はトレードオフで、
成熟のときはトレードオンなのだ。

では、みなさん、今週も、
凝縮したシンプルを目指せ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年08月22日(日曜日)

[日曜漫歩]自由が丘から横浜市長選投票・朧満月まで

8月下旬の日曜日。

自由が丘。
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人出はいつもより少ない。

いつもの花屋。
monceau fleurs(モンソーフルール)。
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並木の木が生い茂って、
ファサードが少しだけ隠れた。IMG_62331

店頭のメイン売場は様変わり。
カラフルな花束ではなく、
緑の観葉植物。
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店の入り口の一丁目一番地には、
ひまわり。
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花屋だけれど、
一角にクレープ屋を併設。IMG_62391

「Wan chan Crepe」も販売している。IMG_62401

メインストリートのわきにも、
屋台のクレープ屋。
こちらは顧客が集まっている。
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さっぱりした気分で、自撮り。
IMG_62431

妙蓮寺に帰って来て、
横浜市立港北小学校へ。

横浜市長選挙の立て看板。
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小学校は夏休み。
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夏の間に木々がうっそうと生い茂る。
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簡素な校舎。
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港北区第2投票区投票所。
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投票しました。

夕方の空はもう秋です。
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陽が沈むと、叢雲に満月。
??????????
8月の満月は、
「スタージェンムーン」と呼ばれる。
英語で「Sturgeon Moon」

8月に漁獲されたチョウザメの月。

今日は朧月から見事な満月に。
??????????

横浜市長選挙は、
無所属新人の山中竹春候補が勝った。
元横浜市立大学教授の48歳。
立憲民主党や共産党・社民党が推薦・支援した。
山中竹春
元国家公安委員長の小此木八郎候補は、
衆議院議員を辞めて臨んだが落選。

現職の林文子市長も、
元神奈川県知事の松沢成文候補も、
作家で元長野県知事の田中康夫候補も、
データサイエンティストに敗れた。

政治能力は未知数だが、
横浜市民は若い学者を選んだ。

地元横浜の菅義偉首相が推した小此木候補は、
父親の故小此木彦三郎代議士の跡を継いで、
いわば地盤・看板・鞄の二世議員だが、
これで政界を引退するとコメントした。

菅総理の立場も危うくなってきたか。

COVID-19感染急拡大によって、
政界も新しい時代を迎えようとしている。
それを強く感じさせる横浜市長選だった。

明日は二十四節気の「処暑」。
「暑さが峠を越えて後退し始めるころ」。

新しい時代を視野に入れつつ、
日々を自分らしく生きようと思う。

〈結城義晴〉

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