結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年09月10日(土曜日)

「福島産全早場米出荷可能」と「イオン、久慈サンマ全量買い上げ」と「味の素・ウォルマート取引開始」の新局面

良いニュースを二つ。

朝日新聞から、
「福島産早場米すべて出荷可能」。
福島県の調査結果の発表。

8月下旬から早場米の調査を始め、
20市町村の水田で計101サンプルを調べた。
いずれも国の基準値を下回った。
国の基準とは、
1キロあたり500ベクレル。

最後に県内4市町で収穫した早場米を検査、
国の基準値を超える放射性セシウムは、
検出されなかった。

これによって、
福島県内で収穫した早場米は、
すべて出荷が可能になった。

おめでとう。

もう一つはイオンの取り組み。
こちらは日経新聞。
「岩手・久慈で水揚げのサンマを全量買い取り」

イオンが提携したのは岩手県の久慈市漁業協同組合。
久慈市の漁港に水揚げされる北海道沖でとれたサンマは、
イオンによって全量、買い取られ、
東北・関東にあるグループ店舗で販売される。

目的は、大震災で被災した現地の漁業関係者の復興支援。
もちろん商売上もイオンには大きなメリットが生まれる。

第1は鮮度。

これらのサンマの店着は、
東北の店舗には水揚げの翌日、
関東の店舗には翌々日。

通常の市場仕入のサンマに比べると、
それぞれ1日早い。

第1回の水揚げは来週はじめの予定。
1回の水揚げ量は20~50トン、計7~8回。
10月中旬までに最大計400トンを買い取ることになる。

鮮魚として販売できない規格のサンマは、
現地業者がすり身に加工し、これもイオンが買い取る。

イオンは、宮城県石巻市の工場で生産したサンマのかば焼きなども、
プライベートブランドとして発売する。
当然ながら、全量買い取りが前提。

東日本大震災への支援をしつつ、
それが売る側、買う側両者のメリットにつながる。

近江商人の「三方良し」
売り手良し、買い手良し、世間良し。

これです。

さて、日経新聞の大きな記事。
「味の素、ウォルマートに販路」

味の素は、この9月から米国のウォルマート本体と取引を始めた。
これによって全米約2500店舗で冷凍食品4アイテムが販売される。

今月末、私はテキサス州とカリフォルニア州を訪れる。
都市にすれば、ダラス、サンフランシスコ、サクラメント。
ウォルマートを見る楽しみが一つ、増えた。
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ウォルマートで販売するのは、味の素の米国ブランド「サムライ」
その鶏肉チャーハンとあんかけかた焼きそば、さらに「ミールキット」。
特にミールキットは、
「オレンジチキン」など米国定番メニューと米飯とを組み合わせた簡便商品。

各商品の容量は、1.15キログラム。
ウォルマートの定番に多い1箱3~4人分相当。

売価に関して、日経の記事では、
「店頭想定価格は9ドル前後となる見込み」とあるが、
おそらく8ドル98セントといった価格ポイントで、
リーチインケースでエブリデーロープライスで販売されるはず。
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製品はオレゴン州の現地法人工場、
または中国・江蘇省の子会社工場で生産されている。

味の素全体の冷凍食品部門の売上高は、
2010年度で1095億円。

その海外比率は、数%。
ウォルマートとの取引を機に、
これを10%以上に拡大する計画。

このうちアメリカでの売上高は約65億円。
しかし米ドルベー スで年率1~2割の成長。
これを3年のうちに、100億円に乗せる。

そのためにまず、ウォルマートの店頭を押さえ、
次にクローガーやセーフウェイ、パブリックス、HEB、
そしてコストコ、ターゲットといった企業にもアプローチをかける。

米国でのアジア・エスニック風冷凍食品の市場は、
約800億円と試算される。
ここに日本食や中華料理、タイやベトナムのメニューが含まれる。
特にトレーダー・ジョーの売り場など見ているとわかるが、
この分野の成長率は年間5%の伸び率。

その理由は、アジア系・ヒスパニック系の住民の急増。
米国2010年国勢調査によると、
この10年間で、アジア系、ヒスパニック系ともに、
43%の増加。
日本人は増えてはいないが。

そしてアジア系、ヒスパニック系は、
日本食を大いに好む。

ウォルマートもそこに目をつけたということだ。
日本のメーカーは一部を除いて、
ウォルマートへの拒否反応が強い。

納入原価の買い叩きに遭うのではないか、
そんな被害妄想のようなところもある。
しかし丸裸の原価(ネットネットプライス)での取引は要求されるが、
いざ店頭に並んだら、当初の計画通りの売上げを達成する。
もちろんメーカーの利益も計画通りに生み出される確率が高い。

日本水産の垣添直也社長はそのことを述懐する。
ニッスイはアメリカに子会社の水産会社を持っていて、
その取引相手にはウォルマートとマクドナルドがある。

垣添さんは両社との取引に、
「計画通り」というメリットを見出している。

今回の味の素のウォルマートとの取引開始は、
日本の食品製造業が、
新しい戦略局面に入ったことを示していると思う。

日本独自の発達をし、
日本市場への最適化に専念してきたメーカー各社が、
国際化を目指そうとしている。

もちろんキッコーマンや伊藤園といった先行事例はあった。
その列に味の素が加わり、ウォルマートと取引を始めた。

国内空洞化と国際化との狭間の緊張の中で、
新しい局面が展開され始めた。

私は今日、明日と、
立教大学新座キャンパスで、
結城ゼミの合宿。

充実した時間を、
ゼミ生とともに過ごす。

ウォルマート店頭の「サムライ」ブランドとの対面を楽しみにしながら。

皆さんも、良い週末を。
今週も、結城義晴の[毎日更新宣言]、
ご愛読、感謝します。

<結城義晴>

2011年09月09日(金曜日)

「産業の空洞化」は「商業の現代化」につながり「紀文お正月フォーラム2011」で講演

ほぼ日刊イトイ新聞、通称『ほぼ日』で、
糸井重里さんが増田恵子さんと連載対談。
増田さんはピンク・レディーのケイちゃん。

53歳になったケイちゃん、
表現力豊かで、素敵。

その対談の中に出てくるのが、
復活したピンク・レディーの100カ所200回公演の凄い話。

「ただ楽しい、そんなことというのは、
まぁ、ないんですけどね。
ちっちゃなことならありますけど、
大きな歓び
というのは
たいてい
『苦しい』
が混じってますよね」

糸井さんの言葉だけれど、
増田恵子が乗り移って発せられた。

今日の日経新聞夕刊。
落語家桂三枝が、
亡くなった桂枝雀のサービス精神を語っている。
日経は経済記事だけでなく、
生活や文化面でもいいものを載せる。

「枝雀カムバック2」は枝雀の落語3席を映像で楽しみ、
ゲストがトークする。
三枝が枝雀の凄さを、つくづくと述懐。

そして最後にぼそっと、言う。
「昔、2人で川柳の会に出たことがあった。
お題は『傘』。
その時の師の作品を今でも覚えている。
舞台に出たからには徹底的に笑わせる姿勢が、
『傘』の川柳に表れている」

「持って出たからにゃ 降ってもらわにゃ」

もう一つ日経新聞夕刊の「追想録」
佐々木力さん(リンク・セオリー・ジャパン前社長)。
ファーストリテイリングの柳井正さんとご一緒に、
何度かゴルフを楽しんだことがある。
細やかな配慮のある人だった。

「米国で1997年に創業し、
働く女性の支持を集めた婦人服ブランド『セオリー』。
これを99年にいち早く日本に紹介、
2003年にはファーストリテイリングと共同で買収」
そして社長に就任。

「日本のアパレル業界では珍しい根っからの国際派。
細やかな気配りと人当たりの良さで、
内外に幅広い人脈も築き上げた」

「セオリーも日本人仕様に変えず、
斬新な米国のデザインをそのまま移入」

このあたり、いかにも佐々木さんらしい。

「これが『格好良いワーキングウエア』を求める日本の女性の心をつかんだ」

柳井正さん。
「義侠心の強い、色気のある、
優秀なアパレル経営者だった」
8月9日没、享年60。
ご冥福を祈りたい。

さて朝日新聞のコラム「経済気象台」と日経新聞の「大機小機」。
今朝は互いに呼応した。
私にはそう感じられた。
「経済気象台」は「G7の没落」を語る。
「途上国では『成長の経済』という要因が働く」
「先進国では『衰退の経済』というべき要因が働く」

当たり前のようだが、
この親潮と黒潮の交差のごとき現象が、
今、世界経済の大潮流となっている。

そしてここに「後進の先進性」現象が現れる。
三菱食品特別顧問の廣田正さんの鋭い指摘。

一方、大機小機は「空洞化のプラス面」を考察。

「第1は、企業活動のグローバル化である」
「日本企業の海外進出を抑え込もうとするよりは、
海外企業の日本進出を促進すべき」

「グローバル化の流れを促進しつつ、
国内経済の空洞化を防ぐことができる」

「第2に、ある程度の空洞化は必要である」
「企業が海外に出て行くのを防ぐより、
他の分野を伸ばしてその穴を埋めていくべきだ。
そうすれば、時代の要請にあった産業構造になるはず」

「空洞化」は巨大製造業の危惧すること。
商業・サービス業の基幹産業化を構想すれば、
「空洞化のプラス面」は大きい。

「第3は、制度間競争を活発化させることだ」

「企業が活動しやすい制度的環境の整備が必要」
具体的には「税制、金融規制、各種参入規制など」

「海外投資を呼び込み、
国内の資源の流動性を高め、
制度間競争に応えていけば、
空洞化の脅威を経済の活性化に結び付けていくことができる」
コラムニスト隅田川氏の意見、貴重。

発展途上国の「成長の経済」と、
先進国の「衰退の経済」のはざまで、
「空洞化のプラス面」に、
「商業の現代化」が浮かび上がる。

ずっと、頭の中に置いておきたい理屈だ。

さて昨日午後は、
「紀文お正月フォーラム2011」で講演。
場所は東銀座にある時事通信ホール。

㈱紀文食品が年末商戦に向けて、
その年のトレンドや売り場づくりを提案するこのフォーラム。
今年で4回目。
今年のテーマは、
「東日本大震災後の正月商戦を考える!」。

7日、8日の両日開催で、
スーパーマーケットの経営トップや担当幹部130名ほどが参加。

はじめに、代表取締役専務の髙市泰明さんがご挨拶。
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第1部の講師は民族研究家の神崎宣武先生。
「ニッポンの生活文化の代表〝お正月”を継承することの意義」。
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日本の共同体行事は全て祭りと呼ばれ、
地域社会の全員が休みを取って、
皆でごちそうを食べる習わしがあった。

日常(気=ケ)ばかりでは気が枯れる(ケガレル)。
だから祭り(ハレ)で元の気に戻す(元気)。
とりわけ、年を重ねる正月祭りは酒とごちそうで、
心身を元に戻す大切な行事だった。
こうした正月の謂れや、言葉の意味を解説。

お正月を迎える家族の団らんの場で、
こうした日本の文化を語り継いでいきたいものだ。

今年末は、家族・故郷・日本がキーワードになりそうだ。

第二部は私の講演。
テーマは
「消費トレンドが変わる・購買マインドを変える」

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ドラッカーのマネジメントをベースに、
震災を経験した後の日本の消費者のマインドに、
いかにマーケティングとマーチャンダイジングを適応させていくか。
今年は前年比で考えるのではなく、
イノベーションをもった年末・年始商戦を企画し、
同時に組織風土改革を志向してほしい。

そんな内容の話だった。
60分の短い時間だったが、
提案したいことを簡潔に話した。
ご清聴、感謝。

第三部は紀文からのプレゼンテーション。
「正月の謂れ訴求による正月市場拡大のご提案」
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プレゼンは商品開発室商品企画三部の山本真砂美さんと坂上美樹さん。
2011年末向けの市場動向や店頭事例を紹介しながら、
年末商戦の具体的な提案が展開された。

こういったメーカーからの提案。
季節の風物詩的なものになってよい。

フォーラム終了後は懇親会。
㈱エコス社長の平邦雄さんとグロサリー部長の齋藤直之さん(左)、
そして髙市専務(右)。
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私の講演を企画担当してくれた山本真砂美さん。
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お疲れさま、ありがとう。

㈱関西スーパーマーケット店舗運営部マネジャーの岡秀夫さんも来場。
岡さんはコーネル・ジャパン第三期生。
岡さんとは3日間、ご一緒したことになる。
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お疲れさまでした。

今週も、充実していた。

ありがとう、心から。

<結城義晴>

2011年09月08日(木曜日)

セブン‐イレブンの非常用無料電話とイオンの広域ネットスーパー、そしてコーネル・ジャパンのヤオコー&ロヂャースの物流研修

東日本大震災後の新しい試みで、
いい話ふたつ。

まず、セブン‐イレブン。
非常用無料電話を店舗に設置していく。

昨日のテレビ・ニュースなどでも、
盛んに取り上げられた。

震災の発生後、
人の命に次いで重要なのは、
情報。

しかし今回も電話が通じなかった。
特に現在最も日常的な携帯電話は、
全く通話できなかった。

セブン‐イレブンの店舗に無料で、
震災時にも通じる電話が設置されれば、
これは助かる。

NTT東日本との共同事業。
来年2月までに、東京23区内の全店に設置される。
やがて全国の1万3000店に広げられるに違いない。

社会のインフラとして、
ライフラインとして、
「情報」のカギを握るに違いない。

私はスーパーマーケットやドラッグストア、
もちろん総合スーパーやホームセンターなどでも、
店長室に衛星回線の電話を設置することをお願いしている。

「人の命に次いで重要な情報」
情報が人の命を守ることにもなる。

セブン‐イレブンの試み、
大いに評価しつつ、
コンビニ業界挙げての取り組みにしてもらいたいし、
小売業界全体の共通インフラにもしてもらいたい。

お願いします。

小売業の地位を上げること、
確実です。

もう一つ。
イオンが、
「広域ネットスーパー・サービス」を始める。
日経新聞の記事。

顧客はインターネットで注文する。
パソコンや携帯を使えない高齢者などには、
カタログを用意し、電話やファクスで受注する。

取り扱い商品は、約8000品目。
青果、鮮魚、精肉、日配、さらに加工食品、日用品など。
つまりはスーパーマーケットとそん色ない商品構成。

配達の時間帯は正午~午後9時、
受注時間は24時間。

午前中に注文すればほぼ当日中に届く。
午後3時までに注文すれば、翌日配達。

「利用手数料はネット、カタログとも、
1回の買い物額が5000円未満で315~630円で調整中。
5000円以上は210円とする見込み」

注文を受けると、
実際の店舗で商品をピッキングし、
宅配業者に委託して配達。

この秋11月にまず青森県でスタートし、
来年3月までに東北の全県に広げ、
さらにそれ以降は東北以外にも拡大。

「買い物弱者」救済サービスで、
社会的に非常に有益なこと。
ニーズは確実にある。

しかし問題は最低限の利益が出ないこと。
私もインターネット通販などは伸びると考えているが、
「ネットスーパー」には否定的見解を持つ。

だからイオンのこの試みは、
ボランティアの意味が強いのかと思ったが、
そうでもないらしい。

記事には、こうある。
「4月から三重、岐阜両県で実験し、
高齢者を中心に1日数十件を受注。
採算性にめどがついたとして本格導入する」

はたして客数数十人で、
ネットスーパーは成立するのか。
手数料はもっと高く設定されたほうがいいのか。

まだまだボランティア活動と実験の域を、
完全に逸脱したとは考えられないが、
それでも意欲的試みであることは確かだ。

さて昨日は、
コーネル大学ジャパン第3期、
9月補講の二日目。

朝7時半に専用バスで川越市内のホテルを出発し、
8時には、ヤオコー南古谷店の視察。
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一昨日の夜、
狭山物流センターで仕分けされた商品が、
店着してからどのように流れていくのかを見る。
この日も、㈱ヤオコー顧問の大塚明さんと、
ロジスティックス推進部物流センター担当部長の本城宗尚さんが、
随行しつつ、丁寧に説明してくれた。
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販売部長の小澤三夫さんも駆けつけてくれた。
小澤さんは「スーパーマーケット店長大賞」の、
栄えある第1回受賞者。
久々の対面におもわず握手。
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その3人の皆さんから店内作業の解説をしていただき、
それぞれに視察。
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開店前作業を、
それぞれの視点で見て回る第三期生。
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視察しながらも、ディスカッションを欠かさない。
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なにやら惣菜部門の一角に人だかり。
写真を撮る者、動画撮影をする者。
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皆がじっくりと見入っていたのは、
ヤオコー名物「手作りおはぎ」。
丹念で手際の良いパートタイマーさんの手さばきに感心する第三期生に、
うれしいサプライズ!
「どうぞ、試食してみてください」
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作りたてを頬張る。
「うんまい!」
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次々に試食する第三期生。
「ご馳走様でした」
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その後、隣接する研修センターへ移動。
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1階の研修室は、部門別に分かれている。
充実した設備に誰もが驚いている。
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2階の談話室に移動。
ここでも壁に掲げられたパネルに皆が見入っている。
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川野幸夫会長のお母様「川野トモ」さんの語録。
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談話室で最後の質疑応答。
すべての質問に丁寧に答えてくださった皆さんに感謝。
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本城さんへ心から感謝の握手。
ありがとうございました。
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ヤオコー南古谷店を後に、
1時間ほどバスにゆられると、
到着したのはロヂャース物流センター。
正しくは北辰商事㈱岩槻配送センター(さいたまMDセンター)。
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北辰商事㈱副社長の太田順康さんが迎えてくれた。
太田さんはコーネル・ジャパン伝説の第1期生の級長。
第2期からは、ロデャースのセンター視察をプログラムに加え、
太田さんには講師も務めてもらっている。
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早速、2班に分かれてセンター内を視察。
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ロデャースは自動発注を基本とする。
入荷時の商品スキャンは重要。
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合理的な考え方で作られたセンターを見て回る。
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ロデャースのセンターの独特の機能のひとつは、
非食品の「全品スキャン」。
ただし、9つの大手問屋&メーカーの納品商品を除く。
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非食品は誤配も多い。
だから自分で全品スキャンをする。
手間暇がかかっているように思えるが、
最初に正確な商品登録を行うことが、
商品管理の基本中の基本。
それが物流の低コスト化になるし、
自動発注のベースにもなる。

スキャンされ各店別に振り分けられるラインに見入る三期生。
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センター視察を終え、会議室に移動。
太田講師からロヂャースの物流戦略の講義を受ける。
はじめに、太田さんを紹介。
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「経営戦略としての『物流』の位置づけ」がテーマ。
戦略を実現するための最重要課題が物流であり、
物流を制する企業こそが勝ち組となる。
その太田さんの持論を体現したのがこのセンター。
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既存物流センターの問題点、
あるべき物流センターの姿、
そして大震災時の復旧対応を画像を交えて語ってくれた。
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太田さんを囲んで、センター玄関まえで記念撮影。
(右端の㈱タカヤナギ副社長の高柳智史さんが写っていませんでした。
ごめんなさい)
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センター視察を終え、ロヂャース大宮店へ。
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店内での専用端末による自動発注チェック作業など、
実地の説明を受ける。
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3班に分かれて説明を聞き、質問をし、売り場を見て回る。
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こうして2日間にわたる授業も終了。
朝7時半から午後2時過ぎまで、
充実した講義だった。

長い長い付き合いの太田さんとも、感謝の握手。
ありがとうございました。
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コーネル・ジャパンは私にとって、
「商業現代化」を実現する拠点のひとつだった。

太田順康さん、大久保恒夫さんをはじめとして、
伝説の第1期生、
奇跡の第2期生、
実行の第3期生。

素晴らしい同志たち。

9月の補講の次は11月のサミットでの補講。
いとおしいような講義もあと1回。

すべての皆さんに、心から感謝。

<結城義晴>

2011年09月07日(水曜日)

コーネル・ジャパン第3期9月補講「ヤオコー狭山物流センターでの実習」で学びとったイノベーション

「お客の支持を得る店は、
レベルが高い低いよりも、
そのレベルが高くなろうとしている店、
高くなりつつあるのがお客にわかる店なんだよ」

昨日のブログで報告した宇都宮クリニックの最中、
10店以上の店を回りながら、
流通仙人の杉山昭次郎先生が漏らした言葉。

さすがに流通仙人、
プロのコンサルタント、
商人舎最高顧問。

このクリニックは、毎年の夏の恒例行事。
現在は私が座長を務める商業経営問題研究会だが、
もともとは杉山先生が座長だった。

84歳になりながら、
「試行錯誤することが成長の源だ」と、
仙人は最近、気が付いた。

その含蓄のある言葉。

レベルが高まりつつある店。
レベルアップがお客にわかる店。

小さくともよい。
日々、レベルが上がっている店。

クレイトン・クリステンセンの持論。
「持続的イノベーション」
その意志をもつ店、
それが顧客にわかる店。

店に限らない。
人間や組織にも、
このことは当てはまる。

自分の部下でも、
自分の学生でも、
友人でも知り合いでも、
もともとのレベルが高い者は、
それはそれで評価する。

しかし、低い者が、
努力をして自分を高めようとしている。
実際に、努力によってレベルが上がってきた。

そんな人間、
そんな組織が、
私は好きだ。

これまでも好きだった。

これは私に限らず、
店に対する顧客の評価にも通ずる。

逆に停滞している店、
レベルダウンしている店。
お客は、そんな店から去っていく。

商品の品質や鮮度でもよいし、
クレンリネスでもよい。
プロモーションでも、
ホスピタリティでもよい。

セブン&アイ・フードシステムズ社長の大久保恒夫さんは、
「まず、挨拶」と言う。

挨拶のレベルが、
店全体で、
グングン高まっている店。

「挨拶」は誰にもそれが、よくわかる。

必ず、地域のお客から支援してもらえる。

さて昨日から、
コーネル大学RMPジャパン第3期の補講。
東日本大震災で延期となっていた情報システムと物流問題。
今年も埼玉県川越駅に集合し、
バスでヤオコーの狭山物流センターに移動。
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センター内の会議室をお借りしての講義となった。

第一講座の講師は㈱プラネットの玉生弘昌社長。
「流通業界におけるITシステム活用の常識」。
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東日本大震災で、
情報や物流のシステムは多大な被害をこうむった。
その前提に立った講義となった。

まずセシウムをはじめとする放射線汚染の誤解、
そして正しい知識の必要性。
専門家の内容をわかりやすく語ってくれた。

次に事業継続を脅かすさまざまな危機に、
いかに対処すべきか。

中央集権より現場自立、
中央依存より相互依存、
そのための現場力の条件、

こうしたことを整理したうえで、
日本の流通におけるネットワークの進展、
より良いEDIを実現させるための標準の三要素、
そして情報システムのレガシー問題とオープン系の問題。

自らの体験や実績をもとに、
これ以上ないというほどにわかりやすい講義が展開された。
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私が最後に、CIOの必要性を付け加えさせていただいて、終了。

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CIOとはチーフ・インフォメーション・オフィサー。
情報担当取締役のことだが、
役員の中に一人、専門家が必要となる。
玉生さんの持論でもある。

講義を終えた玉生さんを囲んで、
荒井伸也首席講師と写真。
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控室で荒井先生から質問。
「経営者はいつ、どんな時に。
情報システム投資をしたらよいのか」

玉生さんの答えは、
「そのためにCIOが必要」というもの。

情報の専門家を経営者に育てるか、
経営者が情報リテラシーを学んでCIOになるか。

道は、どちらかしかない。

それがコンピュータ・リテラシーの問題だ。
すなわち、コンピュータを読み書き算盤のように使いこなすこと。
決して難しいスキルではない。

玉生社長を、
ヤオコー顧問の大塚明さんが送ってくれた。
日本スーパーマーケット専務理事。
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大塚さんもコーネル・ジャパンの講師。

第二講座の講師は、臼井秀彰さん。
チェーンストアの物流コンサルタントの第一人者。
「スーパーマーケットのロジスティクス問題」がテーマ。
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ロジスティクス戦略の立案、
センター開設の目的と課題などを、
実務的な視点から話してくれた。

センターフィー問題は数値を示しながら課題を指摘。
小売業は、物流機能を事業に加えた新しいビジネスモデルを作るべきだ。
これが臼井さんの主張。

私は講義の初めに「真摯に受け止めてほしい」とくぎを刺した。
第三期生はどのように受け止めただろうか。
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そしていよいよ、ヤオコー物流センターの視察。
はじめに大塚明さんからの解説。
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さらにヤオコーロジスティックス推進部長の笠本秀之さんのコメント。
笠本さんは㈱ヤオコービジネスサービス常務取締役を兼務する。
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そのうえで、物流センター運営に携わる皆さんが、
センター施設を案内してくださった。

ヤオコー狭山センターはグロッサリーセンターとチルドセンターからなる。
昨年12月に2300坪を増床し、3万7000坪に拡張。
現在、狭山センターでグロッサリーは64店舗、
チルドは47店舗に供給するが、
増床強化によって70店ほどにまでキャパシティが広がった。
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そのセンター施設とオペレーションを、
2チームに分かれて解説してもらう。
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小分けピッキングには興味津々の三期生。
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3温度帯で管理されるチルドセンター。
ここでは精肉と鮮魚(おもにマグロ)の検質も行われる。
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1時間ほどの視察を終えて、再び会議室にもどり、
それぞれの部門担当の方から詳しく説明していただいた。
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最後に質疑応答。
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三期生の質問に丁寧に丁寧に答えてくださった。
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物流センター担当部長の本城宗尚さん、
グロッサリーセンター長の加藤さん、
狭山チルドセンター長の中下さん、
精肉マネジャーの水野尚さん、
鮮魚マネジャーの椿さん。

皆さんに心から感謝。

講義が終了したのは午後8時。
ヤオコーの皆さんもご一緒して、
近くの豆腐料理の「梅の花」で夕食。
お酒もいただき、みんなで談笑・懇親。

最後に副学長からのお礼の言葉。
「ヤオコーには持続的なイノベーションがある。
センターや物流に関しても、
1年間に、その変化がよくわかる」

「シンプルにシンプルに変わっている」

「このイノベーションこそ、
私たちがヤオコーから学ぶものだ」
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流通仙人の言葉が、
ヤオコーの中で実現されている。

締めのご挨拶は笠本秀之さん。
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「シャン・シャン・シャン、
シャシャシャン・シャン
」の締め。
本庄の生まれで、
かの地の締め方だそうだが、
これもシンプルで、とてもよかった。

感謝をこめて笠本さんへ『店ドラ』をプレゼント。
そして固い握手。
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すべての皆さんに、
心から感謝。

私は、
イノベーションを続ける者が、
大好きだ。

それを阻む者とは、
闘い続ける。

そんな意を強くした一日だった。

<結城義晴>

2011年09月06日(火曜日)

「健全な中間層は経済成長の果実」と宇都宮店舗クリニックの「ディスカウント派と真ん中派、中の上・上の下派」

台風12号、日本列島に、
またしても大きな被害をもたらして去った。

関東地方の今日は、
やっと台風一過の日本晴れ。
しかし台風13号が日本の東、太平洋上にある。

日本は地震国でもあるが、台風国でもある。

被害に遭われた人々に、
心よりお見舞い申し上げたい。

今朝の日経新聞コラム『大機小機』。
コラムニスト蜻蛉氏が「中間層の反乱」と題してコメント。

「最小不幸社会」を謳った前首相に対して、
野田佳彦首相は、
「中間層の厚みが増す日本をつくる」

「はるかにイメージが湧く」と蜻蛉氏は評価。
これは小売流通業・サービス業にとっても、
あるべきことであり、ありがたいことだ。

「社会の広範で健全な中間層は
経済成長の果実である」

「財政立て直しのための消費増税」は、
「広範な中間層に負担を強いる」

しかし「これ抜きに中間層を維持できない」
それを野田さんは「率直に語らなければならない」

「鳩山由紀夫元首相の荒唐無稽な言動に、国中があきれた。
他者を指弾するばかりで一向に前に進まない菅直人前首相の政治にも失望した」

蜻蛉氏は「中間層」を失望させるな、と訴える。
それなしには「中間層の反乱」が起こる。

さてその中間層が本来、けん引する消費。
これも日経新聞の8月インターネット調査。
東京都、愛知県、大阪府の20代、40代の男女1000人の回答。
都会の消費者の二つの世代の調査。

タイトルは「震災6カ月 消費の行方(上)」

「震災後の2~3カ月に『消費を手控えた』人は55.1%」
どのくらい控えたか。
「震災直前の70~90%未満」が40.3%、
この回答が最多。
全体平均は震災後に約85%の消費支出だった。

世代別にみると、
40代が6割、
20代は5割弱。

「現在の店頭では、若年層の購買行動が比較的目立つ」

「『ハレ消費」」の分野で、消費意欲回復の兆し」
ハレ商品とは「嗜好品や海外旅行など非日常の商品」

今後の消費のキーワードとして「低価格」を挙げる人、
20代では、42.2%。
40代は6ポイント低い38%。

20代は、「貯蓄意欲」は高く、
「メリハリ消費」の意識が強い。
これに対して「バブル世代の40代」、
「不要不急の商品の購入を手控える傾向」。

アパレル・ファッションでも、
「40代向けブランドの回復が鈍い」

それは「景気の先行き不透明感も購入を控える要因」

電通総研の四元正弘氏は、指摘する。
「現状では“プチぜいたく”にとどまっている」
つまり「全般的な回復の腰折れ懸念」の指摘。
「日本人全体に震災後のストレスはたまっているが、
そのはけ口は”プチぜいたく”」

この調査から読み取れるトレンドは、
「メリハリ消費」と「プチぜいたく」か。

私はこの傾向の中で、
顧客が「賢く」なっていると思う。

賢い消費者に対しては、
賢い商人である必要がある。

我田引水のようだが、
「知識商人」の出番であるということだ。

さてさて先週木曜日9月1日、
商業経営問題研究会(RMLC)の店舗クリニック。

最初の視察店は百貨店・福田屋のFKDインターパーク店。
福田屋は宇都宮を地盤とする百貨店。

宇都宮市と河内郡上三川町にまたがる複合型工業団地に位置する。
このエリアは北関東自動車道宇都宮上三川ICをはじめとする交通アクセスがよい
だから大型商業施設が次々に出店している。
集客力のある地域であると同時に、競合も厳しい。

FKDインターパーク店は、
郊外型の百貨店として話題になった店。
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次に向かったのは、隣接エリアにあるジョイフル本田宇都宮店。
㈱ジョイフル本田は、巨艦型ホームセンターを15店展開するが、
栃木県では初出店。
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その一角にあるのが㈱ジャパンミート宇都宮店。
生鮮強化のディスカウントタイプのスーパーマーケット。
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ジョイフル本田の抜群の集客力のご利益で、
「売上げはすべてをいやす」の生鮮・日配・惣菜主体の安売り店舗。

宇都宮市から真岡市に移動し、
たいらやのプライムマート真岡店。
512坪。
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その真岡エリアの競合状況を視察。
㈱とりせん真岡店。643坪。
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イオン㈱のザ・ビッグエクストラ真岡店。
スーパーセンターをリニューアルした4999坪。
その食品売り場の入り口。
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㈱オータニのフードオアシス荒町店。643坪。
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とりせん善光寺店。875坪。
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真岡市から芳賀町に移動し、
たいらや芳賀店。

カワチと地元商業者との出店による、いわゆるNSC。
606坪。
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そして宇都宮市にもどり、
㈱カスミの「フード・マーケット」テクノポリス清原店
672坪。
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最後に栃木を本拠とする㈱かましんの清原テクノ店
700坪。
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10店舗を一気に回った。

ディスカウント型のイオン・ザ・ビッグ・エクストラとジャパンミート。

どちらかといえば、高級型の福田屋百貨店。

「高質スーパーマーケット」と呼ばれる中の上、上の下を狙うのが、
たいらや、プライム・マート、オータニ・フードオアシス。

真ん中を抑えようというのが、
カスミ・フード・マーケット、とりせん、かましん。

ちょっと乱暴で、まことにおおざっぱだが、
こんな分類ができようか。

野田佳彦首相ではないが、
「中間層の厚みが増す日本」となれば、
真ん中派がマス・マーケットを占める。

そうでなければ、
「ディスカウント派」と「中の上・上の下派」とが、
マーケットを二分する。

もちろんおおざっぱな価格帯だけでの論議は、
危険であることは承知の上で、
そんな構造が見える。

宇都宮市の郊外や真岡市では、
「高売りの店」は生き残れない。

福田屋百貨店も限りなくスーパーマーケットに近寄っている。

「中の上・上の下派」も、
「コモディティ・ディスカウント&ノンコモディティ・値ごろ戦略」のマージンミックスで、
利益を確保する。

ディスカウント派は、徹底したローコスト、
そして物量で薄利多売を図る。

それぞれの派の中での優劣が、
明確になってきた。

すなわち「ポジショニング競争の時代」に、
入ったということだ。

宇都宮郊外はまるで、
アメリカのサバブ・エリアのようになってきた。
日本中に広がりつつあるのだろう。
そんなことを強く感じたクリニックだった。

<結城義晴>

2011年09月05日(月曜日)

政権の方程式「勝利⇒大丈夫⇒退陣」とセブン&アイ鈴木敏文会長の「ネットとリアルの融合」

Everybody! Good Monday!
[vol35]

2011年第36週、9月に入って第2週。

最初にお知らせ。
商人舎USA視察研修会の第10回記念。
経営戦略スペシャル編、
商品戦略マーチャンダイジング編。

申し込み締め切りは、
9月8日今週の木曜日。
迫っています。

残る席数は10名と9名。
早い者勝ちです。

さて大型の台風12号、
私の命名で「ナオト台風」。
<居座る台風だから「菅ナオト型台風」>

四国・中国地方を通過し、
近畿地方には記録的な雨量をもたらし、
山陰沖から日本海に抜けた。

紀伊半島の河川の氾濫など見ていると、
今年は日本列島に、
「水難」の相が出ている。
そんなことを実感せざるを得ない。

東日本大震災の津波、そしてナオト台風。

全国で24人が死亡、54人が行方不明。
とりわけ和歌山、奈良、三重3県では、
20人が死亡、51人が行方不明。

被害規模は、
7年前の2004年の台風23号以来。
この時は98人が死亡・行方不明。

ちなみにこの台風のアジア名は「トカゲ」。
「ナオト」の方がちょっと上品か。

9月に入って、この台風が行ってしまうと、
一気に秋になる。

もう、日暮れがずいぶん早くなった気がする。

その9月は「防災月間」。
あざ笑うように台風12号。

負けるな、日本。

そして今週日曜日の9月11日は、
東日本大震災から数えて半年であると同時に、
米国の9・11同時多発テロから数えて丸10年。
ニューヨーク「グラウンド・ゼロ」では追悼式典が開催され、
オバマ米大統領が出席する。

世界中を奮い立たせる演説に期待しよう。

東日本大震災の方も、
野田佳彦政権に変わって、
こちらも期待しよう。

こちらには結城義晴の常とう句を捧げよう。
「慌てず、急げ!」

商売の上での9月のピークは、
第3週末の土曜日17日から、
第4週末の日曜日25日まで。

17・18の土日の次に、
19日月曜日「敬老の日」。

23日金曜日が「秋分の日」。
そして土日の休み。

9日間に6日の休み。

お盆商戦に次ぐ大型の書き入れ時。
お盆に成功した店は、
その勢いを堅持して、
「疾走せよ、疾駆せよ」
商人舎9月の標語。

お盆にそれほどでもなかった店は、
敬老・秋分の日に向けて、
「疾走せよ、疾駆せよ」

ウサイン・ボルトのように。
颯爽と風を切って、
トップを走ろう。

それが今日から始まる。

さて、日経新聞『オピニオン』
論説委員長の芹川洋一さんが、
「核心政権の方程式 教えます」と題して持論を開陳。

「政権の方程式といっていいものがある」

「ひとつは、退陣の方程式」

内閣支持率と政党支持率の和が50%を下回ったら
首相は政権を維持できなくなり、退陣に追い込まれる」
これ参院自民党の青木幹雄・元議員会長が唱えていたから、
「青木の方程式」とも呼ばれる。

次は、「勝利の方程式」
これには二つの方程式がある。

第1方程式は、
「内閣支持率と政党支持率の和が
100%を上回った場合」

第2方程式は、
「内閣支持率が50%程度で、
政党支持率を加え、計90%あり、
選挙戦略がうまければ勝つ」

さらに「大丈夫の方程式」
危険と安全の水域中間で政権がとりあえず安泰なのは、
「内閣支持率と政党支持率の和が80%」

菅政権は、今年7月、
「内閣支持率19%+民主党支持率25%=44%」だった。

野田政権は、組閣直後の世論調査で、
内閣の支持率67%、民主党の支持率36%で、
合計103%。

野田政権はスタート後ということもあって、
「勝利の方程式」にあり、
当然、「大丈夫の方程式」には十分。
「退陣の方程式」にはない。

「世論調査で政治が動き、内閣の命運を決する」
これを「ポル・ポリティクス(世論調査政治)」と呼ぶ。
新聞人は喜びそうだが、
行き過ぎると「衆愚政治」となるし、
世論調査はメディアによって数字が違う。
メディアの意図が数字に反映されているようにも見える。

面白い見方だから紹介するが、
私は好まない。

ただしほとんどの政権は、この方程式に則って、
「勝利⇒大丈夫⇒退陣」と推移する。

私たちは人気よりも、
如何に実行するかだけを、
見つめていたい。

世論調査の数値ではなく、
実行度の数値化はできないものか。

企業経営のごとく。

さて同じ日経新聞の「世界経営者会議特集」。
㈱セブン&アイ・ホールディングス会長鈴木敏文さんが語る。
実行の数字の世界に生きて、
それを積み上げてきた人。

1974年5月、セブン‐イレブン・ジャパンがコンビニを開店。
わずか35年余りで店舗数1万3000店超の企業に成長。
2005年9月、純粋持ち株会社セブン&アイ・ホールディングス設立。
コンビニ、総合スーパー、スーパーマーケット、百貨店、
さらにフードサービスなど多業態で「相乗効果を生み出す」取り組みに邁進。

2001年、決済銀行をスタートさせ、店内にATMを設置、
すぐに黒字化して、まったく新しいサービスを構築。

現在の鈴木さんの関心事。
「ネットとリアルの店舗の融合」

ヨーカ堂のネットスーパー、
セブンネットショッピングのインターネット通販などなど。
78歳の鈴木さんの関心事は、
59歳の私の興味と一致する。

「リアルとバーチャルの融合」
そのメカニズム、そのモデル。

21世紀前半の小売流通業の大テーマだ。

2050年ごろまで頑張って、
私は必ず、この決着を見届ける。

体力、精神力、記憶力、考察力を堅持しつつ。

では、今週も、「疾走せよ、疾駆せよ」
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

2011年09月04日(日曜日)

ジジと台風とおとうさんの誕生日[2011日曜版vol36]

タイフー12号。
まだ、います。
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すっごくおおきなドーナツみたいなかたち、
しているそうです。

おはようございます。
じじです。
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タイフーはいすわっていますが、
ボクもおとうさんもげんきです。

そのタイフーのなか、
おとといの二百十一日に、
ユウキヨシハルのおとうさんに、
おとどけものあり。
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これです。
お花。
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夏の花・ひまわりがあって、
バラなどがきれいにかざってあります。

カードがありました。
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そう、おとといは、
おとうさんの59回目の誕生日だったのです。

rikkyo結城ゼミ三期生のみなさん、
ありがとうございます。

さっそく、しらべてみました。
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たべられるかどうか、
おいしいかどうか。

わかりました。
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たべられそうだけれど、
おいしくはなさそう。

「ザンネン!!」
[ギター侍。  すごく古い!」]
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それでもおとうさんは、
とてもうれしそう。
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ことしの夏は、
ジュージツしていたからです。
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阿波踊りにも、
はまった。
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誕生日には、
父母に感謝する。
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おとうさんは、そう、
いってます。

生まれてきたことに、
感謝する。
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生きていることに、
感謝する。
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生かされていることに、
感謝する。
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われわれはどこからきたのか。
われわれはどこへいくのか。
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タイフーとおとうさんのお誕生日、
そんなことを考えました。
20110904082903.jpg
ありがとう。

<『ジジの気分』(未刊)より>

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