結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年10月20日(火曜日)

コロナ禍の「二極化景気」と「ここを押したら あっちが動く」

今日は朝から東京・小平。
第一屋製パン㈱の取締役会。

メーカーにこそポジショニングが必須だ。
そんな話をした。

それから新幹線のぞみ。
秋の日差しに丹沢山系が浮かび上がる。DSCN98680

しかし富士山は、
肝心なところに雲がかかって、
全然姿が見えなかった。DSCN98780

名古屋、京都といい天気。
そして新大阪に到着する。
加藤徹さんにお迎えいただいて恐縮。
㈱万代ホールディングス社長。

夕食は鉄板焼RIO。

セッティングには、
マスクケースが添えられている。IMG_91430

突き出し3品が絶品。
IMG_91440

カウンターで調理してくれる。
IMG_91460

アワビ。
IMG_91490
「磯の鮑の片思い」
アワビの話題になると、
亡くなった母が必ず口にした。

そのアワビを丁寧に料理してくれる。
IMG_91500

ちょっとカレー味でこれも絶品。
IMG_91510

それから神戸ビーフ。
テンダーロインとサーロイン。
IMG_91550

これを目の前で焼いてくれる。
IMG_91850

すごい炎。
IMG_91860

YouTubeで公開しました。

最後はチャーハン。これも絶品。
IMG_91600
サケとイクラをのせて、
これまた絶品。

私は生ビールとスペインの赤ワイン。
楽しみました。

全員満足。
IMG_91700

加藤徹さんとツーショット。
IMG_91770
ありがとうございました。
IMG_91800
明日は万代知識商人大学第5期の講義。

さて日経新聞「大機小機」
「二極化景気・対策は的絞れ」
コラムニストは追分さん。

「景気」変動を分析する。

日本の景気。
4~6月期に急激に落ち込み、
その後、持ち直したかに見える。

しかし、景気回復の足取りは重い。

日本に限らず、欧米主要国も、
「トレードオフ」に苦しんでいる。
つまり感染拡大抑制と経済活動再開。

景気回復のコースを提示する。
「当初想定されたV字型でも、
U字型でもなく、
ジグザグなW字型になっている」

そして「景気回復の中身も一様ではない」
つまりこれも二極化。

輸送機械や電子部品・デバイスなどは、
輸出が回復している。
だから製造業は、
緩やかながら持ち直しが続いている。

これに対して、
飲食、宿泊、観光など、
個人向けサービス中心の非製造業は、
やや持ち直しているとはいえ、
回復力は弱い。

小売業でも生活必需品の業種業態は、
売上げが伸びているが、
それこそ「不要不急」の業種業態は苦しい。

「米国では、こうした二極化を
“K字型”と呼ぶ識者もいる」

K字の上向きのグループは、
「デジタル関連や生活必需品に関連する企業
さらには富裕層や年金生活者が含まれる」

K字の下向きのグループ。
「人の集積で経済が回っていた地域、
中小企業、未熟練労働者や低所得層」。

「当面はこうした回復格差が
残存する可能性が高い」

コラムニストは悲観的だが、
私もそう思う。

「秋冬にコロナの感染が
大幅に拡大するようなことになれば、
格差はさらに拡大する」

これにも同感だ。

さらに
「下向きのグループへの打撃が強まれば、
いずれ雇用情勢の悪化、
個人消費の低迷や、
不良債権の増加などを通じて、
下向き圧力が経済全体に波及していく」

追分さんは多分、学者だ。
景気全体を見る。

「景気回復に
大きなばらつきがある状況下で
求められる経済政策は、
一律でばらまき型の景気浮揚策ではない」

これこそ、政治や行政に望みたいことだ。

「コロナ禍の打撃が大きい業種、分野を
重点的に支援する必要がある」

さらにその今後の支援にあたっては、
「企業への支援が長期化すれば、
人や資源の固定化を招きかねないことに留意し、
個人への支援を重視すべきであろう」

ここを押したら、
あっちが動く。

そういった発想が極めて重要だ。

ある業種業態を直接、支援しても、
それが長期化、固定化しては、
自律的な自立は果たせない。

日本の農業が長らく、
そんな状況にあった。

個人消費を動かせば、
競争原理がよりよく働いて、
成果が上がるし、景気も回復する。

最後にコラムニスト。
「経済全体の成長力低下を補うため、
デジタル化を推進すべきことは
いうまでもない」

しかし「デジタル庁」創設などでは、
全然、問題解決にならない。

これまた、
ここを押したら、
あっちが動くでなければ、
形だけのデジタル化だけで、
国際的に見れば、
遅れたままに終わってしまう。

〈結城義晴〉

2020年10月19日(月曜日)

コロナ対策の「アクセル・ブレーキ&クラッチ」とGo To商店街

Everybody! Good Monday!
[2020vol㊷]

2020年第43週。
10月第4週に入った。

1月16日に最初の感染者が出てから、
9カ月が経過する。

日本のCOVID-19は、
第一波、第二波が終わって、
いつ第三波がくるか。

厚生労働省が一波、二波を、
定義しているわけではないが、
第一波は4月から5月で、
緊急事態宣言のころ。

第二波は7月中旬から、
8月のお盆のころまで。

国立感染症研究所の発表では、
第一波の致死率は5.8%で、
第二波は0.9%だった。

70歳以上の致死率は、
第一波が24.5%で、
第二波が8.7%。

しかし数字が下がったからと言って、
第二波にコロナウイルスが、
弱毒化したわけではない。

「率」というのはどんな場合にも、
極めて厄介なもので、
これに惑わされると碌なことはない。

PCR検査数が飛躍的に増えて、
相対的に致死の「率」が減った。

ヨーロッパでは再び感染が急速拡大中。
1日の感染者が過去最多となる国が相次ぐ。
N

イタリアは10月17日、
1日の新たな感染者が1万925人。
過去最多。

ドイツも1日7830人、
ポーランドは9622人、
チェコは1万1105人、
ベルギーは1万1737人で、
いずれも最多。

しかし死者数が一番大事な指標だ。

ジョンズ・ホプキンス大学のまとめ。
日本時間の18日午後3時の時点で、
世界全体で感染者は3967万1115人、
亡くなった人は110万9836人。

感染者が多い国。
⑴アメリカ 810万6752人
⑵インド 749万4551人
⑶ブラジル 522万4362人
⑷ロシア 137万6020人
⑸アルゼンチン 97万9119人

死者が多い国。
⑴アメリカ 21万9289人
⑵ブラジル 15万3675人
⑶インド 11万4031人
⑷メキシコ 8万6059人
⑸イギリス 4万3669人

今日時点の日本の感染確認数は、
9万4245人、前日比318人増。
重症者は144人、
死亡者は1690人。

SNSのYouTubeなどでは、
コロナは「恐くない」といった発言が、
ずいぶん増えている。

それも著名な大学教授などが、
堂々と述べている。

米国大統領選挙では、
ドナルド・トランプ大統領が、
これまた異常なくらいに、
「コロナは恐くない」とアジる。
donald-trump-1269307_12809999
しかしこの態度は、
リスクマネジメントの視点からすると、
完全に不合格だ。

危機管理の最初に挙げられるのは、
「悲観・最悪の原則」である。

つまり最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

原山優子東北大学名誉教授。
「冷静に恐れる」
harayama2

その通り。

日経新聞に、
尾身茂さん登場。
地域医療機能推進機構理事長。
あの「専門家会議副座長」。
chief_director02
「新型コロナとの半年間の闘いで、
敵の実態も見えてきた」

「症例が増えるにつれ、
高齢者や基礎疾患を持つ人は
重症化しやすく、
健康な人の多くは
回復することが分かってきた」

「治療の標準化も徐々に進んだ」

この治療の知見の積み重ねは大きい。

「半年間の経験から、
社会の対応次第でウイルスを
ある程度コントロールしていくことは
可能になってきた」

「ようやく経済との両立が
実現可能になってきたと思う」

感染拡大防止と経済活動。

「とはいえ、
死亡者数と重症者数の推移には
引き続き注視する必要がある」

「東京で
1日あたり100~200人の感染者数を
10人に減らすのは難しい」

「重症者の数を見ながら、
感染者数を制御していくことが
極めて重要だ」

具体的には、
「そのため、経済活動の再開は、
ゆっくりブレーキを解除しないといけない。
徐々にやれば社会全体が適応できる」

「新型コロナは、
人々の行動が感染動向を左右する」

「数字だけで判断するのではなく、
社会全体の感染防止への意識が
低下していないか判断しながら
アクセルとブレーキを踏む必要がある」

アクセルとブレーキ。
両者の間のクラッチも必要だと、
私は思う。

2つの動力伝達軸の間で、
回転を伝達したり遮断したりする要素。

それが政治や行政だろうし、
それを支える学者や専門家だ。

ワクチンの実用化は
もう少し時間がかかる。

「重症化をある程度、
防ぐ効果が期待できるなら、
社会全体では医療崩壊の懸念、
個人レベルでは重症化への不安が和らぎ、
経済活動の再開にもプラスだ」

尾見さん。
「日本のコロナ対策は今が正念場だ。
感染症対策と経済活動の両立を、
科学技術の力でどう解決するか」

リスクマネジメントの観点から見ても、
現在を「正念場」ととらえるのはいい。

さて今日10月19日から、
「Go To 商店街」
キャンペーンは11月30日まで。gotomain
全国で34の事業が指定された。
1商店街の1事業に300万円の補助金。
2つ以上の商店街が連結すると、
さらに500万円が追加される。

しかしそれも、
事業終了後に支払われる。
資金繰りは自分たちで、
手当てしなければならない。

どこか票目当てのバラマキにも見える。
クラッチ役が感染防止と経済活動を、
うまく切り替え、制御しているか。

その意味で「正念場」であることは、
クラッチ役にこそ問われている。
つまり尾身茂は自分たちに向けて、
「正念場」と言ったのだ。

私は今日、
令和名人会。
千葉のホームコースで1日ラウンド。
宮本洋一さん、鈴木國朗さん、
そして新谷千里さん。

もちろん貴重な情報交換もやった。

帰りにアクアラインの海ほたるに寄った。
東京湾に浮かぶパーキングエリア。
IMG_9135

雨模様の東京湾。
IMG_91340

デッキには人影がない。IMG_91330

人がいなければ感染はしない。
しかし人が集まらねば、
経済活動は沈滞する。

不思議なパラドックス。
IMG_91300

そのパラドックスを乗り超える。
そこにポストコロナ時代がある。
IMG_91320

では、みなさん、今週も、
われわれも正念場。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年10月18日(日曜日)

[日曜版]自由が丘散策と「チャップリンのステッキ」

「川崎洋詩集」を読んでいたら、
「わが愛するチャップリンが」という詩があった。
51K6I-mOhwL._SX347_BO1,204,203,200_
わが愛するチャップリンが
あるとき
山高帽にステッキの例の格好で
こっそり
チャップリンの そっくりさん大会に
出たら
二等だった
という話が私は好きだ
ステッキの人を見かけると
いつも思い出す
そして誰かに話したくなる
31DnDhORhhL._AC_

日曜日の夕方、
ステッキの人を探しに(?)、
自由が丘へ。
IMG_90910
新型コロナウィルス禍でも、
にぎわっている。

夕日が射してくる。
IMG_90950

壁の絵画と自転車。
IMG_90760

小さなカウンターバー。
IMG_90740

サクラバル。
IMG_90730
ちょっと寄りたい。

移動販売のクレープ屋。
IMG_90890

とろけるクレープはいつも人気。
IMG_90920
これもちょっと食べたい。

そして花屋。
IMG_90770monceau fleurs(モンソーフルール)。
フランス・パリ17区。
モンソー公園の一角のアパルトマン。
その地階に誕生した花屋。

秋の花も艶があって美しい。
IMG_90810
花も一本だけ、買おうかな。

ハロウィンプレゼンテーション。
IMG_90850

すぐに子どもたちが集まる。
IMG_90790
コロナでもインフルエンザでも、
人は集まる。

人々の中に店がある。
かならず店がある。
さりげない店がある。
良い店がある。
ちょっと寄りたい店、
ちょっと買いたい店。

ただし日曜日なのに、
ステッキの人は、
一人もいない。
IMG_90860

帰りは東横線で多摩川を渡る。
IMG_90980

秋の空。
IMG_91130

綿雲。
IMG_91100

日が暮れる。
IMG_91200

少しずつ冬が近づく。
IMG_91080

こうしてみると送電塔も美しい。IMG_91040

いつも夕暮れは
悲しい気持ちで
家路を急ぐボクの
うしろから
やってくる♫

(山﨑眞幹・作詞作曲)
IMG_91260

目を地面に落とすと、
YOKOHAMAのマンホール。
IMG_91290

ステッキの人が見つからないので、
ひとりで自撮り。
Go! Go! ポーズ。
IMG_91190
ムンクの絵のようになった。

ステッキの人を見つけて、
誰かにチャップリンの話をしたいな。

〈結城義晴〉

2020年10月17日(土曜日)

日経社説「新型コロナが示した小売業の教訓」に物申す

天下の日経新聞社説が、
小売業のことを取り上げてくれた。

とっても、ありがたい。

「新型コロナが示した小売業の教訓」

「緊急事態宣言の発令から半年余り。
2020年3~8月期の小売業の決算を見ると
新型コロナウイルスの感染拡大が
個人消費に与えた影響は大きく、
今後の経営に教訓をもたらしている」

その通り。
202006_message
社説子の言う教訓⑴
これまでの成功を支えた前提条件への過信は禁物。

「近年の消費の重心は、
人口減や少子高齢化とともに、
大都市部の繁華街や駅周辺にシフトしたが
コロナ禍で一変」

「テレワークの広がりや外出の自粛で
都心部の集客力が低下した」

そこで百貨店の3~8月期決算は悪化。

高島屋が232億円の最終赤字。
J・フロントリテイリングも163億円の赤字。

「デジタル化は遅れたままで、
インバウンドと高齢者に依存してきた
事業モデルの脆弱さが露呈した」

百貨店に対しては手厳しい。

「意外だったのが、
コンビニエンスストアだ。
有事に強いはずが、
都心部のランチ需要の大幅減に伴い、
上期の既存店売上高が極端に落ち込んだ」

社説子は流通の専門家ではないのか。
コンビニの低調に率直に驚いている。

この結果、最終損益は、
ファミリーマートが107億円の赤字、
ローソンは前年同期比84%減。

一方、食品スーパーマーケットは、
業績が回復した。
「郊外や住宅地に多い」と表現する。

「ライフコーポレーションは
純利益が前年同期の3倍に達した」

ライフは都心部にも出店しているが。

ここでまたコンビニに戻る。
「利便性で成長したコンビニだが、
時間の余裕が生まれた消費者に対して
提供する価値が低下してしまった」

論述が行ったり来たり。

社説の言う教訓⑵
客離れを放置してはいけないこと。

「コロナ禍は構造的に
客離れが進む産業や企業に容赦がない」

これはその通り。
コロナは相手を見ない。
大統領も農民も、容赦しない。

「例えばアパレル。
若者の関心が薄れていたほか、
カジュアル志向が強まり、
業績不振に拍車がかかった」

「オンワードホールディングスや
三陽商会など大手アパレルは赤字に陥り、
先行きが見えない」

あれれ?
これらの企業は小売業か?

「居酒屋チェーンも同じ。
以前から若者の
アルコール離れが進んでおり、
市場回復は困難を極める」

これも小売業ではない。
社説子、最初のテーゼを忘れている。

しかし柳井正さんの発言を引く。
ファーストリテイリング会長兼社長。
コロナ禍での企業のあり方について、
「今までの常識は通用しない。
自社の存在理由を考え抜くこと」

柳井さんの発言は正しい。
photolib_portrait12l

社説子の結論。
「企業はコロナ禍の教訓を生かし、
リスクの分散や新事業の育成など、
経営戦略の再構築が急務だ」

経営戦略の再構築が急務である。
これには大賛成。
しかしこの2つの教訓だけでいいのか?

さらに柳井さんの「自社の存在理由」と、
リスクの分散や新事業の育成は、
そのまま結びつくものではない。

取り上げてくれたのはありがたいが、
社説にしては分析が浅くて、甘い。

残念だ。

COVID-19は、
小売業だけではなく、
あらゆる業種業態に、
その存在理由を問う。

そのレゾンデートルから見て、
自社の事業を再定義するときである。

そこで改めて、
ピーター・ドラッカーの事業の定義。
41ZJ5TPJP2L._SX301_BO1,204,203,200_
ミドルマネジメント研修生、
知識商人大学修了生。
立教大学院の修了生も、
わかるだろう。

第1に、
組織を取り巻く「環境」である。

第2に、
その組織特有の「使命」である。

そして第3に、
使命を達成する「強み」である。

第1の環境の変化は、
新型コロナウイルス禍によって、
何が変わったかをつぶさに、
見る、聞く、考える。

第2の「使命」こそ、
柳井さんが言う存在理由だ。

使命は突き詰められねばならない。
だからこそ、
これまでの成功の前提条件を、
過信してはならない。

だからコロナ禍で使命を果たすために、
手段や方法は変わるかもしれない。

鈴木敏文さんの口癖。
セブン&アイ・ホールディングス前会長。
「過去の成功体験を捨てよ」
515myLqVuSL
だとすればコロナ禍に限らず、
どんなときにも成功の前提条件を、
過信してはならない。

第3が自分の「強み」の分析だが、
コンビニの強み、百貨店の強み、
スーパーマーケットの強み。
そこから考えを始める。

時には、SWOT分析も必要だろう。

この「使命」と「強み」から発想して、
まず本業をどう変えていくか。
そのあとで新規事業をどう開発するか。
どうリスクを分散するか。

こういった思考回路を巡らす。

社説子の「客離れの放置」とは、
一体何か。

そしてそれへの対策は、
いったいどんなことか。

私が思うのは、
環境と使命と強みの再検証である。
むしろ、それしかない。

取り上げてくれたのはありがたいが、
浅くて、甘いのは困る。

読んだ小売業者が、
妙に納得しただけで、
それで終わってしまう。

これは困る。

〈結城義晴〉

2020年10月16日(金曜日)

トレーダー・ジョーの新フォーマットの夢を見た。

不思議な夢を見た。
C
米国のトレーダー・ジョーが、
新しいタイプの店を出した。
これを「新フォーマット」と言う。

その新トレーダー・ジョーを、
私は見に行っている。

どんな店かというと、
全部対面販売のトレーダー・ジョーなのだ。

先祖返りした新フォーマット。
「温故知新」の店。

店名は、
「○○○○○○by Trader Joe’s」
一瞬、目に映った。

旧い建物の一角の倉庫を、
改装したような店舗だ。
全体に暗い。

200坪くらいだろうか。
レギュラーのトレーダー・ジョーより狭い。

天井は古い木製のスケルトン。
しかしその間から空が見える。

店舗前面はガラス張りのシースルー。
入り口を入るとまず、
対面販売方式のチーズ売場がつづく。

店員が8人くらい並んで、
声をかけながら様々なチーズを売る。

あのニューヨークのゼイバーズを、
3倍くらいにしたようなチーズ売場だ。
IMG_4794-1-448x336
それから主通路は回り込んで、
生鮮食品や乳製品が売られる。
しかしこの辺りになると、
夢だから、うろ覚えだ。

一巡りして、
スタンドカフェがある。

そこで私は何かを注文して待っている。

胸がワクワクする店だ。
私は懸命に解説している。

そのあたりで夢は終わる。

しかし妙に鮮明に覚えている。

ああ、アメリカに行きたい。
トレーダー・ジョーを訪れたい。
それらのイノベーションを見たい。

そしてそれは温故知新に違いない。

そんな私の心のストレスが、
この夢を見させてくれたのかもしれない。

いい気分で目覚めた。

COVID-19パンデミック。
アメリカも感染した。
C

この大問題が解消したら、
みなさん、一緒に、
アメリカに行きましょう。

トレーダー・ジョーが、
全米で飽和になったら、
新フォーマットを開発するかもしれない。
cover_message_201306
それを見に行きましょう。

楽しみです。

しかし「夢」と言えば、
ジークムント・フロイト。
81eHSwBSREL._AC_UY436_QL65_
オーストリアの精神科医。
その著作は『夢判断』
「The Interpretation of Dream」

フロイトの考え方を簡単に言えば、
「夢の素材は記憶から引き出される」

ふむふむ。

「引き出される素材は無意識的である」

なるほど。

しかし、夢には、
「無意識に基づいた統合性が備わっている」

夢は、さまざまな事象を、
「一つの物語として連結させたものだ」

納得。

夢とは、
「潜在的な願望を充足させるものである」

つまり夢は、
「無意識による自己表現である」

トレーダー・ジョーの夢を、
自己分析すると前提には、
やはり新型コロナウィルスがある。
N
閉塞された気持ちがある。

そして昨日の講演で使った写真。
「ピグリー・ウィグリー」の、
1916年のモノクロ写真。

あれに影響受けた。

クラレンス・サンダースによる、
世界最初のセルフサービス店だ。

しかし、私の見たトレーダー・ジョーは、
セルフサービスではなかった。

反対の対面販売方式。
なぜかは、わからない。

東大阪の万代百貨店が、
かつて対面方式を採用していた。
それも夢の素材にあるかもしれない。

夢のトレーダー・ジョーは、
それにちょっと似ていた。

もちろんゼイバーズにも似ている。 IMG_4796-1-448x336

そして夢の新フォーマットのイメージは、
ロピアの寝屋川島忠ホームズ店。
hyosi1009
しかしやっぱり一番の理由は、
「潜在的な願望」だろう。

アメリカに行きたい。
みなさん、来年には、
一緒に行きましょう。

大統領選挙も終わって、
世情は落ち着いて、
素晴らしい店々が、
躍動しているに違いない。

しかし振り返ってみると、
この12年ほどで、
日本の小売業の店も、
大きく変わった。

商人舎はそれらに、
少しは影響を与えることができた。

私が描いていた「夢」が、
実現している。

「夢」には5つの意味がある。

第1は、睡眠中に見るもの。
あたかも現実の経験であるかのように、
感じる一連の観念や心像。

第2は、将来実現させたいと思っている事柄。

第3は、現実から離れた空想や楽しい考え。

第4は、心の迷い。

そして第5は、はかないこと。

私は昨日の夜、
第1の夢を見て、
第3の夢を思った。
そして第2の夢を考えた。
第4の夢や第5の夢となることはない。

そう思った。

「温故知新の新フォーマット」
これはいいかもしれない。

〈結城義晴〉

2020年10月15日(木曜日)

故西端春枝先生の近畿女性同友会講演の「商業界精神」

今日は大阪へ。

横浜は雨模様だったが、
静岡に入ると晴れ間が見えて、
名古屋以西は爽快な秋。

新大阪駅に、
中尾徹さんが迎えに来てくれた。
スリーエスコーポレーション㈱、
業務部企画室室長。

昨年の10月に開催されたのが、
商人舎ミドルマネジメント研修会。
その第16回で、S級の成績を獲った。
3Scorp_nakao
去年は主任だったが、
もう室長になった。

仕事も成果を上げているようだし、
自信もついたのだろう。
顔つきが変わっていた。

うれしい限りだ。

そのまま西天満の浄信寺へ。
IMG_90540

商業界ゼミナール近畿女性同友会
ずっと西端春枝先生が会長だった。

その西端先生が今年6月6日に永眠された。
私はその日のブログに訃報を書いた。
西端春枝先生 ご逝去

それから4カ月。

商業界近畿女性同友会は、
今日、活動を再開した。

㈱商業界は自己破産したが、
その同友会活動は衰えない。

今日は結城義晴が講師。

会場は西端先生が副住職だった浄信寺。

12年前にこのお寺の本堂で、
商人舎主催「寺子屋研修会」を、
開催させていただいた。

到着すると平澤範雄さんから、
先生が逝去されたときのお話を聞いた。IMG_90580
西端先生のご長男で、この浄心寺ご住職。
商業界スパークルの第一期生だとか。

お話を聞いてから、
焼香させていただいた。
様々な思いが胸に去来した。

控室には渡部裕子さんの見事な書。
魚は水を知らず 
人はくうきを知らず
IMG_90490
そして三人の先達の写真。
真ん中が西端行雄さん。
左が倉本長治先生、右が倉本初夫先生。IMG_90670
西端行雄さんはニチイ創業者。
もちろん春枝先生のご主人。

その西端行雄さんの胸像。
IMG_90520
今日の講義でも話したが、
私は「integrity」という言葉をよく使う。
ピーター・ドラッカーが、
最も大切にした概念だ。

「真摯さ」と上田惇生先生は訳した。
私は「真っ正直」と意訳している。

そして小売商業の世界で、
最もintegrityの言葉がふさわしいのが、
西端行雄さんだった。

午後4時、近畿女性同友会開始。
DSCN97740
今日は40名ほどの会員が参集。
さらに十数名の方がZOOMで参加する。

冒頭のご挨拶は暮部恵子さん。
㈱クレコスという化粧品会社の社長。
DSCN97820

まず西端先生の遺影の前で、
「商売十訓」の朗読。
コロナ禍で全員の唱和は中止。
DSCN97780

暮部さんが講師をご紹介してくださった。DSCN97830
私が㈱商業界の社長だったころ、
商業界ゼミナール(2月ゼミ)に、
ミュージカルを組み込んだことがある。
「パパの明日はわからない」
劇団ふるさときゃらばん。

暮部さんはそのことを話してくれた。
「商業界は変わると思った」

ありがたい。

そのご期待に沿えなかったが、
今日はその分まで語ろうと決意した。
DSCN97890

はじめはコロナ禍と、
その中の商人の生き方。
DSCN97860

そして商業界精神の本質。
「店は客のためにある。
店員とともに栄える」

さらに「商売十訓」とその謎解き。

最後は新保民八。
「正しきによりて
滅ぶる店あらば、
滅びてもよし。
断じて滅びず」

新保はまず、正しくあれ、と諭す。
そして正しくあるならば、
滅びてもよし、と言い切る。

現実を顧みると、正しくないものは、
即座に、滅びる。

しかし、正しさを唱える者が
滅びてしまうことも、ままある。

なぜか。
なぜ、
正しくあることを目指しているのに、
滅びるのか。

それはイノベーションがないからである。

イノベーションとは、
「自ら、変わる」ことである。
「店が客のためにある」ことに向けた、
自己変革である。

原点を貫くための原則を新保は、
「滅びてもよし。断じて滅びず」
と、心意気を示すように訴える。

だが私は、
「滅びてもよし」と「断じて滅びず」の間に、
「自ら、変われ」「自己革新せよ」という、
強い意志が横たわっていると考える。

経営の革新と技術の革新は、
滅びぬために不可欠だからである。

商人の原点と原則は、
「正義」を貫き、
「革新」を続けることにあるのだ――。
DSCN98200
この新型コロナウイルス禍でも、
革新は必須だ。
それはイノベーションであり、
「自ら、変わること」である。

講義が終わって拍手をいただいた。DSCN98430

最後に長澤政代さんが、
西端先生の思い出を、
とつとつと語ってくださった。
ナガサワ食品㈱会長。
DSCN98630

西端先生をもっともよく知る人。
DSCN98610

私のことも褒めてくださった。
DSCN98560

恐縮至極。
DSCN98480

最後に長澤さん、暮部さんと写真。
ありがとうございました。IMG_90620

講演会が終わったら交流会。
女性同友会の中心メンバーの皆さんと、
意義のある、楽しい交流。

撮影の一瞬だけ奥に集まって、
マスクを外してポーズ。
IMG_90680
國場佳代さん(㈱アトリエ・カヨ代表取締役)
井坂美佐さん(スリーエスコーポレーション社長)
岡田真希さん(花LINKS㈱社長)
橋本由紀子さん(安心堂白雪姫取締役)
岩橋成子さん(㈱日之出屋岩橋会長)
細畠美鶴さん(キャリアコンサルタント)

女性経営者の皆さんのパワーに煽られた。
ありがとうございました。
IMG_90700
壮にして学べば、
すなわち、
老いて衰えず。

老いて学べば、
すなわち、
死して朽ちず。

西端春枝先生に、合掌。

〈結城義晴〉

2020年10月14日(水曜日)

「ポジショニング競争は人間の精神を豊かにする」

日経新聞電子版。
経営者ブログ。
鈴木幸一さん。
suzuki_s
㈱インターネットイニシアティブ会長。
略してIIJ。

1992年12月創業。
その当時は世界的にも、
インターネット接続サービスが、
開始されたばかりだった。

「やらなければいけない仕事、
新しいサービス開発等々、
いくら時間があっても、
足りない時代」

社員たちが要望した働き方の基本は、
「好きな時間に、
必要だと思っただけ、

オフィスで仕事を
させてほしい」

ん~。

わかる。

私が入社したばかりの販売革新編集部。
1977年、故緒方知行さんが編集長だった。
何としても「流通革命」を仕上げる。
それを支え続ける。
そんな気概があった。

商業界史上最高部数の食品商業編集部。
お陰様で結城義晴が編集長。
スーパーマーケットとコンビニを、
2つの核にして雑誌をつくった。
両業態の抜きつ抜かれつが、
実にスリリングで面白かった。
食品産業の地位向上を、
リードするという意気込みもあった。

読者もそれに応えてくれた。

そんなときは、
IIJ創業期と似ている。

思い切った実験的な企画も実行した。

鈴木さん。
「一般の事業者に定着していた
“働き方”を踏襲していたのでは、
米国や欧州の進んだ国に対し、
遅れるばかりであり、
しかもコミュニケーションの相手は、
初めからグローバルであり、
“日本だけができない”という
接続サービスを提供するのでは、
世界と肩を並べていくことはできない」

そんな危機感を
ほとんどの社員が共有していた。

鈴木さんは述懐する。
「シリコンバレーでは、
“普通の勤務形態”を貫いて
成功した会社も起業家もいない」

コロナウイルス禍によって、
「IT時代の働き方改革」が、
国の施策となっているかのようだ。

鈴木さん。
「新しい技術分野において、
わが国の劣勢が報じられるたびに、
誰もが、余裕をもてる”働き方改革”の
実践を目指したら、この国の産業の
将来はどうなるのだろう」

最後に、
「在宅でもなんでも、
働く場所はどこでもいいけれど、
少なくとも、
徹底して
鍛えられる場にいないと

若い人が育つのは
難しいのではないかと
じいさんの心配である」

同感だ。

だからといって、
サービス残業が許されるというのでは、
まったく、ない。

上司は部下に、
サービス残業を強要してはいけない。
経営者はそれを前提に、
マネジメントしてはならない。

しかし自分を徹底して鍛える。
そんな時期はだれにも必要だ。

その自分を鍛える時期が、
「売れる経験」と同期したり、
「良いものづくりの体験」と重なると、
人間は信じられないほど育つ。

競争も同じだ。

だから今、
ロピア寝屋川島忠ホームズ店や、
平和堂アル・プラザ香里園の、
現場の若い人たちは、
すごい成長をしているに違いない。
DSCN95410

だから激しい競争をしていても、
みんな、どこか愉快そうだし、
充実している風である。
DSCN97270
しかもそれは、
自分らしさを追求する競争だし、
ポジショニング競争である。

楽しいに違いない。
充実しているに相違ない。

今日も月刊商人舎10月号
次々に注文が入る。
202010_coverpage
ありがとうございます。

まだまだ在庫はあります。
ご注文はこちらまで☟
ropia_banner2

最後に再び、
ブレーズ・パスカル。
鹿島茂編著『パンセ抄』
DSCN9204-5-448x336
「人は精神が豊かになるにつれて
自分の周りに独創的な人間が
より多くいることに気がつく。
しかし、凡庸な人というのは
人々の間に差異があることに
気づかない」
(断章七より)

精神が豊かにならねば、
独創的な人間に気づかない。
自分が独創的にもなれない。

ポジショニング戦略のパワーは、
人間の精神を豊かにするところにこそ、
存在するのだと思う。

〈結城義晴〉

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2025年11月
« 10月  
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.